看護師の業務効率化にもAIやロボットが活用されています。
看護師が離職する理由として「激務」が挙げられます。
残業が慢性的に発生している職場もあり、長時間労働が問題とされています。
業務効率化により看護師の残業時間を削減することに成功したケースもあります。
今回は看護師の業務効率化、AI・ロボットの活用事例をご紹介いたします。
目次
AI・ロボット活用で看護師の労働環境を改善することは可能
看護師という仕事は多忙を極めるうえ、休日や深夜の業務で不規則になりやすい仕事です。
そのためワークライフバランスに乱れが生じやすく、一部の方にとっては長く勤務し続けるのが難しい状況(退職)となることも。
働くうえで苦労の多い看護師が生き生きと働いていくためには、看護師の現場環境を改善することが欠かせません。
AI・ロボットの導入事例の中には、看護師ではなくてもできる仕事、非看護業務をロボットに任せることで、ハイリスクの患者さんのそばを看護師ができるだけ離れなくても良いようにしたい、といった目的がある場合もあります。
具体的な事例について知りたい場合に参考となるように、事例が掲載されているページもご紹介していますので、参考記事もぜひご覧になってみてください。
看護師の業務改善をする必要性・改善するメリット
看護師における現場環境の改善とは、看護師が働きやすい制度や環境を職場に作っていくことです。
多くの看護師がストレスなく働き、自身の思い描くキャリアを築いていくためにも、現場の環境を改善することは最重要事項だといえるでしょう。
現場環境が改善されることで、以下のようなメリットが生まれやすくなります。
看護師のモチベーション向上
現場環境が改善され、スタッフの働きやすい場所へと生まれ変わることで、看護師が職場に愛着を抱きやすくなります。
その結果、看護師のモチベーションが高まり、やりがいを持って働けるようになることが期待できます。
「この病院で働き続けたい」と心から思ってもらえるような現場を作っていけば、看護師の離職率も低下し、一人ひとりが生き生きと勤務できるようになるでしょう。
働きやすい職場になる
せっかく看護師として豊富な経験・スキルを持っているにも関わらず、家庭の事情などが理由で働けなくなっている看護師は少なくありません(潜在看護師)。
看護師の事情に合わせた現場環境の改善が行われれば、復帰可能となるケースは増えていくことが考えられます。
残業時間が減る
現場環境が改善されることで業務内容が見直され、効率の良い働き方が実現されやすくなります。
すると、無駄な仕事の削減・仕事スピードの上昇につながり、残業の少ない職場になることが期待できます。
実際、事例の中には看護師の残業時間削減に成功したものもあります。
看護師の業務効率化事例
看護師の業務効率化事例をご紹介します。
最初に電子カルテについて見ていきたいと思います。
厚生労働省によると、令和2年における電子カルテシステムの一般病院の普及状況は57.2%、一般診療所で49.9%でした。
病院の規模別でいうと、400床以上は91.2%となっています。
200床未満は48.8%、200~399床が74.8%、と 病床数が多いほど普及率が高くなっています。
事例1:電子カルテの導入
電子カルテの導入は、看護業界における業務効率化に大きな影響を与えています。
従来の紙ベースのカルテでは、情報の検索や共有に時間がかかり、また、物理的なスペースを必要とするため、管理にも問題がありました。
しかし、電子カルテの導入により、これらの問題は大幅に軽減されました。
電子カルテは、患者の医療情報をデジタル化し、クラウドベースのシステムに保存します。
これにより、看護師は必要な情報をすぐに検索し、取得することが可能となります。
紙のカルテと比較してセキュリティ面が向上することもメリットです。
また、情報はリアルタイムで更新され、全ての医療スタッフが同じ情報にアクセスできるため、情報の一貫性と透明性が保たれます。
紙のカルテを見に行く必要がない、ということも看護師の業務負担軽減につながっています。
さらに、電子カルテは、看護師が患者の状態を追跡し、ケアの質を向上させるのにも役立ちます。
例えば、患者の症状の変化、治療の進行、薬の投与など、様々な情報を一元的に管理することができます。
これにより、看護師は患者の状態をより効率的に、そして正確に把握することが可能となります。
電子カルテの導入により、看護師の業務時間を大幅に削減することに成功し、また、患者のケアの質も向上し、看護師の満足度も高まる傾向が表れています。
