2024年度の介護報酬改定によって創設された加算の1つに「協力医療機関連携加算」があります。同加算は、介護施設と協力医療機関との連携体制の構築を主な目的として創設されました。
加算の取得は介護施設の収入に直結します。さらに2027年4月からは協力医療機関との連携体制が義務化される予定で、いまのうちから準備を進めておきたいところです。
「協力医療機関連携加算はどのような介護施設が算定できるの?」「詳しい算定要件や単位数を知りたい」とお考えの事務職員や管理者の方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、協力医療機関連携加算について、算定要件から施設基準、厚生労働省の解釈通知やQ&Aまでまとめて解説します。
・協力医療機関連携加算の概要と新設された背景
・対象サービスごとの算定要件と単位数
・厚生労働省の解釈通知・Q&Aの要点
・施設基準や義務化スケジュール
・算定時の注意点
協力医療機関連携加算についてお調べになっている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
協力医療機関連携加算とは
協力医療機関連携加算とは、2024年度の介護報酬改定によって創設された加算です。
介護施設と協力医療機関との間の連携体制の構築を主な目的としており、入所者の現病歴等の情報共有を目的とした会議を定期的に開催することを評価する内容となります。※1
この加算が新設された背景には、介護施設の入所者が急に体調を崩した際、施設側だけでは十分に対処しきれないケースが少なくないという課題がありました。厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会でも、高齢者施設と医療機関との間で平時からの連携体制が不十分であることが指摘されています。※2
こうした課題を踏まえ、入所者の急変時に備えた日ごろからの情報共有と連携体制の構築を後押しする目的で、協力医療機関連携加算が設けられました。
ここでいう協力医療機関とは、
・在宅療養支援病院
・在宅療養支援診療所
・地域包括ケア病棟(200床未満)を持つ医療機関
・在宅療養後方支援病院など
が挙げられており、施設から近距離であることが望ましいとされています。※3
なお、令和6年度に新設された地域包括医療病棟を持つ医療機関は(在宅療養支援病院等に該当する場合を除き)連携の対象に含まれないため注意が必要です。
※1(参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑳ 協力医療機関との定期的な会議の実施|厚生労働省)
※2(参照:高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)|厚生労働省)
※3(参照:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について|厚生労働省)
協力医療機関連携加算の対象サービス種別
協力医療機関連携加算の対象となる介護施設は、以下の通りです。
・地域密着型を含む介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・地域密着型を含む特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・介護医療院
これらの施設は大きく「施設系サービス」と「居住系サービス」に分けられます。施設系サービスには介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院が、居住系サービスには特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護が該当します。
この分類は、後述する単位数や協力医療機関の要件の適用範囲に違いがあるため、自施設がどちらに当てはまるかを把握しておくことが大切です。
なお、特定施設入居者生活介護では、これまで医療機関連携加算(80単位/月)が設けられていましたが、2024年度の報酬改定後は協力医療機関連携加算に変更となっています。詳しくは後述の「特定施設入居者生活介護における協力医療機関連携加算」で解説します。※1
※1(参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑳ 協力医療機関との定期的な会議の実施|厚生労働省)
協力医療機関連携加算の算定要件
協力医療機関連携加算の算定要件について、基本条件と上位区分・下位区分の違いに分けて確認しましょう。
算定の基本条件(入所者の同意と情報共有会議の定期開催)
協力医療機関連携加算の算定要件は、以下の通りです。
協力医療機関との間で、入所者等の同意を得て、当該入所者等の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること。
