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【いまさら聞けない!】介護保険とは?どんな種類やサービスがあるの?

介護保険とは

介護事業所の管理者やリーダー業務についている中で、「日々の業務が忙しく、自己学習の時間が取れない」という悩みはありませんか。
現在の業務に直結する介護保険制度は3年に1度の改正があり、そのための対応に追われてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし介護保険制度の基本の理解が不十分であれば、制度改正への対応に苦労する危険性もあります。
この記事では「今さら聞けない」介護保険制度の基本について解説します。
制度の概要や要介護認定、介護保険サービスの種類などを学びなおせる内容になっておりますので、ぜひ参考になさってください。

介護保険とはどのようなものか

介護保険とは、介護を必要とする方を社会全体で支えるための制度です。
2000年にスタートしました。

その後も、高齢者を取り巻く状況や社会情勢に応じて3年に1度改正されています。

運営主体(保険者)は市区町村であり、40歳以上の方は被保険者として介護保険料を支払わなくてはなりません。

被保険者は年齢によって、第一号被保険者第二号被保険者に分かれます。

・第一号被保険者:65歳以上の方
・第二号被保険者:40~64歳までの方

介護保険のサービスは、介護が必要な状態にある被保険者が利用できます。

要介護認定とは

要介護認定とは、どの程度の介護を必要とするか段階別にを示したものです。
自治体に申請し、認証されることで介護保険サービスを受けられるようになります。

要介護認定の結果は、

・非該当
・要支援1~2
・要介護1~5

の計8段階に分かれています。

要支援より要介護の方が介護を要する度合いが強く、数字が多いほど介護に関する時間が増えると覚えておきましょう。

要介護認定の受け方を5ステップで紹介

要介護認定を受けるための5つのステップをご紹介します。

1.要介護認定申請

介護が必要な状態になった場合は、要介護認定を申請しなくてはなりません。
詳細を以下に示しました。

1.要介護認定を申請できる方

以下に該当する方もしくはその家族です。

・65歳以上:原因に関わらず介護や支援を必要な状態にある
・40~64歳:医療保険加入者で特定疾病により介護や支援を必要とする状態にある

特定疾病に該当する疾患は以下のとおりです。

がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※
関節リウマチ※
筋萎縮性側索硬化症
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※
【パーキンソン病関連疾患】
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症※
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

特定疾病の選定基準の考え方 2 特定疾病の範囲より引用

2.要介護認定の申請窓口

申請窓口は、申請者本人が住んでいる市区町村役場の介護保険担当部署になります。

3.申請時に必要なもの

申請時に必要なものは以下のとおりです。

・要介護認定申請書
・介護保険被保険者証
・マイナンバーが分かるもの
・本人確認書類
・主治医名が分かるもの
・医療保険被保険者証(40~64歳の方のみ)

2.認定調査・主治医意見書作成

認定調査とは、申請者の心身の状況を把握するために行う調査です。市区町村の認定調査員が本人の自宅もしくは入院先を訪問して実施します。

主治医意見書は、市区町村役場の依頼を受けた医師が記載する書類です。申請者の状況が医学的見地から記載されています。

3.一次判定

認定調査結果と主治医意見書の結果の一部をコンピューターに入力します。
その結果をもとに、全国一律の方法で行われるのが一次判定です。

4.二次判定

一次判定の結果・認定調査の特記事項・主治医意見書の内容をもとにして、要介護認定審査会で介護度を審査・決定します。
要介護認定審査会の構成員は、保健医療福祉の専門家です。

