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常勤換算とは?計算方法・計算式と介護施設の人員配置基準を解説

介護施設の常勤換算

介護施設の常勤換算 計算方法や人員基準

介護保険サービスを提供する事業所や施設は、サービスの種類に応じて行政から指定や許可を受け、人員・設備・運営に関する基準を守る必要があります。
 
人員基準の確認に用いられる計算方法のひとつが「常勤換算」です。常勤・非常勤を問わず、職員の勤務時間を常勤職員の人数に換算して、必要な人員を確保できているか確認します。
 
この記事では、あまり聞き慣れない介護施設の常勤換算の計算方法や人員配置基準について解説します。
ぜひ参考にしてください。

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常勤換算とは?わかりやすく解説

常勤換算とは、対象となるサービスや職種について、職員がその業務に従事した時間をすべて足し合わせ、常勤職員の勤務時間で割る計算方法です。わかりやすく言えば「この事業所には、フルタイムの職員が何人分いるのか」を示すものさしです。

介護施設には、職員数や資格者の配置を定めた人員配置基準があります。ところが、フルタイムの職員も週2日だけのパート職員も同じ「1人」と数えてしまうと、書類の上では足りているのに現場は手が回らない、という事態が起こります。そこで勤務時間をもとに人数を数え直す仕組みが必要になりました。

ここでは、常勤と非常勤の違いを整理したうえで、常勤換算の計算式を確認していきましょう。

常勤職員と非常勤職員の違い

常勤と非常勤を分ける基準は、勤務時間です。正社員かパートかという雇用形態は関係ありません。

通知では常勤について、「常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していること」を要件としています。
引用:老企第25号 第二の2(3)

つまり、その事業所で定められた常勤職員の勤務すべき時間数に達していれば常勤、達していなければ非常勤です。なお、その時間数が週32時間を下回る場合は、32時間を基本として判断します。

区分 判断のしかた 例(所定労働時間が週40時間の事業所)
常勤職員 事業所が定める常勤の勤務時間数に達している(32時間を下回る場合は32時間が基本) 週40時間勤務の職員(雇用形態は問わない)
非常勤職員 上記の時間数に達していない 週20時間勤務の職員

 
ここで注意したいのが、正社員であっても常勤とは限らない点です。所定労働時間に達していなければ、正社員であっても原則として非常勤の扱いです。ただし育児や介護、治療との両立のために短時間勤務制度を利用している場合には、週30時間以上の勤務で常勤として扱える特例があります。詳しくは後述します。逆に、所定労働時間と同じだけ働くパート職員は常勤です。

法人によっては、年度更新の職員を臨時職員と呼ぶこともあります。しかし人員配置を計算する場面では、呼び方ではなく実際の勤務時間で判断すると覚えておきましょう。

常勤換算の計算式

常勤換算の計算式は、基準省令に次のとおり定められています。

「当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいう。」

引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第2条第8号

式にすると、次のようになります。

常勤換算人数 = 従業者の勤務延時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数

実務では、対象職種に専従する常勤職員は1.0人と数えます。非常勤職員や兼務職員については、対象業務に従事した時間を用いて常勤換算します。

計算するうえで、押さえておきたい前提が3つあります。

項目 取り扱い
分母(常勤職員が勤務すべき時間数) 事業所が定める常勤職員の所定労働時間。週32時間を下回る場合は32時間を基本とする
分子(勤務延時間数) 勤務表上、サービス提供や、その準備にあてると位置づけられた時間の合計
1人あたりの上限 常勤職員が勤務すべき時間数が上限。超えた分は算入できない

 
参照:老企第25号 第二の2(1)(2)

3つ目は見落としやすい点です。例えば、4週間の計算期間における常勤職員の勤務時間が160時間であれば、職員1人について勤務延時間数に算入できる上限も160時間です。対象業務に180時間従事していたとしても、超過した20時間を加えて常勤換算人数を増やすことはできません。残業した時間で人数を水増しすることはできません。