引用:厚生労働省|令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑳ 協力医療機関との定期的な会議の実施
「定期的に開催」とは、概ね月に1回以上の開催と考えられています。ただし、電子的システムにより、協力医療機関と事業所との間で入所者の情報を随時確認できる体制が確保されている場合は、「定期的に年3回以上の開催」でも差し支えないとされています。※1
入所者の病歴等の情報を共有する会議に出席する職種について、具体的な職種の指定はありません。「入所者の病歴その他健康に関する情報を協力医療機関の担当者に説明でき、急変時等における当該協力医療機関との対応を確認できる者」が出席することとなります。※2
※1(参照:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和6年3月29日)問3|厚生労働省)
※2(参照:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問127|厚生労働省)
上位区分・下位区分の違い(協力医療機関の要件と単位数の関係)
協力医療機関連携加算には、協力医療機関が満たす要件の範囲に応じて、単位数が異なる2つの区分があります。この記事では便宜上「上位区分」「下位区分」と呼びます。
上位区分を算定するには、協力医療機関が以下の要件を満たしている必要があります。
① 入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
② 高齢者施設等からの診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。
③ 入所者等の病状が急変した場合等において、入院を要すると認められた入所者等の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。
引用:厚生労働省|令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑲ 協力医療機関との連携体制の構築
ただし、この3要件の適用範囲はサービスの種類によって異なります。
施設系サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)では、①②③の3要件すべてを満たす場合が上位区分となります。
一方、居住系サービス(特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護)では、③の「入院受入体制の確保」は要件に含まれません。①②の2要件を満たす場合が上位区分となります。※3
上位区分を満たさない場合は下位区分として算定しますが、施設系は5単位/月、居住系は40単位/月と、下位区分の単位数にも差があります。具体的な単位数は次の「協力医療機関連携加算の単位数【施設系と居住系の違い】」で詳しく解説します。
※3(参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑲⑳|厚生労働省)
協力医療機関連携加算の単位数【施設系と居住系の違い】
協力医療機関連携加算の単位数は、施設の種類と協力医療機関の要件を満たした区分によって異なります。
以下の2つに分けて、それぞれの単位数と要件を確認しましょう。
・施設系(特養・老健・介護医療院)
・居住系(特定施設・グループホーム)
施設系(特養・老健・介護医療院)の単位数
介護老人福祉施設(地域密着型を含む)・介護老人保健施設・介護医療院が協力医療機関連携加算を算定する場合の単位数は以下の通りです。
| 区分 | 単位数(令和7年4月以降) |
| 上位区分:①②③の要件を満たす協力医療機関と連携している場合 | 50単位/月 |
| 下位区分:それ以外の場合 | 5単位/月 |
上位区分を算定するためには、協力医療機関が①常時相談対応体制の確保、②常時診療体制の確保、③入院受け入れ体制の確保(病院に限る)の3要件をすべて満たしていることが必要です。
各要件の詳細については「協力医療機関連携加算の算定要件」の章をご参照ください。
なお、複数の医療機関を協力医療機関として定めることにより3要件を満たす場合も、上位区分を算定することができます。
居住系(特定施設・グループホーム)の単位数
特定施設入居者生活介護(地域密着型を含む)・認知症対応型共同生活介護が協力医療機関連携加算を算定する場合の単位数は以下の通りです。
| 区分 | 単位数 |
| 上位区分:①②の要件を満たす協力医療機関と連携している場合 | 100単位/月 |
| 下位区分:それ以外の場合 | 40単位/月 |
居住系の場合、「③入院受け入れ体制の確保」は協力医療機関の要件に含まれません。
①常時相談対応体制の確保と②常時診療体制の確保の2要件を満たす協力医療機関と連携していれば、上位区分(100単位/月)を算定できます。
令和7年度(2025年度)以降の単位数変更に注意
施設系(特養・老健・介護医療院)の上位区分については、令和6年度(2024年度)のみ100単位/月と高く設定されていました。
