これからショートステイで働こうと考えている人の中には、夜勤業務を経験したことがないという人もいるでしょう。ここでは、ショートステイの夜勤の人員配置基準や、仕事内容についてお伝えしていきます。
また夜勤業務のデメリットやメリットに加え、夜勤業務を乗り切るコツについても紹介します。
目次
ショートステイ 夜勤の人員配置基準
ショートステイの夜勤は、介護職員または看護職員を配置します。人員配置基準は、利用者の人数によって異なります。
・25人以下:1人
・26人以上60人以下:2人
・61人以上80人以下:3人
・81人以上100人以下:4人
参照:厚生労働省『厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準』
ショートステイの夜勤の仕事内容
ショートステイでの夜勤での仕事内容は、主に下記になります。
・食事準備・食事介助(夕食・朝食)
・就寝介助
・排泄介助
・定期巡回
・物品補充
次に説明します。
食事準備・食事介助(夕食・朝食)
1つめは「食事準備・食事介助(夕食・朝食)」です。夕食の場合、夜勤者は遅番者と一緒に食事の準備や食事介助を行います。配膳や下膳だけでなく、食事量(どの位食事を食べたのか)の確認や、必要に応じて服薬介助も行います。
朝食は早番者と一緒に準備や介助を行います。夜勤者は早番者が来るまでに朝出すお茶や牛乳等、利用者に合わせた飲み物を準備することが多いです。
利用者によっては、飲み物にトロミをつけることもあります。トロミの量に関しては、事前に日勤者から申し送りを受けたり、サマリーなどから情報収集をしましょう。
就寝介助
2つめは「就寝介助」です。食事を終えた後、利用者を各お部屋へ誘導して就寝介助を行います。車椅子の方やご自分で動けない方の場合は、介護職員がお部屋へ誘導し、口腔ケアやパジャマへ着替えるといった就寝介助を行います。
排泄介助
3つめは「排泄介助」です。夜勤者は利用者が就寝する前に、トイレ介助やオムツ交換を行います。
リハビリパンツやパットは、基本的には持参された物を使用します。ですが日中汚染してパット類がない場合は、施設の物を使うこともあるので、臨機応変に対応しましょう。
尿量や排便の量も、記録します。便が何日も出ない場合は、必要に応じて下剤を内服する必要があるからです。
定期巡回
4つめは「定期巡回」です。夜勤者は安否確認の為、1時間に1回、定期巡回を行います。また利用者からナースコールで呼ばれたら対応する等、利用者が安心して過ごせる様動きます。
物品補充や翌日の準備
5つめは「物品補充や翌日の準備」です。夜勤者は空いている時間を見つけて、物品補充や翌日の準備を行います。具体的には、下記になります。
・パット類の補充
・入浴場のタオルの補充
・翌日のショートステイの受け入れの書類準備
また洗濯物を畳んだり、社員によっては会議の書類作成など、夜勤帯の間に日勤ではできない業務をする人もいます。
ショートステイの夜勤スケジュール
施設によって異なる部分もあるかと思いますが、ショートステイの夜勤スケジュールは、下記になります。
16:00 出勤 申し送り
16:30 送り出しのヘルプ
17:00 夕食準備
17:30 利用者を食堂へ誘導し、口腔体操
18:00 夕食配膳
18:30 夕食下膳、(必要に応じて)服薬介助
19:00 就寝介助
20:00 トイレ誘導やオムツ交換
21:00 定期巡回しつつ、待機
23:00 (必要に応じて)トイレ誘導やオムツ交換
(交代で2時間程度仮眠を取る)
4:00 (必要に応じて)トイレ誘導やオムツ交換
6:00 朝食の準備や起床介助(起床時薬の内服や、起きてこられた方にお茶の提供)
7:00 早番者へ申し送り
7:30 利用者を食堂へ誘導し、口腔体操
8:00 朝食配膳
8:30 朝食下膳、(必要に応じて)服薬介助
9:00 記録作成、他日勤者へ申し送り、(必要に応じて)ショートステイ受け入れのヘルプ
10:00 退勤
基準ギリギリの配置が多い?ショートステイの夜勤体制について
ここまで、ショートステイの夜勤の仕事内容についてお伝えしてきました。ですが、ショートステイの夜勤体制は、人員配置基準ギリギリで配置していることが多いです。
ショートステイの夜勤の人員配置がギリギリになりやすい理由は2つあります。
拘束時間が長いので、勤務できる職員が限られている
1つめは「拘束時間が長いので、勤務できる職員が限られている」ことです。上記で夜勤のスケジュールを挙げましたが、ショートステイの夜勤の場合、16時間勤務と長いです。ですので、施設によっては夜勤ができる職員が限られます。人手不足の為、月8回夜勤をするということも珍しくありません。
ショートステイの夜勤の場合、派遣の職員に任せづらい
2つめは「ショートステイの夜勤の場合、派遣の職員に任せづらい」ことです。特養の場合、複数人で夜勤を行うので、夜勤専従という雇用形態で派遣を入れることが可能です。ですがショートステイの場合、夜勤を派遣スタッフに任せることは少ないです。
理由として「利用者のご家族様からの電話に、対応することができない」からです。夜勤中、ショートステイの利用者からキャンセルや、送迎に関する確認の電話がくることがあります。
常勤であれば対応することが可能ですが、夜勤専従の派遣の場合、どう対応して良いか分からないことが多いです。その為、連絡が常勤に行かなくなりミスを起こす可能性があります。
また特養併設ではなく、ショートステイのみの施設の場合、夜勤は1人しか配置しないことが多いです。ですので、万が一夜勤中に利用者に異変が起こり、緊急対応をしなければいけなくなった場合、派遣の職員では対応が難しいのです。
これらの状況もあり、ショートステイの夜勤は配置基準ギリギリになってしまうのです。
ショートステイの夜勤勤務で大変なことは?
