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【今さら聞けない!】介護記録の目的とは?書き方のポイントや注意点を分かりやすく解説!

介護記録の目的とは?書き方のポイント

「仕事が終わったと思ったら、まだ介護記録が残っていた…」
「トラブルが起きた時、介護記録にはどう書いたら良いの…?」
「介護記録の記入事項が多くて、とても大変…」
 
介護記録の書き方について、これらのような悩みを抱えてはいませんか? 恐らく多くの介護職員が同じような悩みを抱えているでしょう。
 
介護記録は介護職員がぶつかる壁の一つであると言えます。
 
介護記録の目的とは何でしょうか? そして、どうすれば効率的かつ正確に記録をつけることができるのでしょうか?
 
本記事では、介護記録の本当の目的とその重要性、そして介護記録の書き方について詳しく解説します。
 
新人介護職員はもちろん、ベテランの介護職員にも役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧いただき、参考にしてみてください。

介護記録の目的とは?なぜ必要?

介護記録の書き方

なぜ介護記録を書くのか、その目的や必要性。そして介護記録によって得られるメリットについて解説していきます。

介護記録を書くことに苦手意識を持っていませんか?改めて目的を整理し、どういった効果・メリットが得られるかを明らかにしていきましょう。そうすることで介護記録への向き合い方も変わってくるでしょう。

情報共有をし、サービスの質を向上するため

皆さんは介助を拒否された経験はありませんか?

指示に従った介助を行おうとしても、本人に拒否されると困ってしまいますよね。しかし、過去の介護記録に「拒否されずに介助できた」記述があれば、どうでしょうか。

例えば、「〇〇と声掛けすると拒否なく介助できた」という記録があれば、同じ方法を試してみると上手くいくかもしれません。

このように、介護記録を残すことで類似の状況が発生した場合、他の介護職員も記録を参考にすることで効果的な対応ができ、業務をスムーズに進めることができます。

また、日々の様子を記録することで、利用者のADLの変化や課題が明らかになります。これらの情報はケアプラン作成において重要な情報源となり、介護サービスの質向上の基盤となるのです。

利用者やご家族とのコミュニケーションのため

新規の介護サービス利用や不慣れな介護施設を利用する場合、ご本人だけでなくご家族も大きな不安を抱えています。そのため、日々の過ごし方や受けているケアの内容を知ることで、不安が解消され、施設への信頼が得られます。

利用者やご家族へどういったケア、支援をしているか適切な説明をするためにも、その情報源となる介護記録は重要な根拠となります。

事故などが起きた際に証拠とするため

介護施設で事故が起きた場合、状況を家族やケアマネージャー、場合によっては病院や警察に説明する必要があります。そのため、事故の詳細を正確に記録しておけば、第一発見者でなくても事故状況を正確に説明することができます。

また、介護記録を通じて事故原因を分析し、将来の対策を立てることもできます。こうしたケースを考えると、介護記録は施設で働く職員を守るためにも非常に重要な役割を果たすことが分かります。

逆に記録が不十分な場合、介護の適切さが疑われたり、最悪の場合、虐待や犯罪の疑いを持たれてしまうこともあります。このように、事故発生時の介護記録は、法的保護や将来の事故防止だけでなく、介護職自身を守るためにも不可欠なものなのです。

介護記録の基本的な書き方・注意点

介護記録の書き方のポイント、注意点

介護記録は日記とは異なり、第三者に利用者の状況を伝える目的で書かれます。この点を常に意識しながら、以下でその書き方のポイントと注意点を詳しく解説します。

5W1Hを意識する

「5W1H」という言葉を皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう。

・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのように)

「5W1H」はこれらの頭文字を取ったもので、介護に限らず全てのコミュニケーションで欠かせない要素です。介護記録を記入する際の注意点として、When(いつ)は24時間表記を用いることが重要です。

