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【教えて!】高齢者が座ってできるレクリエーションを紹介!簡単にできて盛り上がるレク

高齢者が座ってできるレクリエーション

通所介護施設に勤めていると、レクリエーションの企画・実行に携わることも多くなりますよね。
しかし、毎日のようにレクを実施していると「次のレクは何をしたらいいだろう?」「レクのネタが思い浮かばない…」と困ってしまう場面が増えてくるでしょう。
そこで今回は、効果的なレクリエーションを探している方に向けて、高齢者が座ってできる8つのレクリエーションを紹介します。
座ってできるレクリエーションは、利用者の安全を確保しながら、運動や脳トレを提供できます。
企画・実施に必要な情報や盛り上がるコツも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

高齢者がレクリエーションに取り組む目的

高齢者施設のレクリエーション

高齢者がレクリエーションに取り組む目的として、日常生活動作(ADL)の維持・向上が挙げられます。
日常生活動作とは、食事、排泄、入浴、移動といった日常生活を送るために必要な動作のことです。

高齢者が住み慣れた居宅や地域で暮らしていくためには、これらの動作をスムーズに行えることが重要です。

しかし、日常生活動作を維持・向上させるためには、適切な活動に参加してこれらの機能にアプローチしていく必要があります。

具体的な取り組みがこちらです。

・体を動かす機会の確保
・考える力の維持・向上
・他者と交流する機会を持つ

自分で体や頭を動かす機会を確保するのは、簡単ではありません。

そこで、高齢者介護施設がレクリエーションを提供して、高齢者がADL向上に取り組める機会を提供しているのです。

通所介護施設でレクリエーションを行う理由

通所介護施設では、機能訓練やリハビリテーションといった身体機能の維持・向上に取り組むための活動が存在します。

これらの活動には高い運動効果を期待できますが、利用者の「運動を続ける意思の強さ」や「支える職員のサポート」が求められます。

その点、介護施設のレクリエーションは、どなたでも続けられるよう工夫されたものといえます。
楽しみながら取り組める点が一番の魅力といってもよいでしょう。

レクリエーションでは、高齢者の体力に合わせて提供するので、運動に自信のない方でも取り組めます。

グループで行うレクリエーションに参加すると他者交流の機会を持てるため、気分転換にもなるでしょう。

座ってできるレクリエーションのメリット

高齢者施設でのレクリエーション

座ってできるレクリエーションのメリットを2つ紹介します。

椅子に座ってできるので転倒リスクが低い

椅子に座って実施すると、利用者の転倒リスクを軽減できます。

「このレクリエーションは座って行います。立ってはいけません」

と、あらかじめ利用者に注意を促せるため、見守りをする職員の負担を減らしながら実行できるというメリットもあります。

高齢者の転倒は骨折などの大けがにつながりやすく、介護施設で防止すべき事故の1つです。

若い人に比べて回復に時間がかかるため、一度の転倒が寝たきりにつながるおそれもあります。

椅子からの転落には十分気をつける必要はありますが、立って移動する利用者の転倒リスクを軽減できます。

体力に自信がない人でも取り組める

体力や運動に自信がない人でも、無理せずに取り組めます。
疲れたら椅子に座ったまま休めるため、自分のペースで続けやすいのです。

立って行うレクリエーションには一定の運動効果を期待できますが、ある程度の体力が必要です。
膝や腰に痛みなどを抱える利用者には、大きな負担がかかるでしょう。

より多くの利用者に楽しみながら参加してもらいたい場合は、椅子に座ってできるレクリエーションをおすすめします。

高齢者が座ってできるレクリエーションの種類

高齢者が座ってできるレクリエーションの種類を3つ紹介します。

・体を動かすレクリエーション
・脳トレレクリエーション
・創作レクリエーション

利用者の特徴に合わせてレクリエーションを提供できるように、それぞれの内容を確認しましょう。

体を動かすレクリエーション

体を動かすレクリエーションの主な目的は、身体機能の維持・向上です。
担当職員がやり方をレクチャーしたり小道具を上手に活用したりして、利用者に運動の機会を提供していきます。

