「盛り上がるレクリエーションが思いつかなくて困っている」
「準備が簡単ですぐ実施できる脳トレ・クイズを教えてほしい」
「脳トレやクイズって本当にやる意味があるの?」
このようなお悩みや疑問を抱えていませんか?
介護施設で実施される高齢者向けのレクリエーションは、準備と実施に人手や時間が必要です。参加者にとって有益なレクリエーションを、できるだけ負担を抑えて実施したいと考える介護職も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では準備が簡単で、すぐ実施できる高齢者向けの脳トレ・クイズを紹介します。脳トレやクイズを実施する意味と効果的な実施方法もお伝えしますので、ぜひご覧ください。
目次
高齢者のレクに脳トレやクイズをおすすめする理由

介護施設では、高齢者向けの多種多様なレクリエーションが実施されています。その主な目的は以下の機会を提供することです。
・利用者と職員、利用者同士のコミュニケーションなどの「社会的な交流」
・筋力トレーニングや有酸素運動といった「運動する機会」
・考える、覚える、計算するなどの「認知機能訓練」
その中でも、脳トレやクイズは、利用者とレクリエーションの担当者にメリットがあるレクリエーションです。
たとえば、クイズや計算問題、間違い探しといった活動の場合、問題用紙と筆記用具、机があればすぐに実施できます。自分の体や脳を使って実施できるものなら、すきま時間に提供できるでしょう。
脳トレやクイズの実施例
・スケジュールが空いた利用者に余暇活動として実施
・大掛かりなレクリエーションの前に準備運動として活用
・食事が終わって一休みしたあと、午後の空いた時間などに「何かやりたい」と希望する利用者に提供
高齢者レクとして行う脳トレやクイズは、参加者の認知機能のトレーニングになるほか、社会的な交流を持つきっかけにもなります。一方で、他のレクリエーションより準備にかかる人手や時間を節約できるのです。
大掛かりなレクリエーションのように、100円ショップで物品を調達・工作したりする必要はありません。体を動かすレクリエーションの場合、事故防止のためにシミュレーションを行う必要がありますが、脳トレやクイズなら、通常業務と同様の見守りを行えばよいでしょう。
脳トレやクイズは、介護現場の状況にあわせて提供しやすいレクリエーションです。
脳トレ・クイズは認知症予防にも効果が期待できる
脳トレやクイズに取り組むことで、参加者は、考えたり覚えたりといった脳の機能を活用します。担当職員や他の利用者と一緒に取り組めば、コミュニケーションを図れるでしょう。
人とのコミュニケーションでは、「会話をする」「相手の表情を観察する」「その場の雰囲気を感じ取る」「感情をコントロールする」といった活動に脳が刺激されます。
あえて歯ごたえのある難問を提供することで、それを解いた参加者に達成感を味わってもらうことも可能です。この後の問題のように、想像力が必要な問題を提供して、脳の活性化を促すのもよいでしょう。
高齢者レクで準備が簡単な脳トレ・クイズ4選

高齢者向けのレクリエーションに活用できる脳トレやクイズを紹介します。実際に導入できそうかどうか、実際の介護現場と照らし合わせながらご覧ください。
思いがけない言葉が飛び出すかも!?オノマトペクイズ
オノマトペとは、自然の音や物体の状態、人や動物の声などを言葉で表現したものです。
オノマトペは擬態語と擬音語に分けられます。
擬態語 | 擬音語 |
人や物体の状態をあらわす音「ボロボロ」「すべすべ」
人の気持ちや様子「さっぱり」「がっかり」「ぷんぷん」など |
猫の鳴き声「にゃー」
川の流れる音「さらさら」 風がふく音「ひゅーひゅー」など 物体が転がる音「ころころ」「ごろごろ」 |
このオノマトペをクイズに活用したレクリエーションが以下です。
オノマトペクイズの流れ

はじめに「オノマトペ」の説明を行います。次に司会者から利用者にルールの説明を行います。
司会者
「病院で診察を待っているのに、なかなか呼ばれない。こんな気持ちをオノマトペで表現してみましょう。1分間考える時間を設けますので、3つくらいのオノマトペを考えてみてください。」
②参加者に回答してもらう
参加者に順番に回答してもらいましょう。回答をホワイトボードに記載していくと、既出の回答がひと目でわかるため、参加しやすくなりますよ。
オノマトペクイズには、厳密な意味での正解はありません。参加者に自由に考えてもらえる点が、このレクリエーションの特徴です。
オノマトペクイズの回答例
・呼ばれなくて「いらいらする」
・いつまでも呼ばれなくて「うんざりだ」
・自分の隣の人が呼ばれて「がっかりした」
