サービス提供体制強化加算は、人材を確保し、質の高いサービス提供を行う介護施設・事業所を評価する加算です。所属する職員の資格や勤続年数、配置割合などの要件により、算定可能な単位数に違いがありますが、介護報酬収入の増加につながるため、要件を満たす場合は算定を検討したい加算です。
しかし、「今の人員体制で算定できるのか?」「算定する際の計算方法やポイントを知りたい」「勤続年数の考え方は?」と考える介護施設・事業所も多いのではないでしょうか?
この記事では、サービス提供体制強化加算の算定要件・計算方法を中心に、加算を算定する際に必要な知識を解説します。これからサービス提供体制強化加算の算定を検討されている介護施設・事業所の担当者は、ぜひ参考にしてください。
※令和6年度の介護報酬改定では、サービス提供体制強化加算の単位数・算定要件に実質的な変更はありませんでした。また、令和8年度介護報酬改定は介護職員等処遇改善加算の拡充と食費の基準費用額の見直しを中心とした期中改定であり、本加算の単位数・算定要件に変更はありません。
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サービス提供体制強化加算とは
サービス提供体制強化加算とは、介護福祉士などの有資格者の配置割合や、職員の勤続年数など、サービスごとに定められた人員体制の要件を満たす事業所を評価する加算です。加算区分や対象となる職種、算定要件はサービスの種類によって異なります。
令和3年度の介護報酬改定で、更なる「質の高いサービスの提供」と「職員のキャリアアップの促進」を目的に、加算の内容が変更となりました。
多くのサービスで、加算区分が次の(Ⅰ)~(Ⅲ)に再編されたことが特徴です。ただし、サービスによって区分の数や名称は異なります。
・サービス提供体制強化加算Ⅰ
・サービス提供体制強化加算Ⅱ
・サービス提供体制強化加算Ⅲ
それぞれの区分によって算定要件や単位数に違いがあり、介護施設・事業所の実情と算定要件に合った加算区分を確認することが必要です。
そのため、サービス提供体制強化加算の算定を目指す場合、まずは算定要件と職場の実情を照らし合わせて、算定可能な加算区分を確認しましょう。
2024年(令和6年度)介護報酬改定でのサービス提供体制強化加算に関する変更点
記事の冒頭でも記載しましたが、令和6年度の介護報酬改定では、サービス提供体制強化加算の単位数や職員割合に関する主要な算定要件に、大きな変更はありませんでした。
サービス提供体制強化加算の対象サービス種別
介護保険に関するサービスの種類は数多くあり、どれがサービス提供体制強化加算の対象サービスなのか分かりにくいですよね。
サービス提供体制強化加算の対象サービス種別は以下のとおりです。
| 居宅サービス | 施設サービス | 地域密着型サービス |
・(介護予防)訪問入浴介護 ・(介護予防)訪問看護 ・(介護予防)訪問リハビリテーション ・通所介護 ・通所リハビリテーション ・介護予防通所リハビリテーション ・(介護予防)短期入所生活介護 ・(介護予防)短期入所療養介護 ・(介護予防)特定施設入居者生活介護 |
・介護老人福祉施設 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 |
・地域密着型通所介護 ・(介護予防)認知症対応型通所介護 ・療養通所介護 ・(介護予防)小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・夜間対応型訪問介護 ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護 ・(介護予防)認知症対応型共同生活介護 |
※表では、介護予防サービスを対応する居宅サービスまたは地域密着型サービスとまとめて掲載しています。
※要支援1・2の方および事業対象者が利用する旧介護予防通所介護に相当するサービスは、介護保険の予防給付ではなく、市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業の「通所型サービス(第1号通所事業)」として提供されます。加算の有無や単位数は市町村が定めるため、保険者(市町村)にご確認ください。なお、介護予防通所リハビリテーションおよび介護予防認知症対応型通所介護は、現在も予防給付として提供されています。
サービス提供体制強化加算の算定要件
サービス提供体制強化加算を算定する際、必ず算定要件を確認しなければなりません。しかし、どのような算定要件があるのか分かりにくいですよね。
本章では、以下の介護サービスの算定要件をもとに、具体的なサービス提供体制強化加算の算定要件について解説します。
・通所介護
・通所リハビリテーション
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
・訪問入浴介護
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・短期入所生活介護・短期入所療養介護
・施設サービス(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)
・特定施設入居者生活介護
・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
通所介護・認知症対応型通所介護・通所リハビリテーション
通所介護・認知症対応型通所介護・通所リハビリテーションのサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 通所介護 (要介護1~5) |
22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 認知症対応型通所介護 (要介護1~5) |
22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 通所リハビリテーション (要介護1~5) |
22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 介護予防通所リハビリテーション (要支援1) |
88単位/月 | 72単位/月 | 24単位/月 |
| 介護予防通所リハビリテーション (要支援2) |
176単位/月 | 144単位/月 | 48単位/月 |
※通所介護については、要支援1・2の方および事業対象者が利用するサービスは総合事業の「通所型サービス(第1号通所事業)」へ移行しており、予防給付としての区分はありません。単位数は市町村が定めるため、保険者(市町村)にご確認ください。介護予防通所リハビリテーションは予防給付として存続しており、上表の単位数が適用されます。
算定要件
| 基本要件 | ・定員超過利用による減算に該当していないこと ・人員基準欠如による減算に該当していないこと |
