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【教えて!】介護職員のモチベーションアップどうしてる?やりがいを持って働いてもらうには

介護職員のモチベーションアップ

「介護職員のモチベーションは、どう上げたら良いんだろう?」
「うちの職場、何だか元気がないし・・・人が入ってもすぐ辞めちゃうんだよなあ」

 
介護現場の管理者やリーダーであれば、そんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか?
職員のモチベーションを上げ、やりがいを持って働いてもらい、職場への定着率が上がる。
それが理想ですが、実際はなかなか難しいでしょう。
 
この、職員のモチベーションアップに関する問題を解決するには「環境(ハード面)」と「気持ち(ソフト面)」から整備していく必要があります。
 
この記事では下記について解説します。
 
・介護職員のモチベーションアップがなぜ大切なのか
・介護職員のモチベーションを維持するのは、なぜ難しいのか
・どうしたら、モチベーションアップできるのか

 
介護職員のモチベーションについて考え、どこを変えていけば良いかを考えることで、チームが変わり、職場環境が良くなり、「ここで働き続けたい」と職員が思え、結果的に質の良い介護サービスを提供することにつながります。
 
「職員の離職に悩んでいる」「もっと、職員にやりがいを持って働いてほしい」介護現場の管理者・リーダーの方へ、問題解決のヒントになれば幸いです。

介護現場におけるモチベーションとは?

モチベーションアップしている介護職

モチベーションとは「目標などの要因により、行動のもとを生み出す動機づけ」のことです。

介護現場でいうと、

・自分の介護スキルを提供し、それが誰かの役に立つ
・スキルや資格を生かすことで、賃金やキャリアアップにつながる
・介護が必要な方に「求められている」ことで、職員自身の自己肯定感が上がりやすい

などがあるのではないでしょうか?

「自分がなぜここで働いているのか」がはっきりしていると目標・目的が分かりやすい状態なのでモチベーションは上がりやすいです。

介護職員のモチベーションアップが大切な理由

介護職員がモチベーションアップすることは大切です。ここでは、職員がモチベーションアップすることで、介護現場にどのような好影響があるかをみていきます。

職員の離職を防ぎ、定着してもらうことができる

職員自身が「ここで仕事をしている意味」を自覚しているとモチベーションを高く保ちやすいです。

たとえば、

「資格を取るためにあと3年は頑張る」

「リーダーになるためにスキルアップする」

「賃金を上げるために役職につく」

などです。また、明確な目標というよりは「その職場にい続けること自体がモチベーションになっている」という場合もあるでしょう。

「昔から子どもをよく職場に連れて行っていたので、ご利用者や職員と家族のような関係になっている」

「休みの日でも職場に顔を出したいくらい楽しい」

という状態です。その職場にいる何らかの理由や事情がある場合はモチベーションが上がりやすく、結果的に長く勤めてもらうことができます。

質の高い介護サービス提供ができる

職員が離職せず職場に定着してくれると、結果的にご利用者にとって良い影響を与えます。職員がすぐ辞めてメンバーが変わりやすい現場では、ご利用者はまたイチから人間関係を作る必要がありますし、精神的にも負担が大きいものです。

逆に職員が定着している現場だと顔なじみの職員がいてくれる安心感、慣れた関係であるため情報交換がスムーズ、連携が取れていることなどから、質の高い介護サービス提供がしやすいというメリットがあります。

介護職員がモチベーションを維持するのが難しい理由

不満を持ち、悩む介護職員

「うちの介護職員は、どこに不満があり、なぜ辞めてしまうのだろう?」
「どうしたら職員のモチベーションを上げられるのだろう?」

管理者・リーダーにとっては悩むところだと思います。職員は日々の不満や退職の理由を正直に言わないことが多いので、どこに問題があるかを見つけづらい場合があります。

厚生労働省が毎年おこなっているアンケート結果をもとに、その糸口を見つけていくことができるかも知れません。

まず「介護職員の離職原因」についてです。

順位 退職理由 割合
1位 職場の人間関係に問題があったため 23.9%
2位 結婚・出産・妊娠・育児のため 19.9%
3位 法人や施設・事業所の理念や運営のやり方に不満があったため 17.2%
4位 他に良い仕事・職場があったため 16.9%
5位 収入が少なかったため 15.6%

