「ショートステイで働いてみたいけれど、夜勤が務まるか心配」
「ショートステイの夜勤はきついと聞くけれど、具体的にどの業務が大変なの?」
このような悩みを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
在宅サービスでありながら入所系の要素も併せ持っているため、仕事内容が想像できず不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事ではショートステイ歴7年のスタッフが、夜勤の仕事内容について解説します。
ショートステイに少しでも興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ショートステイとは
ショートステイとは、在宅で介護を受けている方を対象としたサービスです。
ご自身やご家族の都合で、短期的に介護施設へ宿泊できます。
サービスの内容は、入所系と大きく変わりありません。
そのほかショートステイについての概要は以下のとおりです。
ショートステイの概要 | |
利用できる期間 | 1泊2日〜最長30日間 (介護度によって上限は異なる) |
対象者 | 原則、要支援1〜要介護5 |
役割 | 利用者様の身体機能の維持・向上 家族の介護負担軽減 |
ショートステイが利用される理由
ショートステイを利用する方の大半は、以下の理由で利用します。
・介護しているご家族が少しだけ家を空けなければならなくなった
・病気やケガで入院しており、退院後の在宅復帰が不安なのでショートステイをはさんで在宅復帰の練習をするため
・在宅介護に疲れてしまったので、少しだけ距離を置いて体や心を休めたい
特に最後の理由は、ショートステイの本質的な部分でもあります。
利用者様が住み慣れた自宅で長く生活できるよう、家族の身体的休息と精神衛生を保つためにも重要なサービスです。
ショートステイの施設の種類
ショートステイと呼ばれるサービスは、大きく以下の2種類に分けられます。
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
短期入所生活介護とは、主に日常生活全般を支援するサービスです。
一方、短期入所療養介護とは、医療的な観察や処置を必要とする方を対象としています。
それぞれのサービスの違いについてみていきましょう。
短期入所生活介護施設
「ショートステイ」と呼ばれているのは、多くの場合、短期入所生活介護施設のほうです。
介護的な支援内容は入所施設と大きく変わりません。
主に以下のサービスが提供されます。
・食事の提供
・内服薬や外用薬の管理、介助
・生活する上で1人では難しい部分の介助
・夜間の見守り
・レクリエーションやリハビリ体操
一日の流れや夜勤の内容も、入所施設とほぼ同じです。
ただし、ショートステイには単独型と併設型があり、どちらへ勤務するかによって業務の内容が少し異なります。
単独型とは、ショートステイサービスのみを専門とする施設です。
併設型は、特別養護老人ホームなどに併設されている形態を指します。
単独型の場合、定員の全てがショートステイ利用者ですので、通常の介護業務に追加してショートステイ特有の入退所業務も発生します。
多いときは日によって10人以上入退所するときもあり、日々の変化が激しいです。
反対に、併設型は空床を利用しているため、入退所の人数がそれほど多くありません。
入退所の業務は単独型に比べて少ないですが、入所施設特有の忙しさはあります。
短期入所療養介護施設
短期入所療養介護施設とは、医療的なサポートが必要な方のためのショートステイです。
基本的なサービスのほか、看護師でしか処置できない経管栄養・たん吸引などにも対応してくれます。
医療的な処置を施すため、介護老人保健施設(老健)・診療所・病院などに設置されます。
ショートステイの夜勤の仕事内容
ショートステイの夜勤の仕事内容は、主に以下の4つです。
・夕食・朝食の準備と介助
・寝る前と起床時の着替え・洗面なのどの介助
・排泄介助
・ナースコール対応
上記の仕事内容に加えて、家族との連絡帳を記入するといった仕事もあります。
ショートステイは在宅サービスですので、利用中の様子をご家族に伝えるための手紙やノートを用意している場合がほとんどです。
日勤帯で担うところもありますが、夜勤帯で夜間の様子を記入する施設もあります。
ほとんどのショートステイでは1人で上記の仕事内容をこなすため、合間をみて連絡帳の記入をしなければなりません。
定員の人数が多い施設だと2人体制のところもありますが、ほとんどは1人の施設が多いです。
ショートステイの夜勤のスケジュール(仕事の流れ)
ショートステイの夜勤は、以下のように進んでいきます。
施設によって細かな違いはありますが、大枠の流れは変わりありません。
ショートステイの夜勤スケジュール | ||
16:30 | 出勤 | 本日入所した利用者様の情報収集 日勤者からの申し送り |
17:00 | 夕食の準備 | 利用者様を食堂へお連れする 自助具などの用意 |
17:30 | 夕食 | 食事の介助や後片付け |
18:30 | 就寝の準備 | トイレ・歯磨き・洗顔・パジャマへの着替えなどをお手伝い |
20:00 | 就寝薬の介助 | 就寝薬の内服確認・介助 |
22:00〜 | 巡回 ナースコール対応 |
定時の巡回、排泄のお手伝い、ナースコール対応 |
6:00 | 起床の準備 | 着替え・洗顔・整髪・歯磨き・トイレなど朝支度の手伝い |
7:30 | 朝食 | 食事の介助や後片付け |
8:30 | 申し送り | 日勤者への申し送り |
9:30 | 退社 | 勤務終了 |
ショートステイの夜勤は楽?大変?
