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通所介護(デイサービス)の中重度者ケア体制加算とは?算定要件、単位数などについて解説

中重度者ケア体制加算とは

中重度の要介護者が安心して自宅での生活を続けるためには、通所介護(デイサービス)での支援体制が欠かせません。
 
その取り組みを評価するのが「中重度者ケア体制加算」です。
 
本記事では、通所介護における中重度者ケア体制加算について、制度の目的や算定要件、職員配置の計算方法、届出手続き、注意点などを解説します。

中重度者ケア体制加算とは

中重度者ケア体制加算は、要介護3以上の中重度ご利用者を積極的に受け入れ、適切なケア体制を整備している通所介護事業所を評価する介護報酬上の加算です。

平成27年度介護報酬改定で新設され、高齢化の進展に伴い増加する中重度の要介護者への対応を推進することが目的となっています。

中重度者ケア体制加算は単純にご利用者を受け入れるだけでなく、社会性の維持や在宅生活の継続に向けた専門的なケアプログラムの実施を求めていることも特徴です。

これにより、ご利用者の生活の質向上とご家族の介護負担軽減の両立を図ります。

2024年度の介護報酬改定では、基本的な算定要件に大きな変更はありませんでした。

しかし、継続的な要件維持の重要性がより強調され、特に2025年問題を目前に控え、団塊の世代が75歳以上となる中で、中重度者への対応はますます重要になってきていると言えるでしょう。

中重度者ケア体制加算の算定要件

中重度者ケア体制加算を算定するためには、4つの要件をすべて満たす必要があります。

要件①人員配置基準(看護職員・介護職員の加配)

加算を算定するためには、通常の人員配置基準に加えて、常勤換算で2名以上の職員を加配している必要があります。職員には、看護職員と介護職員のどちらも含まれます。

加配の考え方は以下の通りです。

・「加配」とは、基準以上に配置している職員を意味する

・常勤換算方法に基づいて、勤務時間から必要人員数を計算する

・非常勤職員も対象となるが、勤務時間数に応じて換算される

看護職員を加配に含める場合には、後述の「専従配置」との関係も踏まえて職務の兼務や分担を明確にしておきましょう。

要件②利用者の要介護度割合(30%以上の計算方法)

『前年度または算定日が属する月の前3か月間の利用者総数のうち、要介護状態区分が要介護3以上である者の占める割合が30%以上であること』が要件となっています。

計算期間は以下のいずれかを選択できます。

・前年度(3月を除く)の実績
・算定開始月の前3か月間の実績

計算式は次のとおりです。

(要介護3以上のご利用者数)÷(ご利用者総数)×100 ≧ 30%

計算時の注意点として、月途中で要介護度が変更になった場合は、月末時点の要介護度で計算します。要支援者は計算に含めません。

また、分母・分子ともに要介護者のみで計算するため注意が必要です。

実際の計算例を見てみましょう。

ご利用者総数 要介護3以上 割合
1月 50名 16名 32.0%
2月 48名 15名 31.3%
3月 52名 17名 32.7%
合計 150名 48名 32.0%

 

この例では、3か月平均で32.0%となり、要件を満たしています。

要件③専従の看護職員配置

『サービス提供時間を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を1名以上配置していること』が要件です。