なお、厚生労働省の「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(標準様式1)」では、記載期間として「4週」または「暦月」のいずれかを選択します。従業者の勤務状況を一定期間で集計する様式であり、任意の1週間だけを取り出して人員基準を判定するものではありません。使用する様式や記載期間は指定権者によって異なる場合があるため、提出先の取扱いを確認しておきましょう。詳しい計算方法は、次の章で例を挙げて見ていきましょう。
参照:厚生労働省 標準様式1 記載要領

常勤換算の計算方法

常勤換算の計算方法は、その事業所で定められた常勤職員の勤務時間を1.0人と置き、他の職員がその何割にあたるかを求めるものです。常勤職員の半分の時間だけ働く非常勤職員であれば、常勤換算で0.5人と数えます。

職員の配置基準はサービスごとに、そして職種ごとに定められています。多くの場合、対象となる職種ごとに勤務時間を合計し、それぞれで基準を満たす必要があります。全体の人数が足りていても、必要な職種が欠けていれば基準を満たしません。ただし特別養護老人ホームや介護老人保健施設のように、看護職員と介護職員を合わせた数で判定するサービスもあります。どの職種を合算できるかは、サービスごとの基準によって異なります。

ここからは、実際の数字を当てはめながら、計算の手順を確認していきます。

常勤換算で2.5人以上とは

人員配置基準では「常勤換算で2.5人以上」といった表記がよく登場します。

たとえば訪問介護の訪問介護員等について、基準省令では「常勤換算方法で、二・五以上とする」と定められています。
引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第5条第1項

これは、常勤職員が2人いるだけでは足りず、残りの0.5人分以上を常勤・非常勤の組み合わせで確保する必要があるという意味です。

数字に端数がついているのは、頭数ではなく勤務時間の合計で数えているためです。所定労働時間が週40時間の事業所であれば、2.5人分は週100時間にあたります。この100時間を、訪問介護員等の資格要件や個別の配置要件を満たす範囲で、常勤職員と非常勤職員を組み合わせて確保します。

なお、人員配置基準は最低限度を定めたものです。解釈通知にも、この2.5人以上という員数は職員の支援体制などを考慮した最小限のものであり、地域の利用状況や業務量に応じて適切な員数を確保するよう記されています。
参照:老企第25号 第三 一 訪問介護 1(1)①

基準ぎりぎりの配置は、1人の欠勤や退職で崩れます。余裕を持った配置を考えたいところです。

常勤換算の計算方法 例

実際の計算例を確認しましょう。1週間の所定労働時間が40時間の介護施設を想定します。4週間で160時間になりますので、この160時間を常勤換算1.0人と考えます。

・一週間の所定労働が40時間の常勤職員の場合
40時間×4週=160時間となり
160時間÷160時間=常勤換算で1.0人

・一週間の所定労働が32時間の非常勤職員の場合
32時間×4週=128時間となり
128時間÷160時間=常勤換算で0.8人

・一週間の所定労働が16時間の非常勤職員の場合
16時間×4週=64時間となり
64時間÷160時間=常勤換算で0.4人

では、「常勤換算で2.5人以上」が必要な事業所を考えてみます。週40時間の常勤職員が1人(1.0人)、週32時間の非常勤職員が1人(0.8人)在籍している場合、合計は1.8人です。基準まであと0.7人分、週に換算して28時間の勤務が不足しています。

このように、常勤換算の計算方法そのものは足し算と割り算だけです。難しいのは計算ではなく、どの時間を分子に入れてよいかという判断のほうです。

なお、算出した人数の端数の扱いは、小数点第2位以下を切り捨てるのが一般的です。ただし勤務形態一覧表の様式は指定権者ごとに異なりますので、提出先の様式にあわせて確認しておくと安心です。

