シフト作成が4〜5時間から約2時間に短縮。属人化からの脱却も見据える、介護付有料老人ホーム・かえでの杜のシンクロシフト導入事例

当日取材にご協力いただいた介護付有料老人ホーム・かえでの杜、写真左から、ホーム長の松田様、統括マネージャーの明石様。
「4〜5時間かかっていたシフト作成が、今は2時間ほどに。その分、入居者様や職員と向き合えるようになりました」
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毎月のシフト作成に、1フロアあたり4〜5時間。公平になるよう「自分なりのルール」を一つひとつ組み込みながら、丁寧に作り込む——。負担の大きいその作業を、10年にわたって毎月続けてきた担当者がいます。
北海道夕張郡長沼町にある介護付有料老人ホーム「かえでの杜」(運営:株式会社ケアフォレスト白ゆり)は、100室・2フロアの施設です。介護・清掃・送迎・事務などを役割で分ける業務分業制を敷き、地域とのつながりを大切にしながら運営を続けています。
今回お話を伺ったのは、ホーム長の松田様と、統括マネージャーの明石様です。Excelで公平性に配慮しながら組んできたシフトには、作り込みの時間、紙の希望休をめぐる気づかい、そしてシフト作成が特定の担当者に集中しがちなことなど、多くの負担が積み重なっていました。
シンクロシフトの導入で、その作業時間はどう変わり、職員や現場にはどのような変化が生まれたのか。作成時間の短縮、公平性の向上、そして「誰でも担える仕組み」づくりまで、その実際についてお話を伺いました。
※役職はいずれも取材時点のものです。
※本記事は2026年6月に実施した取材に基づいています。
■目的
・シフト作成にかかる時間と精神的な負担を軽減し、シフト担当者が現場や入居者・ご家族と関わる時間をつくる
・シフト作成業務の属人化を解消し、誰でも担える仕組みをつくる
・より公平で、偏りの出にくいシフトをつくる
■課題
・シフト作成には1フロアあたり4〜5時間を要し、現場に入りながらでは集中して作りにくく、フリーの日を設けられるまでは時間外対応も続いていた
・紙の希望休には書きづらさや転記の取り違えが生じ、紙での配布により最新シフトの共有にタイムラグがあった
・配布後の指摘・修正への不安や、シフト作成が特定の担当者に依存しやすい属人化の負担があった
■効果
・自動作成により、シフト作成時間が1フロアあたり「4〜5時間」から「約2時間」へと半減
・スマホでの希望休申請により、他の職員を気にせず申請できるようになり、転記の手間や転記ミス、最新シフトの認識のずれも解消
・作成者の精神的な負担が軽くなり、特定の担当者に依存しない「誰でも担える」体制に近づいた
・自動作成で「作り手の無意識の癖」がなくなり公平性が向上。スマホ申請のしやすさは、職員満足や採用面のメリットにもつながっている
■本取材施設でのシンクロシフト利用サービス種別
・特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)
目次
施設概要――地域との関わりを大切にする、業務分業制の介護付有料老人ホーム
――まず、施設の概要と特徴を教えていただけますか。

松田様:当施設は介護付有料老人ホーム「かえでの杜」と申しまして、100室、1階・2階の2フロア構成で、職員は約50名が在籍しています。開設から14年になります。ご入居者は長沼町内の方のほか、札幌を含む近隣の市町村からお越しの方も多くいらっしゃいます。
施設の立地的にメインストリートから少し奥まって位置しているため、なかなか足を運びにくい環境もあるのですが、イベントなどの取り組みを通じて、気軽により多くの地域の皆さまに足を運んでいただけるような施設運営ができたら、と思っています。
コロナ明けは、まだ回数こそ多くありませんが、町内の幼稚園やボランティアの方にお越しいただく機会も再開しているので、継続して取り組んでいきたいと思っているところです。施設の敷地内には同グループが運営するクリニックや薬局もあり、そうした面では地域の皆さまにも認知していただけているかと思います。
――ケアやチーム体制での特色はありますか。
明石様:業務分業制を敷いているのが特徴です。介護職員は介護に専念してもらい、専門職として看護・リハビリスタッフが在籍。ほかに清掃やリネン交換を対応するアシスタントスタッフ、送迎ドライバー、受付事務スタッフと役割を分けています。
ご家族の面会も多く、日常的にスタッフと情報を共有したり、やり取りさせていただいたりする機会が、ほかの施設と比べても多いように感じています。
――明石様は、何名分のシフトを担当されているのでしょうか。
明石様:介護職員のシフトを担当しています。通常は1階・2階にそれぞれ作成者がいるのですが、今は私が両方を担当していて、1階で15名、2階で15名の計30名です。私自身は2年目からシフトを作り始め、もう10年ほどになります。
