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【教えて!】介護現場・介護施設で情報共有をする方法と成功させるポイントとは

介護現場・介護施設で情報共有に成功するポイントとは

介護現場・介護施設において「情報共有」は、質の高いサービス提供をするうえでの生命線です。
ここでいう「情報」とは、
・ご利用者の心身の状況
・ケアの仕方
・ご家族の情報や意向
・職員間の連絡事項

などです。 ただ実際は、現場でうまく情報共有が出来ずに悩む事もあるのではないでしょうか?
 
「職員間で申し送りがうまく出来ていない」「情報共有のツールについて、どれが良いかわからない」「ご利用者やご家族から、うまく情報が伝達出来ていない事へのクレームがきた」など。
 
そこで、本記事では介護現場の情報共有を改善するためにどうしたら良いかを解説していきます。

介護現場・介護施設で情報共有が重要な理由

情報共有に不満がある介護職

まず「なぜ介護現場・介護施設で情報共有が必要か」、その重要性を挙げていきます。

トラブルや事故を防ぐため

介護の現場では、職員の対応ひとつがご利用者の心身に大きく影響します。

介助の方法、お薬の内容、リハビリの禁止事項、ご家族の意向などの情報がうまく共有されていない場合、転倒や内服間違いなどの事故、ご家族からのクレームなどにつながる可能性があります。

様々な職種が連携するため

介護職員だけでなく、ケアマネジャー、相談員、看護・リハビリ職、医師など、様々な職種と連携をとるのが介護現場です。

ご利用者を支えていくためには、それぞれの職種からみた専門的な視点の情報を共有し、全体的にサービスを提供していく必要があります。

職員の入退職があるため

介護業界では職員の入退職(入れ替わり)が激しい傾向にあり、新しい職員に対して「どこまで情報共有したか」分からなくなる上司や先輩もいると思います。

しかし、ご利用者に対して連続的なサービス提供をしていくには、スタッフが代わったとしても抜けの無い情報共有をしなくてはいけません。

職員がシフト制で動いているため

介護現場は24時間365日動いており、そのために介護職員はシフト制で勤務している介護施設が多いです。同じ介護職員であっても日によって勤務時間が異なります。

夜勤者は日中の出来事を知りませんし、日勤者は夜間の様子がわかりません。ご利用者の状態や出来事、職員の業務にかかわる事など、別の時間帯で動いている職員に適切に申し送る事で、サービスの質や安全性が保たれます。

ご利用者本人、ご家族、職員自身が安心感を持つため

情報共有がうまく出来ていないと、不安や不信感につながります。特にご利用者本人やご家族からの要望が職員間で共有されていない場合は「あまり大切にされていない」と感じるのではないでしょうか。

その気持ちが高じれば、クレーム、サービスの解約になる事もあります。

また、職員間で「言った、言わない」のトラブルになったり「私、その情報聞いていない」という事があれば、モチベーションの低下や離職にもつながりかねません。

情報共有が適切になされていれば、介護の現場にかかわる人達が安心感を持って過ごせるでしょう。

介護現場・介護施設で情報共有をする上での課題、問題点

介護現場においての情報共有の重要性について書きました。「それは分かっているけど、うまくいかない・・」という場合もあると思います。

なぜ介護現場ではうまく情報が行き渡らない事があるのか、その原因を考えていきましょう。

共有情報の記入(入力)に時間がかかる

情報共有を「申し送りノートなど手書きのアナログ式」でやっているか、「介護ソフトやLINEなどのデジタル式でやっているか」でも変わってきますが、記載や入力に時間がかかる場合があります。

現場によっては、業務時間外にやっと介護記録や申し送りを書き始められる・・という事もあるでしょう。忙しい業務の合間に書いている場合なども、経過を抜いた結果だけを記載したり、「時間がないから別にこれは書かなくても大丈夫か」と、情報が抜けてしまったりします。

職員によって入力情報の内容にばらつきがある

情報共有のツールで「記載項目=どの内容を共有するのか」がはっきりしていれば良いのですが、ノートなど「なんでも書いて下さい」というスタイルだと入力・記載内容に統一感が持てない事があります。

「誰の・どんな事を書くのか」にある程度のルールが無いと、ぶつ切りの(場当たり的な)情報の羅列になってしまいます。

また、職員のスキルや知識にもばらつきがあると、全員が知らないような専門用語、略語を使う事があるので「これは何の事を言っているんだろう?まあいいか」となれば、ここでも情報が共有出来ません。

全職員での情報共有がむずかしい

介護現場はシフト制で動いており、全職員が集まって情報共有をする事は基本的に出来ません。申し送りだけでなく、ミーティングやカンファレンスなどでも一部の職員(担当者)が集まって行うのが一般的でしょう。

