2021年の改定で新設された栄養アセスメント加算について解説をしています。
栄養アセスメント加算とは、栄養改善が必要な利用者を的確に把握し、適切なサービスにつなげていく観点から、管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取り組みを評価する加算のことです。
食事量が十分ではない場合、栄養不足から活動量が減少、さらに食事が摂取できなくなる・・・といった状況となる可能性があり、これを回避することが大切です。
栄養アセスメント加算の算定要件、単位数や手順、LIFEへの情報提出などについて情報をお探しの担当者の方、また加算を取り入れようか迷っている事業所は、是非本記事の内容を参考にしてください。
目次
栄養アセスメント加算とは
栄養アセスメント加算とは、通所サービスを利用されている方の食事、栄養面に注目し、栄養ケア、マネジメント強化のため、栄養改善が必要な利用者を把握し、管理栄養士と介護職員などの連携による栄養マネジメントの取り組みを評価する加算です。
2021年の改定で新設された栄養アセスメント加算を取り入れることで、どの利用者にも同じように栄養面の把握をしながら、サービスの提供が出来るようになりました。
栄養アセスメント加算の対象サービス
栄養アセスメント加算の対象事業所は次の5つです。
・通所介護(デイサービス)
・地域密着型通所介護(小規模なデイサービス)
・認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
栄養アセスメント加算の算定要件
栄養アセスメント加算の算定要件は以下の3つです。
1.事業所の職員としての管理栄養士、または他の介護事業所や医療機関、介護保険施設、栄養ケア・ステーションと連携して管理栄養士を1名以上配置していること
2.利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種のものが共同して栄養アセスメントを実施し、利用者やその家族に対してその結果を説明し、相談等に必要に応じて対応すること
3.利用者ごとの栄養状態等の情報をLIFE(利用者の介護データを分析し、フィードバックを実施するシステム)にて厚生労働省へ提出し、LIFEの情報を活用し、適切な栄養管理の実施をおこなう
※通所リハビリテーション(デイケア)の場合における共同して栄養アセスメントを行う職種:医師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、介護職員その他の職種の者
栄養アセスメント加算の単位数
通所系サービスを利用している、要支援、要介護者を対象に、1カ月当たり50単位取得できます。
栄養アセスメント加算のアセスメント手順
栄養アセスメントは次にあげる手順で進めていきます。
・利用者ごとの低栄養状態のリスクを、利用開始時に把握する
・管理栄養士などが共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮しつつ、解決すべき栄養管理上の課題を把握する
・栄養アセスメントの結果を利用者又はその家族に対して説明し、必要に応じ解決すべき栄養管理上の課題に応じた栄養食事相談、情報提供等を行う
・低栄養状態にある利用者又はそのおそれのある利用者については、介護支援専門員と情報共有を行い、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供を検討するように依頼する
・LIFEへ情報を提出し、フィードバックを受け、利用者の状態に応じた栄養管理の内容決定、決定に基づく支援の提供、支援内容の評価、評価結果を踏まえた栄養管理の内容の見直し・改善の一連のサイクルによりサービスの質の管理を行う
栄養アセスメントでは「手順を3月に1回以上実施すること」と「利用者の体重を1月ごとに測定すること」が求められています。また、栄養アセスメント加算を算定する際は、ケアプランへの記載が必要となりますので、ケアマネジャーに伝えることを忘れないようにしましょう。
栄養アセスメント加算 算定時に必要なLIFEへのデータ提出について
LIFE(Long-term care Information system For Evidence)とは、日本語にすると「科学的介護情報システム」という意味で、すでに運用されていたVISITとCHASEを一体的に運用開始したものです。
LIFEは「データの提出とフィードバックの活用によって、PDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図ること」を目的としており、LIFEに各施設や事業所で利用者の基本情報、実施したケア内容、利用者の状態などのデータを登録すると、集められたデータから分析し、ケア改善に関するフィードバックをおこないます。
栄養アセスメントの加算算定時には、LIFE にデータ提出をする必要があります。
提出頻度
LIFEへのデータ提出頻度は少なくても3ヵ月に1回となっており、栄養アセスメントをおこなった日の属する月の翌月10日までにデータを提出します。
利用者の栄養状態によっては、2ヵ月に1回の実施でも栄養アセスメント加算の算定は可能となっています。
提出情報の項目
LIFEに提出する項目は次の7つとなっております。
・実施日
・利用者の要介護度
・利用者の低栄養状態のリスクレベル
・利用者の低栄養状態の状況
・利用者の食生活状況等
・栄養士やケアマネジャー等、多職種による栄養ケアの課題
・総合評価や計画の変更
やむを得ない場合を除き、すべての項目データを提出することとされていますが、食事の提供を行っていない場合などで各項目に係る情報のうち、事業所で把握できないものまで提出を求めるものではありません。
参考:老老発 0315 第4号 令和6年3月 15 日 各都道府県介護保険主管部(局)長宛 厚生労働省老健局 P.7
栄養アセスメント加算の注意点
栄養アセスメント加算の取得には、以下の点に注意しながら算定するようにしましょう。
栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間、またはその栄養改善サービスが終了した日の属する月は、栄養アセスメント加算を算定できません。
ただし、栄養アセスメント加算に基づく栄養アセスメントの結果、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養改善加算の算定月に栄養アセスメント加算を算定できます。
栄養アセスメントは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることになりますので、各専門職としっかり連携をしながら行うようにしましょう。
栄養アセスメント加算と栄養改善加算の違い
栄養改善加算はすでに低栄養状態にある利用者や低栄養リスクのある利用者に対しておこなわれます。
栄養アセスメント加算で全体から栄養改善が必要な利用者さんをピックアップし、低栄養の利用者さんの栄養改善の取り組みを行うのが栄養改善加算ということになります。
栄養改善加算の対象介護サービスは、栄養アセスメント加算と同様となりますが、単位数は、栄養アセスメント加算が「50単位/月」なのに対して、栄養改善加算は「200単位/回(月2回まで)」となっています。
まとめ
利用者の中には、嚥下障害や健康状態などによって思うように食事がとれなかったり、栄養面や食事の内容に気を付けなければいけない方もいます。
栄養アセスメント加算は、利用者の栄養状態を評価して、適切なサービスを提供するための重要な要素となります。また介護する側にとっても、利用者の健康面を把握するために重要な加算でもあります。
食事は、生活の中で特に楽しみにしている利用者も多いです。やはり自分の口から食べ物を食べることができる喜びは大きいといえるでしょう。
利用者がいつまでも元気で過ごせるように、健康状態をいち早く把握し、より良いアプローチができるように栄養アセスメント加算の取得を検討してみましょう。
この記事の執筆者 | ペコ 保有資格:介護福祉士 介護支援専門員 これまで通所リハビリに2年、小規模多機能型居宅介護に17年勤務。その中でも小規模多機能では介護職4年、介護福祉士兼介護支援専門員を3年、管理者兼介護支援専門員を9年務め、現在は代表も兼任しています。 介護の話題を中心にライタ―活動を行っており、他には介護用の研修資料の作成なども行っています。 |
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