事務や看護は別の担当が作成していますが、いずれもシンクロシフトを使っています。事務や看護は勤務が比較的固定されているので、そこまで困ることはありません。
介護職は、日勤・早番・遅番・夜勤があり、パートの方の勤務時間もさまざまなので、組み合わせが複雑になります。
導入前の課題――「公平に」と気を配るほど、手作業で積み上がっていた負担
頭の中の「注意点」を、一つひとつExcelに当てはめる大変さ
――シンクロシフトを導入する前は、どのようにシフトを作成されていましたか。
明石様:Excelで作成していました。「職員に負担なく、公平に」という考え方で作っていましたが、それは今のシンクロシフトの設定にも反映しています。自分で注意点を挙げて、それに沿って組んでいました。
たとえば、早番・遅番が4連勤にならないようにする。遅番から早番へ続けて入れない。夜勤明けの翌日は必ず休みにする。連休も必ず設けてあげる。こうした条件を一つひとつ、Excelに当てはめていく感じで作っていました。
――シフトを組むなかで、特に難しさを感じたのはどんなときでしたか。
明石様:人員が足りているときはスムーズに配置していけるのですが、急に職員が辞めて人員が足りない状況になるとやはり大変です。足りない部分を「どこから、誰にヘルプを頼むか」と考えることになりますし、現場の雰囲気も考えてシフトを組む必要もあります。
とくにコロナ禍のときが大変でした。急に「1週間は出られない」ということもありましたから。コロナに限らず、腰や膝の痛みなどで急にお休みされる方もいますし、そうした急な欠勤はどうしても出てきます。
事前に分かる人員の不足は、あらかじめ対応を考えておくようにしていましたが、やはり急に人員が減ると大変でしたね。
紙の希望休に生まれる「書きづらさ」と、転記の難しさ
――希望休は、どのように集めていましたか。
明石様:介護ステーションに1か月分の白紙のシフト表を置いておき、職員が自分の名前の欄の、希望する日付のところに記入する形でした。希望休は2日までです。
ただ、勤務の関係で先に来た人や先輩が書くと、後から書く人は書きづらかったと思います。みんなに見られるというのも、気になる部分だったと思います。ですので、シンクロシフトの導入後はそれがなくなることは、メリットだと感じていました。
3〜4日続けて休みたいような用事があると、「2日まで」の枠には収まらないので、直接相談に来ることもありました。これは今も同様ですが、申請を確認し、職員本人にも確認したうえで、できるだけ希望に沿うようにしています。
――紙からExcelへの転記で、難しさを感じた点はありましたか。
明石様:気を付けてはいても、たまに、本人が記入する日を間違えていたり、こちらが転記する際に勘違いしてしまったりすることがありました。日付の行き違いに気づいたときは、その都度修正していました。
配っても届かない、配ってからも不安――紙ならではのタイムラグ
――シフトの作成と配布は、どのようなサイクルで行っていましたか。
明石様:当月の10日までに翌月の希望休を出してもらい、当月の25日までに配布する、という流れでした。紙なので、全員分を個別に印刷して配っていました。
ただ、配布は各自のレターケースに入れる形だったので、たまたま連休中の方だったりすると、受け取るのが2日後になる、といったこともあります。そのため、わざわざ取りに来る職員も中にはいました。とくにパートの方は毎日いるわけではないので、こうしたケースが多く、3〜4日空くこともありました。
松田様:実際、月初めの直近1週間分くらいについては、個別に連絡することもあったかもしれません。
明石様:それでも、最新のシフトの認識がずれてしまう可能性は、どうしても残りました。
――配布する際は、どのようなお気持ちでしたか。

明石様:期日より前に組み終えられたときは、本当にホッとします。できあがったら、すぐにでも職員に展開したいくらいで。
ただ、その分、配ったあとに職員から「ここが違いますよ」と指摘されると、原因は自分にあるので、ショックでした。やり直しにもなりますので。
松田様:私自身も現場でシフトを作っていた頃は、配り終えてホッとするより先に、「大丈夫だったかな」「間違いないかな」という気持ちのほうが大きかったです。そして、作り終えたと思うと、もうすぐ翌月なんです。月末月初の業務が終わると希望休が集まってきて、また作らなければ、という繰り返しでした。
導入のきっかけと準備――本部主導での導入と、現場へのスムーズな浸透
本部主導の導入と、スムーズだった立ち上げ
――シンクロシフトの導入は、どのような形で進んだのでしょうか。
松田様:本部主導で導入が決まり、研修や勉強会を行うところからスタートしました。
明石様:マニュアルを受け取り、初期設定は各自で進めました。Excelのころに決めていた注意点を、そのまま設定に置き換えていく形だったので、「どうしたらいいんだろう」と悩むことは特になく、問題なく進められました。
