高齢者施設は常に人手不足に悩まされています。
とくに深夜業務は、最小限の人数で業務をおこなわなければいけません。
そのため、介護スタッフにとっては肉体的・精神的負荷も大きいでしょう。
どうにかその負担を解消しようと考えられているのが、見守り支援システムの「眠りスキャン」です。
介護職の深夜業務の肉体的・精神的負荷の軽減はもちろん、利用者のさまざまなリスクの軽減にもつながります。
しかしながら、本当に様々な負荷が軽減されるのか、デメリットはないのかなど、不安も感じると思います。
そこで今回は、眠りスキャンの特徴、メリットやデメリットについてご紹介します。
目次
見守り支援システム「眠りスキャン」とは?
見守り支援システム「眠りスキャン」とは、ベッドのマットレスの下に設置するセンサーのことです。
利用者様が睡眠中の覚醒時、起き上がり、離床時をセンサーが判断してリアルタイムで設置しているモニターに送られます。
介護スタッフが持ち歩いている端末機器やパソコンに画面が送られてきて共有できるため、利用者のお部屋に行かなくても状態がわかるので安心です。
また、覚醒時、起き上がり、離床時はセンサーの音が鳴るため、利用者の状態をすぐに知ることができます。
眠りスキャンの特長
眠りスキャンの特長は以下となります。
リアルタイムモニター機能搭載
リアルタイムモニターとは、利用者の睡眠・覚醒・起き上がり・呼吸数をパソコンやアイパッド、スマートフォンなどの端末機器のモニター上で、リアルタイムで把握することができます。
そして利用者の状態に応じて、覚醒や起き上がり、離床のアラーム設定も可能です。
睡眠日誌
利用者の様子を24時間見守ることができ、睡眠状態を表で確認できます。
そのため、その方の睡眠状態を睡眠日誌として把握できて、ご家族へ報告することもしやすくなります。
また利用者の生活習慣の改善にも役立てることができます。
心拍・呼吸日誌
利用者の呼吸数や心拍数を知ることができるので、その日誌を見ることで、体調の変化を把握できます。
モニターでは呼吸数が増えると呼吸増加という文字が表示され、日誌にも赤字で表示されるのでわかりやすいです。
高齢者施設に「眠りスキャン」を導入するメリットは何があるの?
現在介護ロボット支援事業によって、多くの高齢者施設で眠りスキャンが導入されています。
ここから、眠りスキャンを導入することによってどのようなメリットがあるのかを解説していきます。
利用者の睡眠状態を正しく把握できる
利用者のマットレスの下に眠りスキャンを設置することによって、モニター画面と端末機器で利用者の状態を常に把握できます。
そのことにより、覚醒時のみに利用者のお部屋を訪れられます。
都度、見回りによって確認していた場合と比較して、眠りスキャンで利用者の状態が把握できることで不必要な訪室を減らすことができます。
また、夜間のトイレに行く際も転倒リスクを避けられるでしょう。
起き上がった時にアラームが鳴るため、トイレ誘導もスムーズです。
利用者の覚醒時がわかる
モニターを設置している利用者様には睡眠中の覚醒時がわかるため、睡眠を妨げることなく快適にオムツ交換や体位交換などが行えます。
そのため、利用者の精神的負担の軽減にもつながります。
モニターで状態を把握できるので素早い対応が可能
眠りスキャンは、モニターで起き上がりか離床かを判断できるため、素早い対応が可能です。
利用者の安全面に配慮されており、転倒防止にも役立ちます。
心身の健康状態を改善
睡眠日誌から、利用者様の睡眠時間や覚醒時、離床回数、起床時刻、徘徊などを把握することが可能です。
利用者の状態を把握して、昼夜逆転している場合は日中の活動を積極的に行い、夜間の睡眠状態を改善するためにも、夜間声かけの回数にも配慮することが大切です。
また、ご家族へ状態を報告をして、心身の健康状態の改善につながれば、信頼関係の構築になります。
さらに睡眠状態が良好になると、睡眠導入剤や睡眠薬を減らせます。
利用者の体調の変化にすぐに対応
心拍、呼吸日誌は色で判断できるため、体調の変化にすぐに気付けます。
発熱して呼吸数や心拍数が上昇すると、画面上では緑で塗りつぶしたようなグラフになり、変動が激しいとカラフルに表示されます。
すぐに体調の変化に気付くことができると、早期対応につながるので安全面においても安心です。
眠りスキャンにデメリットはあるの?