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が70%以上であること ・介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上であること |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上であること |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が40%以上であること ・利用者に直接サービスを提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること |
※介護福祉士の割合・勤続年数の割合は、常勤換算方法により算出した前年度(3月を除く。4月〜2月の11か月間)の平均を用います。前年度の実績が6か月に満たない事業所は、届出日の属する月の前3か月の平均を用います。
※介護福祉士は各月の前月の末日時点で資格を取得している者、勤続年数は各月の前月の末日時点における勤続年数で判定します。
地域密着型通所介護・療養通所介護
地域密着型通所介護および療養通所介護のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 地域密着型通所介護 (要介護1~5) |
22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 療養通所介護 | なし | なし | (イ)48単位/月 (ロ)24単位/月 |
| 短期利用療養通所介護 | なし | なし | (イ)12単位/日 (ロ)6単位/日 |
療養通所介護には、加算Ⅰ・Ⅱの区分がありません。加算Ⅲの(イ)(ロ)のみが設けられており、算定要件も地域密着型通所介護とは別に規定されています。
算定要件
■共通の基本要件(すべての区分に適用)
| 基本要件 | ・定員超過利用による減算に該当していないこと ・人員基準欠如による減算に該当していないこと |
■地域密着型通所介護費を算定する場合
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が70%以上であること ・介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上であること |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上であること |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が40%以上であること ・地域密着型通所介護を利用者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること |
■療養通所介護費・短期利用療養通所介護費を算定する場合
| サービス提供体制強化加算Ⅲ(イ) | ・療養通所介護を利用者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ(ロ) | ・療養通所介護を利用者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数3年以上の者の占める割合が30%以上であること |
療養通所介護の要件では、介護職員に限らず、利用者に直接サービスを提供する職員が母数となります。介護職員だけで計算すると、本来対象となる職員が計算から漏れ、正しい割合を算出できません。必ず、利用者に直接サービスを提供する職員全体を対象に計算してください。
訪問入浴介護(介護予防訪問入浴介護)
訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 単位数 | 44単位/回 | 36単位/回 | 12単位/回 |
算定要件
訪問入浴介護は、通所介護などとは異なる要件体系が設けられています。
まず、以下の基本要件(加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ共通)をすべて満たすことが前提となります。
・すべての訪問入浴介護従業者に対して、従業者ごとに研修計画を作成し、研修(外部における研修を含む)を実施(または実施を予定)していること
・利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項の伝達、または訪問入浴介護従業者の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること
・すべての訪問入浴介護従業者に対して、健康診断等を定期的に実施すること
基本要件を満たしたうえで、各区分の要件を確認します。
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上 ・介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が40%以上 ・介護職員の総数のうち、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の占める割合が60%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が30%以上 ・介護職員の総数のうち、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の占める割合が50%以上 ・訪問入浴介護従業者の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
同じ加算Ⅲの中でも、介護福祉士の割合は「介護職員」、勤続年数は「訪問入浴介護従業者」と母数が書き分けられています。訪問入浴介護は人員基準上、看護職員の配置が求められるため、勤続年数の要件では看護職員も母数に含めて計算します。
介護職員だけで計算すると、看護職員が計算から漏れ、正しい割合を算出できません。勤続年数要件では、看護職員を含む訪問入浴介護従業者全体を対象に計算してください。要件を満たしていないのに算定してしまうおそれがあるため、区別して計算してください。
訪問入浴介護は、3段階すべての区分で算定が可能です。通所介護と比べて「介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者」を合算した割合でも要件を満たせる点が特徴です。
訪問看護(介護予防訪問看護)
訪問看護のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 指定訪問看護ステーション 病院・診療所の場合 |