また、すべての項目を必ずしも記入する必要はありませんが、第三者が見ても理解できる明瞭な文章を心掛けることが大切です。

なるべく客観的に事実を書く

介護記録は、主観や憶測を避け客観的な事実を記述することが求められます。主観や憶測が含まれると、第三者に正確な情報が伝わらない可能性が高いためです。

誰が見ても理解できる明確な文章が理想的な介護記録と言えます。しかし、介護者がすべての状況を見ているとは限りません。

そのため、次のような書き方を参考にすると良いでしょう。

介護記録の書き方・例

 
・お茶を2、3杯飲んでいる様子である(推定とわかるように記述)
・「お茶を3杯飲んだ」と利用者が言った。(利用者の発言を記録)
・ポットのお茶が大幅に減っており、コップには飲み残しがあることから、何杯か飲んだと考えられる(状況からの推測)

このように、多少主観が入る場合でも、目的を明確にし工夫すれば適切な記述方法を見つけることができます。

「だ・である」調で記録する

この「だ・である」調は正式には常体と呼ばれ、説得力を持たせるために論文やビジネス文書でよく使用されます。介護記録においても、情報を説得力ある形で伝えるために常体を使用します。

ただし、利用者の直接の発言を記録する際は、そのままの言葉を使用し常体に変換しないようにしましょう。

情報源を明確にする

普段と異なる介助を行った場合、その理由を明確に記録しましょう。例えば、普段は杖で歩く利用者に「車椅子を利用した」とだけ記録すると、なぜ車椅子を利用したのか、と疑問に思います。

「足元がおぼつかず、目的地まで距離があるため車椅子を利用した」と一言理由を加えることで、見る人も納得できる介護記録となります。

簡潔にまとめる

介護支援経過記録は第三者にわかりやすく伝えるためのものです。そのため、一文を短くし情報を簡潔にまとめましょう。

長々と書くと読みづらくなり、情報が伝わりにくくなります。

分かりやすい介護記録を効率的に書くポイント

介護記録の書き方のポイント

これまで介護記録の基本的な書き方について解説しましたが、実際には一人の介護職員が複数の利用者を担当しているため、すべてを丁寧に記録するのは難しいです。

そこでこの項では、介護記録の目的である「第三者に伝えるためもに、分かりやすく効率的に介護記録を書くためのポイント」を解説します。

記録を重複させない

これまで介護支援経過記録の書き方に焦点を当てて解説しましたが、介護記録には日常介護記録や事故報告書も含まれます。

ここでいう日常介護記録とは、

日々のバイタルや食事量、排泄などについて記録する書類のこと

です。職場によって呼び方が異なるかもしれません。これらの介護記録で重要なのは、同じ内容を繰り返し記入しないことです。

例えば、排泄が完全自立の利用者のトイレ利用は日常介護記録に記入し、問題がなければ介護支援経過記録に記入する必要はありません。二度手間になるためです。

ただし、特別な事象が発生した場合は記録します。

同様に事故報告書を作成した後、その内容を介護支援経過記録に重複して記入するのは避けましょう。効率的な記録のため事故報告書には詳細を残し、介護支援経過記録では最低限の情報を記すことが適切です。

特に丁寧に書くべきポイントを抑える

介護記録を効率的に書く一方で、特定の状況では詳細な記録が必要です。ここでは、特に丁寧に記録すべきポイントをいくつか紹介します。

丁寧に行うことで、今後の対応や家族への報告がスムーズになります。

普段と異なる様子

何気なく感じた違和感は、記録に残しましょう。特にその違和感が顕著な場合、詳細に記述することが推奨されます。

体調不良時

体調が悪化した際は、発見した日時、具体的な症状、バイタルサイン、その場での対応、上司や看護師の指示、経過を詳細に記録します。

情報の少ない利用者

新規利用者や情報が不足している利用者の場合、細かい観察が必要です。観察内容を詳しく記録することで、後に続く職員にとって有用な情報源となります。

トラブル時

予期せぬ事態が発生した場合は、日時、状況、事態に至る経緯、その場での対応、バイタル測定、上司や看護師への報告と指示を臨機応変に記録します。

言葉選びの考え方

介護記録の言葉選びに厳密な規則はありませんが、職場ごとに独自の決まりがあるかもしれません。ただし、記録は第三者に開示する可能性があるため、不適切な言葉遣いや差別的な表現は避けるべきです。