常勤換算の計算方法は1日単位か1ヶ月単位か

常勤換算の計算方法を1ヶ月で行うのか、1日で行うのか。ここで迷う方は少なくありません。

結論から言えば、常勤換算は、指定権者が定める様式に従い、4週または暦月などの一定期間における勤務延時間数を用いて算出します。厚生労働省の標準様式1では、「4週」「暦月」のいずれかを選択する形式になっています。

一方、1日という単位も無関係ではありません。人員配置基準の中には、1日ごとやサービス提供時間帯ごとに、必要な職員を配置することが求められるものがあるためです。

単位 何を見るか
4週または暦月 一定期間の勤務延時間数から、常勤換算人数が基準に達しているか
1日・サービス提供時間帯 必要な職種・人数が実際に配置されているか

 
常勤換算は、あくまで一定期間の勤務延時間数から算出するものです。1日ごとの基準は、その日に必要な職種が実際に配置されているかどうかを見るもので、性質が異なります。

一定期間の集計と日々の配置は、どちらか一方を確認するだけでは足りません。予定と実績の両方を確認する習慣が、基準漏れを防ぎます。

導入事例:勤務形態一覧表の二重転記から解放。シフト作成8時間→2時間以内(グループホーム・小規模多機能)

ミアヘルサ株式会社では、事業所ごとにExcelでシフトを作り、行政提出用の勤務形態一覧表へ手打ちで転記する二重作業が負担になっていました。シンクロシフト導入後、グループホームではシフト作成が合計約8時間から2時間以内に、小規模多機能では3時間弱から30分以内に短縮。勤務形態一覧表の作成負担も軽減され、全事業所での運用統一も進みました。
 
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常勤換算の5つの注意点

常勤換算の計算での注意点

常勤換算の計算式は単純ですが、実務でつまずくのは「どの時間を分子に入れてよいか」という判断です。有給休暇は含めるのか、兼務している職員はどう数えるのか、産休中の職員はどうなるのか。ここで扱いを誤ると、書類上は基準を満たしているつもりが、実は欠如していたということになりかねません。

厚生労働省の解釈通知やQ&Aには、こうした場面ごとの取り扱いが示されています。ここでは、現場で判断に迷いやすい5つの注意点を、順番に整理していきます。

勤務時間の基準

計算の分母となる「常勤職員が勤務すべき時間数」には、下限が設けられています。

解釈通知では、常勤換算方法の分母となる時間数について「32時間を下回る場合は32時間を基本とする」と示されています。
引用:老企第25号 第二の2(1)

労働基準法が定める法定労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間です。事業所の所定労働時間は、法定労働時間の範囲内で、労働契約や就業規則などにより定められます。しかし就業規則で週30時間と定めている事業所であっても、常勤換算の計算では32時間を分母として使うことになります。

なぜ下限があるのか。分母が小さいほど、同じ勤務時間でも常勤換算の人数は大きく出るためです。所定労働時間を短く設定するだけで基準を満たせてしまっては、配置基準の意味がなくなります。

近年は短時間正社員制度を導入する介護施設も増えてきました。就業規則を見直す際は、分母が変わることで常勤換算の結果がどう動くかを、あらかじめ試算しておきましょう。

有給休暇と出張

有給休暇の扱いは、常勤職員と非常勤職員で異なります。ここは間違いが起きやすい箇所です。

常勤職員の休暇等の期間は「暦月で1月を超えるものでない限り」、常勤の従業者として勤務したものとして取り扱われます。
引用:平成13年9月28日 全国介護保険担当課長会議資料 運営基準等Q&A

読み取り方に注意が必要です。基準となるのは「1月を超えるかどうか」です。ちょうど1ヶ月であれば超えていませんので、常勤として扱えます。ただし、月をまたぐ場合など、期間の数え方に迷うときは、指定権者に確認しておくと安心です。