6単位/回 | 3単位/回 | なし |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携して訪問看護を行う場合 | 50単位/月 | 25単位/月 | なし |
算定要件
訪問看護の算定要件は、他のサービスと大きく異なります。介護福祉士の割合ではなく、看護師等の「勤続年数」が判断基準となります。
区分ごとの要件に加え、以下の基本要件(加算Ⅰ・Ⅱ共通)をすべて満たす必要があります。
・すべての看護師等に対して、看護師等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従って研修(外部における研修を含む)を実施(または実施を予定)していること
・利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項の伝達、または看護師等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること
・すべての看護師等に対して、健康診断等を定期的に実施すること
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | ・看護師等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・看護師等の総数のうち、勤続年数3年以上の者の占める割合が30%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 区分の設定なし |
訪問看護はⅠとⅡの2区分のみで、Ⅲは設定されていません。また、介護福祉士の割合ではなく「看護師等の勤続年数」で要件が判断される点に注意が必要です。
なお、ここでいう「看護師等」とは、保健師・看護師・准看護師のほか、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を含む、指定訪問看護の提供に当たる従業者を指します。
訪問リハビリテーション(介護予防訪問リハビリテーション)
訪問リハビリテーションのサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 単位数 | 6単位/回 | 3単位/回 | なし |
算定要件
訪問リハビリテーションの算定要件は、本記事で紹介するサービスの中でもっとも構造が異なります。職員の割合をまったく用いず、勤続年数が一定以上の職員が「いること」だけが要件です。
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | ・訪問リハビリテーションを利用者に直接提供する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち、勤続年数7年以上の者がいること |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・訪問リハビリテーションを利用者に直接提供する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち、勤続年数3年以上の者がいること |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 区分の設定なし |
「30%以上」といった割合要件はありません。該当する職員が1人でもいれば要件を満たします。訪問看護も勤続年数で判断しますが、そちらは「看護師等の総数のうち30%以上」という割合要件であるため、混同しないようご注意ください。
また、本加算の算定要件としては、研修計画の作成や会議の開催といった体制要件は設けられていません。
短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)
短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 単位数 | 22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
算定要件
ショートステイは、通所介護より介護福祉士の要件割合が高く設定されているのが特徴です。
以下の表は、短期入所生活介護および介護老人保健施設が行う短期入所療養介護を基本に整理しています。
| 基本要件 (加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ共通) |
・定員超過利用による減算に該当していないこと ・人員基準欠如による減算に該当していないこと |
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が80%以上 ・介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が35%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上 ・看護・介護職員の総数のうち、常勤職員の占める割合が75%以上 ・サービスを利用者(入所者)に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
通所介護では加算Ⅰの要件が「介護福祉士70%以上」ですが、ショートステイでは「80%以上」と10ポイント高い水準が求められます。加算Ⅱも通所介護の50%以上に対して60%以上と高く設定されています。
また、加算Ⅲでは介護福祉士の割合のほかに「常勤職員75%以上」「勤続年数7年以上の者が30%以上」という選択肢が設けられており、いずれか1つを満たせば算定できます。
■特別養護老人ホームの空床を利用して行う場合の注意点
特別養護老人ホームの空床を利用して短期入所生活介護を行う場合(指定居宅サービス等基準第121条第2項の適用を受ける場合)は、当該特別養護老人ホームの介護職員が母数となります。加算Ⅲの勤続年数要件についても、当該特別養護老人ホームの入所者に介護福祉施設サービスを直接提供する職員が母数です。
■短期入所療養介護は事業所の類型ごとに規定が分かれます
短期入所療養介護については、介護老人保健施設・病院・診療所・介護医療院のいずれが行うかによって告示上の規定が分かれており、母数の取り方が一部異なります。特に、介護医療院が行う短期入所療養介護の加算Ⅲでは、介護福祉士50%以上の要件について、介護職員ではなく「看護・介護職員の総数」が分母となります。介護老人保健施設以外の類型に該当する事業所は、大臣基準告示第四十号および届出様式で母数をご確認ください。
施設サービス(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)・介護老人保健施設・介護医療院のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 単位数 | 22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