ショートステイの夜勤勤務で大変なことは、3つあります。
併設型の場合、特養の入居者も対応しなければいけない
特養との併設型の場合になりますが、1つめは「特養の入居者も対応しなければいけない」ことです。特養と併設の場合、ショートステイの利用者だけでなく、特養の入居者も対応しなければいけません。トイレ介助やオムツ交換などできるよう、普段から特養の入居者の情報も把握しておきましょう。
1人夜勤の場合、まとまった休憩が取れない
2つめは「1人夜勤の場合、まとまった休憩が取れない」ことです。ショートステイのみの場合、1人夜勤が多いので、まとまった休憩時間が取れません。コール対応やオムツ交換だけでなく、不穏の利用者対応なども行うとなると、休憩も取れずに朝を迎えるということもあります。
生活リズムが狂いやすい
3つめは「生活リズムが狂いやすい」ことです。16時間夜勤が多くなると、昼夜逆転になり、生活リズムが狂いやすいです。私の場合、夜勤業務が多い月は中途覚醒が多くなったり、反対に10時間以上眠っても疲れが取れないといったことがありました。
早番や遅番もやっている人は、生活リズムを整える習慣を身につけると良いでしょう。
ショートステイの夜勤勤務のメリットは?
ショートステイ夜勤勤務のメリットもあります。
自分のペースで業務ができる
1つは「自分のペースで業務ができる」ことです。夜勤業務の場合、比較的落ち着いていると、時間に余裕があります。ですので、自分のペースで業務を行うことができます。
私の場合、夜勤中溜まっている書類を整理したり、会議の議事録作成を行っていました。また複数人で夜勤を行う場合、施設によっては1フロアに1人待機する形になるので、他職員に気兼ねせず、自分の仕事を行うことができます。
出勤前後の時間を有意義に使える
2つめは「出勤前後の時間を有意義に使える」ことです。夜勤前は午前中が空いているので、自分のやりたい事ができます。私の場合、夜勤入りの午前中は銀行に行ったり、家事をしていました。
また夜勤明けの翌日は必ず休みなので、予定を立てやすいです。他の人と希望休みが重なっても、夜勤勤務ができる人は調整しやすいというのも、メリットです。
ショートステイの夜勤を乗り切るコツは?
ショートステイの夜勤を乗り切るコツは、3つあります。
前日から準備する
1つめは「前日から準備する」ことです。ショートステイに限らず多くの介護施設の場合、早番や遅番の翌日に夜勤を行うことが多いです。日勤帯の業務中にある程度利用者の情報収集を行っておくと、夜勤時の申し送りが楽になります。
また「夜勤中に何をやるか」を予め決めておくと良いです。「夜勤中に書類仕事するぞ」と思っていても、コール対応や不穏の利用者対応で中々取り組めないことが多いです。
ですので「今日は○○だけやる」と、やることを決めておきましょう。
生活リズムを崩さない
2つめは「生活リズムを崩さない」ことです。「夜勤前だから寝だめしよう」と思いがちですが、寝だめしても夜勤中は眠くなることが多いです。ですので、可能な限り生活リズムを崩さないように過ごしましょう。
私の場合、夜勤の前後は下記のように過ごしました。
・夜勤入りの前日に、野菜中心の食材を買い込む
・夜勤入りの午前中、野菜多めの鍋とおかず数品を調理する
・掃除や洗濯を行う
・夜勤明けは必ずシャワーを浴びてから寝る
夜勤明けの暴飲暴食を防ぐ為、野菜多めの鍋料理を食べていました。また帰宅後は夜まで寝ることが多かったので、帰宅後は必ずシャワーを浴びて、アラームをつけてから寝ると良いです。
夜勤中こまめにストレッチをする
3つめは「夜勤中こまめにストレッチをする」ことです。夜勤中動いていることが多いですが、夜勤後は身体が凝り固まっていることが多いです。待機中座っているときなど、こまめにストレッチをしましょう。
まとめ
ショートステイ夜勤は拘束時間が長く、施設によっては1人で対応しなければいけないので、常に緊張感を持ちながら業務を行う必要があります。
ですが夜勤に慣れると、自分のペースで業務を行うことができたり、夜勤前後の時間を有意義に使うことができるというメリットもあります。
是非参考にしてみてください。
この記事の執筆者 | miruto 保有資格:介護福祉士 社会福祉士 地域密着型特別養護老人ホームに6年、ショートステイに1年勤務しました。 現在は訪問介護の仕事をしながら、介護・福祉系ライターとしても活動中です。 |
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