そうなると「誰かから誰かに」の伝言ゲームになりがちで、共有したい情報の内容が変わってきてしまう事もあります。

LINEなどのデジタルツールを使って一斉送信した場合でも、すぐ既読する人とそうでない人が出てきて、ここでも情報量の差ができます。
個々の申し送りが続くと「言った、言わない」「その情報、聞いていない」という事が発生しかねません。

介護現場・介護施設で情報共有する方法

介護現場でタブレットを使って介護記録

情報共有する事に関する、様々な課題や問題点を挙げました。次に「どうやって介護現場・介護施設で情報共有をするのか」を見直していきましょう。

基本的な事を見直すと「どうしたら介護現場や介護施設で、情報共有がさらに出来るようになるのか」が見えてくると思います。

基本的な情報共有の方法

基本的な情報共有の方法には以下のポイントを押さえることが大切です。

いつ・・シフトや担当の引継ぎ時、ミーティング、カンファレンスなど
誰と・・上司、同僚、部下、他職種の職員など
何を・・ご利用者の身体・精神状況、ケアの仕方、ご家族の情報、その他連絡など
どうやって・・口頭、メモ、申し送りノート、デジタルツールなど

申し送りノート

介護現場では、施設や在宅どちらも「申し送りノート」を活用している事が多いと思います。職員間、ご家族とのやり取りなどを、ノートを通じて共有していきますが、このノートも一長一短があります。

【メリット】

まず申し送りノートのメリットをご紹介します。

・デジタルツールが苦手な職員でも書きやすい
・項目にとらわれず、自由な記述が出来る

「デジタルツールが苦手」という方は、年齢に関わらずいるのではないでしょうか。会社の方針で「今度から情報共有をデジタルツールでおこないます」と決めたら現場から不満が出た、という話はよく聞きます。

手書きのノートであれば、申し送りたい事をすぐ書けますので非常に手軽です。また、共有したい内容を項目にとらわれずに自由に書けるのも魅力で、施設によってはその日の出来事などをイラストで描いて分かりやすく申し送っている所もあります。

【デメリット】

次に申し送りノートのデメリットについてです。

・内容が人それぞれになりがち
・申し送り漏れが出てしまう
・保管が雑になる
・ノートがある場所まで行かないと読めない

「自由に記述が出来る」というのは、実はデメリットにもなりかねません。どの情報を共有するのか明確なルールがなければ、職員の視点や興味の内容によってバラバラな情報が書かれてしまう事になるからです。

内容もさる事ながら、共有項目がないのは「申し送り漏れ」が出てしまう原因にもなります。

そして、ノートは「一点もの」であるので、誰かがどこかに移動させてしまったり、書き終わったノートがどこかにいってしまった場合はそこで情報が読めなくなってしまいます。決まった場所に置いておかないと、保管が雑になりがちです。

また、デジタルツールであれば手元の端末で情報をチェック出来ますが、ノートの場合はそれがある場所まで行かないと読めません。業務時間外など、急に情報をチェック・共有したい時に手元に情報がないのは、やや不安な部分もあります。

ミーティングとカンファレンス

全職員が集まる事は出来ない介護現場において、リーダー職や各担当者が集まる「ミーティング」と「カンファレンス」は情報共有するチャンスですが、介護現場で混同されやすいのが「ミーティングとカンファレンスの違い」です。

ミーティングとカンファレンスの違い

 
ミーティング・・おもに職場の方針や職員の動き方などを相談、共有する事
カンファレンス・・おもにご利用者についてケアの方針や方法を相談、共有する事

職場によって違うと思いますが、一般的にはこういう分け方になります。

また、ミーティングの種類としても「フロア会議」「ユニット会議」「リーダー会議」など細かく分かれます。どの形であれ、会議をスムーズに進めるためのコツがあります。

・準備: 何を、誰と、どのくらいの時間話し合うか。着地点はどこか想定しておく
・実施: 発言時間を区切り、基本的にすべての職員が意見を言えるように設定する

デジタルツールを活用する

記録、情報共有、請求業務をスムーズに行えるよう、近年では厚生労働省も「介護現場におけるICTの利用促進」を推奨しています。

導入にむけては費用面、職員が使いこなせるかどうかなど課題もありますが、実際に運用してみると情報共有は楽に出来て、携帯電話やタブレットなどの端末からいつでも見られる、確実に保管出来るなどのメリットがあります。

デジタルツールにはどのようなものがあるか、みていきましょう。

①LINE WORKS

企業向けのビジネスチャットツール。使い方はLINEとほぼ変わりません。アプリをダウンロード、管理者を決め、LINEWOKS開設。メンバーを追加すればすぐ利用出来ます。

特徴は、国際認証を取得した強いセキュリティ、文字制限がない、画像やファイル送信が出来る、LINEと同じ使い心地、スマホ・タブレット・PCから使える、既読確認が出来る、音声・ビデオ通話に追加費用かからない(フリープランは4名、60分まで)。カレンダー・アンケート機能、ご利用者(ご家族)や取引先のLINEともつながれる、などです。

