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【教えて!】人員基準欠如減算とは?要件から対応策まで解説

人員基準欠如減算とは

人員基準欠如減算とは、介護報酬において、利用者に適正で安全なサービスを提供するために設けられた項目です。人員配置基準を満たさない状態で介護サービスを提供した場合、施設や事業所は基本報酬から減算されます。
 
減算を回避するには、人員基準欠如減算について正しく理解することが大切です。そして、対象となるサービス種別や具体的な要件、計算方法、さらには適用期間や対応策などについても理解しておく必要があります。
 
この記事では、このようなポイントを丁寧に解説していきます。算定に関わる業務を担当されている方、人員基準欠如減算に関する情報をお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。

人員基準欠如減算とは

人員基準欠如減算とは、事業所や施設が守るべき人員配置基準を満たしていない場合に適用される減算です。介護職員や看護職員などの人数が不足している状態で事業所や施設が運営することを防ぐために導入されました。

事業所により決められた人員基準を下回った場合、つまり人員基準欠如減算が適用される場合には、速やかに労働基準監督署に届出書を提出する必要があります。

人員配置基準とは、事業所や施設が安全に適切なサービスを提供するために必要な人員に関する規定です。介護サービスの種類によって異なる基準が設けられているため、自社の適切な人員配置基準を理解し、適切に配置することが重要です。

次の章では、より具体的な内容について詳しく解説していきます。

人員基準違反との違い

介護の現場では、人員基準違反人員基準欠如減算という言葉をよく耳にしますが、実際には何が違うのでしょうか?

人員基準違反とは、人員基準欠如減算とは異なり、運営指導や監査で人員配置基準の違反が判明した際に課される行政処分のことです。

人員基準違反の事例として、

専任の管理者が必要な施設で兼務の管理者が配置されていたり、人員配置基準を満たしていると虚偽の報告があった

などの例があります。

これらの違反が発覚すると、指定の取り消しや厳しい処分を受ける可能性があります。

人員基準欠如減算の対象となるサービス種別

介護の現場では、様々なサービスが提供されていますが、その中で人員基準欠如減算の対象となるサービス種別にはどのようなものがあるのでしょうか?

人員基準欠如減算の対象となるサービス種別は、介護保険法に基づく介護サービス全般に適用されます。対象となるのは、居宅サービスや施設サービス、訪問介護など全てです。

以下、箇条書きにまとめましたので参考にしてください。

人員基準欠如減算の対象となるサービス種別

 
・通所介護
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
・通所リハビリテーション
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・介護医療院
・小規模多機能型居宅介護
・認知症対応型共同生活介護
・看護小規模多機能型居宅介護

人員基準欠如減算の要件

人員基準欠如減算の要件を以下にまとめました。

サービス種別 要件
通所介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
看護職員または介護職員の人員数が基準を満たしていない
通所リハビリテーション 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、または介護職員の人員数が基準を満たしていない
短期入所生活介護(単独型) 看護職員または介護職員の人員数が基準を満たしていない
短期入所生活介護(単独型・ユニット型) 利用者数が3またはその端数を増すごとに1人以上の介護職員または看護職員を置いていない
短期入所生活介護(併設型) 短期入所生活介護と介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における看護職員または介護職員の基準を満たしていない。※併設・空床利用型の短期入所生活介は、特別養護老人ホームと一体的に減算する
短期入所生活介護(併設型・ユニット型) 上記に加え、利用者数が3またはその端数を増すごとに1人以上の介護職員または看護職員を置いていない
短期入所療養介護 医師、看護職員、介護職員、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士の人員数が基準を満たしていない
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
看護職員または介護職員の人員数が基準を満たしていない
介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護職員、看護職員または介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
介護老人保健施設 医師、看護職員、介護職員、理学療法士、作業療法士もしくは介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
介護療養型医療施設 Ⅰ 看護職員、介護職員または介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
Ⅱ 看護師の数が看護職員の20%未満
Ⅲ 僻地の医師確保計画を提出していない施設で、医師の数が60%未満
Ⅳ 僻地の医師確保計画を提出した施設で、医師の数が60%未満
介護医療院 Ⅰ 医師、薬剤師、看護職員、介護職員、介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
Ⅱ 看護師の数が看護職員の20%未満
小規模多機能型居宅介護 従業者数が人員配置基準を満たしていない
認知症対応型共同生活介護 従業者数が人員配置基準を満たしていない
看護小規模多機能型居宅介護 従業者数が人員配置基準を満たしていない

 

人員基準欠如減算の単位数

人員基準欠如減算の単位数は、原則70/100です。入所者または利用者全員に対して、「基本報酬×70%」の計算式を用いて計算します。

介護医療院の場合は、下記の単位数となります。

介護療養型医療施設 看護職員、介護職員または介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない場合:70/100
看護師の数が看護職員の20%未満の場合:90/100
僻地の医師確保計画を提出していない施設で、医師の数が60%未満の場合:90/100
僻地の医師確保計画を提出した施設で、医師の数が60%未満の場合:12単位減算
介護医療院 医師、薬剤師、看護職員、介護職員、介護支援専門員の人員数が基準を満たさない場合:70/100
看護師の数が看護職員の20%未満の場合:90/100