これは早期の連携体制構築を促すための時限的な措置であり、令和7年4月以降は50単位/月に変更となっています。
| 施設種別 | 区分 | 令和6年度 | 令和7年4月以降 |
| 施設系(特養・老健・介護医療院) | 上位区分 | 100単位/月 | 50単位/月 |
| 施設系(特養・老健・介護医療院) | 下位区分 | 5単位/月 | 5単位/月 |
| 居住系(特定施設・グループホーム) | 上位区分 | 100単位/月 | 100単位/月 |
| 居住系(特定施設・グループホーム) | 下位区分 | 40単位/月 | 40単位/月 |
居住系の単位数については令和7年度以降も変更はありません。
(参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑲⑳|厚生労働省)
協力医療機関連携加算の解釈通知【厚生労働省】
厚生労働省は、協力医療機関連携加算の運用にあたって解釈通知を出しています。算定の実務で判断に迷いやすいポイントを整理しました。
会議の開催頻度(月1回以上/年3回特例の条件)
協力医療機関連携加算の算定にあたり、情報共有のための会議は概ね月1回以上の開催が必要です。
ただし、電子的システムにより協力医療機関が施設の入所者の情報を随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上の開催で差し支えないとされています。※1
「随時確認できる体制」の具体例としては、都道府県が構築する地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)に施設と協力医療機関の双方が参加し、入所者の診療情報や急変時の対応方針等をネットワーク上で確認できる場合が挙げられています。※2
この場合、施設の医師等が入所者の診療情報および急変時の対応方針等について、それぞれの患者ごとに月1回以上記録することが求められます。入所者の状況等に変化がない場合は記録を省略しても差し支えありませんが、その旨を文書等により少なくとも月1回の頻度で協力医療機関に提供する必要があります。※2
※1(参照:協力医療機関との定期的な会議の実施(厚生労働省 報酬告示に関する通知④より)|静岡市)
※2(参照:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和6年3月29日)問3|厚生労働省)
オンライン開催の可否と記録義務
会議は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器)を活用して行うことができます。※3
オンラインで開催する場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」や、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守することが必要です。※3
また、会議の開催状況については、開催形式を問わず、その概要を記録しなければなりません。※3
※3(参照:協力医療機関との定期的な会議の実施(厚生労働省 報酬告示に関する通知⑤⑦より)|静岡市)
複数の協力医療機関がある場合の取り扱い
協力医療機関を複数定めている場合、協力医療機関連携加算の算定にあたる定期的な会議は、当該医療機関のうち1つの医療機関と行うことで差し支えありません。※4
ただし、複数の医療機関を組み合わせることで上位区分の要件(3要件または2要件)を満たしている場合には、それぞれの医療機関と会議を行う必要がある点にご注意ください。※5
※4(参照:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和6年3月19日)問13|厚生労働省)
※5(参照:協力医療機関との定期的な会議の実施(厚生労働省 報酬告示に関する通知③より)|静岡市)
診療を求める可能性が高い入所者への対応
協力医療機関へ診療の求めを行う可能性が高い入所者がいる場合は、より高い頻度で情報共有等を行う会議を実施することが望ましいとされています。※6
また、会議では特にこうした入所者や新規入所者を中心に情報共有や対応の確認等を行うこととし、毎回の会議において必ずしも入所者全員について詳細な病状等を共有しなくても差し支えないとされています。※6
※6(参照:協力医療機関との定期的な会議の実施(厚生労働省 報酬告示に関する通知②④より)|静岡市)
協力医療機関連携加算の施設基準(運営基準上の義務事項)
協力医療機関連携加算の算定とは別に、2024年度の介護報酬改定では、運営基準上の義務事項としていくつかの対応が求められています。加算を算定するかどうかにかかわらず、対象施設は以下の事項を確認しておく必要があります。
協力医療機関の3要件
