ご存じでしょうか。
令和6年度(2024年度)の過労死等の労災支給決定件数が1,304件と過去最多を記録しました。そのうち精神障害による支給決定件数は1,055件で、初めて1,000件を突破しています。
その中で「社会保険・社会福祉・介護事業」が請求件数589件、支給決定件数152件で全業種中最多となっています。
2025年問題で介護需要が増加する中、人手不足が深刻化しており、現場で働く人の心身の健康がかつてないほど危機的状況にあります。
このような深刻な状況だからこそ、科学的な知見に基づく対策を学ぶことが重要です。
令和8年3月4日開催の過労死等防止調査研究センター(RECORDs)研究成果発表シンポジウムでは、過労死等研究の最前線と予防策が紹介されます。
シンポジウムで最新情報を得て、過労死防止や精神障害事案の対策について考える機会にしませんか。
この記事では、介護業界の精神障害労災や労災補償状況を紹介し、記事の後半でRECORDsの研究成果発表シンポジウムの詳細をお伝えします。
目次
精神障害労災、介護業界が全業種中トップ――令和6年度データが示す現実
厚生労働省が令和7年6月25日に公表した「令和6年度 過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災支給決定件数は全産業で1,055件と過去最多を記録しました。
初めて1,000件を突破したこの数字は、前年度比172件増という大幅な増加を示しています。※1 さらに深刻なのは、うち自殺・自殺未遂が88件に及んでいる点です。※1
業種別(中分類)で見ると、「社会保険・社会福祉・介護事業」が請求件数589件、支給決定件数152件で全業種中最多となりました。
2位は「医療業」で請求389件、支給決定118件となっており、介護業界が他業種を大きく上回っている実態が明らかになっています。※2
経年変化を見ても、増加傾向は顕著です。令和5年度は「社会保険・社会福祉・介護事業」で請求494件、支給決定112件でしたが、令和6年度は請求589件、支給決定152件となり、請求件数で95件増、支給決定件数で40件増という結果になりました。※2 ※3
この数字は、介護業界で働く人々が精神的な負荷を受けやすい環境にあることを示しています。
※1 厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」
※2 厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況』別添資料2」P18表2-2-1、P19表2-2-2
※3 厚生労働省「令和5年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」
2025年問題、人材不足、業務過多――複合的要因が生む精神的負荷
介護業界で精神障害労災が最多となっている背景には、業界特有の構造的な課題があります。
2025年問題により、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、介護需要が急増しています。
第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数によると、2026年度には約240万人の介護職員が必要とされています。※1
一方、令和6年(2024年)10月1日時点の介護職員数は約212万6,000人です。※2
直近の職員数から単純計算すると、約27万人の確保が必要になります。
このように慢性的な人手不足により、一人当たりの業務負荷が増大しています。
交代制勤務による生活リズムの乱れ、夜勤を含む不規則な勤務形態が、心身への負担を大きくしています。
さらに、利用者やその家族からのハラスメント、身体的・精神的に負担の大きいケア業務も、精神的な負荷を高める要因となっています。
このような複合的な要因が重なり、介護業界で働く人々の心身の健康は危機的な状況にあるといって良いのではないでしょうか。
※1 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
※2 厚生労働省「介護職員数の推移」
RECORDsが10年以上かけて解明してきた過労死等の実態
このような深刻な状況を踏まえ、過労死等防止調査研究センター(RECORDs)が研究成果発表シンポジウムを開催します。
RECORDs(過労死等防止調査研究センター)は、過労死等防止対策推進法の制定を踏まえて2014年に設置された、独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所内の調査研究機関です。
正式名称は「Research Center for Overwork-Related Disorders」で、過労死等に関する実態の把握、そのメカニズムの解明および効果的な防止対策に関する調査研究を実施しています。
参照:RECORDs公式サイト「RECORDsについて」
RECORDsの調査研究は、過労死等労災事案の分析(医学、心理学、社会科学にわたる学際的取組)、過重労働に関する疫学研究(職域コホート研究、現場介入調査研究)、過重労働に伴う健康障害に関する実験研究(循環器疾患の背景、心肺持久力の指標開発)から構成されます。
また、国内外における過重労働や過労死等の最新情報を集めて検証し、ポータルサイトより発信しています。3月4日のシンポジウムでは、こうした10年以上にわたる研究の成果が紹介されます。
過労死等防止調査研究センター 令和7年度 研究成果発表シンポジウムの詳細

RECORDsの研究成果発表シンポジウムは、令和8年3月4日(水)13:30~17:00に開催されます。
会場はAP新橋4階ルーム D+E(東京都港区新橋1-12-9)で、現地参加とオンライン参加(Teamsウェビナー)の両方に対応。参加費は無料です。
現地参加は先着50名、オンライン参加は定員に達し次第締め切りとなります。
第1部では過労死等研究の研究成果レビュー、過労死等認定ファクトや職場コミュニケーションに関する研究成果の解説、精神障害事案増加についてのオープンディスカッションが行われます。
第2部では、現地参加者のうち希望者を対象としたインサイトセッション(研究者と参加者の対話の場)が実施されます。
※オンラインでは参加できません。現地参加者のうち希望者のみ参加可能です。
参加申し込みは、RECORDsの告知ページから行えます。介護業界に限らず、すべての業種の方が参加できます。
ご興味がある方はぜひ参加をご検討ください。
詳細・参加申込はこちら:https://records.johas.go.jp/news/r7sympo
この記事の執筆者![]() | シフトライフ編集部 介護業界で働く方向けに、少しでも日々の業務に役立つ情報を提供したい、と情報発信をしています。 |
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