「介護業界で働きたいけれど、希望休が取りにくいと聞いて不安に感じている」
「自分の施設は希望休が取りにくく転職したいけれど、他の施設でも同だったらどうしようと心配」
大半の事業所は職員の希望を考慮してシフトを組んでくれます。しかし、なかには希望休だけでなく、有給休暇の取得すら厳しい施設も存在します。
介護職が希望休・連休・有給休暇を取得するためには、申請が通りやすい施設の特徴や、連休を取得するためのポイントを把握しておくことが重要です。
そこで、本記事では介護業界の希望休・連休・有給休暇取得に関する以下の内容について解説します。
・介護職が連休を取るためのポイント
・希望休が通らない理由
・希望休が取りやすい職場の特徴
仕事とプライベートの時間を充実させ、ストレスなく就労したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
シフト制で働く介護職にとって希望休は大切!
希望休とは、毎月の公休を特定の日にしてほしいと申請し、取得する休日を指します。24時間365日稼働がほとんどで休みが不定休な介護業界では、休み希望の取得は大切なポイントです。
施設の基準によって異なるものの、毎月2日〜3日程度は希望休を申請できます。多いところでは、月に5日まで申請可能です。
・施設によって基準は異なるものの毎月2日〜3日程度は希望を出せる
・多いところで5日ほど希望休が申請可能
ただし、希望休は必ず取得できるとは限りません。法律的に定められている制度ではないため、施設の事情で却下される可能性もあります。詳しくは『希望休が通らない理由』をご参照ください。
希望休と有給休暇を繋げて連休は取れる?
希望休と有給を繋げて連休を取ることは可能です。3日程度の連休であれば、希望を出せば通してもらえる可能性があります。4日以上の長期連休の場合は、シフト作成者に前もって相談しておくとよいでしょう。
ただし、職員の人数がギリギリの施設であれば「希望休+有給休暇」での連休取得が難しい場合もあります。
介護職が連休を作るためのポイント
シフト制で勤務している介護職が連休を取るためのポイントは、以下の通りです。
・夜勤明けを活用する
・有給休暇を使用する
・同僚とシフト調整をしておく
・月末と月初に希望休を取得して連休とする
ひとつずつ解説します。
夜勤明けを活用する
2交代制の夜勤を採用している介護施設の場合、夜勤明けの翌日は休日になるケースがほとんどです。夜勤明けは9:00か10:00に終業するため、以降の時間は自由に使えます。
夜勤明けは勤務日として換算されるため、有給休暇を申請しなくても、2連休と同じように日中帯の時間を活用できます。
ただし、夜勤明けの日は前日の夕方からほぼ寝ずに勤務しているため、体調管理には十分注意が必要です。
・介護職の夜勤明け過ごし方のおすすめ!疲れを溜めない過ごし方とは?
介護現場ではたらく介護職の方に向けて、疲れを溜めずにできる夜勤明けの過ごし方や夜勤明けの負担を減らすコツを解説します。
有給休暇を使用する
有給休暇を利用して希望日に休む方法もあります。有給休暇は国が定めている労働者の権利であるため、希望休と比較して取得しやすい傾向です。
2019年より年間5日以上の有休消化が義務付けられ、施設側も積極的に取得を推進しています。そのため、以前よりも有給休暇が取りやすくなっています。
参照:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」
同僚とシフト調整をしておく
シフト作成担当者に直接依頼するよりも、同僚とシフトを調整してから申請した方が希望休を取得しやすい場合もあります。「シフトが回るように調整し、双方が同意のうえであれば問題ない」とする担当者が多いためです。
この方法を使う場合、反対の立場になった際には積極的に協力しましょう。自分の希望休ばかり通すのではなく、他職員の希望も通るようにシフトを融通する協調性が大切です。
月末と月初に希望休を取得して連休とする
4日以上の長い連休を取得したい場合、月末と月初に希望休みを申請して連休とする方法があります。介護施設のほとんどは1ヶ月単位でシフトを作成しているため、月2回の希望休であっても、実質4連休にすることが可能です。
希望休の取得イメージは、以下の通りです。
10/29 | 10/30 | 10/31 | 11/1 | 11/2 | 11/3 |
勤務 | 希望休 | 希望休 | 希望休 | 希望休 | 勤務 |
(9月に10月30・31日の希望休を申請し、10月に11月1・2日の希望休を申請する)
希望休と有給休暇の違いについて
希望休は施設独自の制度であるのに対して、有給休暇は国が定めている制度です。入社して6ヶ月経過すると必ず取得でき、公休以外で休日が取得できます。休んだ分も給料が支払われ、正社員・パート・派遣などの雇用形態に関係なく、一定の条件を満たせば取得可能です。
