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【教えて!】夜間支援体制加算(グループホーム)とは?算定要件、単位数、見直しポイントなど解説

夜間支援体制加算(グループホーム)とは

夜間支援体制加算は、2024年の介護報酬改定で算定要件が緩和されましたが、算定要件や単位数、さらには介護報酬改定による見直しポイントなど、分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
 
この記事では、夜間支援体制加算の概要や見直されたポイント、算定要件、単位数や算定率について分かりやすく解説します。
 
介護業界で請求や加算に関わる業務を持つ方、夜間支援体制加算の算定を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

夜間支援体制加算とは

グループホームで夜間に見回りする介護職員

夜間支援体制加算とは、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)において、夜間の見守り体制を充実させることで算定できる加算です。

夜間の職員配置の充実や見守り機器の活用によって入居者様の安全を確保し、適切に対応できる体制を整えます。

夜間支援体制加算の目的は、以下のとおりです。

夜間支援体制加算の目的

 
・入居者様の安全・安心な生活
夜間帯の見守り体制を強化し、夜間の昼夜逆転や徘徊などによる転倒のリスクを軽減します。
 
・介護サービスの質の向上
夜間帯の人員配置を充実させ、入居者様一人ひとりに合わせたきめ細やかなケアを実施します。
 
・夜間帯の介護職員の負担の軽減
夜間の人員体制の充実と見守り機器の導入により、介護職員の負担軽減が可能です。
介護職員の負担が大きいとされる夜勤業務において、心身ともに負担の少ないケアが実現できれば、離職率の低下や質の高いケアの提供につながります。

夜間支援体制加算は、入居者様、介護職員、そして大切な家族を預けているご家族様にとって、安心して過ごせる環境を整えることが目的です。

夜間支援体制加算 見直しの背景

介護業界の人手不足

夜間支援体制加算が見直された背景には、グループホームの人員基準の厳しさが挙げられます。

グループホームの夜間の人員基準は、1ユニットごとに1人の夜勤者が必要で、認知症ケアに必要な夜間の手厚い見守り体制が求められます。

他の入居系の介護施設と比べて人員配置基準のハードルが高いため、人員確保が難しく夜間支援体制加算を算定する事業所が少ない傾向です。

また、夜間支援体制加算を算定する場合は、さらに1名以上の夜勤職員又は宿直職員を配置しなければいけません。

慢性的な人手不足である介護施設において、特に体力的な負担が大きい夜勤の人材の確保は大きな課題です。

このような背景から、2024年の介護報酬改定で夜間支援体制加算の算定要件の見直し(夜勤職員の人員配置基準の緩和や見守り機器の活用)がされました。

社会的なニーズへの対応や介護現場の職員の負担軽減を目指し、より手厚いケアの実施が期待されています。

詳しくは、次項の「2024年の介護報酬改定で見直されたポイント」で後述します。

参照:厚生労働省 認知症グループホームの夜勤職員体制の見直し P.40

参照:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定に関する審議報告の概要 P.4

2024年の介護報酬改定で見直されたポイント

介護報酬改定で見直されたポイント

2024年の介護報酬改定で見直されたポイントは、見守り機器等を導入した場合における、夜間支援体制加算の人員配置要件の緩和です。

これまでは、事業所ごとに常勤換算で1人以上の夜勤職員又は宿直職員の確保が必要でしたが、見守り機器等を10%導入した場合には、事業所ごとに常勤換算で0.9人以上の夜勤職員でも算定が可能となりました。

また、入居者様の安全と質の高いケアの提供や介護職員の負担軽減のための対策を検討する委員会を設置し、必要な検討や話し合いが行われていることも新設された算定要件のひとつです。

参照:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について P.116

参照:厚生労働省(5)介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業 P.12

夜間支援体制加算の算定要件

夜間支援体制加算の算定要件は、以下のとおりです。

夜間支援体制加算の算定要件

 
・夜勤職員の人員配置基準
各ユニットに最低1名の夜勤職員を配置することに加え、事業所全体で常勤換算0.9人以上の夜勤職員の配置が必要。
 
・見守り機器の導入
夜間の状況を把握できる見守り機器について入居者様の10%以上の導入が必要。
 
・委員会の設置と運営
入居者様の安全や介護サービスの質向上、職員の負担軽減のための対策を検討する委員会の設置と定期的な検討が必要。
 
・夜間・深夜の人員配置基準の体制
全ての開所日において、夜間および深夜の時間帯に人員配置基準を上回る体制が必要。
 
・宿直職員の要件
複数の事業所を併設している場合、宿直職員が兼務することはできない。
各事業所でそれぞれ宿直職員が必要。

これらの要件を満たし、夜間の入居者様の安全確保につながる体制をとっていることで、夜間支援体制加算の算定が可能です。

夜間支援体制加算の単位数

夜間支援体制加算の1日あたりの算定単位数は、以下のとおり変更はありません。

夜間支援体制加算の単位数

 
・夜間支援体制加算(Ⅰ) 50単位/日(1ユニットの事業所)
 
・夜間支援体制加算(Ⅱ) 25単位/日(2ユニット以上の事業所)

算定要件の見直しによって、常勤換算方法で0.9人以上の夜勤職員で算定できるようになり、算定を見送っていたグループホームでも算定しやすくなりました。

ただし、算定要件を満たすためには、夜間の職員配置の見直しや見守り機器の導入が必要になるため、注意が必要です。

参照:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について P.116

夜間支援体制加算に対応する見守り機器の例

夜間支援体制加算に対応する見守り機器は、入居者様が安心して生活できるサポートをしたり、ケアの質の維持・向上や職員の負担軽減を図ったりするためにロボット技術を用いた機器のことです。