――使い続けるなかで、システム自体の変化を感じることはありますか。
明石様:ありますね。使い始めた頃と比べると、自動作成の精度も、結果が出るまでの速度も、年々良くなってきている実感があります。
スムーズに浸透したアプリ
――現場の職員へは、どのように浸透していきましたか。
明石様:特に大きな戸惑いもなく、紙よりもスマホでリアルタイムに見られる便利さが受け入れられた、という感じです。アプリの導入もスムーズでした。操作が苦手な職員は、できる職員に手伝ってもらったりして、抵抗感はほとんどなかったと思います。
松田様:使ってみてからは、 自分のスマホから希望休を申請できる点を「良かった」と評価する職員の声が多くありました。
明石様:職員がアプリを使用するのは希望休の申請とシフト確認がメインですから、年齢を問わず手軽に使うことができています。
導入の効果――作成時間が半減し、精神的な負担も軽減
4〜5時間が約2時間へ、作成時間がほぼ半分に
――導入前、シフト作成にはどのくらいの時間がかかっていましたか。
明石様:1フロア分で、集中して作って4〜5時間はかかっていました。現場に入りながらでは作るのが難しく、かなり頭を使うものです。現場に入っていた頃はフリーの日を設けられず、時間外対応することも長く続いていました。
フリーの日を作れるようになってからは、時間外対応がなくなり、勤務中に集中して作成していました。
――シンクロシフト導入後は、どう変わりましたか。
明石様:1フロア分が、自動作成から手修正まで含めて、2時間あれば組めるようになりました。半減はされていますね。人員が充足し、設定がきちんと整っていた時期には、2時間に収まっていました。
転記の手間がなくなり、希望休も気兼ねなく
――スマホでの希望休申請によって、変わった点はありますか。
明石様:希望休が自動で反映されるので、転記そのものがなくなりました。記入や転記の取り違えがなくなり、作成ミスも起こらなくなりました。
ほかの人の目を気にせず、希望休を申請できる。そこも職員の精神面でも良かったところだと思います。
「作り手の癖」が消え、公平性が向上
――公平性の面では、何か変化を感じることはありましたか。
松田様:自分で作っていると、無意識のうちにパターン化してしまうところがあるんです。しかし、それが自動作成になると、人の癖がなくなります。以前は「先月も私はこの曜日が休みだったんですけど」といった声が上がることもありましたが、そうした偏りが出にくくなりました。
明石様:作っている側は気づいていないのですが、割り当てられる側は「また同じだ」と感じることもあったようです。あとは逆に「またココが休みになっている」と自分以外のシフトを気に掛けていることも。ただ、シンクロシフトでシフトを作るようになってからは、そうしたことがなくなりました。
スマホ希望休がもたらした、気づかい不要の安心感
――希望休の出し方に、変化はありましたか。
明石様:希望休の集まりは、早くなりました。月の前から出される方もいます。誰にも気を遣わずに申請できることが大きいのだと思います。
松田様:介護職員以外では、ご家族の事情もあって土日の希望が重なりやすい面はあります。ただ、互いの希望が見えない分「申請しやすい」という声をいただいています。
採用の面でも、メリットを感じています。「スマホでシフトが見られる」「気兼ねなく希望休を申請できる」という点は喜ばれていて、途中で入職された方からも「便利ですね」「紙ではないんですね」という反応があります。こうした点を、求職者の方に向けて事業所の強みとして発信していて、実際に効果を感じているところです。
特に評価している機能――まとまりごとに回せる自動作成と、転記いらずのスマホ運用
――シンクロシフトの機能のなかで、特に便利だと感じるものはありますか。
明石様:やはり自動作成です。なかでも、職種や、1階・2階といったユニットのまとまりごとに、順番に自動作成を回していけるようになった点が便利ですね。以前は一つひとつ拾っていく形でしたが、改良されて使いやすくなりました。
スマホ運用で希望休の転記が自動になったことも大きいです。間違いがなくなり、シフト作成が楽になりました。
創出された時間の使い方と今後の展望――現場・利用者との関わりと、脱属人化への道
削減した時間を、入居者・家族・職員との関わりへ
――シフト作成にかかる時間が減って、どのような変化がありましたか。

明石様:シフトを作る間は、集中するために現場を離れる必要がありました。その時間が減ったことで、ご入居者やご家族への対応、職員との関わりに、より向き合えるようになりました。
現場に入ること自体が、皆の安心につながると思いますので、離れる時間が半分になったのは大きいと思います。