②Slack

1対1・複数人でのチャット、ビデオ通話、写真や動画共有、ファイル共有、PC・スマホなどで利用出来るチャットツールです。

特徴は、ご利用者やフロアごとにチャンネル(グループ)が作れて、情報の引き出しが楽な事と「あの情報、どこに書いてあったかな?」という時は「検索機能」を使ってすぐに引き出せる事です。

③Stock

特徴は「ノート機能」で、テキスト(文字)情報のほか画像・ファイルなどを保管・共有に優れている事です。

「タスク」「メッセージ」機能でテーマごとに情報が保管出来て、その他のチャットツールで起こりがちな「情報の分散」が起こりにくく、「点」ではなく「線」のケアが可能になります。

④Chatwork

チャット・タスクやファイル管理、ビデオ音声通話が可能なため素早いコミュニケーションが出来る、グループチャットで情報共有が簡単、高度なセキュリティ水準、サポートが手厚い、メッセージの修正、削除が出来る事が特徴です。

「事故報告書」「会議の議事録」「イベント企画書」などがリアルタイムで発信・閲覧できる、家からでも会議参加できる、いつでもどこでも情報を確認出来るので情報のやり取りの速さに優れています。

①④はチャット系で簡単に始められる事、②はチャンネルごとにより密度の濃いコミュニケーションが可能、③は情報ごとの保管に優れているというのが特徴の違いです。

介護現場・介護施設で情報共有を成功させるポイント

「介護現場・介護施設において、どうしたらスムーズで確実な情報共有が出来るのか」について解説します。結論は「情報共有の重要性を職員全員がしっかりと理解している」ことです。

情報共有の重要性を繰り返し伝える

どのツールを使っても「どんな情報を、何のために伝え合うのか」を職員が認識していないと、情報漏れや情報のバラつきが起こってしまいます。そうなれば、ご利用者への不適切なケア、ご家族の意向にうまく応えられないなどの弊害になりかねません。

また、職員間のコミュニケーションがとれていなければ、働く意欲の低下、離職につながってしまうかも知れません。ご利用者、ご家族、職員自身が安心出来るためにも、情報を共有しようという職員の高い意識は重要です。

情報共有をルール化する

職員によって、文章能力や「何を申し送るか」などの内容・視点は異なります。情報のバラつきを防ぐためにも「これだけは必ず共有する」という事をルール化しておきましょう。

「心身の状態」「ケアの仕方」「ご家族からの連絡事項」などは個別性がありますし、その時々で変わってきます。また、現場の事務連絡などをうまく伝達出来ればスムーズに働けます。

「どの情報を、どんな方法で伝えていくか」について職員同士で確認し合っていく事が情報共有の上手なチームになるポイントです。

また、個人情報の取り扱いについて注意する、ある程度の「文章の統一化」(分かりづらい専門用語や略語ばかり使わないなど)を図る、職員に情報が行き渡っているかを管理職やリーダーがチェックする事も重要です。

ICTツールを導入して情報共有を効率化する

前述したデジタルツールは「素早く」「手軽に」情報共有が出来て、データが個別に整理して保管出来る、端末があればどこでも情報が見れるなどのメリットがあります。

手書きの申し送りノートやメモに比べれば導入時の手間はあるかも知れませんが、慣れてしまえば情報伝達・共有のスピードと正確さは格段にアップします。

最近ではいくつものツールがありますので、ご自身の現場で導入しやすそうなものを検討するのもおススメです。

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まとめ

介護現場・介護施設の情報共有がなぜ大切かというと、次のような理由のためです。
ご利用者、ご家族に質の高いサービスを提供し、事故やトラブルを防ぐため
職員自身が連携して動けるようになるため

職員の入退職やシフト勤務である事、スキルや経験によって記録内容や視点が異なる事から情報のバラつきがある事が課題点ですが、現場の情報共有を成功させるポイントは以下の通りです。

・情報共有の重要性を全職員に伝える
・「どんな情報を共有するのか」ルール化する
・アナログ(手書きなど)の良さもあるが、デジタルツールを使えば「簡単に」

「素早く」情報共有が出来、そこにいなくても会議や情報確認も出来る、データやファイル保管や整理も綺麗に出来るので、現場のICT化はおススメです。

まず「情報共有をする事で、ご利用者・ご家族・職員自身にどんなメリットがあるか」を話し合う事から始めると良いかもしれませんね。

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この記事の執筆者
otoupapa

保有資格: 介護支援専門員、介護福祉士、介護予防運動指導員 等

訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護を経て今は居宅ケアマネジャーとして勤務。

介護職歴は約22年で、祖父母の在宅介護や福祉系のNPO法人運営を経験しました。

現在は介護・福祉系その他のライターをしながら、介護のお仕事と子育てを両立しています。

 
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