5.要介護認定の通知

決定された要介護度は本人宛に通知されます。原則的には申請から30日以内に通知されると覚えておきましょう。

要介護度の区分は8段階

要介護度別心身の状態は非該当~要介護5までの8段階に分かれます。
以下の表をご覧ください。

非該当 要介護にも要支援にも該当しない状態
要支援1 排泄や食事といった日常生活動作はほぼ自分で行えるが、一部支援が必要な状態
例)排泄は自分で行えるがトイレ掃除が難しい
要支援2 日常生活動作に部分的な支援が必要な状態
例)立ち上がりや歩行に支えが必要、入浴時に身体を洗えるが、背中を洗うときに手が届かない
要介護1 入浴、排泄、歩行などに一部介助が必要
理解力の低下が少しみられることがある
要介護2 入浴、排泄、食事、歩行などで軽度の介助が必要
理解力の低下が時々見られることがある
要介護3  身の回りのことが1人では行えなくなり、介助が必要
理解力が低下し、認知症の症状も見られてくる
要介護4 身の回りのことが行えず、介助がないと日常生活を送れない
理解力がかなり低下してくる
要介護5 ほぼ寝たきりの状態で、日常生活全てにおいて介助が必要
意思疎通が困難な状態

 

日常生活に部分的な介助が必要という点では、要支援2と要介護1は比較的近い状況です。

以下の2つのどちらか1つ、もしくは両方に当てはまれば要介護1と認定される可能性が高いと覚えておくとよいでしょう。

・思考力や理解力の低下が見られ、認知症の可能性がある
・半年以内に状態が変化する可能性がある

要介護認定後の動き

認定を受けた後サービスを利用するためには、介護(予防)サービス計画、いわゆるケアプランが必要です。

1.ケアプラン作成

要支援1~2の場合

居住先の地域包括支援センター職員が、介護予防ケアプランを作成します。

要介護1~5の場合

家にいながら受けられるサービス(居宅サービス)を利用する場合、ケアプランを作成するのは、居宅介護支援事業所のケアマネジャーです。

施設でのサービスを利用する場合は、施設のケアマネジャーがケアプランを作成します。

要介護認定が出た後に施設入所を希望する場合は、直接施設に入所申し込みをしなくてはなりません。

2.サービス利用

要支援1~2の場合

要支援の方は自立度が高い方が多く、居宅サービスを利用できます主な居宅サービスは以下の4つです。

1.訪問サービス

利用者の自宅に訪問してサービスを提供します。

訪問介護 訪問介護員が家庭を訪問して、身体介護(入浴や食事、排泄の介助)や生活援助(家事の手助け)を行う
訪問看護 訪問看護師が家庭を訪問して、訪問看護指示書のもとに心身の状況観察や医療処置などを行う
訪問入浴 自力で入浴できない方の自宅に訪問して、専用の浴槽で入浴サービスを提供する
訪問リハビリ 理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門職が家庭を訪問して、心身の機能回復に必要なリハビリを行う
居宅療養管理指導 医師や歯科医師が通院困難な方の家庭を訪問して、療養上の管理や指導を行う

 

2.通所サービス

利用者が施設に通い、日帰りでサービスを受けるものです。

訪問介護
(デイサービス)
利用者が通所介護施設に通い、入浴や排泄、食事の介助を受ける
通所リハビリ
(デイケア)
利用者が通所リハビリ施設に通い、リハビリテーションを受ける
入浴や排泄、食事の介助を受けられる施設もある

 

3.短期入所サービス

利用者が介護施設に一時的に入所します。

短期入所生活介護 介護者不在の間の介護を担ったり、介護負担軽減をはかったりするために、利用者が一定期間特別養護老人ホームなどに入所する
短期入所療養介護 利用者が一定期間介護老人保健施設などに一時的に入所して、リハビリや医療的ケアを受ける

 

4.その他のサービス

1~3以外のサービスです。

福祉用具貸与 利用者の心身の状況に応じて、日常生活を支援する福祉用具を貸与する

対象となる福祉用具は以下のとおり

・車いすおよび付属品
・特殊寝台および付属品
・床ずれ予防用具
・体位変換器
・手すり
・スロープ
・歩行器
・歩行補助杖
・移動用リフト(つり具の部分を除く)
・認知症老人徘徊感知機器
・自動排泄処理装置