算定要件
特養・老健・介護医療院はサービス種別が異なりますが、算定要件はほぼ共通しています。
| 基本要件 (加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ共通) |
・定員超過利用による減算に該当していないこと ・人員基準欠如による減算に該当していないこと |
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下の両方を満たすこと
(1)以下のいずれかを満たすこと (2)提供するサービスの質の向上に資する取組を実施していること |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上 ・看護・介護職員の総数のうち、常勤職員の占める割合が75%以上 ・サービスを入所者(利用者)に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
施設サービスの加算Ⅰには、「サービスの質の向上に資する取組の実施」という要件があります。これは加算Ⅰのみに課される要件で、加算Ⅱ・Ⅲでは求められません。特定施設入居者生活介護および地域密着型特定施設入居者生活介護の加算Ⅰにも、同様の要件が設けられています。
この「質の向上に資する取組」とは、サービスの質の向上や利用者の尊厳の保持を目的として、事業所として継続的に行う取組を指します。具体的にどのような取組が該当するかは留意事項通知で示されているため、届出の前に必ずご確認ください。
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム等)
特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム、特定施設の指定を受けたケアハウスなど)のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 単位数 | 22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
算定要件
| 基本要件 (加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ共通) |
・定員超過利用による減算に該当していないこと ・人員基準欠如による減算に該当していないこと |
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下の両方を満たすこと
(1)以下のいずれかを満たすこと (2)提供する特定施設入居者生活介護の質の向上に資する取組を実施していること |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上 ・看護・介護職員の総数のうち、常勤職員の占める割合が75%以上 ・特定施設入居者生活介護を入居者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
特定施設の加算Ⅰは「介護福祉士70%以上」で、特養・老健・介護医療院(80%以上)よりも緩やかな水準です。
ただし、施設サービスと同様に「サービスの質の向上に資する取組の実施」が加算Ⅰのみの要件として加わる点に注意が必要です。加算Ⅱ・Ⅲでは求められません。
また、加算Ⅱ・Ⅲの介護福祉士の割合は通所介護よりも高い水準(加算Ⅱ:60%以上、加算Ⅲ:50%以上)に設定されています。
※介護予防特定施設入居者生活介護と一体的に運営している場合、介護職員の総数は、特定施設入居者生活介護を提供する介護職員と介護予防特定施設入居者生活介護を提供する介護職員の合計数で算定します。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
グループホーム(認知症対応型共同生活介護・介護予防認知症対応型共同生活介護)のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 単位数 | 22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
算定要件
| 基本要件 (加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ共通) |
・定員超過利用による減算に該当していないこと ・人員基準欠如による減算に該当していないこと |
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が70%以上 ・介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上 ・看護・介護職員の総数のうち、常勤職員の占める割合が75%以上 ・認知症対応型共同生活介護を利用者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
グループホームの介護福祉士等の割合要件は、特定施設入居者生活介護と同じ水準です。加算Ⅰは介護福祉士70%以上(または勤続年数10年以上の介護福祉士25%以上)で、特養・老健・介護医療院(80%以上)と比べるとやや低い水準です。
ただし、特定施設や施設サービスの加算Ⅰに課される「サービスの質の向上に資する取組の実施」は、グループホームでは要件とされていません。共通の基本要件に加えて割合要件を満たせば加算Ⅰを算定できる点が、特定施設との違いです。
ユニット数が少ない事業所では、少人数の異動が翌年度の職員割合に大きく影響します。年度末に4月~翌年2月の平均を算出して次年度の算定可否を確認するため、月ごとの勤務実績を記録しておくことが重要です。
なお、前年度の実績が6か月に満たず、直近3か月の実績で届け出た事業所は、届出後も毎月、直近3か月の割合を確認する必要があります。所定の割合を下回った場合は、算定できる区分を再確認し、区分変更または加算終了の届出を速やかに提出しなければなりません。
小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護および看護小規模多機能型居宅介護のサービス提供体制強化加算の単位数・算定要件は以下のとおりです。
単位数
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ | |
| 通常利用(月額) | 750単位/月 | 640単位/月 | 350単位/月 |
| 短期利用(日額) | 25単位/日 | 21単位/日 | 12単位/日 |
算定要件
小規模多機能型居宅介護の算定要件は、他の居宅・地域密着型サービスとやや異なります。
