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【教えて!】介護の常勤換算、有給や出張はどうなる?常勤者・非常勤での違いを解説!

介護の常勤換算 常勤者・非常勤での違いとは

介護における常勤換算の計算方法がよくわからない、有給や出張の取り扱いがどうなるのかわからない、という方が多くいらっしゃいます。サービスの提供、事業所運営を適切に行うために常勤換算を理解しておくことはとても重要です。
 
この記事では、介護における常勤・非常勤の違いや常勤換算、有給や出張の取り扱いについて解説します。また、常勤換算を正しく把握する理由や方法についてもご紹介します。
 
常勤換算の計算方法や取り扱いに悩んでいる方はぜひご一読ください。

介護における常勤と非常勤の違いとは

介護における常勤と非常勤は、以下の違いがあります。

・常勤:所定労働時間に達している職員

・非常勤:それ以外の職員

所定労働時間とは、事業所・施設において就業規則や雇用契約書で定められた労働時間のことです。例えば、始業時間が9:00で、終業時間が18:00の場合、休憩時間1時間を引いた8時間が所定労働時間です。

事業所によって所定労働時間の規定は異なりますが、定められた時間数を働いた人を常勤、それ以外を非常勤といいます。

ここで注意なのは、パートやアルバイトはすべて非常勤というわけではない点です。パートやアルバイトの方でも、所定労働時間に従事していれば常勤となります。

例えば、8時間勤務で週5日働くパートと、6時間勤務で週3日働くパートでは、前者が常勤で後者が非常勤という扱いです。

雇用形態ではなく、事業所が規定している時間をフルで働いているかそうでないかに違いがあります。

常勤換算とは

デイサービス利用者と介護士

常勤換算とは、事業所で働いている人が平均して何人いるのかを算出します。常勤・非常勤の違いにもあるように、所定労働時間分働く職員もいれば、短時間のみ働く職員もいます。

施設では常勤職員何人分の人たちが働いているのか、常勤・非常勤の人たちをすべて合わせて計算する必要があるのです。

常勤換算の計算方法とは

常勤換算は、以下の計算式で求められます。

常勤換算の計算方法

 
1.常勤職員はそのまま1としてカウントする
2.非常勤職員は「勤務時間÷常勤職員が勤務すべき時間」を計算する

所定労働時間が週40時間の施設にて、以下の例で考えてみましょう。

職員 雇用形態 週の労働時間 常勤換算 常勤?非常勤?
Aさん 正社員 40時間 1 常勤
Bさん パート 40時間 1 常勤
Cさん パート 20時間 0.5 非常勤
Dさん パート 10時間 0.2 非常勤
常勤換算 合計 2.7  

 
※小数点第二位以下は切り捨てとする

AさんとBさんは、週の労働時間=所定労働時間のため、常勤換算は1とカウントします。Bさんの雇用形態はパートですが、所定労働時間を満たしているため常勤となります。

一方、CさんとDさんは所定労働時間を満たしていません。それぞれの計算は、

・Cさん:20時間(週の労働時間)÷40時間(所定労働時間)=0.5
・Dさん:10時間(週の労働時間)÷40時間(所定労働時間)≒0.2

と算出されます。つまり、シフトでは4名の職員が在籍しているのですが、常勤換算では2.7名となります。

介護施設・事業所では、フルタイムで働く常勤職員だけではなく、短時間労働のパートやアルバイトの方も多くいらっしゃいます。この常勤換算の数字をみることで、適切に人員が配置されているかを判断することができます。

常勤換算について、より詳しく知りたい方はぜひ以下の記事をご参照ください。

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常勤換算 有給や出張の扱いはどうなる?

介護施設で常勤加算をする女性

有給休暇(有給)や出張についての取り扱い方法は、常勤・非常勤によって計算方法が変わります。特に、有給については2019年(平成31年/令和元年)4月より、年間5日以上の取得義務が設けられました。

参考:厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得

シフトや勤怠を管理する管理者や施設経営者の方は、従業員に有給を取得させるだけではなく、常勤換算における有給や出張の扱いについて確認しておきましょう。

常勤職員の場合

常勤職員の場合、有給や出張は勤務時間に含まれます。つまり、常勤職員が有給や出張で実際には現場にいなくとも、常勤換算上ではカウントできます。

ただし、長期間(1ヶ月以上)で取得した場合は該当しないので注意が必要です。

非常勤職員の場合

非常勤職員の場合は、常勤職員とは違い常勤換算には含まれません。非常勤職員の休暇や出張は、サービス提供に従事する時間だとはいえない、とされているからです。

参考:厚生労働省 常勤換算方法により算定される従業者の休暇等の取扱い

常勤・非常勤で有給や出張の扱いが異なるため、シフト作成時に注意しておきましょう。

その他、常勤換算について

常勤換算の計算方法については、有給や出張の取り扱いの他に、育児や介護で時短勤務になる場合での取り扱いも注意が必要です。

次に、常勤職員が育児・介護で時短勤務になった場合の取り扱いについて解説します。

常勤職員が育児や介護で時短勤務になる場合

育児・介護休業法において、短時間勤務制度があります。この制度は、育児や介護を行う従業者が希望すれば、1日6時間以下の労働に短縮できるものです。

参考:厚生労働省 育児・介護休業法のあらまし

例えば、所定労働時間を週40時間と定めている事業所だと、

1日6時間労働×5日=30時間/週

と、常勤として取り扱うことができなくなってしまいます。

ですが、令和3年度介護報酬改定において、育児・介護による短時間勤務制度を利用する場合、30時間以上の勤務であっても常勤として算定可能です。

参考:厚生労働省老健局 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和3年3月19日)

