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【教えて!】介護老人保健施設(老健)のシフト表作成の問題点、作り方のコツを解説!

介護老人保健施設 シフト作成のコツ

介護老人保健施設(老健)でシフト表作成を担当している方向けに、シフト作成で問題になりやすい点、作り方のコツを解説しています。
 
老健って、職員が多くてシフトを組むのが辛いんだけど・・。どうしたらいいの?
 
老健の管理者、シフト作成者の方は毎月そんなため息をついているのではないでしょうか?
 
「人員が足りない」「職員同士の相性があまり良くない」「うまく組んだつもりでも職員からクレームがくる」など、職員を配置するというのは本当に大変ですよね。
 
この記事では、介護老人保健施設(老健)でのシフト作成のコツについて考えました。毎月のシフト作成が辛い、時間がかかって困っている、といったシフト作成者の方は参考にしてみてください。

介護老人保健施設(老健)とは?

介護老人保健施設で働く介護職員と利用者

介護老人保健施設(老健)とは「病状が安定し、病院から退院した方などが、在宅生活に復帰できるよう、医師による医学的管理のもと、専門職によるリハビリを重点的におこない、看護や介護、日常生活の世話もする施設(*1)」です。

「骨折などで入院し、退院後にリハビリを頑張り、在宅復帰する方」や「自宅では(身体上の理由や家族の介護負担などで)暮らすことが難しく、特養などの入居待ちをしている方」などが利用し、おもに社会福祉法人や医療法人が運営しています。

*1 参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」

介護老人保健施設(老健)を利用できる方やサービス内容、入居期間は以下となります。

■利用できる方
65歳以上。要介護1~5の認定を受けている。
※40~64歳の方でも特定疾病により要介護認定を受けている方は入居可能。

■サービス内容
・専門職によるリハビリテーション
・医師や看護師による医療的ケア、処置など
・介護職員による食事、排泄、入浴などの身体介助
・清掃や洗濯などの生活支援
・栄養士が管理(栄養面、治療食、嚥下食など)

■入居期間
3か月~6か月が基本ですが、事情や状況により延長している方もいます。

老健のシフト作成・勤務表作成が難しい理由

老健のシフト・勤務表をつくる時、シフト作成者が何に頭を悩ませることが多いかを挙げてみます。

職員数が多く、組み合わせが大変

老健はたくさんの職員が働く施設で、勤務形態、職員の経験年数・スキルなどはバラバラです。職員の性格的な相性もあり、そうした細かい部分の調整も考えるとシフトを組む時に、シフト作成者は頭を抱えてしまうことがあります。

どうしても人数の関係上、相性が合わない職員同士の組み合わせも発生してしまうことがあるからです。

人手が足りない

介護業界では、そもそもの人手が足りないことが大きな課題です。施設によるかと思いますが、職員数が配置基準を超えており、余裕をもって介護業務にあたることができている、といった施設は少数でしょう。人員配置基準ギリギリで運営している施設も少なくありません。

老健は24時間365日サービスを提供する施設であり、夜勤者の確保も必要です。職員の募集を行っても応募が来ない、せっかく採用した職員が辞めてしまうという施設も多いようです。

公平なシフトをつくるのが難しい

職員のライフスタイルは様々で、家庭の事情や研修への参加など「希望休の取りまとめ」や「夜勤の回数」などに偏りが出てしまうこともあります。

なるべく公平にシフト表を作ろうとしても、組み合わせの関係で「どうして私だけ夜勤が多いんですか」などのクレームが職員から出ることもあります。

人員配置基準がある

老健は介護保険法に則って運営される施設のため、国が定めた人員配置基準があります。

基準を満たさない場合、「運営指導・監査・運営停止」などの対象になることもあるため、必要な人員を確保したシフトをつくる義務があります。

老健の人員配置基準

老健は、医療・介護など多様な職種で連携しているのが特徴です。それぞれの職種について、国で定められている人員配置基準は表のとおりです。

職種 人員配置基準
医師 常勤1人以上
リハビリ職(PT・OT・ST) 入所者100人に対して1人以上
看護職員 看護・介護職員合わせて、入所者3人に対して1人以上
薬剤師 施設の実情に応じた適当数
介護支援専門員 常勤1人以上
介護職員 看護職員と合わせて、入所者3人に対して1人以上
支援相談員 常勤1人以上
栄養士 入所者定員100人以上の施設は1人以上
調理師 施設の実情に応じた適当数
事務職員 施設の実情に応じた適当数