一方、非常勤職員の休暇や出張の時間について、Q&Aは、サービス提供に従事する時間とはいえないため常勤換算の勤務延時間数には含めないとしています。有給休暇を取得した日は、その分だけ常勤換算の人数が下がることになります。
参照:平成13年9月28日 全国介護保険担当課長会議資料 運営基準等Q&A

Q&Aが示しているのは、休暇と出張の扱いです。研修については、業務命令によるものか、勤務時間としてどう位置づけられているかによって判断が分かれる可能性があります。迷う場合は指定権者に確認しておくと安心です。

以下の記事でも有給の扱いについてまとめていますので、参考にしてください。

 
なお、これはあくまで人員基準を確認するうえでの数え方です。常勤職員が出張で不在の日に、現場の配置が手薄になってよいという話ではありません。

産休・育児休業などの扱い

仕事と育児の両立は、介護現場でも大きな課題です。人員配置基準には、職員も施設も不利益とならないよう配慮が設けられています。

配慮は2つの方向からなされています。ひとつは、短時間勤務でも常勤として扱える特例です。

育児・介護休業法などに基づく所定労働時間の短縮措置が講じられている場合、週30時間以上の勤務であれば、常勤換算の計算上は1.0人として取り扱えます。

対象となるのは、育児・介護休業法による短縮措置、男女雇用機会均等法による母性健康管理措置、そして治療と仕事の両立支援のガイドラインに沿って事業者が自主的に設けた短縮措置です。ご利用者の処遇に支障がない体制が整っていることが前提となります。

もうひとつは、常勤配置が求められる職種についての特例です。常勤での配置が求められる職員が、産前産後休業、育児休業、介護休業、母性健康管理措置による休業、育児休業に準ずる休業を取得している間は、人員基準で求められる資質を持つ複数の非常勤職員を常勤換算することで、常勤要件を満たしたものとして扱えます。
参照:老企第25号 第二の2(1)(3)

・入所者100名の指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の場合
通常時は、生活相談員に常勤職員1名が必要
非常勤で常勤換算0.5人の生活相談員が2名いても、通常時は基準を満たさない
生活相談員が産休・育児休業中であれば、常勤換算0.5人が2名で基準を満たす

制度を知らないまま、代替の常勤職員を慌てて探している施設も見かけます。まずは特例が使えないか確認してみてください。

兼務

介護施設の職員は、勤務時間によって常勤と非常勤に分かれます。これとは別に、どの職務に従事するかによって、専従と兼務にも分かれます。

・専従
勤務時間を通じて、専らその職務に従事すること

・兼務
勤務時間の中で、勤務するサービス以外の業務にも従事すること
(特別養護老人ホームの介護職員が、ショートステイの介護業務にもあたる場合など)

または同一のサービス内で、複数の職種を兼ねること
(デイサービスの看護職員が、機能訓練指導員の業務も行う場合など)

兼務している職員の常勤換算は、それぞれの職種に従事した時間を分けて計上するのが原則です。同じ勤務時間を、複数の職種に二重で計上することはできません。

訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける事業所で、ある職員が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合について、通知は「訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること」と示しています。
引用:老企第25号 第二の2(1)

例えば、週40時間勤務する職員が、別々の時間帯に看護職員として24時間、機能訓練指導員として16時間勤務したとします。この場合の数え方は、次のようになります。

従事する職務 週の勤務時間 常勤換算
看護職員 24時間 0.6人
機能訓練指導員 16時間 0.4人

 
看護職員として0.6人、機能訓練指導員として0.4人です。同じ24時間を、看護でも機能訓練でも計上する、といった二重計上はできません。

なお、兼務が認められるかどうか、どのように計算するかは、サービスや職種によって異なります。併設事業所での同時並行的な業務のように、勤務時間を合計して常勤要件を満たせる場合もあります。配置を組む前に、該当するサービスの基準を確認しておきましょう。

