「介護施設のDX化やICT化を進めたい」
「さまざまなツールを導入したいけれど、コストがかかるので悩んでいる」
「IT機器購入時にも使える補助金があると知ったが、それはどのようなものだろうか」
このように考えている、介護施設の経営者や管理者の方も多いことでしょう。
この記事では、介護のDX化やICT化に活用できる補助金として、2点紹介します。
・IT導入補助金
・ICT導入補助金
また、介護ICT導入に関する事例も紹介しています。
補助金を活用してシステム導入のコストを減らしたい、もしくは、介護業務や管理運営業務の改善・効率化を円滑に進めたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
介護業界のDX化とは
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」を意味する言葉です。分かりやすく言い表すと、「デジタル化により社会や生活をより良いものにすること」になります。
介護業界でのDX化とは、介護の現場にAIやITツール、ICTツールを導入して、業務の効率化をはかり、介護の質を向上させることです。
AIは日本語で「人工知能」を意味しており、ITは日本語で「情報技術」を意味します。
ITと似た言葉としてあげられるのが、ICTです。ICTは日本語で「情報通信技術」を意味しており、情報や知識の共有といったコミュニケーションを重視した技術になります。
介護DX化における具体的なツールは、主に以下のとおりです。
・介護ソフト
・グループウェア
・介護ロボット
・ベッドサイド見守りシステム
・シフト管理システム
・タブレット端末
・インカム
介護DXのメリットと課題
介護DX化のメリットとしては、以下のようなものがあります。
・業務の効率化
・職員の負担軽減
・介護の質向上
介護業界は全体的に深刻な人手不足に悩まされており、いかに業務効率を高めていくか、生産性向上を果たすかが重要なポイントとなってきます。そのため、介護現場のDX化・ICT化を検討している事業者も多いと思います。
しかし、介護DX化には課題もあります。
・各種ツールを導入するにあたってコストがかかる
・職員のIT操作スキルばらつきがある
・費用対効果がすぐに現れないことが多い
・現場のニーズに合わないシステムを導入するとコストが無駄になる
などが挙げられます。そのうち、DX化が進まない大きな要因は費用の問題、という介護事業者も多いのではないでしょうか。
課題の1つである「各種ツールの導入コスト」の軽減に役立つものが、各種補助金です。
介護事業所のDX化で活用できる補助金とは
介護事業所がDX化を導入するにあたっては、コスト面の課題が大きい介護事業者も多いと思います。そうした場合に活用を検討していただきたいのが補助金です。
補助金を活用することができれば、導入の負担を軽減することができます。ここでは、介護事業者がDX化をすすめるにあたっての補助金を2つ紹介します。
・IT導入補助金
・ICT導入補助金
1つずつ説明していきます。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、介護事業所を含む中小企業や小規模事業所がITツールを導入する際に受けられる補助金で、管轄は経済産業省です。
しかし、IT導入補助金は介護事業所単独での申請が行えません。IT導入支援事業所とパートナーシップを組んでの申請が必要です。
IT導入支援事業所とは、IT導入補助金を申請する事業所を支援して、ITツールの導入や申請のサポートを行う企業です。
IT導入支援事業所は、IT導入補助金事務局2024に登録されています。またITツールを販売している事業者がIT導入支援事業所となっており、導入にあたり補助金申請のサポートを相談できるケースもあります。
IT導入補助金の補助対象
IT導入補助金の補助対象になるのは、主に以下のとおりです。
・各種ソフトウェア
・ソフトウェア導入に関するコンサルティング
・セキュリティ対策や機能拡張などのオプション
各種ソフトウェアとは、以下のようなものです。
・会計システム
・勤怠労務管理ツール
・総務人事管理ツール
介護に直結するソフトではなく、人事や勤怠労務など、管理者や経営者向けのソフトであると分かります。
IT導入補助金は複数の種類があり、その種類ごとに補助金額が異なります。