令和6年度の運営基準改正により、施設系サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・養護老人ホーム)では、以下の3要件を満たす協力医療機関を定めることが義務付けられました(3年間の経過措置あり)。※1
① 入所者の病状が急変した場合等に、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること
② 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること
③ 入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること(病院に限る)
なお、③の要件は病院のみが対象となるため、複数の医療機関を組み合わせて3要件を満たすことも認められています。※1
一方、居住系サービス(特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護・軽費老人ホーム)については、上記①②を満たす協力医療機関を定めることが努力義務とされています。③の入院受入体制は居住系サービスには適用されません。※2
※1(参照:運営基準の改正等の概要(案)1.① 医療・介護連携による医療ニーズの高い方や看取りへの対応|厚生労働省)
※2(参照:介護保険最新情報 Vol.1386(令和7年5月28日)|厚生労働省)
届出・年1回以上の急変時対応確認義務
施設系・居住系サービスのいずれについても、年1回以上、協力医療機関との間で入所者の病状が急変した場合等の対応を確認することが義務付けられています。※3
あわせて、協力医療機関の名称等を、施設の指定を行った都道府県知事等(指定権者)に届け出なければなりません。※3
この届出は、加算の算定の有無にかかわらず必要です。また、経過措置期間中であっても届出義務は免除されないため、ご注意ください。※4
届出の書式や提出方法は自治体によって異なります。各自治体のホームページ等で最新の様式を確認してください。
※3(参照:運営基準の改正等の概要(案)1.①|厚生労働省)
※4(参照:介護保険最新情報 Vol.1386(令和7年5月28日)|厚生労働省)
新興感染症への備え(第二種協定指定医療機関との連携)
2024年度の運営基準改正では、新興感染症への対応についても新たな規定が設けられました。対応の内容は、以下の2段階に分かれています。※5
まず、居住系・施設系サービスのすべてについて、あらかじめ第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努めること(努力義務)とされています。※5
加えて、すでに定めている協力医療機関が第二種協定指定医療機関に該当する場合には、その協力医療機関との間で新興感染症の発生時等の対応について協議を行うこと(義務)が求められます。※5
「第二種協定指定医療機関」とは、感染症法に基づき都道府県と医療措置協定を締結した医療機関のことです。自施設の協力医療機関が該当するかどうかは、都道府県の衛生主管部局や医療機関に確認してみてください。
※5(参照:運営基準の改正等の概要(案)1.② 感染症や災害への対応|厚生労働省)
特定施設入居者生活介護における協力医療機関連携加算【旧・医療機関連携加算との違い】
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)では、2024年度の報酬改定により、従来の「医療機関連携加算」が「協力医療機関連携加算」に変更されました。※1
旧・医療機関連携加算と現行の協力医療機関連携加算の主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 旧・医療機関連携加算 | 協力医療機関連携加算 |
| 単位数 | 80単位/月(一律) | 上位区分:100単位/月、下位区分:40単位/月 |
| 協力医療機関の要件 | 特段の定めなし | ①常時相談体制 ②常時診療体制の2要件で区分 |
| 情報共有の方法 | 利用者ごとの情報提供 | 定期的な会議の開催(概ね月1回以上) |
旧加算では、一律80単位/月を算定する仕組みでしたが、新しい協力医療機関連携加算では、協力医療機関が①②の要件を満たしているかどうかで単位数が変わります。要件を満たす場合は上位区分の100単位/月となり、旧加算よりも20単位高くなっています。
また、旧加算は利用者ごとの情報提供が中心でしたが、協力医療機関連携加算では施設と医療機関が定期的に会議を開催し、入居者全体の情報を共有する仕組みに変わりました。
なお、特定施設入居者生活介護は居住系サービスに位置づけられるため、施設系サービスと異なり③の「入院受入体制の確保」は要件に含まれず、単位数の経過措置(令和6年度100単位→令和7年度50単位)も適用されません。
※1(参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について 1.(3)⑳ 協力医療機関との定期的な会議の実施|厚生労働省)
協力医療機関連携加算の注意点