例えば、以下のような機器があります。

見守り機器の例

 
・バイタルセンサー
入居者様の睡眠状態や呼吸、心拍などを検知し、異常があればアラートを発します。
 
・センサーマット
ベッドの下に敷かれたマットを踏むことで反応(ベッドからの立ち上がりを知らせる)します。
 
・ベッド(マット)センサー
入居者様がベッドで寝ている状態から起き上がった場合に反応します。
 
・シルエットセンサー
入居者様の動き(起き上がりや離床、徘徊など)を検知し、プライバシーに配慮しながら安全な見守りを実施します。
 
・人感(赤外線)センサー
赤外線などを利用して入居者様の体温や動きを検知します。

見守り機器は、夜間の見守りや巡回業務などの負担を軽減し、介護職員の業務負担の軽減を図ります。

ただし、見守り機器が必要でない方に導入すると高齢者虐待に触れる恐れがあるため、必要な方のリストアップを行い、導入する際は、本人と家族の同意が必要です。

参照:厚生労働省 「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました

認知症対応型共同生活介護 夜間支援体制加算の算定率

夜間支援体制加算の算定率

2023年度のデータによると、認知症対応型共同生活介護における夜間支援体制加算の算定率は、以下のとおり、決して高いとは言えません。

・2023年度の夜間支援体制加算(Ⅰ)の算定率:0.03%

・2023年度の夜間支援体制加算(Ⅱ)の算定率:0.08%

参照:認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム) 認知症対応型共同生活介護の算定状況 P.5

認知症対応型共同生活介護における夜間支援体制加算の算定率が低い背景や、算定のハードルが高い理由は、主に以下4つの要因が考えられます。

人員配置基準が厳しい

グループホームの夜間の人員配置基準は、1ユニットごとに1人の夜勤者を配置する必要があります。

さらに、夜間支援体制加算の算定には、事業所ごとに常勤換算で1名以上の夜勤職員または宿直職員の確保が必要です。

介護業界全体で人手不足であるため、夜勤者の確保が夜勤支援体制加算の算定を難しくさせています。

加算の算定要件が複雑

夜間支援体制加算を算定するためには、夜間の人員配置基準だけでなく、見守り機器の導入や委員会の設置などが必要です。

体制を整えるのに時間と労力、コストがかかり、加算の制度自体が複雑で理解しにくいため、算定を躊躇する事業所もあります。

これらの要因が複合的に絡み合い、グループホームにおける夜間支援体制加算の算定率の低さにつながっていると考えられるでしょう。

夜間支援体制加算の介護報酬とコストが見合わない

1ユニット9人の入居者がいる場合の夜間支援体制加算を算定できる単位は以下のとおりです。

・夜間支援体制加算(Ⅰ) 50単位/日×9人=450単位

・夜間支援体制加算(Ⅱ) 25単位/日×18人(9人×2ユニット)=450単位

1単位10円で計算すると、介護報酬は1日で4,500円のプラスとなり、大きく売り上げが増えるイメージがあります。

夜間の見守り体制の強化は入居者様の安全な生活につながりますが、人件費や新たに見守り機器を導入するコストなどを考えた場合、加算とコストが見合わないため加算を見送る施設も多いでしょう。

見守り機器の導入費用が高額

夜間支援体制加算のハードルが高い要因のひとつに、見守り機器の導入費用が高額であることもあげられます。

入居者様の10%の割合で見守り機器を活用することで夜間支援体制加算が算定可能となりますが、見守り機器を導入している入居系の介護施設は30.0%にとどまっており、普及が進んでいるとは言えません。

介護ロボット導入状況

参照:厚生労働省 介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業 P.2

また、機器の種類や施設の規模によって異なりますが、見守り機器導入費用の平均は、1〜15人未満の施設・事業所では316.1万円とされ、特に小規模なグループホームにとっては大きな負担となります。

見守り機器は、介護現場の生産性向上に係る環境づくりとして介護ロボット導入支援事業の補助対象ですが、補助金を利用しても金銭的な負担が大きいのが現状です。

これらの背景から導入を躊躇する事業所が多いと考えられ、普及が進んでいない要因になっているでしょう。

参照:厚生労働省 介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業 P.5
参照:厚生労働省 介護テクノロジー導入支援事業

まとめ

夜間支援体制加算の概要や見直されたポイント、算定要件、単位数や算定率について詳しく説明しました。

夜間支援体制加算は、夜間の見守り体制の強化や介護職員の負担軽減など、質の高いケアの実施につながる重要な加算です。

2024年の介護報酬改定においてICT機器の活用や人員配置基準の見直しが行われ、これをきっかけに導入を検討するグループホームも多いことでしょう。

算定要件をしっかり確認し、各グループホームの状況に合わせた適切な体制を整えることが大切です。

今回紹介した加算の内容を参考にしていただき、より良い介護サービスの提供につなげていきましょう。

この記事の執筆者吉田あい

保有資格:社会福祉士・介護福祉士・メンタル心理カウンセラー・介護支援専門員

現場、相談現場など経験は10年超。
介護現場(特別養護老人ホーム・デイサービス・グループホーム・居宅介護支援事業所)、相談現場を経験。

現在はグループホームのケアマネジャーとして勤務。

 
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