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【教えて!】介護リーダーや管理職を辞めたい!と感じる理由と対処法

介護リーダーや管理職を辞めたい!

介護リーダーや管理職を辞めたい!という悩みを抱えている方も少なくないでしょう。
 
介護リーダーや管理職は、現場をより良く改善させることができるやりがいのあるポジションです。しかし、時には度重なる疲労やストレスから心身の健康に影響を及ぼし、「辞めたい」と思うことも少なくないと思います。
 
この記事では、介護リーダーや管理職を辞めたいと思う理由と、辞めたい場合の対処法についてお伝えします。現在の状況に悩んでいる時や、実際に辞める決断をする前に、一度じっくりと考えてみてください。辞めずに済む選択肢があるかもしれませんし、違う職場やポジションを目指す方法が最適な可能性もあります。

介護リーダーや管理職は辛い?

悩む介護リーダー

介護職は、利用者様の生活を最も身近で支えるとても大切な仕事です。しかし、時に生じてしまうミスが介護事故を引き起こしてしまうこともあり、責任も大きいといえます。

特に現場をまとめる介護リーダーや管理職の中には、多大なプレッシャーを感じている方も多いでしょう。自分の業務だけでなく、職場全体の業務について考えなければならず、判断を求められることも多いでしょう。

介護現場で問題が起きれば、介護リーダーや管理職が率先して対処しなければなりません。

また、自分の思いが相手に伝わらず、悲しい気持ちになることもあると思います。そのうえ業務量も多いため、強い責任感とモチベーションを維持することが難しい時もあるのではないでしょうか。

介護リーダーや管理職を辞めたい!と感じる理由

モチベーションが著しく低下し、辞めてしまいたいと思うのは、突然起こることではなく、徐々に積み重なる不満やストレスが原因といえるでしょう。そのような原因を生み出す要因を以下にまとめました。

介護リーダーや管理職を辞めたいと感じる理由

 
・プレッシャー・責任が重い
・忙しすぎて心身の調子を崩してしまった
・板挟みが辛い
・人間関係の悩み
・チームをまとめられない
・業務量が多すぎる
・休みが取れない
・ステップアップしたい

それぞれの状況で異なると思いますが、いくつもの要因が重なることも多く、それによって疲弊してしまい、辞めたいという気持ちになることが予想されます。

プレッシャー・責任が重い

リーダーや管理職としての判断は職場全体を左右するものであるため、忙しさからつい甘い判断をしてしまうと大きな影響を及ぼすこともあります。職員の意見や相談事をしっかりと聞かずに返答してしまう、一方の意見だけを聞いて判断してしまったことなどで、職員からの信頼やサービスの質を低下させてしまうことはしばしば見聞きすることです。

また、利用者やご家族からもリーダー・管理職として見られるため、プレッシャーを過剰に感じることも多いと思います。気を抜くことができず、ストレスが蓄積されやすいことも原因の一つでしょう。

忙しすぎて心身の調子を崩してしまった

疲労やストレスによる心身症の主な症状には、以下のものがあります。こうした症状が起きていて、悩んでいる方も少なくないのではと思います。

疲労やストレスによる心身症の主な症状

 
・めまい
・頭痛
・胃痛
・動悸
・不眠
・食欲不振
・集中力の低下
・不安感
・肩こり
・腰痛

これらの症状は仕事のパフォーマンスを悪化させ、疲労をさらに蓄積させる悪循環へとつながります。心身のバランスを崩し、退職に追い込まれてしまうことは避けたいものです。

リーダーや管理職は部下の心身の状態にも気を配る必要がありますが、自分自身のメンタルヘルスにも気を付けることも大切です。介護現場におけるストレスマネジメントについて、下記の記事に詳しくまとめていますので、ご参考にしてみてください。

板挟みが辛い

上司からの指示と部下の意見との板挟みや、職員同士での意見の対立も、リーダーを悩ませる問題の一つです。介護の現場においては様々な意見が存在し、状況によっては正解を判別することが難しい場合もあります。

しかし、一方的に意見を押し通せば、信頼関係を崩してしまう恐れがあり、とてもデリケートに対応しなければなりません。どちらの感情も理解できるような広い心を持つリーダーだからこそ、判断に心苦しさを感じてしまうのではないでしょうか。

人間関係の悩み

公益財団法人介護労働安定センターが発表した令和4年度の『介護労働実態調査結果について』では、介護職の離職理由として最も多いのが「職場の人間関係に問題があったため」であり、27.5%を占めています。

介護職の離職理由

引用:令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書 P.79

多くの職員が働く介護の現場では、異なる考え方や性格の違い、お互いの相性などによって、意見の食い違いが起こり、職場の雰囲気が悪くなることがあります。中には派閥のようなものができ、派閥同士でのトラブルに発展するケースも少なくありません。

