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【教えて!】国の施策から考える介護におけるICT活用

介護現場でのICT活用

国の施策から考える介護現場でのICT活用
介護職員不足がますます進む中、ICTツールの導入は国の施策からも見えるように後押しされています。
実際、介護現場において業務効率化を進めることは必須ともいえます。
ただし、ICTツールを導入する際は、ポイントを抑えて進めることが大切です。
導入時のポイントも合わせてご紹介します。
ご参考になれば幸いです。

国の施策から考える介護におけるICT活用

人材不足に悩める介護業界

ICTを活用した国の施策から今やっておくべきポイントを検討することが大切です。

2021年7月、厚生労働省から「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」が公表されました。

第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

2025年には約32万人、2040年には69万人の介護人材が不足

この資料によると2025年には32万人、2040年には69万人の人材不足になるということが表されており、2023年現在、すでに22万人の必要数が確保されていないということです。

果たしてこの必要数を確保するための具体的な施策はあるのか、今後の国の動向を見守る必要はあります。

現状としてすでに日本の高齢化率は3割弱となってきており、まもなく高齢者数がピークを迎えようとしております。

介護職員不足と謳われて数年経っている中、現実的に数字で表されるとなんだかこの国の将来が不安になってしまいます。

介護職員の人手不足に関しては、特に介護施設を経営している方や実際に働いている方にとってはより現実的な問題に差し掛かっているかと思われます。

それでは現時点でどのような対策をするとよいのか、それについては検討する必要があります。

介護の人員配置基準 3対1から4対1への規制緩和

2021年12月、日本経済新聞のトップ記事に介護施設基準の見直しとして「1人で4人介護が可能に」というものが掲載されました。

記事によると、

「規制改革推進会議で内閣府が改革を提起した。現行基準を見直し、(介護者)1人で介護施設の入所者4人に対応できるようにする案を軸に調整する」

とのことでした。

つまり、現行の3対1(常勤換算にて利用者3名に対して介護職員1名の配置基準)から4対1への規制緩和ということです。

「本当にこの基準は効果があるのか?」

など疑念を持たれる方もいたかと思いますが、この新基準には但し書として「ICTなどを活用することで」と記載されております。

そもそもこの「〇対〇」という基準についても解釈が難しい点はあり、それは別問題として検証が必要ではありますが、最近ではどの業界においてもICTを活かした「DX化」が進んでおり、介護分野においても同様の観点が必要ということです。

ICTを活かす

これが果たして介護分野においてどのようなものがあるのか。

このことをよく考察した上で自分達の施設にどういったものを取り入れていけばよいのか、様々な視点からの情報を得ていかなければ、今後の人手不足は解消されないということになります。

進む介護のICT化

介護現場でタブレットを使って介護記録

近年では様々な介護のICT化が進んでいます。

例えば、

・身体介護を補助するための介護ロボット
・利用者の眠りを計測する眠りセンサー
・利用者の安全確認のための見守りカメラ
・介護記録の効率化をはかるためのソフトウエアなど

上記のようなICTツールやソフトウェアが盛んに開発されています。

皆さまの施設においてもすでに何らかのICTを導入されている箇所もあるかと思いますが効果は様々です。

実際に、

「効率化が進んだ」「利用者の満足度に繋がった」

といった声も聞こえる反面、

「何を導入してよいのかわからない」「導入しても効率化が進まない」

といった声も聞こえます。

こうした声を聞き取っていくと、介護現場へのICT導入には課題があるといえます。

介護現場へのICT化導入の課題

ICTの難しさ

具体例を挙げると、ある介護施設の管理者さんから以下のような声を聞いたことがあります。

その施設では利用者の重度化に加え、退職者も重なり、何とか「現場の負荷を軽減したい」と考えた結果、介護記録の電子化に踏み切りました。

当初は、

慣れないはことはやりたくない

とベテラン職員中心に導入に対する反対意見も多かったのですが、それでも何とか現場の負荷を軽減したい管理者さんは、反対を押し切り、ICTツールの導入に踏み切りました

しかし、数ヶ月経ってもベテラン職員からの理解は得られず、結局、その施設ではPCでの入力と紙媒体の両方向で記録を記載することになってしまったとのことです。

この事例から検証すると、大きなコストをかけているにも関わらず、大きな効果は得られず、逆に情報が分岐してしまうことで、管理者さんの狙いとは逆に非効率的な結果になってしまったわけです。

介護現場へのICTツール導入のポイント

それではどういったことに注意しながら介護現場にICTツールを導入すべきなのでしょうか?