取得日数は「年間〇〇日」という形で付与され、取得から2年経過すると古い有給休暇から消滅してしまいます。
参照:厚生労働省「年次有給休暇とは」
介護職の有給休暇取得率
介護職1人あたりの有給休暇取得率・取得日数の平均は以下の通りです。
令和4年度・介護職1人あたりの有給休暇取得率・取得日数(平均) | |
取得率 | 60.3% |
取得日数 | 7.8日 |
対して、全産業の取得日数が10. 3日、取得率は58.3%です。取得日数は平均を下回るものの、取得率は若干上回っている結果となりました。産業全体と比較して見ると、平均以上は有給休暇を取得できると言えます。
参照:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」
参照:介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」
希望休が通らない理由
希望休は申請しても必ず通るとは限りません。以下の要因によって断られてしまう可能性もあります。
・希望休を聞き入れられるほど人員に余裕がない
・希望休の日が複数人と被ってしまった
人員が不足している施設の場合「希望休を通してあげたくても厳しい」といった状況のケースがあります。
また、希望休が複数のスタッフと被ってしまった際は、誰かが希望休をゆずらなければならない場合も少なくありません。
希望休が通らないと不満を感じる介護職は多い
希望休を聞き入れてもらいやすい施設がほとんどですが、全ての施設で希望通り休めるとは限りません。
介護職のなかには「希望が通らない」「そもそも希望を申請しづらい」と不満を感じている介護職員もいます。有給休暇に関しても同様です。
実際、介護労働安定センターの調査では「労働条件・仕事の悩み」において「有給休暇が取りにくい」と回答した人が22.6%を占めました。
希望休や有給休暇を取得し、少しでも不満を軽減して勤務するためには、申請が通りやすい職場に就職・転職するのが重要です。希望休が取りやすい職場の特徴については、次章で解説します。
参照:介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」
希望休が取りやすい職場の特徴
施設形態・職員数・年間休日数によって希望休みの取りやすさは異なります。
デイサービス・デイケア・訪問介護の場合は、土日休みの勤務が多いため、週末に2連休を取得できます。
また、職員数が多い施設は希望休を申請しても他職員でカバーできるため、比較的通りやすい傾向です。
その他、年間休日が多い施設は単純に月の休日回数が多いため、休みが融通しやすい特徴があります。年間休日については、120日を目安に判断するとよいでしょう。
理由は、厚生労働省の統計データで、労働者1人あたりの平均年間休日総数が110. 0〜119. 1日と結果が出ているためです。120日以上あれば、平均よりも年間休日が多いと言えます。
同統計では、企業規模が大きいほど年間休日数が多い結果となっています。そのため、一概には言えませんが、従業員数が多い企業の方が希望休を取りやすい可能性もあります。
参照:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」
まとめ
介護職であっても、希望休・有給休暇・連休は取得可能です。ただし、24時間365日稼働が基本のシフト制なため、希望が100%通る訳ではない点は留意しておきましょう。
多くの施設は、なるべく希望休を取得できるようシフトを調整します。しかし、なかには人員不足などの理由により取得が難しいところも少なくありません。
また他にも、シフト管理者が忙しいため作成にしっかりと時間をとることができず、公平なシフト作成が難しいといったケースもあるかもしれません。
そうした場合には、各スタッフが希望休を申請しやすく、公平なシフト作成ができるシンクロシフトなどの自動シフト作成ソフトを利用する方法もおすすめです。
これから希望休・有給休暇・連休を取得しやすい職場を探す際には「職員数が多いか・年間休日は何日か」などをチェックしましょう。
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この記事の執筆者 | 石田楓 保有資格: 介護福祉士 社会福祉主事任用 20歳のときにグループホームへ転職。 23歳でショートステイへ転職し、現場職員・相談員として7年勤務。 現在は介護・福祉系ライターとして活動、複数のメディアに記事執筆中。 |
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