 

補足

 
老健では、医師・看護師の常駐が義務付けられており、看護師が24時間常駐している施設もあります。また、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)が常駐しているため入居者は専門的なリハビリを受けられます。
介護職員にとっては医療的なアプローチ、機能訓練・回復や評価の仕方など、多くを学べる場になります。

老健のシフト例

介護老人保健施設(老健)は24時間365日運営されている施設なので、3~4交替制でシフトを組んでいることが一般的です。「早番、日勤、遅番、夜勤」時には「準夜勤、深夜勤」などの組み合わせで、途切れなくサービス提供が出来るようシフトをつくります。

介護老人保健施設のシフト例

・早番  7:00~16:00 *休憩1時間
 
・日勤  9:00~18:00 *休憩1時間
 
・遅番  10:00~19:00 *休憩1時間
 
・夜勤  17:00~翌11:00 *休憩2時間
 
・準夜勤  15:00~0:00 *休憩1時間
 
・深夜勤  22:00~翌7:00 *休憩1時間

 
上記に加え、午前・午後のみ勤務、入浴や食事介助、イベント実施時など人員が多く必要な部分にシフトを組みます。また、人手が足りない場合などは「夜勤のみ担当するパート・アルバイト、派遣職員」を配置する場合(夜勤専従)もあります。

パートやアルバイトで勤務している場合は、働いている職員の生活状況(お子さんがいる、家族の介護をしている、個人的な事情があるなど)によって、かなり細かくシフトを組んでいる施設もあります。

老健のシフト作成、勤務表作り方のコツ

シフト・勤務表を毎月作っていくことは、シフト作成者にとって大きな労力がいるものです。多くのシフト作成者は業務の合間にシフトを作成しているのではないでしょうか。

シフト作成のコツをつかむと少しは楽になるかも知れません。

・前提として、人員配置基準、労働基準法、会社の就業規則に則る

・勤務希望(希望休、夜勤の希望数と締め切りなど)のルールを明確にする

・確定要素(希望休、研修、イベントなど)からシフトを作る。夜勤から組むと効率的

・職員の負担を考える(連続勤務は避ける、夜勤明けの翌日は公休にするなど)

という基本のポイントはおさえつつ、他のシフト作成のコツについてもみていきましょう。

職員のライフスタイルを知る

職員がどのように(勤務時間、収入、夜勤の回数など)働きたいかをつかんでおくことはシフトを作るうえで大切です。希望すべてを叶えるのは難しいとしても、職員のライフスタイルや希望に合うシフトを組むことができれば、

「大事にされている。ここで働けて良かった」

と感じてもらいやすく、離職防止にもつながるからです。

「子どもがまだ小さいから短時間で働きたい」

「家族の介護があるから夜勤は出来ない」

など、それぞれの事情に配慮するためにも職員のライフスタイルは知っておきましょう。1回聞けば終わりではなく、年々変化していくのが「生活」です。

プライバシーに配慮しながら、何気ない会話のなかでも「この人はこんな事情や希望があるんだな」と意識して聞き、覚えておきましょう。

勤務時間帯(枠)を増やす、職員が色々な仕事を出来るようにする

老健は24時間365日運営で3~4交替制が基本です。「特定の職員しかこの時間帯はシフトに入れない」、「この仕事は~さんには出来ない」など、全体的にみて偏りがあるとシフト作りがうまくいきません。

施設の方針もあるとは思いますが、可能であれば、勤務時間帯を細かく(職員の希望に応じた短時間勤務など)すれば「その時間なら入れる」という職員も出てくるかも知れません。また、任せる仕事の内容についても、出来るだけたくさんの職員がオールマイティに出来ることを目指します。

そうすることでシフトに入れる人数が増えますし、特定の職員にかかる負担を減らすことができます。介助などの現場仕事だけでなく、シフト作成が出来る職員を増やしていけば、いまのシフト作成者の負担を減らせますし、「いつもこんなに苦労して作っていたのか」と共感も生むことができるでしょう。