詳しくは当サイトに掲載している記事、IT導入補助金とICT導入補助金の違いについて|介護事業で使える補助金をご覧ください。
ICT導入補助金
ICT導入補助金とは、厚生労働省による「介護テクノロジー導入支援事業」の一部です。厚生労働省では、介護現場におけるICT化を推進しています。
2019年度から厚生労働省管轄のもと、各都道府県でICT導入支援事業が始まりました。2021年度には、全47都道府県で実施されています。
ICT導入補助金の補助対象
ICT導入補助金の補助対象になるものは、主に以下のとおりです。
・介護ロボット
・介護ソフト
・タブレット端末
・インカム
・各種運用経費
IT補助金とは異なり、介護現場に直結するものが補助対象になっています。ICT導入補助金の場合、補助額は介護事業所の従業員数によって異なります。
・1~10人:100万円
・11~20人:160万円
・21~30人:200万円
・31人以上:260万円
補助率は、一定の要件を満たした場合は3/4であり、それ以外は1/2です。
【参照】令和6年度概算要求の概要(老健局)の参考資料|介護テクノロジー導入支援事業(仮称)
介護現場の業務効率化にDX化・ICT化は重要
DX化やICT化は、介護現場の業務効率化にとって重要な役割を果たします。その背景にあるものが、「2025年問題」及び「2040年問題」です。
2025年問題とは、団塊の世代と呼ばれる1947〜1949年に生まれた方全員が、75歳以上の後期高齢者になることで起こる問題です。
具体的には以下のような状況が起こります。
・社会保障費(介護費や医療費)の増加
・認知症高齢者の増加
・生産年齢人口(15~64歳)の減少
これらの状況により、高齢者の支援体制が弱体化していくことが2025年問題です。
2040年問題は、第2次ベビーブームの1971〜1974年に生まれた方全員が、65歳以上の高齢者になることで起こる問題です。
第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について、令和6年7月12日に第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数が公表されましたが、2040年には介護職員は約57万人不足するとされています。
今以上に不足すると考えられる介護人材不足を補うためにも、介護現場のDX化やICT化が重要な役割を果たすことは間違いありません。
【参照】我が国の人口について|厚生労働省
【参照】介護人材確保に向けた取組について | 厚生労働省
介護ICT導入事例
介護施設のDX化・ICT化を考えた場合、前例や事例を知りたいという方も多いでしょう。当サイトに掲載の記事、介護・福祉現場のICT化 活用事例・導入事例5選では、ITとICTの違いや介護・現場でのICT化導入事例を紹介しました。
事例としてあげられたケースは、以下の5つです。
・記録作成(青森県)
・シフト作成(北海道)
・見守り(山形県)
・オンライン面会(茨城県)
・トイレ誘導効率化(鹿児島県)
加えて、ICT化のメリットやデメリットも紹介していますので、当記事とあわせてご覧ください。
まとめ
この記事では、以下について説明しました。
・介護業界のDX化
・介護事業所のDX化で活用できる補助金
・介護現場におけるDX化・ICT化の重要性
・介護ICT導入事例
2025年問題や2040年問題が迫っている中で、介護人材不足も深刻な問題です。だからこそ、DX化やICT化が重要になってきているといえるでしょう。特に若い介護人材にとっては現場のICT化などは、職場選びの重要なポイントとなってきています。
各種補助金を上手に利用して、DX化やICT化を進めていきましょう。
この記事の執筆者 | 古賀優美子 保有資格: 看護師 保健師 福祉住環境コーディネーター2級 薬機法管理者 保健師として約15年勤務。母子保健・高齢者福祉・特定健康診査・特定保健指導・介護保険などの業務を経験。 地域包括支援センター業務やケアマネージャー業務の経験もあり。 高齢者デイサービス介護員としても6年の勤務経験あり。 現在は知識と経験を生かして専業ライターとして活動中。 |
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