育児・介護などで就業を続けられなくなることは、その職員だけではなく事業所にとっても大きな影響を及ぼします。

管理者や施設経営者が育児・介護における就業について理解することで、職員がより安心して仕事を続けられることでしょう。

時短勤務制度に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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正しく介護報酬算定するには常勤換算の理解が大切

介護サービスの運営において、管理者や施設経営者は常勤換算を正しく理解しておかなければなりません。常勤換算を理解していないと、適切にサービスを提供できなかったり、人員基準違反により罰則を受けてしまう可能性があるからです。

常勤換算を正しく理解する理由やその方法について解説します。

なぜ常勤換算の理解が必要なのか?

介護サービスにおける基本報酬や各種加算には、人員配置基準が定められています。この基準は、ご利用者に適切にサービス提供を行うために、各職種についてどれぐらいの常勤換算数が必要か定められたものです。

例えば、グループホームでは、日中「利用者3名に対し1名以上」の介護従事者を配置する基準が設けられています。この1名は常勤換算での計算が必要です。

労働時間が違う職員をすべて1名と考えてしまうと、実際現場で働く人数は基準より下回っている可能性が考えられます。

現場では、数字上よりも少ない人数でケアを行わなければならなくなるため、ご利用者への介助が手薄になり、職員の負担も大きくなってしまいます。

常勤換算を正しく理解することで、ご利用者の生活や職員を守ることにつながります。人員配置基準に関する詳しい内容や今後の動向については、以下の記事をご覧ください。

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人員基準に違反しているとどういう罰則があるのか?

常勤換算を正しく理解していないと、ご利用者の生活や職員を守れなくなるだけではなく、人員配置基準違反として事業所に罰則が科されます。

人員基準に違反した場合、以下の罰則があります。

人員基準に違反した場合の罰則

 
・介護報酬の返還
・新規利用者の受け入れ停止
・サービスの停止
・事業所の指定取消

常勤換算数を正しく理解しないまま、また違反しているのかもわからないままだと、違反した期間分の介護報酬の返還を求められたり、最悪事業所の指定取消の罰則まで科されます。

知らなかった、気づかなかったといったことがないよう、正しく基準や常勤換算を理解しておきましょう。

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常勤換算を正しく把握するためには?

介護事業所の事務職員

常勤換算の理解や毎月把握していくためには、以下のような方法が挙げられます。

・Excelで常勤換算を計算する
・自動シフト作成ソフトで計算する

1つ目の方法は、常勤・非常勤職員の勤務状況をExcelで管理し、各自の常勤換算を計算する方法です。
あなたの事業所における人員配置基準に合わせて、自身でExcelシートを作成する方法や、厚生労働省が作成した常勤換算シートがあります。

参考:厚生労働省 常勤換算シート(ファイルへの直リンク)

2つ目の方法は、自動シフト作成ソフトを活用する方法です。職種や人数、常勤・非常勤の情報管理が簡単に行えるだけでなく、自動でシフトを作成してくれたり、さらには運営指導で必要な勤務形態一覧表をすぐに作成できたりする機能が備わっているソフトもあります。

シフトの作成だけでなく、常勤換算を正しく理解するうえでも、自動シフト作成ソフトはとても有用です。介護業界向けシフト管理ソフトやアプリについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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まとめ

介護における常勤換算の計算方法や、有給や出張での常勤・非常勤の取り扱い方法について解説しました。

初めて介護事業所の管理者になった人にとって、常勤換算はなかなか聞きなれない言葉です。しかし、常勤換算を正しく把握し、有給や出張などの取り扱いを正しく理解しておかなければ、適切な事業所運営ができません。

ただし、管理者や施設運営をされている皆さんは、他の業務にも取り組まなければなりません。今回ご紹介した介護業界向け自動シフト作成ソフトなどを活用し、少しでも負担を減らしましょう。

この記事を読んで、より効率良く事業所を運営する一助になれば幸いです。

この記事の執筆者しょーそん

保有資格:介護福祉士 認知症実践者研修 修了 認知症管理者研修 修了 認知症実践リーダー研修 修了

グループホームに11年勤務し、リーダーや管理者を経験。
現場業務をしながら職員教育・請求業務、現場の記録システム管理などを行う。

現在は介護事務の仕事をしながら介護・福祉系ライターとしても活動中。

 

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