仕事を任せられた職員にとってのスキルアップにもなり、チームの総合力も上がるでしょう。

全体的にバランスの良いシフトを作るには

シフトを作る時に一番目指したいのは「職員それぞれが助け合う風土がある」ことです。管理者やシフト作成者が公平なシフトを作ったつもりでも、職員全員の希望がなされていなかったり、誰かが不満をもっていることがあります。

しかし、その不満を超えるくらいの「チーム感」があると、「まあいいか。この前も~さんに助けてもらったし」、「みんな困ってるし、今度は自分が夜勤を1回多くやろう」などポジティブな雰囲気が職場に出てきます。

出来上がったシフトに多少の「穴」があっても、チームの雰囲気次第で職員の受け取り方が違います。職員同士で「ここのシフト変わるよ」など声をかけ合い、「仮シフト」を作る施設もあります。

「チーム感を生む」というのはテクニックというより感情的な部分ですし、すぐには出来ないかも知れません。日々、細やかな配慮の声かけをしていく、職員が助け合っているかどうかを気にして、特に管理者やリーダーが行動で示していくことで「あ、この職場は職員同士がケアし合うところなんだな」と職員に伝わります。

多くの場合、人は「自分が所属する場所に誇りをもちたい」ものです。自分の職場を好きになることで、シフトが不完全でもお互いに助け合うことが出来るでしょう。

シフト作成ツールを使う

様々なシフト作成ツールが市場に出ています。無料期間があるシフト作成ツールもありますので、試してみるのも良いでしょう。

デジタルツールを使うことでシフト作成はグッと楽に正確になります。

・希望休の集計

・シフト表の自動作成

・データをクラウドで管理(ペーパーレス)

・勤怠管理システムとの連動で「勤務形態一覧表」を自動生成

など、色々な機能をカンタンな操作で入力、職員との共有が出来ます。手書きの「メモを無くす」「書き間違い」などのミスもなくなり、シフト作成に費やしていた時間を大幅に減らすことが実現します。

以下の記事で介護業界に特化したシフト作成ソフトを紹介しています。興味のある方は参考にしてみてください。

まとめ

介護老人保健施設(老健)のシフト表作成の問題点、作り方のコツを解説しました。老健は、特にリハビリが必要な方に対して医療・看護・介護など多職種で連携しながら在宅復帰(または介護施設入居までの待機)を目指す施設です。

そのため介護職、看護職、リハビリ職など多様な職種、たくさんの人数が働いているためにシフト作りを難しくしています。しかし、以下の点に注意しシフト作成を行うことで、難しさを軽減することができるでしょう。

・職員のライフスタイルを知り、出来るだけそれに沿ったシフトを作ることが職員の働きやすさ、離職防止につながる。離職が少なくなればシフトが作りやすくなる。

・シフトにおける勤務時間帯の枠を細かくすることで「その時間に働ける職員」が増える。

・職員に色々な仕事を覚えてもらうことで「~さんにしか出来ない仕事」を減らし、全体がうまくまわる仕組みを作る。
可能であれば、シフト作成についても数人が出来るようにしておくと安心であり、管理者やシフト作成者の労力が分散される。

・管理者、シフト作成者、リーダーなどが率先して職員のことを気にかけ、心理的な安心感と働きやすさを与えていくと「この職場のために」「他のメンバーのために」という気持ちが生まれてきて、シフトを作る(現場をうまくまわす)という雰囲気が出来る。

・デジタルツールを使うことで「早く、正確に、楽に」シフトを作ることが出来る。

老健のメリットは、専門職がそれぞれの強みを活かし連携出来ることです。

退院時に寝たきりだった方が老健でリハビリを頑張って、歩けるようになった

失語症の方が入居して、STや介護・看護職員と共に頑張り、コミュニケーションが改善した

など、入居者やそのご家族のQOL(人生の質)を上げることが出来ます。施設を支えているのは栄養士や事務職も同じで、みんなで働いているから上手く回っているんだと感じながら、シフトを組んでいきたいですね。

本記事が老健のシフト作成に難しさを感じている、担当者の方の悩み軽減につながれば幸いです。

この記事の執筆者
otoupapa

保有資格: 介護支援専門員、介護福祉士、介護予防運動指導員 等

訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護を経て今は居宅ケアマネジャーとして勤務。

介護職歴は約22年で、祖父母の在宅介護や福祉系のNPO法人運営を経験しました。

現在は介護・福祉系その他のライターをしながら、介護のお仕事と子育てを両立しています。

 
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