「専従」とは、サービス提供時間中は他の職務との兼務ができないことを意味します。

具体的には、以下のような業務との兼務は認められません。

・機能訓練指導員
・生活相談員
・管理者業務
・他の加算に係る業務

例えば、8時間営業の通所介護であれば、8時間通して看護職員1名が専従で配置される必要があります。

看護職員のシフト交代は可能ですが、常に1名は専従であることが条件となります。

要件④ケアプログラムの実施

中重度者ケア体制加算を算定するためには、ご利用者の状態に応じたケアプログラムを作成し、実施していることも必要です。

このケアプログラムは、日常生活動作(ADL)の維持・改善や、社会参加の促進などを目的とした支援内容を含みます。

ケアプログラムに関する主な要件は次の通りです。

・要介護3以上のご利用者を対象に実施する

・内容は「社会的孤立の防止」や「心身機能の維持向上」などを目的とする

・実施状況やプログラムの内容を記録として残す

・看護職員や介護職員、生活相談員などの多職種が関与することが望ましい

たとえば、集団活動の中で軽度な運動プログラムや、生活機能訓練、個別のコミュニケーション支援などが対象となるケースがあります。

プログラムの作成者に特別な資格要件はありませんが、看護職員の指示に基づき、多職種で協力して作成することが望ましいでしょう。

ご利用者一人ひとりの状態に応じた個別性の高いプログラムを作成することが重要です。

中重度者ケア体制加算の単位数

中重度者ケア体制加算の単位数

中重度者ケア体制加算の単位数は1日につき45単位です。

この加算は事業所のご利用者全員に算定可能で、要介護度に関係なく要支援者も含めて全ご利用者が算定対象となります。

他の加算との併算定も可能で、認知症加算や個別機能訓練加算、入浴介助加算などの基本的な加算とも併算定できます。

算定対象者の範囲が広いため、要件を満たせば安定した収益増が期待できます。

収益シミュレーション

中重度者ケア体制加算によって、実際にどの程度の収益が見込めるか、具体的な数字で確認してみましょう。

【1人あたりの収益例】
月20日利用の場合の計算です。

・月間:45単位 × 20日 = 900単位
・年間:900単位 × 12か月 = 10,800単位
・金額換算(1単位10円の地域):年間108,000円

【事業所全体の収益例】
ご利用者30名の事業所の場合を見てみましょう。

・月間:900単位 × 30名 = 27,000単位
・年間:27,000単位 × 12か月 = 324,000単位
・金額換算:年間3,240,000円

このように、中重度者ケア体制加算は事業所にとって大きな収益源となります。

ただし、職員配置に係る人件費との兼ね合いも考慮する必要があるでしょう。

職員配置の計算方法

ベッドから起き上がる高齢者と介護士

中重度者ケア体制加算を算定するには、常勤換算での職員数や加配の状況を正確に把握しておくことが欠かせません。

常勤換算の考え方と、実際の加配人数の算出についてまとめました。

常勤換算の計算手順

常勤換算とは、非常勤職員を含めた人員数を常勤職員の勤務時間に換算して表す方法です。

加算の要件である「常勤換算で2名以上の加配」や「看護職員の常勤換算1.0」の基準を満たすためには、この換算方法を正しく理解しておく必要があります。

計算式は次の通りです。

【常勤換算の式】

非常勤職員の1週間の勤務時間 ÷ 常勤職員の1週間の所定労働時間

例えば、常勤職員の週所定労働時間が40時間とした場合、1日4時間・週5日勤務(合計20時間)の非常勤職員は、

20 ÷ 40 = 0.5人

として換算されます。

複数の非常勤職員の勤務時間を合算することで、1.0(常勤換算1人分)に到達することも可能です。

職員の配置数の計算方法

例えば、定員が20人で提供時間が7時間、常勤の勤務すべき時間数が週40時間の通所介護の場合。

営業日が月曜日から土曜日の場合には、常勤換算の計算方法は以下の通りとなります。

中重度者ケア体制加算 職員の配置数の計算方法

① 指定基準を満たす確保すべき勤務延時間数(例:月曜日の場合)
確保すべき勤務時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数=11.2 時間

② 指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数(例:月曜日の場合)
指定基準に加えて確保された勤務時間数=(8+7+8)-11.2=11.8 時間

以上より、上記の体制で実施した場合には、週全体で 84 時間の加配時間となり、84 時間÷40 時間=2.1 となることから、常勤換算方法で2以上確保したことになります。

出典:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)