・いつ呼ばれるのかと「ドキドキする」
出てきた答えを、参加者全員で検討するのもよいでしょう。「その言葉は知らなかった」「こんな言い方もあるよ」と、きっとその場が盛り上がりますよ。
オノマトペには、ほかにもさまざまな言い換え表現があります。ぜひこの機会に調べてみましょう。
国語が好きな方や日本語が好きな方におすすめ!虫食いクイズ
有名な俳句や短歌の一部分を黒塗りにして出題するレクリエーションです。
有名な俳句を虫食いクイズにした問題例がこちらです。
問題例
古池や
●●●飛び込む
水の音
正解
蛙(かわづ)
上記の俳句の正解は蛙です。蛙は季語で季節は春をあらわしています。
日本人に馴染みのある有名な俳人(はいじん)を調べて虫食いクイズにして紹介してみましょう。俳句の季語や意味を調べておいて、問題を出した後に伝えると、レクリエーションを盛り上げられますよ。
虫食いクイズでは、参加者が答えやすいように、ホワイトボードに文字を書いて出題することをおすすめします。
気がつけば夢中に!後出しじゃんけん・スピードじゃんけん
後出しじゃんけんは、参加者の集中力や判断力に働きかけるレクリエーションです。頭で考えながら腕や手を使うため、認知機能と運動機能の両方にアプローチできます。
①導入
司会者と参加者は向かいあわせで座りましょう。半円になって座っても問題ありません。
1.「まずは普通にじゃんけんをしましょう。最初はグー、じゃんけんしょ!」
2.通常のじゃんけんを2回または3回行います
3.「今度は、私が出した手に、後出しで勝ってください」
4.グー、チョキ、パーを順番に出して、参加者に勝ってもらいます。このとき、じゃんけんはゆっくりしたペースで行いましょう
5.「次は、私が出した手に負けてください」
6.グー、チョキ、パーを順番に出して、参加者に負けてもらいます。ここでも、じゃんけんのペースは遅めを心がけましょう
6まで進めたら、次はじゃんけんのペースを速めます。
「次から、じゃんけんを速くしていきます。まずは私に後出しで勝ってください」と伝えて、先ほどのじゃんけんより2倍くらいのペースで実施してみましょう。
参加者がついて来られなかったら、ペースを遅くします。参加者に余裕があるときは、ペースをさらに速くしましょう。
後出しじゃんけんは、担当職員が1人でも実施可能なレクリエーションです。特別な用意も必要ないため、気軽に行ってみましょう。
頭と体を一緒に動かす!音楽体操
音楽体操は、脳と体を連動させるレクリエーションです。参加者に、昭和の歌謡曲や唱歌にあわせて特定の動作を取ってもらいます。
茶摘(ちゃつみ)を例に挙げてみましょう。
1番
夏も近づく八十八夜→拍手を2回
野にも山にも若葉が茂る→足を2回鳴らす
あれに見えるは茶摘みじゃないか→拍手を2回
あかねだすきに菅の笠→足を2回鳴らす
2番
日和(ひより)つづきの今日この頃を→膝を2回たたく
心のどかに摘みつつ歌う→お腹を2回たたく
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ→頭を2回たたく
摘まにゃ日本の茶にならぬ→大きくバンザイをして2回拍手
坂本九さんの「幸せなら手をたたこう」にあわせて体を動かす体操もあります。
「幸せなら手をたたこう」の箇所で手をたたいたり、「手をたたこう」の歌詞を「足たたこう」「膝たたこう」「ほっぺをたたこう」「隣の人の肩をたたこう」とアレンジしたりして、一味違ったレクリエーションを実施しましょう。
参加者の好みや特徴などにあわせて、適当な音楽がないか探してみてくださいね。
脳トレ・クイズの効果を高めるポイント

脳トレやクイズの効果を高めるために、押さえておきたいポイントを紹介します。現場ですぐに実行できるものを紹介するので、レクが苦手な方もご覧ください。
正解よりも楽しんでもらうことが大切
脳トレやクイズに正解できたとき、利用者は「やった!」「当たってよかった~」と達成感や安堵感を味わえます。こうした刺激は、脳の活性化につながるでしょう。
しかし、「正解しないとマズイ!」「間違えたら恥をかくかもしれない」と学校の授業や就職の面接のような雰囲気でレクを実施してしまうと、萎縮する利用者が出てくるかもしれません。
脳トレやクイズを実施するときは、正解することも間違えることも両方を楽しんでもらえるように気を付けてみましょう。
たとえば、参加者に問題を出す前に、「職員のAさん、この問題の答えは何だと思いますか?」と別の職員に答えさせる。あてられた職員がわざと間違えて、その場の緊張感をほぐしてみる、といった方法は効果的です。間違えるときは、正解から遠く離れた答えを出したりわざとずっこけたりすると、利用者がリラックスできますよ。