眠りスキャンはメリットの多いICT介護支援ツールですが、デメリットもあります。
まず費用面です。
導入にあたり費用が発生しますので、導入を決める立場の方は費用対効果を考えることが必要です。
また、眠りスキャン介護業界において画期的なアイテムですが、利用者の生命に関する監視はできません。
寝返りなどの大きな体動やその時の状況によって、呼吸や心拍数が検出できない場合があります。
そのため、すべてを眠りスキャンに頼りすぎずに、その時の状況に応じて対応することが大切です。
眠りスキャン導入により、介護職の深夜業務の肉体的・精神的負荷が軽減できる
これまで介護施設での深夜業務は、定期的に利用者のお部屋に行って状態を確認していました。
そのことで利用者だけでなく、介護スタッフにも心身ともに影響があったことでしょう。
とくに深夜業務は人手不足となりやすいです。
介護職の1人夜勤といったケースも多いでしょう。
眠りスキャンを導入することによって、利用者のお部屋を訪室しなくてもリアルタイムでモニターごしに確認できるので、利用者の状態も把握しやすくなりました。
それにより夜勤勤務している介護職の肉体的・精神的な負担が軽減します。
介護職のこうした肉体的・精神的な負担軽減が大きなメリット、という声は多いです。
眠りスキャンがどのような目的で導入されているか
実際に眠りスキャンがどのような目的で導入されているか、事例からご紹介します。
転倒リスクが高い利用者への導入
高齢者施設では認知症がある利用者が多いです。
さらに足腰が弱っている方も多いので、転倒リスクがある利用者もいます。
とくに深夜になると徘徊をすることも増えるので、目が離せません。
眠りスキャンを導入することで、覚醒、起き上がり、離床とスキャンが反応するので、アラームが作動するとすぐに訪室できます。
このように、素早い対応をすることで、車椅子移乗もスムーズで、転倒リスクの回避にもつながります。
急変がある利用者への導入
いつ急変があるかわからない看取り状態の利用者は、眠る状態が増えてきます。
介護スタッフは常に他の業務中も端末機器やスマホを持ち歩いて状態を把握しておかなければいけません。
その際もリアルタイムで心拍数や呼吸状態を細かに把握できるため、急変に備えやすくなるので安心です。
眠りスキャン 詳細はこちら
眠りスキャンについて、詳細はパラマウントベッド公式サイトからご確認ください。
まとめ
眠りスキャンを導入することによって、利用者はもちろん、介護スタッフの深夜業務での肉体的・精神的な負荷が軽減されます。
深夜業務はスタッフが少なくなるため、巡回や利用者の介助や記録など、1人でこなさなければいけない業務がたくさんあります。
心身ともに負荷がかかりやすいでしょう。
眠りスキャンを導入することで、利用者の状態を詳しく把握し、その方に合う睡眠リズムを知ることができてスムーズな対応が可能です。
また、取得できるデータを元に生活習慣の改善などにつなげることができ、結果として利用者の豊かな暮らしにもつながるでしょう。
このように眠りスキャンを導入することによって多くのメリットを享受することができます。
介護スタッフの深夜業務での肉体的・精神的な負荷を軽減して、働きやすい職場づくりをしたいとお考えでしたら、そうした目的にも眠りスキャンは効果が期待できます。