導入のポイントを整理したいと思います。

ICT導入ポイント1.現状の施設運営の状況を確認する

一つめは、現状の施設運営の状況をしっかりと確認するということです。

職員数は足りているのか、利用者の動きはどうなのか、効率化を進めたい箇所はどこなのか。

ひとりの目だけではなく、複数人の意見を客観的に検討し、しっかりとした現状の施設状況を分析する必要があります。

ICT導入ポイント2.介護職員のITリテラシーの把握

二つめとして、勤めている方のリテラシーはどうなのか把握する必要があります。

そもそも介護分野というのは人の手で成り立つ仕事です。
PC操作など不慣れな職員も多くいるかと思います。

新しいものを導入する時は、今までとは違うことを推し進めることになりますので、導入する際には、それなりの根拠と理解を深めることが必要です。

いくら経営陣や管理者が納得しても実際に利用する職員さんの協力がなければ導入しても効果は薄くなってしまい、逆効果となってしまいます。

そのため最初に導入するものについては「誰もがわかりやすく、理解しやすい、そして簡単に触れる、かつシンプルなもの」からスタートした方がよいと思います。

ICT導入ポイント3.導入前にテスト期間があるかどうか

三つめとしては、そのICTは導入前にテスト期間があるのかどうかということです。

現在、様々なICT補助金は国からでているかと思いますが、補助金を利用する上でも申請が必要ですし、補助金をしなくともコストをかけることになりますので、慎重に検討せざるを得ません。

他の事業所が導入している事例を聞くことも大切なことです。

またそれがマッチングするかどうかも、判断に迷う時もあるかと思います。

そんな時はどのICTにテスト期間や無料期間があるのかといった確認も必要になるかと思います。

ICT導入ポイント4.効率化して生じた時間の有効活用のイメージ

そして最後に挙げられるのは、効率化して生じた時間をどのように考えるのかということです。

ICTを導入し、効率化を進めたいということは重要なポイントですが、それよりも大切なのはその効率化してできた時間をどのように有効活用していくかといった「効果の先」を見据えた施設運営を想定しておく必要があるかと思います。

まとめ

繰り返しになりますが、現実問題として日本の高齢化の波はピークを迎えます。
また、介護職員の人手不足もさらに深刻化していきます。

加えて昨今のコロナ禍により介護職員の業務比重は拡大しております。

介護従事者の誰もが、

人の役に立つ仕事をしたい

と思ってこの業界に入職されたのではと思います。

介護職員の労働環境を守るということは、利用者へのサービスの向上につながる第一歩です。

どのようにこの難題を乗り越えていくのか。
今からしっかりとした考察と対策が必要になるということは間違いありません。

この記事の監修者
局長アイコン
佐藤 邦広
保有資格:介護支援専門員 介護福祉士 社会福祉主事

札幌を中心としてデイサービス8施設、ショートステイ7施設、グループホーム3施設、有料老人ホーム(介護付3、住宅型1)、特養2施設、サ高住などを運営する法人の介護事業本部でDX推進のリーダーとして業務に従事。
グループとして高齢者複合型介護施設を7施設、訪問看護ステーションを11事業所運営。

担当している仕事:グループ内のDX化の推進、各事業所における業務の管理や業務効率化、ケアの質向上を目的としたスーパーバイジング、外国人技能実習生の教育担当など。

仕事をする上で大切にしていること:忙しい時や大変な時こそ、楽しんでやる!

趣味はサウナ巡り。

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