ただでさえ忙しい介護リーダーや管理職が、このような人間関係に疲弊してしまうことも考えられます。結果として適切なマネジメントにも支障をきたし、心身ともに疲れ果てることも起こり得ます。

チームをまとめられない

介護はチームケアを主軸としており、様々な職員が同じ利用者様にケアを行います。しかし、前述のとおり意見の食い違いなどが起こると、統一したケアの実践は困難です。

一つの問題に様々なアプローチがあるのは理解できるところですが、施設・事業所として、またチームケアの観点からも、対応や方針は統一されていなければなりません。

しかしながら、指示を聞かず、自分の意見に固執する職員もいます。特に、リーダーよりも経験年数の長い年上の職員との関係性はとても重要です。現場を裏で指揮している場合もあり、その職員との対立によって他の職員からも指示を無視されることすらあります。

また、職員一人ひとりの課題や方向性、能力、技術は異なっているものの、日々の業務においては全員が同じ質のサービスを提供できることを求められます。能力や技術、考え方や性格の異なる職員をまとめることは、並大抵のことではありません。志半ばで力尽きてしまうことも予想されます。

業務量が多すぎる

サービスプランの変更、情報共有、シフト作成、職員の教育、カンファレンス、ご家族への対応、他職種との連携など、介護リーダーや管理職に求められる業務は幅広く、重要なものが多いです。

介護リーダーであれば、通常の業務の合間にこれらをこなしていかなければなりません。残業や休日返上が常態化し、疲労を溜め込んでしまっている方もいることでしょう。

シフト作成で、つい自分のシフトを大変にしている方も多いのではないでしょうか。

「夜勤シフトが埋まらないから・・・」

「土日に出勤できる職員がいないから・・・」

など、穴埋め的にシフトに入っている場合には、シフト管理者の出勤は大変になりがちです。

その場合、シフトの組み方・作成のルールなどを見直してみることも一つの方法です。介護施設で適切なシフトを作成するコツを以下の記事でまとめています。また、シフト作成ソフトを利用して職員に公平なシフトを自動作成するのもおすすめの方法です。シフト作成の時間を短縮することも負担軽減につながります。

休みが取れない

慢性的な人手不足による穴を埋めるために、介護リーダーが休日出勤したり、管理職が現場に入ったりすることもあります。介護施設によっては常態化しているかもしれません。

公益財団法人介護労働安定センターによる『介護労働実態調査結果について』でも、介護サービスに従事する従業員の人手について、「やや不足」、「不足」、「大いに不足」の合計は66.3%となっています。責任感の強いリーダーや管理職は、現場の穴を埋めるために勤務しがちです。

そうなるとワークライフバランスが崩れ、積み重ねられた疲労が抜けず、いつかは燃え尽きてしまうかもしれません。

引用:令和4年度 介護労働実態調査結果について

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自分自身のメンタルの状況に気づき、早めにケアすることも大切です。

ステップアップしたい

介護リーダーであれば、管理者やケアマネなどへのステップアップを考えることもあるでしょう。現場では体力の限界を感じても、デスクワークであれば夜勤もなく、安定して働き続けることができるかもしれません。

違うポジションで継続して働きたいと思う方にとって、ステップアップは一つの選択肢といえます。

介護リーダーや管理職を辞めたい!悩んだ時にできる対処法

休日に悩む介護リーダー

この記事を読んでいる方の中には、今まさにリーダー職や管理職を務めながらも心身の限界を感じ、辞めようと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

仕事を辞めること自体は決して悪いことではありませんが、最後にもう一度だけご自身の状況を振り返ってみることをおすすめします。介護の現場でやり残したことはないか、まだ出来ることはないか、後悔しないかを考えてみましょう。

自分だけでなく、誰かの助けを借りることで解決できることも数多くあります。ここからは介護リーダーや管理職が「辞めたい」と悩んだ時の対処法についてお伝えします。

今のポジションにやりがいを感じられるか考えてみる

高いモチベーションとこれまでの努力が認められ、介護リーダーや管理職に抜擢された方にとって、苦しい状況でも介護の仕事にやりがいを感じていられることが業務を続ける原動力の一つであったと思います。

しかし、今のポジションでのやりがいを感じることができない、または、違う働き方やポジションにやりがいを感じているのであれば、新たな挑戦に向けてのリスタートを切ることもいいかもしれません。しかし、将来のことを考えず勢いで退職してしまったり、現在の感情だけでその後の人生を決めてしまうことはおすすめできません。

人それぞれだとは思いますが、介護の仕事を通して人生において最も大切にしたい価値は何でしょうか。出世、給与面、達成感、利用者様の笑顔、家族との時間、自身の健康。人によって様々であると思います。

ただし、自分を犠牲にして何かを得ようとしても、きっと長続きしないでしょう。自身を蔑ろにせず、将来的に最も価値が高いと感じられるものを手に入れるための選択をすることが大切です。