結論からいうと、ショートステイの夜勤は大変です。
というよりも、ショートステイを含め、介護施設の夜勤は総じて楽ではありません。
施設の規模によって異なりますが、基本的には1人で夜勤をこなすため、夜間で利用者様が寝ているとはいえ、仕事量は膨大です。
しかし、常に大変な状態な訳ではなく、ゆっくりと休む時間もあります。
ショートステイは毎日利用者様が変化するため、日によって夜勤の忙しさは異なります。
ショートステイの仕事内容が合う人は?
ショートステイの仕事内容が向いている人の特徴は、以下の3点です。
・突発的な出来事にも対応できる臨機応変さがある
・はじめての利用者様でも積極的に関わり情報収集ができる人
・短期間で多くの知識・経験を身につけたい人
それぞれの内容についてみていきましょう。
突発的な出来事にも対応できる臨機応変さがある
ショートステイは、毎日利用者様が入れ替わります。
ときには入所予定でなかった方が緊急で利用することも少なくありません。
このような場合、まったく情報がない状態でケアに携わる必要があります。
反対に、家族の都合や利用時の状態によっては突発的に退所となる事態も少なくありません。
想定していなかった事態が発生する可能性の高い職場ですので、臨機応変に対応できる柔軟性が求められます。
はじめての利用者様でも積極的に関わり情報収集ができる人
ショートステイでは、はじめての利用者様にも自発的に関わり、自ら情報収集できる方が求められます。
入所前に相談員がある程度情報は集めておきますが、実際に利用してはじめてわかる部分も多いからです。
利用者様からしたら、普段と違う環境で生活するため、戸惑いや不安から自宅での様子と異なる行動をとる方もいらっしゃいます。
そのため、事前情報を把握しつつ、自ら関わって生の情報を把握する能力が必要なのです。
短期間で多くの知識・経験を身につけたい人
「短期間で多くの知識や経験値を身につけたい」と考えている方にとって、ショートステイは絶好の職場です。
なぜなら、多いときだと月に100人以上と関われます。
要支援1から要介護5までさまざまな方が利用するため、幅広い疾病や身体状態の方に携われます。
一般の入所施設とは違い、看取りまで関われないといったデメリットはありますが、経験値を積むという面ではうってつけの職場です。
まとめ
ショートステイとは、自宅で生活している要支援・要介護の利用者様が単発的に宿泊できる介護施設です。
提供されるサービスは入所施設と大きく変わりなく、入退所に関する業務を除けば業務内容もほぼ変わりません。
夜勤に関しても同様です。
基本的には以下の業務内容をこなしていきます。
・夕食の準備・介助
・寝る前の支度
・夜間の巡回・排泄介助・コール対応
・起床時の支度
・朝食の準備・介助
・申し送り
ほとんどの施設は1人で夜勤対応するため、楽とはいえない仕事内容ですが、その分やりがいも多いです。
短期間で多くの利用者様と関われるため、短期間で多くの知識も身につきます。
介護職として短期間で多くの知識や経験値を身につけたい、と考えている場合、ショートステイは一度は経験する価値のあるサービスといえるでしょう。
ショートステイを経験してから他の部署、施設で活躍している介護職は多いです。
ショートステイでの夜勤の仕事内容について、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の執筆者 | 石田楓 保有資格: 介護福祉士 社会福祉主事任用 20歳のときにグループホームへ転職。 23歳でショートステイへ転職し、現場職員・相談員として7年勤務。 現在は介護・福祉系ライターとして活動、複数のメディアに記事執筆中。 |
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