時短勤務者

ここまでを整理すると、介護施設で働く職員は次の4つに区分できます。

・常勤専従……常勤として勤務し、ひとつの職種に従事する職員
・常勤兼務……常勤として勤務し、複数の職種またはサービスに従事する職員
・非常勤専従……常勤職員が勤務すべき時間数に達しておらず、ひとつの職種に従事する職員
・非常勤兼務……常勤職員が勤務すべき時間数に達しておらず、複数の職種またはサービスに従事する職員

サービスや職種によっては、必ずしも常勤である必要がない場合も多くあります。時短勤務者を戦力として数えられるかどうかは、配置を組むうえで大きな違いになります。

介護現場の職員不足は長く続いています。限られた人材の中で基準を満たしていくには、時短勤務者を忙しい時間帯に重点的に配置するなど、勤務時間の使い方を工夫していく視点も必要です。

介護施設に人員配置基準がある理由

介助

介護施設に人員配置基準があるのは、ご利用者の安全を守り、サービスの質を一定以上に保つためです。

介護施設に限らず、医療機関や保育施設など、行政から許認可を受けて行う事業には人員配置基準が設けられています。共通しているのは、いずれもサービスを受ける側が自分で質を見極めにくい分野だという点です。

少ない職員数で運営すれば、短期的には人件費を抑えられるかもしれません。しかしその分、ご利用者一人ひとりにかけられる時間は削られ、職員の負担は重くなります。介護保険は保険料と公費でまかなわれる公的な制度です。だからこそ、最低限守るべき人員の水準が法令で定められています。

一方で、その基準を満たすことが、以前にも増して難しくなっている面もあります。介護現場の人手不足は今に始まったことではありません。介護業界では人材確保が重要な課題となっており、職員の採用や定着に苦慮する事業所も少なくありません。

こうした状況を受けて、人員配置基準は少しずつ形を変えてきました。これまで専従での配置が求められていた職種に兼務が認められたり、介護ロボットや見守り機器の導入を条件に、夜間帯の配置に関する要件が緩和されたりしています。

つまり人員配置基準は、一度覚えれば終わりというものではありません。介護報酬改定のたびに見直される可能性がありますので、最新の情報を確認しておく必要があります。

では実際に、サービスごとにどのような基準が定められているのか。次の章で具体的に見ていきましょう。

介護事業所における介護職員の人員配置基準

介護職員の人員配置基準は、提供するサービスによって異なります。主なサービスについて見ていきましょう。

・特別養護老人ホーム
看護職員および介護職員の合計数を、常勤換算で入所者3名またはその端数ごとに1以上

・介護老人保健施設
看護職員および介護職員の合計数を、常勤換算で入所者3名またはその端数ごとに1以上
看護職員は看護・介護職員の総数の7分の2程度、介護職員は7分の5程度が標準

・通所介護(デイサービス)
サービス提供時間に応じて、ご利用者15名まで介護職員1以上
ご利用者が15名を超える場合、1名増すごとに0.2を加えた数以上
加えて、サービス提供時間中は、単位ごとに介護職員を常時1人以上配置する必要があります。

・訪問介護(ホームヘルパー)
常勤換算で2.5以上(資格が必要)

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
日中は共同生活住居(ユニット)ごとに、ご利用者3名に対して介護従業者が1以上

・小規模多機能型居宅介護
日中は通いサービスのご利用者3名に対して従業者1以上、訪問サービスに1以上

上に挙げた日中の基準では、主に常勤換算を用いて必要人数を算定します。ただし、通所介護の「単位ごとに常時1人以上」のように、実際の配置人数で確認する基準もあります。在籍している職員の頭数ではありません。なお夜間の配置については、常勤換算ではなく、その時間帯に何人いるかで判断する基準もあります。

例えば、1つの共同生活住居(1ユニット)にご利用者9名が入居するグループホームを考えてみましょう。日中は3対1ですから、介護従業者が常勤換算で3以上が必要です。ここでは、6名全員が日中に介護従業者として勤務するものとして計算します。所定労働時間が週40時間の事業所として計算してみます。