松田様:シフトを作る人なら誰もが感じることだと思いますが、かけていた時間をほかに充てられるのは、圧倒的なメリットです。もともと当施設は業務分業制で、介護職員が介護に集中できる環境づくりを進めてきました。シンクロシフトの導入も、その一環だと考えています。
役職者がシフト作成にかけている時間を、1時間でも2時間でも短縮できれば、その分をご入居者や職員と関わる時間に回してもらえます。
シフト作成を、属人化から「誰でも担える仕組み」へ
――今後、取り組んでいきたいことについて教えてください。
明石様:シフト作成は、設定さえきちんと整えれば、役職者でなくても担えると思っています。やり方が分かっていれば、あとは日々の配置を見ていくだけです。
皆が敬遠しがちな作業ですが、シンクロシフトの活用を進めていけば、負担なく作れるようになっていきます。だからこそ、自分以外にもシフトを作れる人を、一人でも二人でも増やしていきたいですね。
松田様:「設定+自動作成」という形を皆が理解していて、現場の職員もある程度分かってくれています。早い話、誰が作っても大きくは変わらないのかな、と思います。この設定や進め方を皆で共有できることが、強みだと思います。
最適な設定とテンプレ化で、さらなる時短へ
――作成時間に関して、これからの目標があれば伺えますか。
明石様:きちんとした設定で、1フロアあたり1時間以内に終えるのが目標です。人員が充足してきたら、その設定の作り込みに取り組んでいきたいと考えています。
松田様:自分の事業所に合う「ベストな設定」にたどり着くまでには、どうしても時間がかかり、手探りになりがちです。デイサービス、ショートステイ、入居系といった類型ごとに、「こう設定するとよい」というひな形やマニュアルのようなものがあれば、すぐに対応でき、さらに時間を短縮できると思います。そうした部分が今後ブラッシュアップされていくと、より良くなるのではと感じています。
同じ課題を抱える方へのメッセージ――精神的な負担なく、シフトを作れる
――最後に、同じようにシフト管理に悩んでいる方へ、メッセージをお願いします。
明石様:シフト作成を、気の重い作業と感じている方は多いと思います。だからこそ、シンクロシフトのような自動作成のソフトは、とても良いと思います。時間効率の面でも、おすすめできます。
松田様:作成する側の精神的な負担が軽くなることと、職員の希望休申請のストレスがなくなること。この二つは大きなメリットです。
求職者の方にとっても利点があり、事業所の強みにできるものだと感じています。同じように悩んでいる方は、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
編集後記
今回の取材で印象的だったのは、「設定さえ整えば、役職に関係なくシフトを作れる」と、明石様が手応えを語っていたことでした。「設定や操作のやり方さえ分かっていれば、あとは日々の配置を見ていくだけです」と、明石様は言います。
かつてのシフト作成は、長く担ってきた人の経験に支えられ、どうしても特定の担当者に集中しがちでした。
それが、シンクロシフトを導入し、「設定+自動作成」という形を皆が理解することで、誰が作っても大きくは変わらない——松田様の言葉どおり、進め方そのものを共有できる仕事へと変わりつつあります。
明石様が「自分以外にも、シフトを作れる人を一人でも二人でも増やしたい」と語る背景には、その手応えがありました。
シフト作成の負担は、時間の長さだけでは測れません。公平に組もうとする気づかい、配布後の指摘への不安、特定の担当者に集中しがちな属人化——。
シンクロシフトは、作成時間の短縮にとどまらず、そうした負担を解きほぐし、シフト作成を「誰でも担える仕組み」へと近づけていく可能性を持っています。紙やExcelでのシフト管理に課題を感じている施設にとって、見直しの一歩となるはずです。
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https://synchroseries.jp/
※本記事の役職・数値・状況は、2026年6月に実施した取材時点の情報に基づいています。
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株式会社ケアフォレスト白ゆり | |
| 設立 | 平成29年9月11日 | |
| URL | https://www.kaede-m.com/ | |
この記事の執筆者![]() | Shift Life編集部 介護現場での実務経験を持つライターと、介護報酬・制度に精通した編集スタッフが連携し、現場で役立つ情報をお届けしています。 制度・加算に関する情報は、厚生労働省・自治体などの公的機関が発行する一次情報を優先的に参照し、掲載前にファクトチェックを実施しています。 |
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