特に注意が必要なのは、看護職を分母から除くのは「介護福祉士の割合」を計算するときだけという点です。常勤職員の割合や勤続年数の要件では、看護職を含む従業者全体が分母になります。
■介護福祉士の割合を計算する場合(看護職を分母から除く)
・小規模多機能型居宅介護:看護師・准看護師を除いた従業者が分母
・看護小規模多機能型居宅介護:保健師・看護師・准看護師を除いた従業者が分母
■常勤職員の割合・勤続年数7年以上の者の割合を計算する場合
・看護職を含む従業者全体が分母
常勤職員の割合や勤続年数の計算でも看護職を除いてしまうと、本来対象となる職員が計算から漏れ、正しい割合を算出できません。看護職を含む従業者全体を対象に計算してください。要件を満たしていないのに満たしていると誤判断するおそれがあるため、区別して計算してください。
まず、以下の基本要件(加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ共通)を満たすことが前提となります。
・すべての従業者に対して、従業者ごとに研修計画を作成し、研修(外部における研修を含む)を実施(または実施を予定)していること
・利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項の伝達、従業者の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること
・定員超過利用による減算、人員基準欠如による減算に該当していないこと
そのうえで、区分ごとの要件を確認します。
| サービス提供体制強化加算Ⅰ | 以下のいずれかを満たすこと ・従業者(看護職員除く)の総数のうち、介護福祉士の占める割合が70%以上 ・従業者(看護職員除く)の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅱ | ・従業者(看護職員除く)の総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上 |
| サービス提供体制強化加算Ⅲ | 以下のいずれかを満たすこと ・従業者(看護職員除く)の総数のうち、介護福祉士の占める割合が40%以上 ・従業者の総数のうち、常勤職員の占める割合が60%以上 ・従業者の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 |
加算Ⅲの「常勤職員60%以上」は、特養・特定施設・グループホーム(75%以上)と比べて緩やかな水準に設定されています。
また、単位数が月額で算定される点も、1回ごとに算定される通所介護などとは大きく異なるため、収益への影響の計算方法が変わります。
シンクロシフトはサービス提供体制強化加算の加算チェック機能付き。シフト作成の工数削減、そして事務作業の負担軽減にもつながります。詳しくは以下よりご確認ください。
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サービス提供体制強化加算の単位数
各サービス提供体制強化加算の単位数を表にまとめました。
| 介護サービス | サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ | サービス提供体制強化加算Ⅲ |
| (介護予防)訪問入浴介護 | 44単位/回 | 36単位/回 | 12単位/回 |
| (介護予防)訪問看護 | 6単位/回
定期巡回・随時対応と連携 |
3単位/回
定期巡回・随時対応と連携 |
なし |
| (介護予防)訪問リハビリテーション | 6単位/回 | 3単位/回 | なし |
| 通所介護 | 22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| (介護予防)認知症対応型通所介護 | 22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 通所リハビリテーション | 22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 介護予防通所リハビリテーション | 要支援1 88単位/月 要支援2 |
要支援1 72単位/月 要支援2 |
要支援1 24単位/月 要支援2 |
| (介護予防)短期入所生活介護
(介護予防)短期入所療養介護 |
22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
| (介護予防)特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護 介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 介護老人保健施設 介護医療院 |
22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 750単位/月
サービス提供体制強化加算Ⅰ2(※1) |
640単位/月
サービス提供体制強化加算Ⅱ2(※1) |
350単位/月
サービス提供体制強化加算Ⅲ2(※1) |
| 夜間対応型訪問介護 | 夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合(基本夜間対応型訪問介護費を除く) 22単位/回 夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合 |
夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合(基本夜間対応型訪問介護費を除く) 18単位/回 夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合 |
夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合(基本夜間対応型訪問介護費を除く) 6単位/回 夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合 |
| 地域密着型通所介護 | 22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| 療養通所介護 | なし | なし | 療養通所介護費を算定する場合 (イ)48単位/月 (ロ)24単位/月 短期利用療養通所介護費を算定する場合 |
| (介護予防)小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護 |
750単位/月
短期利用の場合 |
640単位/月
短期利用の場合 |
350単位/月
短期利用の場合 |