以下は、6名全員が日中に介護従業者として勤務する場合の例です。現場に6名の職員が在籍していても、そのうち4名が週20時間の非常勤であれば、常勤換算は2+0.5×4で4.0。基準は満たします。

しかし在籍6名のうち5名が週16時間の非常勤だった場合、1+0.4×5で3.0。ぎりぎりです。ここから1名が退職すれば、頭数では5名いても基準を割ることになります。

労働時間の異なる職員をすべて1名と数えてしまうと、書類上は足りているのに現場は人手不足、という状態が起こります。ご利用者への介助が手薄になり、職員の負担も重くなる。常勤換算を正しく把握することは、ご利用者の生活と職員の双方を守ることにつながります。

このように見ると、施設系のサービスでは、ご利用者3名に対して職員1以上という基準がよく使われています。一方で、通所介護や訪問介護のように、算定の単位や対象となる職種が異なるサービスもあります。基準の形はサービスごとに違うと押さえておきましょう。

なお、老健や特養では、原則として前年度の平均入所者数を用います。ただし、新設や再開などの場合は別の取扱いがあります。今月の実数ではありません。

また、サービスによっては夜間の配置人数に気をつけなくてはいけなかったり、資格者を配置しなくてはいけなかったりする場合もあります。
参照:介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 第2条

人員配置基準を満たさなかった場合の減算

人員配置基準を満たさなかった場合、その日ただちに介護保険の指定が取り消される訳ではありません。

例えば特別養護老人ホームの場合、入所者3名に対して介護・看護職員が1以上と定められていますが、職員が必要数から1割を超えて不足する場合は翌月から、1割の範囲内で不足する場合は原則として翌々月から、所定単位数が70%に減算されます。

例えば、特別養護老人ホームで前年度の平均入所者数が90人の場合、介護職員と看護職員を合わせて、常勤換算で30人以上配置する必要があります。

①5月に、1割を超えて不足(常勤換算27.0未満)した場合
6月から、人員基準欠如が解消された月まで所定単位数の70%を算定

②5月に、1割の範囲内で不足(常勤換算27.0以上30.0未満)した場合
原則として翌々月の7月から、人員基準欠如が解消された月まで所定単位数の70%を算定
ただし、6月末日時点で人員基準を満たしている場合、7月の減算は適用されない

参照:老企第40号 第二の1(5)③

ちょうど1割の不足、つまり常勤換算27.0は「1割を超えて」には当たりません。②の扱いになりますので、翌月末までに人員を戻せれば減算を避けられます。

人員配置基準を満たさない場合、減算されて金銭で解決すればよいという訳ではなく、ご利用者の安全性や職員の負担軽減のためにも速やかに改善するように努めなくてはいけません。

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人員基準欠如減算について対象となるサービス種別や具体的な要件、計算方法、さらには適用期間や対応策などについて解説。

 
なお、令和8年6月算定分から、通知で定められた人員基準欠如について、突発的で想定が困難なやむを得ない事情がある場合の特例が設けられました。要件を満たせば、1年に1回に限り、人員欠如が発生した月の翌々月まで減算の適用が猶予されます。

本文で例示した看護職員・介護職員の不足については、必要な員数から1割の範囲内で減少した場合が対象です。対象となるサービスや職種、欠如の範囲は、サービスごとの通知を確認する必要があります。

適用を受けるには、公共職業安定所や無料職業紹介事業を活用した採用活動を行い、欠員が生じた月の翌月までに指定権者へ所定の様式で報告する必要があります。有効な求人票の写しの添付も必要です。

参照:介護保険最新情報 Vol.1502(令和8年5月8日)

あわせて、自社サイト等で求人情報を公開することが望ましいとされ、残った職員に過度な負担がかからないよう、適切な労働時間管理や勤務体制の整備に努めることが求められています。

導入事例:シフト作成が「平均1〜2日→その日のうち」、勤怠入力も激減(特別養護老人ホーム)