 
参照:令和4年版 厚生労働白書 -社会保障を支える人材の確保-

次に、離職につながる可能性のある「介護職員が悩み、不安、不満を感じていること」です。

順位 悩み、不安、不満を感じていること 割合
1位 人手が足りない 52.1%
2位 仕事内容のわりに賃金が低い 41.4%
3位 身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある) 29.8%
4位 健康面(新型コロナウィルス等の感染症、ケガ)の不安がある 29.0%
5位 業務に対する社会的評価が低い 27.7%

 

参照:令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書

結婚や出産、引っ越しなど、ライフスタイルが変わるのは個々の事情もあるのでやむを得ないとしても、職員が「辛い」と感じる部分は大きな共通点があるようです。

人間関係の悩み

雇用状態にもよりますが、職場は多くの時間を過ごす場所です。その場所に「1分でも一緒にいたくない」という上司や同僚がいたら、気持ち良く介護に取り組むのは難しいでしょう。

特に介護現場で多く聞かれるのは下記の悩みです。

・上司が理想論ばかりいって現場にそぐわない指示を出してくる(または現場に無関心)。
・介護観の違う職員ばかりでモヤモヤする

職員同士でケアの方法等について意見交換が足りなかったり、温度差がある、安心して相談できる人がいないときはモチベーションも下がりがちです。

経営方針が合わない

経営者や管理者、直属の上司が言う「経営・運営方針」に納得できないこともあるでしょう。基本的に企業である以上は営利を求めるのは当たり前なのですが、介護現場ではイザコザが起こりやすく、経営方針が合わないと感じることで介護職員も不満を抱えやすくなります。

「この人員では事故が起こるかも知れません。増員してください」

と現場職員が言っても、

「その人数でやれるはず。出来ないのは現場の責任だ」

と経営層から返されてしまうと、何も言えなくなります。数字やノルマをもとに責められる、職員を大事にしない、実現不可能な綺麗ごとを押し付けられる・・。

職員はただでさえ介助などで大変なのに、そうしたプレッシャーがあるのは辛いものです。

仕事量と給与が見合っていない

介護職員の給与が様々な要素(介護報酬、各加算など)から成り立っていることは職員自身がよく分かっていると思いますが、事業所によって違いが出る部分もあります。「資格手当」「役職手当」「残業手当」などです。

これらが適切に支払われていない場合、仕事量と給与が見合っていないと感じる場合には、職員は大きな不満が感じることになります。

また、特に現場での介助、声かけ、優しさなどの部分は数値化できないため評価が難しいところです。職員に対する「評価制度」を整備していない事業所もあります。

そんなところからも「自分は頑張っているのに認めてもらえていない」と感じやすいでしょう。

人手不足による疲労の蓄積

多くの現場で介護職員が足りていないという事実があります。厚生労働省のデータでは、介護職の離職率は下がってきている(2019年度が15.4%、2022年度は14.4%)ものの、肌感覚で「人手が足りている」と思える事業所は少ないのではないでしょうか。

介護現場で人手が足りず、1人でたくさんの業務を抱えていると、休みの日でも疲労が抜けなかったり、仕事のことを考えてしまうこともあります。

心身に余裕がなくなると思考停止状態やメンタルの落ち込みになりやすく、モチベーションを上げるどころではありません。

介護職員のモチベーションアップはどうすれば良い?

