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【今さら聞けない!】介護主任・介護リーダーの役割とは?仕事内容を解説

介護主任・介護リーダーの役割とは

介護リーダー(介護主任)とは、幅広い知識と技術を持ち、利用者様や職員の種々の変化に気づき、改善を加えながらチームをまとめる存在です。責任も大きいですが、自分の手で組織を形作っていくことや、自分が理想とする介護を目指せる点において、やりがいを感じられるポジションではないでしょうか。
 
リーダーとしての経験を重ねていくことで、自分自身もスキルやキャリアの向上を目指していけます。
 
この記事では、介護リーダー(介護主任)になりたての方や、今後のキャリアとして目指したい方向けに、その仕事内容や役割を紹介します。

介護リーダー(介護主任)とは

介護主任(介護リーダー)

介護リーダー(介護主任)はどういった役割を担う存在なのでしょうか。介護施設・事業所では、毎日何人もの職員が利用者様の介助にあたります。日によって介助方法が異なったり、サービスの質にばらつきがあったりするとどうでしょう。

現場も利用者様も混乱し、いざこざが生じたり、一貫したサービスの提供ができなくなったりします。介護の質を維持するためには、統一したサービスの提供は欠かせません。

介護リーダーは、リーダーシップを発揮し、職員の意見をまとめ、管理者や多職種、利用者様やその家族様とも日々コミュニケーションをとりながら、必要に応じてサービス内容の見直しや施設・事業所の運営方針などにも関わっていくことが期待されます。

介護リーダー(介護主任)の仕事内容

介護リーダーと一口に言っても、施設や事業所によって業務内容は異なることがあります。必ずしもここで挙げたすべての業務をこなしているわけではないことを念頭において、ご自身の職場における位置づけを一度確認してみてください。

介護職員の勤務管理・調整、シフト作成

施設や事業所によっては、介護リーダーがシフト作成を行っているところも多いようです。どのような施設でも早出、日勤、遅出、夜勤といった異なる時間帯の勤務形態があると思います。

特定の職員にだけ負担が偏ることのないよう、シフト作成に頭を悩ませている介護リーダーは少なくないでしょう。職員の個人的な都合や、急な欠勤に対しての調整もその都度行う必要があります。

また、新人職員だけの日や、相性の悪い職員同士の日は、チームワークが取れず、業務の遅れや急な対応ができないことも予想されることです。

シフト作成におけるコツとしては、夜勤や休日のシフトを先に入力する、早出限定や曜日限定、夜勤専従などの職員がいる場合は、そういう方のシフトを先に埋めてから他を決めていくなどすると効率よく組むことができるでしょう。

施設によってフロアが分かれている場合、新人や相性の悪い職員だけになったりしないよう、フロアで分けてしまうのも一つの手です。

シフト作成の負担が大きい場合

 
多くの介護施設では介護リーダーがシフト作成を担当していると思います。シフト作成に多くの時間を要することから、毎月負担に感じている介護リーダーも多いでしょう。
その場合、自動シフト作成ソフトを利用する方法も検討をおすすめします。シフト作成に要する時間を大きく短縮できるケースもあります。以下で介護業界向けシフト作成ソフトを紹介していますので、参考にしてみてください。
 
介護シフト管理 作成ソフト・アプリ10選!料金やメリットを紹介

介護職員の教育・指導

介護業界において、職員の教育・指導は介護リーダーの最も重要な責務です。特に、新たに介護の世界に足を踏み入れた新人職員にとって、初期段階での教育は、その後の基盤になるとても重大なものとなります。

単なる知識や技術の伝達に留まらず、介護における考え方を丁寧に説明することが大切です。

自分が新人の頃を思い出して、あの時どう言われていたら嬉しかったかなどを参考にしてみるのもいいかもしれません。職員の個々の成長を支え、励まし、日々の挑戦をサポートできるように心を配ることで、見知らぬ世界での不安を和らげることがきっとできるでしょう。

これは中堅職員にもあてはまることです。介護現場で直面する多様な状況を判断し、対応できるように、実践的な研修だけでなく、定期的なフィードバックや個別指導を行うことが大切になります。