医療的な観点では「症状」を記録するのは問題ありませんが、「病名の診断」は医師のみが行えるため記録するのは避けましょう。

また、専門用語や略語については、第三者に伝わりにくいとされるため避けるべきだと言われています。

しかし経験上、筆者は専門用語や略語の使用に賛成です。なぜならここでいう第三者が記録を直接閲覧することは稀で、多くの場合は担当者が要約して伝えるからです。また、専門用語や略語は記録を取る際に効率的な言葉が多いからです。

とはいえ言葉の選び方に関しては、何が正しく、何が間違っているかをここで断定することはできません。職場ごとに話し合い、共通認識を作り、適切な言葉選びを心がけましょう。

適切な介護記録を残すために

ここでは介護記録の書き方以外に、適切な介護記録を残すためのコツを3つ紹介します。

他職員の書き方を参考にする

「どう書けばいいんだろう」と思ったら、過去の他の職員の記録を参考にしましょう。うまくまとめられた記録が見つかったら、その表現を真似し、同様の事例でテンプレートとして使用できます。

メモ帳や付箋を常備しておく

有事の際にすぐ記録を書けるとは限りませんし、忙しさで書くべきことを忘れてしまうかもしれません。そのような時、メモ帳や付箋に簡単なメモを書いておけば、後で落ち着いてから正式な記録に起こすことができます。

記録を書く時間をしっかり確保する

時間がない中で記録を書こうとすると、慌ててしまい、記録の漏れや不適切な内容になることがあります。記録記入の時間は十分に取れるよう、タイムスケジュールの調整を心掛けましょう。

介護記録の書き方 例文

グループホームで高齢者を介護する介護職

これまで介護記録の書き方やポイントについて解説しましたが、ここからは様々な場面の例文とその解説を紹介します。なお、ここでの例文は、新しく入居された利用者を想定して丁寧な記録をあげています。

食事の場面での介護記録の例文

介護記録の例文

 
12:00 昼食。
主菜にほとんど手をつけていない様子。
「食欲がありませんか?」と尋ねると、「それもあるけどこの野菜が苦手で食べられなかった」と言われる。

日常介護記録には、食事量や水分量が記録されています。そのため、介護支援経過記録ではこの情報を省略しています。

ここで書くべきポイントは、日常介護記録では書ききれない「野菜が苦手」という利用者の特性を記録することです。これは、今後のケアにおいて重要な情報となります。

継続利用で特に変化がない場合、この部分は省略しても問題ないでしょう。実際、食事をした事実は日常介護記録で確認できるため、介護支援経過記録において食事の記述を省略することも可能です。

排泄の場面での介護記録の例文

介護記録の例文

 
14:00 トイレ誘導。
トイレまでは車椅子にて行く。
つかまり立ち、方向転換は可能だがズボンの上げ下ろしは介助が必要な様子。

「排泄」といっても、そのプロセスにはさまざまな動作が含まれます。この記録でのポイントは、排泄介助の手法と、排泄に至るまでの動作の中で「自力でできる部分」と「介助が必要な部分」を明確に記録することです。

この記録ではそれらの点を詳細に記述しつつ、排泄の有無などの情報は日常介護記録に任せることで効率化を図っています。

継続利用で変化がない場合は排泄ケアの手法のみを記録し、ADLの変化などあればそのことを介護支援経過記録に書きましょう。

入浴の場面での介護記録の文例

介護記録の例文

 
10:00 個浴にて入浴。
上半身の着脱は自力で可能だが、下半身はつかまり立ちする間に着脱の介助が必要。
浴室までは手引き歩行でいく。
洗髪は自力で可能。
背中や足の指などは介助が必要だが、それ以外の洗体は自力で可能。
浴槽の跨ぎは、自力で可能だが少しふらつきが見られるため支える。
湯に浸かっている間に以前使用していたデイサービスの話をされる。
左肘付近に掻き傷があるため入浴後に軟膏塗布。
入浴後は水分補給をされ、気分不良等は見られず。