| (介護予防)認知症対応型共同生活介護 | 22単位/日 | 18単位/日 | 6単位/日 |
※1 定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(Ⅲ)を算定する場合の加算区分です(基本夜間訪問サービス費を除く)。
※ サービスの種類によっては、加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのすべての区分が設けられていない場合があります。
※ 要支援1・2の方および事業対象者が利用する旧介護予防通所介護に相当するサービスは、介護保険の予防給付ではなく、市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業の「通所型サービス(第1号通所事業)」として提供され、単位数は市町村が定めます。介護予防通所リハビリテーションおよび介護予防認知症対応型通所介護は予防給付です。
参考:
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(各報酬告示・留意事項通知等)
・厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
・厚生労働省「介護報酬」(各年度の改定情報の一覧)
・独立行政法人福祉医療機構(WAMNET)「介護給付費単位数等サービスコード表(地域密着型サービス)(令和6年6月・8月施行版)」
サービス提供体制強化加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違い
サービス提供体制強化加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの主な違いは、サービス別に定められた職員割合や勤続年数などの算定要件と単位数です。
通所介護を例にすると、以下のように整理できます。
| 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ | |
| 主な要件 | 介護福祉士70%以上 または 勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
介護福祉士50%以上 | 介護福祉士40%以上 または 勤続7年以上30%以上 |
| 単位数(要介護) | 22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
| ハードル | 高い | 中程度 | 比較的低い |
端的に言えば、同一サービス内では、一般に上位区分ほど算定単位数が多く、算定した場合の介護報酬収入も大きくなります。
加算Ⅰは、高い介護福祉士割合または長期勤続の職員比率が求められるため、ベテラン職員が多い事業所や人材定着に取り組んでいる事業所が算定しやすい区分です。
加算Ⅱの割合要件は「介護福祉士50%以上」の一つであるため、加算Ⅰよりも目指しやすい区分といえます。
加算Ⅲは、介護福祉士の割合が要件に届かない場合でも、勤続年数の要件を満たせば算定できる可能性があります。長く勤務する職員が一定割合いる事業所では、算定を検討しやすい区分です。
※サービス種別によって、要件の数値だけでなく計算対象となる職員の範囲(母数)も異なります。たとえば、通所介護の加算Ⅲにおける勤続年数要件では、介護職員ではなく、利用者に直接サービスを提供する職員が母数です。詳細は上記「各サービス種別の算定要件」をご確認ください。
サービス提供体制強化加算の計算方法のポイント(介護職員の割合を用いる場合)
サービス提供体制強化加算を算定したいけれど、算定要件を満たしているのか気になる事業所も多いかもしれません。
ただし、算定に使用する職員の範囲や割合は、サービス種別・加算区分によって異なります。たとえば訪問看護では介護福祉士の割合を用いず、看護師等の勤続年数で判断します。訪問入浴介護では、介護福祉士の割合は「介護職員」、勤続年数は「訪問入浴介護従業者」と母数が分かれます。各サービスの具体的な要件は、前章の「サービス提供体制強化加算の算定要件」をご確認ください。
本章では、介護職員の割合を用いるサービス(通所介護、施設サービスなど)を例に、計算方法とポイントを解説します。
この場合、サービス種別や目指す加算区分に応じて、以下の指標のうち該当するものを計算します。
・介護職員の総数(介護福祉士の割合、および勤続10年以上の介護福祉士の割合を計算する際の分母)
・介護福祉士の割合(加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで使用)
・勤続年数(加算Ⅰでは勤続10年以上の介護福祉士、加算Ⅲでは勤続7年以上の職員の割合を確認します。加算Ⅲの分母となる職員の範囲はサービスによって異なります)
・常勤職員の割合(一部サービスの加算Ⅲで使用します。分母は「看護・介護職員の総数」や「従業者の総数」など、サービスによって異なります)
介護職員の総数
サービス提供体制強化加算を算定する際、介護職員の総数が必要になります。介護職員の総数を計算する際、常勤換算で計算しましょう。
常勤換算による介護職員の総数を求める計算式は、以下のとおりです。
「当該サービスに従事した介護職員の1か月の勤務延時間数÷当該事業所で常勤職員が勤務すべき1か月の時間数」
そして、計算する際には、注意すべき2つのポイントがあります。
・非常勤職員が有給休暇や出張した場合、その時間は勤務時間総数に含めることができない。
・常勤職員の休暇や出張の期間は、その期間が暦月で1か月を超えない限り、常勤の従業者として勤務したものとして取り扱います。
さらに、算定要件を満たすかどうかの判定には、ある1か月分の数値ではなく、前年度の平均を用いる点に注意が必要です。
・職員の割合は、常勤換算方法により算出した前年度(3月を除く。4月〜2月の11か月間)の平均を用いる
・前年度の実績が6か月に満たない事業所は、届出日の属する月の前3か月の平均を用いる
このように、介護職員の総数を計算する際、上記のポイントに注意しながら常勤換算で計算しましょう。
介護福祉士の割合
介護福祉士の割合は算定要件に関わる重要なポイントのひとつです。
介護福祉士の割合は、以下の手順で求めます。
まず、介護福祉士の常勤換算数を算出します。
「当該サービスに介護職員として従事した介護福祉士の1か月の勤務延時間数÷当該事業所で常勤職員が勤務すべき1か月の時間数=介護福祉士の常勤換算数」
次に、介護福祉士の割合を算出します。
「介護福祉士の常勤換算数÷介護職員の常勤換算総数×100=介護福祉士の割合(%)」
注意すべきポイントとして、介護福祉士は、各月の前月の末日時点で資格を取得している者がカウントの対象となります。
そのため、介護福祉士の割合を用いる場合、資格取得のタイミングに注意しながら計算するようにしましょう。