座って取り組めるメリットとして、転倒リスクの高い方や車いすの方が参加しやすい点が挙げられます。

運動が苦手な方に声をかけるときは、

「座ったまま取り組めるので、参加しやすいですよ」

「疲れたら座ったまま休んでください」

と促してみるとよいでしょう。

脳トレレクリエーション

脳トレレクリエーションは、利用者の考える力、記憶力、想像力などを引き出すのに効果的な手法です。
計算問題、漢字問題、連想クイズ、音楽クイズなどのさまざまな種類が存在します。

毎回違うレクを提供すれば、楽しみながら脳の活性化に取り組めるでしょう。

創作レクリエーション

脳トレレクリエーションは、考えたり想像したりと脳をたくさん使う活動です。
一方、創作レクリエーションでは、考えながら手先を動かすため、脳を活性化させながら腕の運動にも取り組めます。

また創作レクリエーションは、職員と利用者あるいは利用者と利用者が協力して1つの作品を作り上げる活動です。

時間をかけた作品が完成すれば、達成感や喜びを分かち合えるでしょう。

体を動かすレクリエーション

体を動かすレクリエーションを4つ紹介します。

企画・実行するために必要な情報も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

①ストライクを狙え!サッカーボーリング

サッカーボーリングは、主に下肢を動かすレクリエーションです。
空のペットボトルに点数の書いた紙を貼り付けてピンに見立てます。

ボーリングの玉は、カラーボールが適切です。
新しく用意する場合はホームセンターや100円ショップで購入できます。

用意するもの

・手すりのついた椅子
・ボーリングのピン(ペットボトル)×10
・カラーボール×1

やり方

・ペットボトルをセットする
 ※利用者からみて、手前が三角形の頂点になるように並べていく。
・利用者を椅子に誘導する
・利用者がしっかり座っているのを確認
・利用者の足の前にカラーボールをセット
・「せーの」と掛け声をかけて、ボールを蹴ってもらう
・1人2回ボールを蹴ってもらい合計得点を出す

成功のコツ

ペットボトルに水を入れて倒れにくいピンを用意するのも、盛り上げたいときに効果的です。
ホワイトボードを用意して、利用者ごとに合計点数を記載するのもよいでしょう。
誰が何点取ったのかわかるため、利用者のやる気を引き出せます。

注意点

利用者が椅子の座面にしっかり座っていることを確認してください。
ボールを強く蹴ろうとして、お尻を前に突き出してしまう方に注意が必要です。
椅子からの転落につながりますので「深く腰掛けてください」と声をかけましょう。

②どこまで飛ばせる?お手玉飛ばしゲーム

足にのせたお手玉を遠くに飛ばして、その飛距離を競うレクリエーションです。
お手玉は軽いので、高齢者の下肢筋力でも遠くに飛ばせます。

準備に時間がかからない点もメリットです。

用意するもの

・お手玉×3~5
・手すりのついた椅子
・飛距離を測るメジャー(または得点がわかるプレート)
・ホワイトボード

やり方

・利用者を椅子に誘導する
・座った後に片足を浮かせもてらう
・利用者の足の甲から指の付け根付近にお手玉をのせる
・「せーの」と声をかけて、お手玉を足で遠くに飛ばしてもらう
・お手玉の飛んだ飛距離を計測(または飛距離に合った得点をつける)
・1人3回を目安に行う

成功のコツ

利用者に手すりを掴んでもらうと、体のバランスが安定しますので飛距離が伸びやすくなりますよ。
利用者の合計飛距離をホワイトボードに記載するのも盛り上がる手法の1つです。

注意点

お手玉を利用者の足にのせる作業は、職員が担当しましょう。
本人にやってもらうと椅子から転落するおそれがあります。
また、利用者が足を振り上げた際に、体重が後方に移動するため椅子が傾くかもしれません。
担当者は椅子のすぐ側に待機しましょう。

③うちわでパタパタゲーム

うちわでパタパタゲームは、二人一組で行うレクリエーションです。
小さく丸めたお花紙を、うちわを使って集めていきます。

制限時間内にたくさんのお花紙を集めてもらい、上肢の運動に取り組んでもらいましょう。

用意するもの

・うちわ×2
・お花紙を入れるためのカゴ×2
・お花紙
・ストップウォッチ

※お花紙は、ホームセンターや100円ショップなどで手に入ります。お花紙は小さくちぎって丸めておき、うちわの風で飛ぶくらいの大きさに調整しましょう。60枚前後用意しておけば十分です。