中重度者ケア体制加算の届出と申請

届出にあたっては、加算を適正に算定するための体制が整っていることを示す資料を整える必要があります。

以下は、主に求められる提出書類の例です。

・介護給付費算定に係る体制等に関する届出書

・介護給付費算定に係る体制等状況一覧表

・中重度者ケア体制加算に関する届出書

・利用者の割合に関する計算書(中重度者ケア体制加算)

自治体によって様式や追加書類が異なる場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。

届出のタイミング

届出のタイミングは、新規算定か継続かによって異なります。

【新規算定の場合】
・算定開始月の前月15日まで

・4月から算定を開始したい場合は、3月15日までに届出

【継続の場合】
・前年度から要件を満たし続けている場合は、新たな届出は不要

要件を満たさなくなった場合は速やかに取り下げ届を提出することが必要です。

中重度者ケア体制加算の留意点

中重度者ケア体制加算を申請する時の注意点

中重度者ケア体制加算を算定していくにあたり、注意すべきポイントがあります。

要件未達や記録不備により、加算が認められなくなるケースもあります。

気をつけるべき実務上の注意点としては、以下のようなものがあげられます。

1.毎月の要件チェック
加算は届出後、自動的に継続できるわけではなく、要件(人員配置・利用者比率・専従配置など)を毎月達成しているかを確認しなければなりません。
1つでも要件を満たせなくなった場合、その月の加算は算定できません。

2.記録や勤務表の整備
専従の看護職員の配置状況や職員の勤務時間、ご利用者の要介護度別利用回数など、根拠となる記録が必要です。
実地指導の際には、これらの記録が確認されることがあります。

3.人員体制の変動に注意
退職や急な欠勤などにより人員体制が変わると、加算の要件を満たせなくなることがあります。
特に看護職員の専従配置は代替が難しいため、欠員リスクを事前に想定した運用が必要です。

4.併算定とのバランス
中重度者ケア体制加算は他の加算(例:認知症加算や機能訓練加算)と併算定できる場合もありますが、職員の兼務や配置条件によっては難しいケースもあるでしょう。
職員体制全体のバランスを見ながら運用することが大切です。

通所介護(デイサービス)の中重度者ケア体制加算のQ&A

問26 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人を、指定通所介護を行う時間帯を通じて配置すれば、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人の配置でそれぞれの加算を算定できるのか。

(答)中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員は他の職務と兼務することはできない。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了している者を別に配置する必要がある。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A(平成 27 年4月1日)

問 59 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ又はロにおいては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置する必要があるが、中重度者ケア体制加算を算定する場合に配置が必要となる看護職員がこれを兼ねることは可能か。

(答)中重度者ケア体制加算を算定するにあたっての人員配置に係る要件は、
a 通所介護等事業所に配置が必要とされる看護職員又は看護職員の数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していること。
b 指定通所介護等を行う時間帯を通じて、専ら当該通所介護等の提供に当たる看護職員を1名以上配置していること。
としており、これに照らせば、aにより配置された看護職員にあっては、中重度者ケア体制加算の算定に係る看護職員としての業務に従事していない時間帯において、個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定要件や個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件の一つである「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等」として勤務することは差し支えない。bにより配置された看護職員は、「指定通所介護等を行う時間帯を通じて、専ら通所介護等の提供に当たる看護職員」である必要があることから、同一営業日において「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等」として勤務することはできない。

引用:令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和3年3月26日)

まとめ

中重度者ケア体制加算は、要介護度が高いご利用者に対して、適切な支援体制を整えている事業所を評価する仕組みです。

通所介護においてこの加算を算定するには、複数の要件を継続して満たす必要があり、特に職員の配置や専従の看護職員確保など、現場での取り組みが求められます。

看護職員の確保や人件費のバランスなど、ハードルの高さもありますが、加算を導入することでご利用者への支援の幅が広がり、事業所の経営安定にもつながるといえるでしょう。

この記事の執筆者
シフトライフ編集部
シフトライフ編集部

主に介護業界で働く方向けに、少しでも日々の業務に役立つ情報を提供したい、と情報発信をしています。

 
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