以下の方法も有効です。
・雑談(天気、今日の昼食、最近のニュースなど)から始める
・「脳トレやクイズの目的は考えることなので、正解できなくても大丈夫です」と目的を伝える
・アップテンポな音楽をBGMにする
その場の緊張をほぐす方法を「アイスブレイク」と呼び、場を和ませるためのコミュニケーション技法です。レクリエーションが苦手な方も実施しやすいため、ぜひ試してみてください。
レベル別にさまざまなクイズを用意する
脳トレやクイズの問題は、利用者が無理なく参加できるように、簡単なものから難しいものまでレベル別に用意しましょう。
実際の進行では、簡単な問題から徐々に難しい問題へシフトしていきます。こうすることで、自分のできる範囲でレクリエーションに参加できるようになりますよ。
異なるジャンルの問題を用意しておくのもおすすめです。参加者は、問題ごとに頭を切り替える必要が出てくるため、新たな刺激を感じられます。
なお、「これは難しい問題ですよ!」「この問題は誰でもわかりそう」などと、問題の前に前置きの一言を入れると、参加者の好奇心を刺激できます。1つのテクニックとして活用してみてください。
参加を無理強いせずに不参加の理由を考える
利用者が不参加を表明したときに、レク担当者におすすめしたい行動が「不参加の理由を考えてみること」です。その理由は、本人が参加したくない理由によって介護職が取るべき対応が異なるからです。
仮に利用者が人見知りで集団が苦手な方なら、「頭の体操は嫌いじゃないけどグループに入るのは緊張する。だから参加したくない」という気持ちがあるのかもしれません。
この場合は、「職員が隣について一緒に参加する」「面倒見のよい利用者さんの隣に座ってもらう」といった方法を取ることで、徐々に慣れていける可能性があります。
また、「自宅でも漢字問題や計算問題をやっていて、サービス利用中までやりたくない」という方もいるかもしれません。この場合は、普段やっていない手芸やクイズ問題などにお誘いすることで、気分よく脳トレに取り組んでもらえるでしょう。
「皆が参加しているので一緒にやりましょう」「参加するのは決まりなんです」と参加を無理強いする方法は、おすすめできません。レクリエーションはもちろん、介護サービスを利用すること自体を拒否するようになる恐れがあるからです。
脳トレやクイズに不参加の方がいても、焦らずに一歩止まってその方が「参加を拒否するワケ」を考えてみましょう。
職員も役割を持って楽しみながら参加する
担当職員が役割を持って楽しみながら参加すると、利用者もレクリエーションに没頭しやすくなります。
ポイントは、2人以上の職員でレクリエーションを実施することです。たとえば、A職員が司会者になり(問題を出す役割)、B職員は利用者と一緒に答えを考える役になる方法をおすすめします。
このとき、問題の答えはお互いに秘密にしておきましょう。そして答えを考えるB職員は、本気で正解を考えてみてください。
こうすることで、レクリエーションの担当職員も利用者と同じ目線でレクリエーションに参加できるようになります。利用者と同じように悩んだり正解しようとして間違ったりすることで、自然とレクが盛り上がるでしょう。
介護職も利用者と一緒に楽しみながらレクリエーションに参加できたら理想ですよね。頭の体操や脳トレを無理なく実施していくために、周りの職員と相談の機会を持ってみましょう。
まとめ
脳トレやクイズは、大掛かりなレクリエーションに比べて短時間で実施できるのがメリットです。ただし、問題の用意や実施方法など事前の準備に時間がかかります。
問題のヒントは、書籍、インターネットの記事、YouTubeの動画などさまざまな所から得られるはずです。介護施設なら過去の問題がストックされているかもしれません。
脳トレや頭の体操に使えそうなネタを探して、利用者が楽しみながら参加できるレクリエーションを実施していきましょう。
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この記事の執筆者 | 千葉拓未 所有資格:社会福祉士・介護福祉士・初任者研修(ホームヘルパー2級) 専門学校卒業後、「社会福祉士」資格を取得。 以後、高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設を渡り歩き、約13年間介護畑に従事する。 生活相談員として5年間の勤務実績あり。 利用者とご家族の両方の課題解決に尽力。 現在は、介護現場で培った経験と知識を生かし、 Webライターとして活躍している。 |
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