やり方

・大きめの机にお花紙を広げておく
・利用者に横並びで座ってもらう
・制限時間を30秒から60秒の間で設定する
・うちわを持って用意してもらい「よーい、スタート」で開始
・時間が来たら「終了です」と伝えて、利用者が集めたお花紙の枚数を数える

成功のコツ

お花紙は軽いため、うちわの風の勢いで机から落ちてしまうかもしれません。
その際は机の端にバリケードを設置するとやりやすくなります。

注意点

利用者がうちわをあおぐ際に、隣の方の手にぶつかるおそれがあります。
利用者と利用者の間に1mほどの距離を空けて安全を確保しましょう。

④玉入れ

玉入れは、上肢や体幹を動かすレクリエーションです。

運動会と同じように利用者を赤組と白組の2チームに分けて、入った玉の個数を競うと盛り上がります。

玉入れ用のカゴは、インターネット通販を利用すると時間をかけずに入手できますよ。

用意するもの

・玉を入れるカゴ
・投げる玉を入れる小さめのカゴ
・赤玉と白玉を30個ずつ※利用者のADL等に合わせて数を設定するのがおすすめです

やり方

・小さめのカゴに玉を入れる
・利用者に玉が入ったカゴを持ってもらう(自分で持てない方や転落のリスクがある方には職員がつきましょう)
・制限時間を設定して玉を入れてもらう

成功のコツ

「天国と地獄」のようなアップテンポなBGMをかけると、運動会の雰囲気を再現できます。

注意点

立ち上がって玉を投げる利用者が出るかもしれません。
開始前に「立たないで座って投げてください」とアナウンスしましょう。

脳トレレクリエーション

脳トレレクリエーションは、脳の活性化に特化した活動です。
企画・実行するために必要な情報を記載していますので、ぜひ参考にしてください。

⑤連想クイズ

「丸い食べ物といえば?」「春といえば?」といったお題を出して、参加者に想像をふくらましてもらうレクリエーションです。

お題に決まりはありませんが、食べ物や乗り物といった答えやすいものを設定するのがおすすめです。

用意するもの

・ホワイトボード
・マーカー
・お題となるネタ

やり方

・ホワイトボードにお題を書く
・「〇〇といえば、どんなことが思いつきますか?思いついた方からお答えください」と利用者へ質問する
・発表された答えをホワイトボードに書いていく
・答えが出なくなったら次のお題へうつる

成功のコツ

答えやすいお題を設定するのが成功のコツですが、あえて「夏に必ず食べるものといえば?」と、人によって答えが異なるお題を出すのもよいでしょう。
「夏といえばスイカだろう」「いやいや冷やし中華だ」と利用者同士のコミュニケーションが活発になるはずです。
職員も一緒に参加して、ヒントを出したりわざと間違えてみたりすると、その場が盛り上がりますよ。

注意点

高齢者に馴染みのなさそうなジャンルや担当者の趣味嗜好が強いジャンルは避けましょう。

⑥童謡・唱歌クイズ

こちらは童謡または唱歌の歌詞を思い出してもらうレクリエーションです。
記憶力や考える力を引き出すのに役立つほか、リラックス効果も期待できます。

CDコンポなどの音楽プレイヤーで童謡・唱歌を流して、全員が参加できる環境をつくりましょう。

用意するもの

・ホワイトボード
・童話・唱歌の音源
・音源を再生するための音響設備

やり方

・ホワイトボードに「流す曲のタイトル」「歌詞」を記載する
・思い出してもらいたい箇所を「」で囲む
・音楽プレイヤーから童話・唱歌を流す
・問題の箇所にきたら音楽を止める
・「次に出てくる歌詞はなんでしょうか?」と質問
・正解が出たら音楽を再開
 
※例えば「われは海の子」をお題にした場合、ホワイトボードに以下のように記載します。
 
我は海の子 「①」
さわぐいそべの 松原に
「②」 とまやこそ
わがなつかしき 住家なれ
 
音楽を流して①の箇所にきたら一時停止。「次に出てくる歌詞はなんでしょうか?」と質問します。
正解が出たら②まで音楽を流しましょう。再び一時停止して利用者に質問してください。
 
