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【教えて!】訪問看護と訪問介護の違いとは?それぞれの業務の内容を紹介

訪問看護と訪問介護の違いとは

訪問看護と訪問介護
職種の名前はよく似ていますが、実際はさまざまな違いがあります。
その違いをご存知でしょうか?
この記事では、それぞれの業務内容にも触れながら、訪問看護と訪問介護の違いについて詳しく解説いたします。
また、両者が同じ時間に訪問できるかという疑問や、両者に存在する「2時間ルール」についてもお伝えします。
ぜひ参考になさってください。

訪問看護と訪問介護の違いとは?

訪問看護と訪問介護の最も大きな違いは、

医療行為をできるかどうか

です。

医療行為とは以下のような行為を指します。

・点滴
・導尿
・カテーテル管理
・注射
・採血
・人工肛門のパウチ交換
・床ずれの処置
・気管カニューレ管理
・人工呼吸器管理
・中心静脈栄養管理
・在宅酸素療法管理

在宅でこれらの医療行為を行えるのは、訪問看護であり、訪問介護では実施できません。

ただし、医療行為のうち「たんの吸引」と「経管栄養」に関しては例外です。
2012年4月から、指定の研修を修了した介護職員に限り実施可能となりました。

医療行為以外の違いとして挙げられるのは、「その業務を担当する職種」です。

訪問介護は、介護福祉士や介護職員初任者研修修了者と言った、介護に関する有資格者が担当します。

これに対し訪問看護を担当するのは、看護師や保健師、助産師、准看護師など、看護専門職です。

訪問看護とは

訪問看護とは、看護師や保健師などの看護専門職が、利用者さんの家庭を訪問して看護を行うことです。
理学療法士などリハビリテーション職が訪問する場合もあります。

訪問看護は、介護保険によるものと医療保険によるものがあり、どちらも主治医の指示書が必要です。

介護保険による訪問看護は、ケアマネージャーが作成したケアプランに沿って回数や時間が決まります。
1回の訪問時間は、20分、30分、1時間、1時間30分の4つに分かれます。

医療保険による訪問看護の場合、通常週3回までとされており、1回の訪問時間は30分から1時間30分程度です。

訪問看護を利用できる人

介護保険による訪問看護を利用できるのは、要支援1~2及び要介護1~5と認定された人です。

医療保険による訪問看護を利用できる人は年齢によって異なります。
詳しくは以下をご覧ください。

65歳以上
医師が訪問看護の必要性を承認しており、要支援1~2及び要介護に1~5に該当しない人

40歳以上65歳未満
医師が訪問看護の必要性を承認しており、要支援1~2及び要介護に1~5に該当しない人
(介護保険第2号被保険者以外の人)

40歳未満
医師が訪問看護の必要性を承認した人

訪問看護のサービス内容

訪問看護で行うサービス内容は、主に以下のとおりです。
病院で看護師が行う業務とほぼ同じと考えて差し支えないでしょう。

・血圧・脈拍・体温測定
・病状の観察
・入浴介助や清拭
・排泄管理
・服薬管理
・点滴
・たんの吸引などの医療的ケア
・床ずれなどの手当

訪問介護とは

訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者の自宅を訪問して行うサービスです。
ケアマネージャーが作成したケアプランによって、訪問日時や回数が決まります。

訪問介護を利用できる人

訪問介護を利用できるのは、介護保険で要介護1以上の認定を受けている人です。
要支援1及び要支援2の認定を受けている人は、「介護予防訪問介護」という形で訪問介護を利用できます。

訪問介護のサービス内容

訪問介護のサービス内容は、身体介護と生活援助、通院等乗降介助の3種類です。

身体介護

身体介護とは、利用者の体に直接触れて行う介助や、自立支援のためのサービスを指します。
主なサービス内容は以下のとおりです。

・入浴介助
・清拭
・衣服の着替え介助
・おむつ交換
・トイレへの誘導
・排泄介助
・食事の介助
・床ずれ予防のための体位交換

生活援助

生活援助とは、日常生活で利用者が困っていることを代行するサービスを指します。
主なサービス内容は以下のとおりです。

・掃除(利用者の部屋やトイレなど)
・ごみ出し
・洗濯(洗濯物取り込みや収納も含む)
・調理(配膳や後片付けも含む)
・生活必需品の買い物
・薬の受け取り

訪問介護は、あくまでも利用者本人のためのサービスなので、家族の部屋を掃除するなどは行えません。
また、来客対応やペットの世話、電球の交換など、日常生活の援助に該当しないものも依頼できないので、注意してください。

【同居家族がいる場合の生活援助】

同居家族がいる場合は、原則として生活援助は利用できないとされています。
しかし、以下のような状況の場合は、ケアマネージャーの適切なケアマネジメントに基づいて生活援助が認められます。

同居家族がいても、病気や障害などで家事を行えない場合

例えば以下のような場合が該当します。

・同居家族が高齢で身体機能が低下している場合
・同居家族の介護疲れが著しく、共倒れの危険性がある場合

通院等乗降介助

ホームヘルパーが、利用者の通院時に車への乗り降りを介助するものです。
通院先での受診手続き、院内の移動介助といった行為も、このサービスに含まれます。

要支援の人はこのサービスを利用できないので注意してください。

訪問看護と訪問介護、同時使用は可能?

原則的に、訪問看護と訪問介護を同じ時間に利用することはできません。

厚生労働省により、「利用者は同一時間帯にひとつの訪問サービスを利用することを原則とする」と定められているからです。

しかし、利用者の心身の状況や介護の内容に応じて、同一時間帯に利用することが介護のために必要があると認められる場合はこの限りではありません。

訪問看護と訪問介護の2時間ルールとは?

2時間ルールとは、

訪問看護、訪問介護ともに1日に複数回訪問する際は、おおむね2時間以上間をあけなければならない

というものです。

訪問看護も訪問介護も、1回の訪問時間により料金が決まっています。

例えば、朝9時から9時30分までの30分、10時30分から11時までの30分、訪問看護を利用したとしましょう。

「30分の訪問を2時間未満の間隔で2回」行っています。

訪問間隔が2時間未満であると、複数回サービスをしても、合算された1回のサービスとなるのです。

つまりこの場合は、「30分を2回」ではなく、「1時間を1回」という扱いになります。
結果として、訪問看護の料金が変わります。

そのことで、不適切な訪問看護(訪問介護)が行われる可能性もあるのです。

2時間ルールは、不適切なサービス提供を防ぐために作られました。
なお、20分未満の訪問や緊急対応のための訪問は、2時間ルールの例外となります。

まとめ

この記事では、訪問看護と訪問介護の違いについて説明しました。

医療行為ができるかどうかや、訪問する職種の違いはありますが、どちらも利用者支援のために、家庭を訪問してサービスを提供します。

そのため互いに連携し合って、サービスを提供することが求められることを覚えておきましょう。

この記事の執筆者
古賀優美子

保有資格: 看護師 保健師 福祉住環境コーディネーター2級 薬機法管理者

保健師として約15年勤務。母子保健・高齢者福祉・特定健康診査・特定保健指導・介護保険などの業務を経験。
地域包括支援センター業務やケアマネージャー業務の経験もあり。
高齢者デイサービス介護員としても6年の勤務経験あり。

現在は知識と経験を生かして専業ライターとして活動中。

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