職員一人一人が自信を持って各々の役割を果たせるように働きかけることで、安定した業務の運営が可能になることでしょう。また、継続的な学びと成長の機会が与えられることで、職員はステップアップを実感でき、やりがいを高めながら、より質の高いサービスを提供できるようになります。

介護職員への教育・指導は離職率にも影響があり、とても重要だといえるでしょう。

利用者様に対するサービス内容の見直し

介護士は、利用者様お一人おひとりのニーズに合わせたケアの実践を心掛けます。利用者様のADLや心理的状況は次第に変化していきますので、介護リーダーには、その様々な変化に気づき、得られた情報をチーム内で共有するとともに、現在の状態やニーズに即したケアプランになっているかを定期的に見直す姿勢が必要です。

利用者様や家族様の生の声に耳を傾けることも欠かせません。内容によっては、医療職やリハビリテーションなどの他の専門職との連携も必要になるでしょう。

高い知識と経験を持つ介護リーダーだからこそ、些細な変化にも気づくことができ、より良いサービスの展開を実現できます。

利用者様の家族様との連絡や面談

介護サービスにおいて、利用者様の家族様との綿密な連絡や面談は、高品質なケアの提供に不可欠です。利用者様のことを最も理解しておられる家族様の声は、ケアプランの改善に直接的な影響を与えることが多く、最適なケアの実践に貢献する大事な情報源となります。

職員が知らない利用者様のライフストーリーを知ることは、お一人おひとりに適したケアプランの実現に大きく寄与します。家族様の要望や懸念を聞くため、定期的な会話の場を設けて、利用者様のケアプランに関する情報の共有や進捗の報告なども行いましょう。

コミュニケーションを通じて家族様との信頼関係を築くことは、利用者様が適切なケアを受けられているという実感につながり、施設・事業所に対する信頼をも高めることができます。

管理者・多職種との連携

介護職員だけでなく、管理者を含む多職種と連携をとることができれば、利用者様が受けるサービスの幅を大きく広げることができます。医療従事者、リハビリテーション職、社会福祉士など様々なバックグラウンドを持つ専門家と連携することで、利用者様がその人らしい生活を送るための包括的なニーズへの対応が可能です。

定期的なミーティングやカンファレンスに出席し、ケアプラン更新のための身体面・精神面の状況、医療面における情報交換を行いましょう。現場において、最も多くの時間を利用者様と接している介護リーダーからの情報は、その人を知るための特に重要な情報です。

また、多くの職種が意見交換するからこその貴重な知見や新たな気づきを得ることは、介護リーダー自身にとっても成長の機会になることでしょう。多職種との連携は、互いの結束力をより強いものとすることにつながり、より良い質のサービスを実現していく基盤にもなり得ます。

介護リーダー(介護主任)に求められる役割

介護リーダーと介護職員、利用者

介護リーダーは、介護職員の軸となる存在です。そのため、リーダーの知識や技術、考え方がチームの基盤となります。

責任重大に思うかもしれませんが、リーダーの行動如何でチームを向上させることができるため、大きなやりがいも感じられる役割です。

職員のマネジメント

介護リーダーにおける重要な役割の一つが、職員のマネジメントです。チームの士気を高め、より良いサービスの提供のため、効率的かつ効果的な業務遂行のためのリーダーシップが求められます。

自分の考えを押し付けるのではなく、職員一人一人の能力を見極め、それぞれの強みを生かせるような適材適所の割り当てや、次代のリーダーを育成するための研修に注力することは必ず視野に入れておかなければなりません。

また、介護の現場では予期せぬトラブルが発生することは珍しくなく、介護リーダーはチームを率いて問題に対処する必要があります。そのためには職員との開かれたコミュニケーションを促進し、信頼関係を深めておくことが大切です。

そして、職員が結果を出した時はしっかりとほめましょう。職員をマネジメントすることで、職員一人ひとりが仕事に対しての満足感を持ちながら、各々が成長し、職場環境を支え、より高いパフォーマンスを発揮していくことにつながります。