ちなみに上記の正解は、①が「白波の」②が「煙たなびく」です。
すぐわかりましたでしょうか。

成功のコツ

利用者に一緒に歌ってもらうと、脳が刺激されて歌詞を思い出しやすくなります。
昔を思い出して懐かしむといった回想にも取り組めるでしょう。
 
一曲の問題が終わったら、最初から音楽を再生して皆で歌うのもおすすめです。
童謡・唱歌だけでなく、昭和の歌謡曲などから馴染みのありそうな楽曲を選曲してもよいでしょう。

創作レクリエーション

創作レクリエーションは、余暇活動の時間にも取り組めるレクリエーションです。
その場で取り組めるため、利用者を一ヶ所に集めなくても開始できます。

⑦季節を感じる壁紙制作

大きめの模造紙を使って、複数の利用者と職員で協力して作り上げるのが壁紙制作です。
季節の壁紙や毎月のカレンダーを壁紙で制作すると、利用者に喜ばれるような作品ができあがるでしょう。

ここでは季節の壁紙制作について紹介します。

用意するもの

・B2サイズの大型画用紙
・折り紙
・お花紙
・絵具セット
・ポスターカラー

やり方

まずはテーマを設定しましょう。
春を題材にした壁紙を作成するなら、桜の木や藤の花などがテーマにふさわしいでしょう。
 
絵の下書きは職員が行い、利用者には「折り紙」「お花紙」「絵具セット」「ポスターカラー」などを使って色をつけていってもらうのが効率的です。
 
折り紙をちぎって貼るときめ細かい仕上がりにつながるほか、お花紙を丸めて貼っていくと立体的になります。

注意点

利用者の転落・転倒を防ぐために、折り紙やお花紙が床に落ちたときは職員が拾いましょう。

⑧個別創作

利用者の中には「1人で創作活動に取り組みたい」という方もいらっしゃいます。
以下のレクリエーションを用意しておくと、より幅広い活動を提供できます。

・塗り絵
・スケッチ(写生)
・俳句・短歌
・手芸
・工作

塗り絵のイラストは、「月刊デイ」「レクリエ」などの専門雑誌を参考にしてもよいでしょう。道具や材料など必要な物品を用意して、利用者が取り組めるように環境を構築してください。

高齢者が座ってできるレクリエーションを行う際の注意点

レクリエーションは、利用者の安全を確保しながら提供しなくてはいけません。
以下に具体的な注意点を解説します。

両側に手すりのある椅子を使用する

レクリエーションに使用する椅子を選ぶときは、必ず両側に手すりのある椅子を選んでください。

手すりがない椅子や片側にしか手すりのない椅子を選ぶと、利用者がバランスを崩した際に転落してしまうおそれがあります。

また、座位のバランスが取りにくい利用者の側には職員を配置しましょう。
椅子からのずり落ちや転落といった事故を防止できます。

利用者の転倒に注意する

利用者が移動するときは、見守り・介助を行いましょう。

特にレクリエーション参加後は、利用者が興奮したり疲れていたりするため、転倒が発生しやすいタイミングです。
普段はしっかり歩けている方でも、注意が必要です。

筆者の過去の勤め先で、レクリエーションの前後に転倒事故が発生したケースがあります。

自立または杖歩行で移動している方でも、安全とは言い切れませんのでご注意ください。

利用者に喜ばれる内容に改善する

レクリエーション実施後は、どんな点がよかったか、うまくいかなかったことはなかったかと振り返ってみましょう。
改善点を次のレクリエーションに生かすことで、より喜ばれるレクリエーションに改善されていきます。

デイサービスのレクリエーションに関連した記事を他にも掲載しています。
以下もぜひ合わせてご覧ください。

まとめ

利用者が楽しみながら日常生活動作の維持・向上に取り組めるレクリエーション。

座ってできるレクリエーションなら、利用者の安全を確保しながら取り組めます。
レク担当者の負担も軽減できるため、無理せず続けていけるでしょう。

もしもレクネタに困っていたら、ぜひ本記事で紹介したレクリエーションを試してみてください。

今後のレクリエーションの企画・実行に役立てば幸いです。

この記事の執筆者
千葉拓未

所有資格:社会福祉士・介護福祉士・初任者研修(ホームヘルパー2級)

専門学校卒業後、「社会福祉士」資格を取得。
以後、高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設を渡り歩き、約13年間介護畑に従事する。

生活相談員として5年間の勤務実績あり。
利用者とご家族の両方の課題解決に尽力。

現在は、介護現場で培った経験と知識を生かし、
Webライターとして活躍している。

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