 

人員基準欠如減算の留意事項

人員基準欠如減算の対象となった場合、速やかに届出を提出しなければなりません。

「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」などの書類を提出してください。場合によっては「勤務形態一覧表」なども提出する必要があります。

人員基準欠如に関する減算は、コロナ禍のときに要件が緩和されるなど臨時的な取り扱いがあったものの、基本的に特例はありません届け出が提出されていない場合や、継続的に欠如が生じる場合は、指定取り消しになる可能性があるため注意しましょう。

人員配置は利用者への安心・安全のケアの提供においても、満たすことが基本です。大丈夫と考えるのではなく、日頃から職員とコミュニケーションを行い、急な退職や体調不良による人員欠員が起きないよう心がけてください。

人員基準欠如減算の適用期間

介護の現場で人員基準欠如減算を適用する際には、適用期間に関する理解が重要です。では、この適用期間とはどのようなものでしょうか?

ここでは、そのポイントを簡潔に解説します。人員基準欠如減算は、基本的に人員の欠如が確認された月の翌月から、解消された月まで適用されます。

【例1:人員基準欠如減算の適用期間】

サービス提供月 9月 10月 11月 12月
人員基準をみたしているか ×
人員基準欠如減算の有無 なし なし あり なし

 

上記の例1の場合は、人員欠如が確認された10月の翌月である11月から減算が始まります。また、11月には人員欠如が解消されているため、翌月の12月は減算の対象となりません。

【例2:人員基準欠如減算の適用期間】

サービス提供月 9月 10月 11月 12月 1月(翌年)
人員基準をみたしているか × ※ただし基準1割未満の人員欠如
人員基準をみたしているか なし なし なし あり なし

 

上記の例2のように、人員欠如の割合が1割以内の場合は、欠如が確認された翌々月から減算が適用されます。詳しくは管轄の自治体へ確認して下さい。

人員基準欠如減算への対応策

人員基準欠如減算が必要になった場合、介護施設ではどのような対応策が考えられるのでしょうか?

対応策をとれる準備をしておく一方、減算や指導を防ぐ体制も重要です。欠勤があった場合にも人員基準をしっかりと満たせる体制であることが大切です。

次の章からは、具体的に対応策を紹介します。

デイサービス職員が欠勤したケース

『デイサービス職員が欠勤したケース』を参考に対応策を見ていきましょう。

【例1:看護師・介護職員】

看護師や介護職員の欠勤時には、通常は同じ有資格者がサポートに駆けつけることが一般的です。しかし、法人内での専従での登録がない場合は、各事業所に臨時に勤務することも可能です。

それでも人材の確保が難しい場合は、休日予定の職員にシフト変更を依頼する方法も考えられます。ただし、急な変更は職員の予定に影響を与えるため、注意が必要です。

職員との信頼関係を損なわないよう、慎重な対応が求められます。

【例2:生活相談員・機能訓練指導員】

生活相談員や機能訓練指導員が欠勤した場合も、通常は法人内の施設からサポートを受けることが一般的です。

生活相談員は、管理者が兼務することが可能です。(※ただし管理者の兼務の可否は地域によって異なるため、詳しくは管轄の自治体にお問い合わせ下さい。)

機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のうち、いずれかの有資格者であることである事が必須要件です。

服薬管理やバイタルチェックを行う看護師が兼務できるかなどは各自治体にお問い合わせ下さい。トレーニングマシーンの乗り降りや訓練場所への誘導など、補助として介護職員が機能訓練を行えます。

協力して業務を安全に行っていきましょう。

まとめ

人員基準欠如減算は、事業所や施設が定められた人員配置基準を満たせない場合に適用される減算制度です。安全で適正なサービス提供のためにも、これらの基準を守ることが不可欠です。

介護保険請求時に減算を怠ると、不正請求と見なされ、指定取り消しなどの処分を受ける可能性があります。このような事態を避けるためには、減算の仕組みを理解し、適切な届出や手続きを怠らないようにしましょう。

各職種の人員配置を計算し、欠員にも対処できる自動シフト作成ソフトの導入などが有効です。以下の記事で介護業界向け自動シフト作成ソフトを紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

 
事業所や施設は常に人員配置の適正化を図り、適切な管理体制を整える必要があります。長期的な目線での人員確保と、雇用の安定の対策も重要です。

ICT機器の導入や業務のIT化を検討し、職員が働きやすい環境を整えることも必要です。これらの取り組みが、人員基準欠如減算のリスクを低減し、適切なサービス提供を維持する上で不可欠です。

事業所や施設は、人員配置の適正化だけでなく、長期的な人材確保の戦略を策定し、職員が働きやすい環境づくりにも注力することが重要です。本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。

この記事の執筆者みずほ

保有資格:社会福祉士 介護支援専門員 介護福祉士

特別養護養護老人ホームに介護福祉士、相談員として10年、社会福祉協議会にて介護保険認定調査員として5年勤務、介護業界で仕事をしてきました。

現在は介護・福祉系ライターとしても活動中。

 

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