勤続年数
勤続年数も算定要件に関わる重要なポイントのひとつです。勤続年数の考え方、数え方を押さえておきましょう。
まず、勤続年数は各月の前月の末日時点における勤続年数で判定します。たとえば「勤続年数7年以上」の要件であれば、4月サービス提供分については3月31日時点で勤続年数が7年以上であるかどうかで判断します。
次に、勤続年数は「同一法人等でどのくらいの期間働いているのか」を示すものです。そのため、別の法人で働いていた期間は原則としてカウントされません。
ここでいう「同一法人等」には、同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われるなど、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれます。
そのうえで、以下のケースに該当する場合は、勤続年数として通算することができます。
・同一法人等における、異なるサービスの事業所での勤続年数
・同一法人等における、異なる雇用形態での勤続年数
・同一法人等における、異なる職種(直接処遇を行う職種に限る)での勤続年数
・同一法人等が経営する他の介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等において、サービスを利用者に直接提供する職員として勤務した年数
・事業所の合併または別法人による事業の承継の場合であって、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数
注意点として、異なる職種での勤続年数を通算できるのは直接処遇を行う職種に限られます。事務職など、利用者に直接サービスを提供しない職種として勤務していた期間は通算できません。
また、Q&Aで触れられている介護職員等特定処遇改善加算(令和6年6月に介護職員等処遇改善加算へ一本化)における「勤続年数10年」の考え方とは異なる点にも留意が必要です。
下記に紹介している、サービス提供体制強化加算におけるQ&Aの問 126も参考にしてください。
「介護福祉士の割合や勤続年数を、毎月手計算で確認するのが負担」
「区分を満たしているか、シフトを組みながら把握したい」
シンクロシフトにはサービス提供体制強化加算の加算チェック機能があり、シフトを作成しながら算定要件の充足状況を確認できます。シフト作成の効率化や職員配置の可視化、事務作業の負担軽減を支援します。
→ 介護事業者が開発したシフト管理システム【シンクロシフト】詳細はこちら
常勤職員の割合
一部サービスの加算Ⅲには、介護福祉士の割合や勤続年数のほかに、常勤職員の割合による選択肢が設けられています。介護福祉士の割合が要件に届かない場合でも、この要件を満たせば算定できます。
・施設サービス、特定施設、グループホーム、短期入所
→ 看護・介護職員の総数のうち、常勤職員の割合が75%以上
・小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護
→ 従業者の総数のうち、常勤職員の割合が60%以上
ここでいう「常勤」とは、事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していることをいいます。雇用形態が正規職員かパートタイムであるかは問いません。
なお、母数となる職種の範囲がサービスによって異なる点に注意が必要です。具体的な算出方法は、留意事項通知または指定権者(都道府県・市区町村)にご確認ください。
サービス提供体制強化加算の届出・申請方法
算定要件を満たしていることを確認できたら、事業所を管轄する都道府県または市区町村の窓口へ届出を提出します。
届出の期限は、サービスの種類によって2つのグループに分かれます。原則として以下のとおりです。
■算定を開始する月の「前月15日まで」に受理される必要があるサービス
訪問系・通所系・多機能系のサービスなど(訪問入浴介護、訪問看護、通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 など)
■算定を開始する月の「初日まで」に受理される必要があるサービス
・短期入所生活介護、短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
届出期限の具体的な運用は、指定権者(都道府県・市区町村)によって異なる場合があります。特に地域密着型サービスは、指定権者ごとに取扱いが異なる場合があるため、届出前に必ず管轄の窓口にご確認ください。
算定開始までの流れ
| STEP1 | 算定要件の確認 前年度(4月〜2月の11か月間)の職員割合を常勤換算で計算し、算定区分の要件を満たしているか確認します。 |
| STEP2 | 必要書類の準備 管轄の都道府県・市区町村が定める書類を用意します。 |
| STEP3 | 届出の提出 算定を開始したい月の前月15日までに提出します。ただし、短期入所・特定施設・施設サービス・グループホーム・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設は、算定開始月の初日までに受理される必要があります。 |
| STEP4 | 算定開始 必要な届出が期限までに受理されると、加算の算定を開始できます。算定開始月はサービス種別によって異なりますので、本章冒頭の期限区分をご確認ください。 |
必要書類
届出に必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的に以下の書類が求められます。
・介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
・介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
・サービス提供体制強化加算に関する届出書(サービス種別ごとに様式が異なります)
・職員の割合を算出した計算書(参考計算シートを活用)
・介護福祉士・勤続年数等の資格・勤続確認書類
・研修計画・会議記録(訪問入浴介護、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護など、研修計画・会議の要件があるサービスの場合)
各様式の名称・書式は自治体ごとに異なるため、届出前に必ず管轄の窓口または自治体ホームページで最新の様式を確認してください。
新規開設事業所の場合(運営実績6か月未満)
前年度の実績が6か月に満たない事業所は、届出日の属する月の前3か月の実績(常勤換算の平均)で判断します。
そのため、新たに加算を取得する場合は開設から4か月目以降に届出が可能となります。
例)8月1日に指定を受けた事業所の場合
・8月〜10月の3か月間の実績に基づき、11月以降に届出が可能です。
・前月15日までに届出が必要なサービスでは、12月以降の算定となります。