協力医療機関連携加算を算定する際の注意点を確認しましょう。
グループホームのショートステイ利用者は対象外
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)のショートステイなど、居宅サービスを利用している方の情報共有は、居宅サービスのケアマネジャー等が行うものとされています。
そのため、グループホームのショートステイ利用者は、協力医療機関連携加算の対象外となります。※1
要支援2の方は算定不可
要支援2の認定を受けた方は、「介護予防認知症対応型共同生活介護」の対象となります。しかし、介護予防認知症対応型共同生活介護には協力医療機関連携加算が設けられていないため、グループホームに入居されている要支援2の方については算定できません。※1
※1(参照:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問151、問152|厚生労働省)
協力医療機関との連携体制の義務化スケジュール
2024年度の介護報酬改定により、協力医療機関との連携体制の構築には経過措置期間が設けられています。義務化までのスケジュールを整理しました。
| 時期 | 内容 |
| 2024年4月〜2027年3月 | 経過措置期間(3年間) |
| 2027年4月(令和9年4月)〜 | 義務化 |
施設系サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・養護老人ホーム)では、2027年3月末までの経過措置期間を経て、2027年4月から3要件(①常時相談体制 ②常時診療体制 ③入院受入体制)を満たす協力医療機関を定めることが義務となります。※1
居住系サービス(特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護・軽費老人ホーム)では、①②を満たす協力医療機関を定めることが努力義務とされています。※1
なお、厚生労働省の令和6年度調査では、3要件を満たす協力医療機関を定めている施設の割合は、介護老人福祉施設で56.6%、介護老人保健施設で70.0%、介護医療院で72.4%、養護老人ホームで45.7%という結果でした。※1
一方、協力医療機関を定めていない施設のうち「まだ検討を行っていない」と回答した割合も一定数あり、経過措置期間中であっても早めの対応が求められています。※1
協力医療機関との連携については、入所者等への適切な対応に直結するものであり、経過措置期間に関わらず、可及的速やかに全ての高齢者施設等において連携が図られるよう十分な働きかけを行う必要があります。
引用:厚生労働省|介護保険最新情報 Vol.1386(令和7年5月28日)
2027年4月の義務化に向けて、まだ協力医療機関との連携体制が整っていない施設は、指定権者(都道府県・市区町村)への相談や、地域の医師会等との連携を早めに進めておきましょう。
※1(参照:介護保険最新情報 Vol.1386(令和7年5月28日)|厚生労働省)
協力医療機関連携加算 Q&A【厚生労働省通知より】
協力医療機関連携加算の算定にあたり、迷いやすいポイントを厚生労働省のQ&A通知からピックアップしました。Vol.1〜Vol.7の中から、実務で特に重要な7問を取り上げます。
Q1. 入所者が情報共有に同意しない場合でも算定できるか?
算定できます。
協力医療機関連携加算は、施設と協力医療機関の連携「体制」を評価する加算であり、入所者全員が算定の対象です。個々の入所者から同意が得られるかどうかは、算定の可否に影響しません。
ただし、同意が得られない入所者であっても、急変時に協力医療機関の診療を受けられるよう取り組む必要があります。
協力医療機関連携加算は、高齢者施設等と協力医療機関との実効性のある連携体制を構築することを目的とした体制加算であり、入所者全員について算定されるもの。なお、協力医療機関に対して病歴等の情報を共有することについて同意が得られない入所者であっても、当該入所者の急変時等において協力医療機関による診療等が受けられるよう取り組むことが必要。
引用:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.7)(令和6年6月7日)問1|厚生労働省
Q2. 会議に出席する職種に決まりはあるか?
特定の職種は定められていません。
出席者に求められるのは、入所者の病歴等の情報を協力医療機関の担当者に説明できること、そして急変時の対応を確認できることの2点です。この条件を満たす職員であれば、職種を問わず出席できます。
職種は問わないが、入所者の病歴その他健康に関する情報を協力医療機関の担当者に説明でき、急変時等における当該協力医療機関との対応を確認できる者が出席すること。
引用:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問127|厚生労働省
Q3. 協力医療機関を複数定めている場合、すべてと会議が必要か?