横浜市の大規模特養・創生園 青葉では、紙とエクセルでのシフト管理が属人化し、職員の勤怠システムへの手入力に毎月1〜3日を費やしていました。シンクロシフト導入後は、シフト作成が平均1〜2日からその日のうちに完成する水準まで短縮。勤怠入力も1時間未満に減り、作成フローの標準化も進みました。
 
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介護施設が人員配置基準に違反すると罰則はある?行政上の措置・処分を解説

介護保険サービスを提供する事業所や施設は、行政から指定や許可を受けて事業を運営していることから、人員配置基準やその他の基準、記録、介護報酬請求など厳格な運営が求められます。

基準違反を未然に防ぎ、適正な運営を確保するため、集団指導や運営指導が行われます。不正請求や重大な基準違反、虐待などが疑われる場合には監査が行われ、その結果に応じて行政上の措置・処分が行われることがあります。

基準違反に対する措置は、改善を求める改善勧告から、より悪質かつ緊急性が高い場合の指定取り消しまで、複数の段階があります。ただし、必ずこの順に進むとは限りません。利用者の安全に危害を及ぼすおそれがある場合など、重大かつ悪質なときは、勧告を経ずに指定の停止や取り消しが行われることもあります。

これらは行政上の措置・処分であり、刑事罰ではありません。ただし、虚偽の報告や検査の拒否など、別の法令違反があれば、それぞれ罰則の対象となる場合があります。

・改善勧告
期限を定めて基準を遵守するよう求める行政指導。従わない場合は、事業者名や経緯が公表されることがある

・改善命令
勧告に従わない場合に勧告に従うように命令する行政処分

・指定の効力の全部または一部停止、指定取り消し
不正な運営や、ご利用者の安全に危害を及ぼすおそれがある場合などに、指定の全部または一部の効力を停止し、または取り消す行政処分

運営指導は原則として事前に通知して行われますが、緊急時などには無通告で行われる場合もあります。一方、監査は、不正請求や重大な基準違反、虐待などが疑われる場合に、事実関係を確認するために行われます。

基準を分かっていて人員配置基準に違反することは論外ですが、勘違いであっても基準違反は認められるものではありません。

毎月、勤務実績を作成し常に基準漏れがないようにすることが大切です。

ポイントを押さえれば常勤換算の計算は簡単?

ここまで、常勤換算の考え方や計算方法、人員配置基準について見てきました。

わかりにくい点もありますが、毎月のチェックをしっかりしておき、いくつかのポイントを押さえておけば常勤換算の計算はそれほど難しいものではありません。

介護施設の常勤換算 押さえておきたいポイント

・最新の人員配置基準
・勤務の時間(フルタイムか時短勤務者か)
・与えられた職務(専従か兼務か)
・研修や有給休暇の取り扱い
・産休・育児休業の場合の特例

例えば、デイサービスの生活相談員は、サービス提供時間に応じて専従で1以上の配置が求められます。

1人しかいない生活相談員が風邪や事故で欠勤し、代わりに配置できる有資格者がいなければ、その日は基準を満たさないことになります。

そのため、複数の生活相談員を確保しておくことや、兼務が認められる範囲で有資格者を配置できる体制を整えることなど、事前の対策が必要です。

ICT活用で人員配置基準が緩和される?

介護現場でタブレットを使って介護記録

結論から言えば、緩和される場合があります。ただし、人員配置基準そのものが柔軟化される措置と、加算を算定するための人員要件が緩和される措置があり、対象となるサービスも異なります。