・算定開始月はサービス種別と指定権者の届出期限によって異なります。必ず管轄の窓口にご確認ください。
なお、前3か月の実績で届出を行った場合は、届出後も直近3か月の職員割合を毎月継続して確認・記録する必要があります。所定の割合を下回った場合は、算定できる区分を再確認し、区分変更または加算終了の届出を速やかに提出しなければなりません。
区分変更・加算取り下げの場合
算定中の区分から変更する場合や、加算の算定をやめる場合も、通常の届出と同様の期限が適用されます。変更を反映させたい月の前月15日まで(短期入所・特定施設・施設サービス・グループホーム・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設は変更を反映させたい月の初日まで)に届出が必要です。
要件を満たさなくなった場合は、期限にかかわらず速やかに届け出なければなりません。
・提出先・様式・期限は自治体によって異なる場合があります。必ず管轄の都道府県・市区町村の窓口に確認してください。
・算定区分に変更がなく、翌年度も継続して算定する場合は、新たな届出は不要なことが多いですが、要件確認の記録は毎年必須です。
参考:WAMNET 介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(確定版)(令和6年3月28日事務連絡)
サービス提供体制強化加算におけるQ&A
サービス提供体制強化加算の算定に関して、さらに詳しく知りたい場合のために厚生労働省より具体的なQ&Aが発表されています。
本章では実際に発表されているQ&Aを3つご紹介します。
※以下は令和3年3月26日に発出されたQ&Aの原文です。文中の「介護職員処遇改善加算」および「介護職員等特定処遇改善加算」は、令和6年6月に「介護職員等処遇改善加算」へ一本化されています。また、問126の「10年以上介護福祉士が30%」という数値は、現行のサービス別要件とは一致しません。勤続年数の考え方に関する参考資料としてご確認ください。
問 124
Q
共生型介護保険サービス事業所についても、サービス提供体制強化加算や介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算の算定要件を満たすことができれば、同加算を算定してよいか。
A
貴見のとおり。
問 125
Q
共生型介護保険サービスを提供する障害福祉サービス事業所においては、人員配置基準上、介護職員の配置は求められていない。
このため、共生型介護保険サービス事業所がサービス提供体制強化加算や介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算を算定するにあたっては、当該障害福祉サービス事業所のホームヘルパーや生活支援員等の「福祉・介護職員」を介護職員とみなすこととして差し支えないか。
A
差し支えない。
問 126
Q
「10 年以上介護福祉士が 30%」という最上位区分の要件について、勤続年数はどのように計算するのか。
A
サービス提供体制強化加算における、勤続 10 年以上の介護福祉士の割合に係る要件については、
・介護福祉士の資格を有する者であって、同一法人等での勤続年数が 10 年以上の者の割合を要件としたものであり、
・介護福祉士の資格を取得してから 10 年以上経過していることを求めるものではないこと。
「同一法人等での勤続年数」の考え方について、
・同一法人等(※)における異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる雇用形態、職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数
・事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合
の勤続年数は通算することができる。
※同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われる等、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれる。
なお、介護職員等特定処遇改善加算において、当該事業所における経験・技能のある介護職員の「勤続年数 10 年の考え方」とは異なることに留意すること。
※サービス種別によって具体的な数値は異なります。詳細は上記の各サービス種別の算定要件をご確認ください。
引用:厚生労働省「介護保険最新情報Vol.952 令和3年3月26日」
上記のQ&A以外にも、サービス提供体制強化加算や介護保険制度の詳細を確認が必要となる場合があると思われます。
その際は、指定権者である都道府県・市区町村の介護保険担当窓口へお問い合わせください。
まとめ
今回はサービス提供体制強化加算の算定要件や計算方法を中心に解説しました。サービス提供体制強化加算は職員を確保し、質の高いサービスを提供している介護施設・事業所を評価する加算です。
多くのサービスでは加算(Ⅰ)~(Ⅲ)が設けられていますが、区分の数や名称はサービスによって異なります。
介護職員の割合を用いるサービスの場合、算定要件を満たしているか確認するためには、目指す加算区分に応じて以下の指標を計算します。
・介護職員の総数
・介護福祉士の割合
・勤続年数
・常勤職員の割合(一部サービスの加算Ⅲの選択肢。対象職員の範囲はサービスによって異なります)
ただし、計算対象となる職員の範囲は、サービス種別・加算区分によって異なります。訪問看護のように、介護福祉士の割合を用いず看護師等の勤続年数で判断するサービスもあるため、必ず各サービスの算定要件をご確認ください。
職場の実情と算定要件を照らし合わせて、確実に算定できるように対応しましょう。
さらに、サービス提供体制強化加算について詳しく確認したい場合、厚生労働省のQ&Aの確認や各自治体の窓口へ問い合わせてください。
※本記事は、作成時点の最新の資料・情報をもとに作成しています。算定要件や単位数は制度改正で変更される場合があり、解釈や届出の取扱いはサービス種別・指定権者(都道府県・市区町村)によって異なることがあります。実際の算定・届出にあたっては、最新情報をご確認のうえ、管轄の窓口へお問い合わせください。
| この記事の執筆者 | Kawashow 所有資格:介護福祉士 介護支援専門員 福祉用具専門相談員 福祉住環境コーディネーター2級 介護職として介護付き有料老人ホーム・病院の現場で7年間勤務。 ケアマネ資格取得後、地域密着型特養のケアマネとして2年間勤務し、現在は居宅介護支援事業所のケアマネとして8年目を迎えます。 本業と並行し、介護・福祉系ライターとしても活動しています。 |
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