職員間の情報共有の円滑化

介護の現場では、日々の業務における細かな変更や利用者様の心身の変化、ケアプランの更新に関する様々な情報が幅広く飛び交っています。

これらをスムーズかつ正確に把握し、職員同士の掲示板やデジタルツールの活用、定期的なミーティングにおいて他の職員との情報共有を図る役割が、介護リーダーには必要です。

施設・事業所全体で統一したサービスを提供するためには、情報がしっかりと共有されていて、すべての職員が統一した見解によって業務を行える状態を理想とします。情報共有だけでなく、職員からのフィードバックも積極的に収集しましょう。

自分が知らないその利用者様の一面を知ることは、アセスメントをさらに深めていくことにつながります。職場内の話しやすい雰囲気を作り出すため、普段から職員の声に耳を傾ける姿勢を持つことが大切です。

また、自分の話を聞いてもらえたこと、それによってサービスの向上が認められたことは、職員のモチベーションの向上にもつながります。話を聞いたあとは、言葉でしっかりと感謝を伝えましょう。

管理職とのパイプ役

介護リーダーは職員と管理職の間に立ち、両者のコミュニケーションの橋渡しを行うという役割もあります。現場から上がってくる声を管理者に適切に伝えることで、施設全体の質の向上に寄与するとともに、管理者からの方針や決定が正確に職員に伝わるように努めなければなりません。

そのため、介護リーダーにはコミュニケーション能力と調整能力が必要となります。定期的なミーティングや非公式な会話を通じて、職場の雰囲気や問題点、職員からの意見、懸念事項を把握し、管理者に的確に伝えるように心掛けましょう。

特に、現場での各職員の仕事ぶりを、管理者は直に見る機会が少ないため、職員の評価に関しても、介護リーダーからの意見は大きなウエイトを占めることとなります。そのため、個人的な感情は排除し、公平な判断で職員を評価する目線も大切です。

介護リーダー(介護主任)に向いている人

介護リーダーになるための資格や経験年数における規定はありませんが、厚生労働省の方針では、5年程度の実務経験を積んだ介護福祉士が望ましいとされています。

筆者が考える、介護リーダーに向いている人とは以下のような人です。

介護リーダーに向いている人とは

・周囲と力を合わせて問題解決を図れる人
 
・個人的な感情ではなく、冷静な判断ができる人
 
・変化に気づける人
 
・キャリアップを目指している人
 
・やりがいを持てる人                   

介護リーダー自身が変化に気づけたり、冷静な判断ができたりする必要はありますが、周囲と協調しながら、一緒にチームを作っていくという姿勢も重要です。すべての問題をたった一人で解決する必要はありません。

お互いに協力し合って問題解決を図っていくことで、チーム全体を巻き込んだ大きな変化を生み出すことができるのです。その経験は自身のキャリアアップにもつながるとともに、さらなるモチベーションにも発展し、新たな課題に対しても前向きに取り組み、困難を乗り越える動機づけになるでしょう。

まとめ

介護リーダーには、幅広い業務や役割があることを紹介してきました。経験に裏付けられた高い知識や技術の習得はもちろん、観察力やコミュニケーション能力、指導力やマネジメント能力なども必要です。

これらは日々の経験の中で少しずつ身についていくものですから、ある日突然できるようになったと実感することはないでしょう。しかし、リーダーに抜擢された方であれば、すでに身についている、あるいはその可能性があると評価されていることには間違いありません。

介護リーダーはチームの要となる存在です。業務も増え、職員のマネジメントなど大変さもありますが、大きな達成感を得られるポジションでもあります。ぜひ職員と積極的にコミュニケーションを取り、より良いチーム作りをしていただけたらと思います。

この記事の執筆者ユージン

保有資格:介護福祉士 社会福祉士 認知症ケア専門士

介護付き有料老人ホームで16年勤務。内3年は介護リーダーを務める。現在は新人職員、中堅職員の指導を行いながら、チームケアの維持に尽力。

また、長い現場経験を活かして、介護・福祉関係のライターとしても活動中。

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