令和3年度の介護報酬改定では、特別養護老人ホームなどで見守り機器を導入した場合について、夜間の人員配置基準や夜勤職員配置加算の要件が見直されました。

そして令和6年度の改定で、対象となるサービスがさらに広がりました。

対象サービス 見直されたもの 内容
特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護 人員配置基準 要件を満たす場合、ご利用者3名に対して常勤換算1以上としていた看護・介護職員の合計を0.9以上に柔軟化
介護老人保健施設(ユニット型を除く)、短期入所療養介護 夜間の人員配置基準 要件を満たす場合、1日あたりの配置人員を2人以上から1.6人以上に緩和。ただし常時1人以上の配置が必要
認知症対応型共同生活介護 夜間支援体制加算の人員要件 見守り機器を10%以上導入するなどの要件を満たす場合、夜勤職員の加配人数を常勤換算1以上から0.9以上に緩和

 
特定施設の基準は次のとおり定められています。

「常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が3(要支援者の場合は10)又はその端数を増すごとに0.9以上であること」
引用:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について 3(2)④

老健等の夜間配置については、すべてのご利用者への見守りセンサー導入、夜勤職員全員によるインカム等の使用、安全体制の確保が要件です。
参照:同資料 3(2)⑤

あわせて、生産性向上推進体制加算が新設されました。見守り機器やインカム、介護記録ソフトを導入し、業務改善を継続することを評価する加算です。
参照:同資料 3(2)③

ただし、この加算は人員配置基準の緩和とは別の制度です。加算を算定したからといって、自動的に基準が緩和されるわけではありません。

また、機器を導入するだけで緩和されるわけでもありません。緩和措置ごとに、委員会の設置、安全体制の確保、一定期間の試行、データによる効果の確認、指定権者への届出などが求められます。必要な要件は、サービスや措置によって異なります。

人手不足が続くなかで、ICTや見守り機器の導入は業務負担を軽くする選択肢のひとつです。一方で、機器の導入は入口にすぎません。ご利用者の安全とサービスの質を保ちながら、業務の進め方や職員間の役割分担まで見直していく必要があります。

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まとめ

常勤換算とは、職員の勤務時間を合計し、常勤職員が何人分にあたるかを表した数値です。計算式そのものは、勤務延時間数を常勤職員が勤務すべき時間数で割るだけの、単純なものです。

難しいのは計算ではなく、判断のほうでした。有給休暇を含めてよいのか、兼務している職員をどう数えるのか、産休中の職員はどう扱うのか。この記事で見てきたポイントを、もう一度整理しておきましょう。

常勤換算 押さえておきたいポイント

・分母は所定労働時間。週32時間を下回る場合は32時間が基本
・分子に入れられるのは、勤務表上で位置づけられた時間だけ
・常勤職員の休暇は暦月で1月を超えなければ勤務したものとして扱える
・非常勤職員の休暇や出張は勤務延時間数に含められない
・兼務している職員は、職種ごとに従事した時間を分けて計上する
・サービスや人員基準によっては、入所者数・利用者数の算定に前年度の平均値を用いる

介護保険は公的なサービスです。そのため運営には細かな基準が定められており、介護保険法だけを読んでも、解釈が難しい部分が多くあります。厚生労働省の解釈通知やQ&A、自治体が出している運営の手引きを手元に置いておくと、判断に迷ったときの助けになります。

人員配置基準は、最低限の基準を定めたものです。その人数を配置していれば違反ではありません。しかし基準ぎりぎりでは、1人の欠勤や退職で崩れてしまいます。ご利用者の状態や業務量に応じて、無理なくサービスを提供できる体制を考えていく必要があります。

常勤換算を正しく理解することは、書類を整えるためだけの作業ではありません。ご利用者の生活を守り、職員が無理なく働ける体制をつくるための土台です。

将来管理職を目指している方も、日々の勤務表を作成している方も、この記事の内容を頭の片隅に置いていただけたらと思います。

この記事の執筆者伊藤

所有資格:社会福祉施設長認定講習終了・福祉用具専門相談員・介護事務管理士

20年以上、介護・医療系の事務に従事。
デイサービス施設長や介護老人施設事務長、特別養護老人ホーム施設長を経験し独立。
現在は複数の介護事業所の経営/運営支援をしている。

 
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