介護リーダーや管理職を「辞めたい」と思った時は、ご自身にとって何が大切なのかを深く考えてみてください。

上司、先輩に相談する

職員が指示を聞かない、利用者様やご家族に無理難題を要求されるなど、一人では解決できそうにない時には、上司や先輩といった周囲の人の助けを借りることは悪いことではありません。むしろ早めに相談して対策を講じることが大切です。

また、経験豊富な方の意見を参考にすることで、新たな発見や考え方が見つかることもあります。そうすることで、ご自身の対応力も向上し、目標の実現に近づくことにつながります。

職場以外の信頼できる人に相談する

人間関係に苦労している職場は介護の現場だけとは限りません。他業界も含め、退職理由として「人間関係の悩み」は非常に多いのです。同じ悩みを話し合って共感を得ることは、孤独を癒し、心の安定につながります。

時間管理や業務効率化、人間関係など、辞めたいと思う理由に対して問題解決の方法に詳しいのは他の業界・職種の人であることも多いです。また、たとえ問題の解決に至らなくても、話を聞いてもらえるだけで心がスッと軽くなることでしょう。

職場の同僚に聞かれたくないことでも気軽に話せる友人を、職場以外で一人は持つことをおすすめします。

役職を外してもらう

上司や先輩に相談しても解決に至らない場合、または心身の異常を感じ、重症化する前に一刻も早い状況改善が必要な場合、役職を外してもらうことも選択肢の一つです。可能であれば、数週間のリフレッシュ休暇をとることも考えましょう。

心身ともに十分な休息をとることによって、新たな気持ちでリスタートできるようになります。また休暇の間にご自身を見つめ直し、自分が大切にしたい価値を再確認することも大切です。

それによって自身が本当に目指すべきものを認識し、再出発のためのモチベーションを高めることにつながることでしょう。

労働環境の改善を職場側に相談する

現場の業務をこなしながらであったり、シフトの穴埋めであったりで、本来のリーダー業務、管理職業務をこなす時間が著しく確保できない状態であるなら、職場の労働環境の改善を求めることも必要です。

月に1日から数日、シフト勤務から外れたフリー勤務を設けてもらえれば、シフト作成やカンファレンスの出席なども滞りなく行えることでしょう。

負担を軽減する方法はいくつかあります。リーダー業務を一人でこなすのではなく、利用者ごとの担当者制をつくることや、大規模な施設であれば、フロアごとにユニットリーダーを設定する、排泄や事故の委員会を創設するなどのデリゲーションを行えば、業務負担を分配することができます。

これらはリーダー業務の効率化だけでなく、職員個々が責任を持ち、それぞれの成長を促すことにもつながります。また、効率的なツールやソフトウェアの導入によって業務負担を軽減することも検討してみてください。

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転職する

役職を外してもらったあとも同じ職場に居づらいのであれば、思いきって転職することも選択肢の一つといえます。その際の転職先として、同じ介護職として就職活動する以外に、ケアマネジャーや生活相談員としての採用を目指す方法もあります。ご自身の将来的に目標とするポジションを十分に考慮することが大切です。

介護業界の仕事はポジションによって働き方も変わってきます。年齢や体力的なこと、ご家庭の環境なども考えて、日勤で働きたい場合などもあるでしょう。そうしたことも検討すると、自分にとってより良い選択肢を選ぶことが出来るはずです。

また、働く上で大切にしたい条件を決めてから転職活動を行いましょう。給与面、勤務形態、施設・事業所の方針などについてはあらかじめリサーチし、自らが十分に納得した上で転職することによって失敗を減らせます。

どんな職種、業種であれ、リーダー職や管理職を務めた経験は、採用に有利に働くことが多いです。マネジメントに対する理解とともに、リーダーの大変さはよくわかっているから、リーダーに協力したいという意思表示も転職時には効果的です。

まとめ

介護リーダーや管理職はやりがいも多い反面、業務量も多く大きな責任を伴うことから、疲労やストレスを溜めやすく、心身の健康を含めた困難な状況に陥る可能性があるポジションです。

業務量の見直しや労働環境の改善、上司や先輩といった周囲の人のサポートなどによって、職場の環境を改善し、サービスの質を向上させることもできますが、どうしても解決が難しい場合は転職やステップアップも一つの選択肢として考えても良いでしょう。

その際は、ご自身の中での大切にしたい価値についてじっくり考え、やりがいを認識し、将来を見据えた後悔のない選択をして頂けたらと思います。転職やステップアップを目指す理由をポジティブにとらえることができれば、その選択肢は成功しやすくなるといえるでしょう。

この記事の執筆者ユージン

保有資格:介護福祉士 社会福祉士 認知症ケア専門士

介護付き有料老人ホームで16年勤務。内3年は介護リーダーを務める。現在は新人職員、中堅職員の指導を行いながら、チームケアの維持に尽力。

また、長い現場経験を活かして、介護・福祉関係のライターとしても活動中。

 

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