特定福祉用具購入 排泄や入浴補助用具など、貸与にそぐわない福祉用具を購入するための費用を一部助成するサービス

対象となる福祉用具は以下のとおり

・ポータブルトイレなどの腰掛け便座
・入浴補助用具
・簡易浴槽
・自動排泄処理装置の交換可能部分
・移動用リフトのつり具の部分

住宅改修 手すりの取り付けや段差の解消など、利用者が生活しやすいように住宅を改修工事するための費用を助成する制度

対象になる工事は以下のとおり

・手すりの取り付け
・段差の解消
・滑り防止や移動の円滑化を目的とした、床または通路面の材料変更
・引き戸等への扉の取りかえ
・洋式便器等の便器の取りかえ
・上記住宅改修に付帯して必要になる工事

 

要介護1~5の場合

居宅サービスと施設サービスを利用できます。主な施設サービスは以下の4つです。

なお、グループホームは要支援2以上の方も利用できます。

介護老人福祉施設 常に介護が必要であり、在宅での介護が困難な要介護者が入所する施設
介護老人保健施設 介護及びリハビリを受けて、在宅復帰を目指すための施設
介護医療院 医療が必要とする要介護者のための施設。医療と介護両方のケアを受けられる
グループホーム
(認知症対応型共同生活介護)
認知症高齢者が少人数で共同生活を行うための施設

 

要介護度別サービス利用限度額

介護保険サービスを利用できる金額の上限は要介護度により異なります。
これが、サービス利用限度額です。
自己負担額は限度額の1割が原則ですが、所得によっては2割や3割の方もいます。
1割負担の上限額は下記のとおりです。

要支援1 : 5,032円
要支援2 : 10,531円
要介護1 : 16,765円
要介護2 : 19,705円
要介護3 : 27,048円
要介護4 : 30,938円
要介護5 : 36,217円

限度額を超えた場合は、全額自己負担になるので注意が必要です。

要介護認定・こんなときはどうする?

要介護認定を申請して認定を受けたとしても、想定外のことも出てくる場合があります。
多くみられるのは、以下の2点です。

認定結果に納得がいかない場合

・介護が必要な状態なのに非該当と認定された
・実際の状況より要介護度が低かった

など、認定された要介護度に納得がいかない場合もあります。
そのようなときは、まず市区町村役場の介護保険担当窓口に相談してください。

その上で、

・都道府県に設置されている介護保険審査会に不服申し立てを行う
・要介護認定の区分変更申請を行う

といった対応をとりましょう。

認定後に心身の状況が大きく変化した場合

認定が出た後に病気やけがで入院した場合などは、心身の状況が大きく変化することもあります。
そのときは要介護認定の区分変更を行いましょう。

区分変更申請時の流れは、要介護認定申請のときと同じです。

まとめ

この記事では、介護保険制度の概要やサービスを受けるための手続き、利用できるサービスについてご紹介しました。

現在サービスを利用されている方やご家族は、サービス利用のためさまざまな手続きを経ているのです。
そのことを改めて知る機会になったのではないでしょうか。

介護サービス事業所の管理者やリーダー職の方が、基礎知識を改めて復習することで利用者さん及びご家族からの相談によりきめ細かに対応できます。

介護保険は今後も改正が続く制度です。
常に学習して基礎知識と最新情報を得ておきましょう。

この記事の執筆者
古賀優美子

保有資格: 看護師 保健師 福祉住環境コーディネーター2級 薬機法管理者

保健師として約15年勤務。母子保健・高齢者福祉・特定健康診査・特定保健指導・介護保険などの業務を経験。
地域包括支援センター業務やケアマネージャー業務の経験もあり。
高齢者デイサービス介護員としても6年の勤務経験あり。

現在は知識と経験を生かして専業ライターとして活動中。

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