場合によります。
3要件をすべて満たす医療機関を複数定めている場合は、そのうち1つの医療機関と会議を行えば算定できます。
基準省令に規定する要件全てを満たす医療機関を、協力医療機関として複数定める場合、協力医療機関連携加算の算定にあたっての定期的な会議は、当該医療機関のうち1つの医療機関と行うことで差し支えない。
引用:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和6年3月19日)問13|厚生労働省
一方、複数の医療機関を組み合わせて3要件を満たしているケース(例:A病院が①②を、B病院が③を担う場合)では、それぞれの医療機関と会議を行う必要があります。
(参照:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(H12老企40 第2の5(27)③)|厚生労働省)
Q4.「電子的システムで随時確認できる体制」とは具体的にどのような場合か?
たとえば、都道府県が構築する地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)に施設と協力医療機関が共に参加しているケースが該当します。
この体制がある場合、会議の開催頻度を月1回以上から年3回以上に緩和できます。ただし、施設の医師等が入所者ごとの診療情報や急変時の対応方針を月1回以上記録することが条件です。入所者の状態に変化がなければ記録の省略は可能ですが、「変化なし」の旨を文書等で月1回以上、協力医療機関に提供する必要があります。
例えば、都道府県が構築する地域医療介護総合確保基金の「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、地域医療情報連携ネットワーク(以下「地連NW」という。)に参加し、当該介護保険施設等の医師等が記録した当該介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の情報について当該地連NWにアクセスして確認可能な場合が該当する。
引用:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和6年3月29日)問3|厚生労働省
Q5. 要支援2の入居者は算定できるか?
算定できません。
要支援者がグループホームを利用する場合、サービス区分は「介護予防認知症対応型共同生活介護費」となります。この区分には協力医療機関連携加算が設けられていないため、要支援2の方は算定の対象外です。
要支援者については、「介護予防認知症対応型共同生活介護費」の対象となるが、これについては、協力医療機関連携加算は設けていないことから、算定できない。
引用:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問151|厚生労働省
Q6. グループホームのショートステイ利用者は対象になるか?
対象外です。
ショートステイは居宅サービスの一環であり、利用者の情報共有は居宅サービスのケアマネジャー等が担う役割とされています。そのため、協力医療機関連携加算の対象には含まれません。
ショートステイ等既に居宅サービスを利用している者の情報共有は居宅サービスのケアマネジャー等が行うものであるため、当該加算の対象とはならない。
引用:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問152|厚生労働省
Q7. 会議はオンラインで実施してもよいか?
実施できます。
テレビ電話装置等(リアルタイムの映像通信が可能な機器)を使ったオンライン開催が認められています。ただし、個人情報保護委員会・厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」や、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する必要があります。
また、開催方法にかかわらず、会議の概要を記録に残すことが義務付けられています。
(参照:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(H12老企40 第2の5(27)⑤⑦)|厚生労働省)
まとめ
協力医療機関連携加算は、2024年度の介護報酬改定で新設された加算です。介護施設と協力医療機関が定期的に情報共有の会議を開催し、入所者の急変時に備えた連携体制を構築することを評価する内容となっています。
対象となるサービスは、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護の5種類です。施設系と居住系で単位数や要件の適用範囲が異なるため、自施設のサービス区分に合わせた確認が欠かせません。
また、2027年4月からは協力医療機関との連携体制が義務化される予定です。経過措置期間のうちに、協力医療機関の選定や届出、会議体制の整備を進めておくことをおすすめします。
本記事で解説した算定要件や解釈通知、Q&Aなどを参考に、正しく加算を算定していきましょう。
この記事の執筆者![]() | Shift Life編集部 介護現場での実務経験を持つライターと、介護報酬・制度に精通した編集スタッフが連携し、現場で役立つ情報をお届けしています。 制度・加算に関する情報は、厚生労働省・自治体などの公的機関が発行する一次情報を優先的に参照し、掲載前にファクトチェックを実施しています。 |
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