こちらも排泄と同様に「入浴」に至るまでの動作を詳しく記録しています。入浴には多くの動作が必要なため、記録もその分長くなりがちです。

継続利用の場合、基本的には「個浴にて入浴」と簡潔に書き、必要に応じて変化した部分を記録するようにしましょう。

活動の場面での介護記録の文例

介護記録の例文

 
15:00 カラオケレクに参加。
他利用者の歌に合わせて笑顔で手拍子を打っている。
「よかったら歌いませんか?」と声掛けすると、「恥ずかしいから遠慮します」と言われる。

レクリエーションなどの活動の場面では、利用者がどのように関わったかを重要視しましょう。「カラオケレクに参加」とだけ記録すると、利用者が歌ったのか、楽しんだのかどうかがわかりません。

文例では、歌わなかったものの雰囲気を楽しんだ様子が記録されています。

継続利用の際でも、活動の場面では利用者がどのように関わったかを詳細に記録するようにしましょう。施設を楽しんで利用しているということがわかります。

トラブルの場面での介護記録の文例

介護記録の例文

 
16:00 職員が他利用者の介助中にナースコールがあったため訪室。
他利用者が室内に入っており、そのことに驚いてる様子。
他利用者を自室へと誘導後、再度訪室し傾聴する。
「いきなり部屋に入ってきてびっくりした」と言われる。
ちょうど職員は他業務中で目を離していたこと、あの方はトイレに行った後自分の部屋がわからなくなって間違えてしまったこと、今後もしそういうことがあったら今みたいにナースコールを押して下さいと伝える。

トラブルとは、予想外の事態全般を指すため具体的な状況はあらかじめ想定できません。一方で記録を読む人は、何があったのか詳しく知りたがるものです。そのため、無駄に思えるようなことでも丁寧に書く必要があります。

この記録では、発見に至るまでの経緯、発見時の状況、その後の対応の順で記述されています。

・発見に至るまでの経緯: 発見までに時間がかかった場合、なぜそのようなことが起こったのかを説明するために記録します

・発見時の状況: 「転倒事故などの際、どこを打ったのか」や「なぜそのような状況になったのか」を分析するために役立ちます

・その後の対応: 後にその対応が適切だったかどうかを判断するために記録します

まとめ

介護記録の目的とその書き方について、筆者の経験をもとに解説しました。本記事の内容をまとめると、以下のポイントに集約されます。

本記事のポイント

 
・介護記録は本来、業務を効率的に行うためのもの
・介護記録は第三者に見せるため、伝わりやすい書き方をする必要がある
・介護記録を効率的に書くには、不要な部分を省略しつつ、重要なポイントにフォーカスする

筆者も以前、介護記録に時間がかかり「もっと簡単に書けないだろうか…」と悩んでいました。今回執筆した記事は、その時の経験や考えをまとめたものです。今では筆者の書いた記録が「わかりやすくて助かる」と職場で評価されるようになりました。

同じように、介護記録の書き方に悩んでいる方も多いと思います。そうした場合には本記事の内容を参考にしてみてください。介護記録を効率よく、効果的に書けるようになるはずです。それが結果として、職場の環境改善にも繋がるでしょう。ぜひ取り組んでみてください。

この記事の執筆者ソテツ

保有資格:実務者研修、ユニットリーダー研修修了

ショートステイに約8年勤務、デイサービスで約半年勤務、サ高住で約1年半勤務、と約10年ほど介護業界で仕事をしてきました。
ショートステイでは1年ほどユニットリーダーをさせて貰いました。

短い期間でしたがそのわずかな期間で、施設内での稼働率NO.1のユニットを作り上げることに成功してます。

現在は介護・福祉系ライターとしても活動中。

 

 

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