電子カルテの導入は、看護業界における業務効率化の重要な手段であると言えます。
また他のICTツールを導入するにあたり、電子カルテ化がまず必要となるケースも見受けられます。
今後もこのようなデジタル化の取り組みが進むことで、看護業界のさらなる効率化と質の向上が期待されます。
電子カルテ×AI
電子カルテについて、もう少し見ていきましょう。
現在、電子カルテ×AIという活用事例も徐々に見られるようになってきています。
以下の記事に複数の事例が紹介されていますので、ご参考にしてみてください。
・問診の負担を軽減した事例
・電子カルテに音声入力ができるようになったため診察後に入力する必要がなくなり、業務効率が向上した事例
などが掲載されています。
事例2:AIと画像診断
画像診断による疾患の診断もAIの導入が進んでいます。
画像診断はAIの実用化が最も早い分野、とも言われています。
・国立研究開発法人 科学技術振興機構 人工知能(AI)深層学習を用いた医療画像診断システムの紹介
・世界初!熟練医を上回る精度の肝腫瘤画像診断AIを開発 AIによる超音波診断の実用化に大きな期待 | NEWS RELEASE | 近畿大学
事例3:AIとロボット技術の活用
AIとロボット技術の進歩は、看護業界における業務効率化に大きな影響を与えています。
これらの技術は、看護師の業務負荷を軽減し、患者ケアの質を向上させるための多くの可能性を提供しています。
一方、ロボット技術は、物理的なケアの提供や日常的なタスクの実行を補助することで、看護師の負担を軽減します。
例えば配薬ロボットは、正確な薬の投与を保証し、看護師が他の重要なタスクに集中できるようにします。
看護師や薬剤師の負担を軽くしたり、事故につながる要因を減らしたりする効果も期待も期待されています。
・NTT東日本や群大病院ら ロボット×AI×ローカル5Gを活用して「医療インシデント削減」「次世代薬剤トレーサビリティ」実証実験
・医療現場に自走ロボットを導入、PCR検査や看護補助で人手不足解消なるか
・自律搬送ロボットと“協働”し、看護師本来の業務に集中できる環境に(トヨタ記念病院)
事例4:AIと問診
初診での問診支援ツールを利用することで、患者の待ち時間短縮、看護師や医師の業務軽減ができるなど成果につながっています。
・ユビーAI問診の導入事例
・令和2年度 医師等医療従事者の勤務環境改善の推進にかかるICT機器等の有効活用に関する調査・研究 事例8「診療所における慢性頭痛のAI問診の活用による患者との対話時間の増加」
RPA(ロボットプロセス自動化)の導入により業務効率化
RPA(ロボットプロセス自動化)は、人間が行う定型的な業務をソフトウェアロボットが自動で行う技術のことを指します。
これにより、業務の効率化やヒューマンエラーの削減、コスト削減などが期待できます。
特に看護や医療業界では、人手不足や業務量の増加といった課題があり、RPAの導入による業務改善が期待されています。
RPAの導入により、以下のようなメリットがあります。
RPA導入のメリット
業務効率の向上:定型的な作業を自動化することで、作業時間を大幅に削減できます。これにより、人間がより高度な業務に時間を割くことが可能になります。
ヒューマンエラーの削減:人間が行う作業はミスが発生する可能性がありますが、RPAを用いることで、ヒューマンエラーを削減できます。
コスト削減:作業時間の削減やヒューマンエラーの削減により、業務コストを削減することが可能です。
RPA事例
医療現場におけるRPA導入事例は、以下URLが詳しいのでご参考にしてみてください。
まとめ
看護師の現場環境を改善することで、看護師一人ひとりが高いモチベーションを持って生き生きと働きやすくなります。
さらに、残業時間が減少したり働きやすい職場になったりと、多くのメリットが見込めるでしょう。
ご紹介したようなAI・ロボットなどによる業務効率化の他にも、看護師がテレワークを行って現場の看護師と役割分担を実施したり、短時間正社員制度・非常勤制度を導入したりと、看護業界ではさまざまな業務効率化・環境改善が行われています。
取り組みが始まったばかりのAI活用領域もありますし、既に様々なメーカーから商品が開発・販売されている領域もあります。
ぜひ実際の事例からヒントを得て改善につなげてみてください。
この記事の執筆者 | シフトライフ編集部 主に介護業界で働く方向けに、少しでも日々の業務に役立つ情報を提供したい、と情報発信をしています。 |
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