モチベーションが高い介護職と介護施設の利用者

「色々と落ち込む原因があるのは分かったけど、どうしたら職員のモチベーションを上げられるの?」

大きく分けると、介護職員のモチベーションアップのためには「職員がどうしてやる気をなくしているのか、どうしたいのかを把握する」、「ハード面とソフト面を整備していく」ことがヒントになるのではないかと思います。

・ハード面(労働環境、賃金など外的な要素)
・ソフト面(人間関係、仕事への情熱など内的な要素)

職員のモチベーションが下がる要因を見つける

まず、2つのことを確認しましょう。

・自分の現場の職員がどうしてモチベーションを下げているのか
・職員が、何を大切に仕事をしているのか

薬を飲むときでも、まず「症状」を確かめることから始めるように「モチベーションが下がっている原因」を確かめましょう。そして「どうしたら元気になるのか」の処方せんを見つけます。

確認する方法は「面談」でも「世間話」でも大丈夫です。そういった正直なことが聞ける間柄でなければ、他の職員からそれとなく聞いてみるのも良いでしょう。

管理職やリーダーとしては「仕事のことで悩んでいるんだろうなあ」と思っていても、実はプライベートなことで落ち込んでいる・・という場合もあります。上司が余計な指示出しなどもせず「共感的に話を聴いてくれる」ことで、職員も安心して話ができます。

職員がモチベーションを下げている原因が確認できたら、次は「その職員が何を大事に仕事しているか」も確かめましょう。

人は「問題が解決していなくても、目的がはっきりしている時にやる気を出す」ものです。賃金や役職、部署などの「労働環境」に何か希望があるのか、仕事はそこそこに、プライベートな時間を充実させたいのかなど、職員の「目標」が分かれば整備しやすいです。

「悩み」などのネガティブな部分、「希望や意向」などのポジティブな部分を把握することで、職員のどこにアプローチすれば良いかが少しずつ見えてきます。

外発的動機づけに取り組む

組織をスムーズに運営し、時には情熱的にレベルを上げていくときには2つの動機づけ(モチベーションを上げる方法)があります。

それが「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」です。1つずつ解説していきます。

「外発的動機づけ」は義務や賞罰など、外的な要因で職員にやる気を起こさせること

具体的には「賃金や役職を上げる」「少し高めの目標を提示する」など、目に見える分かりやすい形で設定します。

「あまり介護の仕事は好きじゃないけど何となくやっている」など、もともと仕事への関心が低い職員に対しても効果的で、最低限の業務ラインを示すことで「これ以下の働きはしないように」というメッセージを送ることもできます。
(損失回避の法則で「自分は信頼や立場を失うかも知れない。頑張らないと」という心理が働きやすいです)

また、情報共有ツール、メモや付せんなどで職員に感謝のメッセージを送ることも「感情報酬」といって、モチベーションが上がります。

外発的動機のメリット

外発的動機づけは即効性があります。職員本人も「上の役職を与えられた」「賃金が上がった」「部下を持った」などから「それに見合う働きをしないといけない」と分かりやすい目標が与えられることで、今までとは違うモチベーションで働くことができます。

管理者やリーダーにとっても、組織全体の目標を見直し職員にその一部を任せることで、現場のレベルアップができます。

外発的動機のデメリット

即効性がある一方、外発的動機づけにはデメリットもあります。まず、賃金を上げること、新しい役職につくための研修・教育をすることで、金銭的・時間的なコストがかかります。

そして一度与えた動機に職員自身が「慣れてしまう」と、求められた結果以上に頑張らなくなることもあります。分かりやすく、外的な要因からモチベーションアップを図ったあと、できるだけ自然な形で次にご紹介する「内発的動機づけ」に移っていくのが理想的な形です。

内発的動機づけもあわせて取り入れる

内発的動機づけとは以下です。

「内発的動機づけ」は、自分のなかにある「欲求、好奇心、仕事への興味・関心」などから生まれるやりがい・達成感をもとにモチベーションを上げていくこと

内発的動機づけは、外的な強制力というよりは職員自身が主体的に取り組むことが原動力になっているため、集中力高く仕事に取り組め、生産性が上がりやすい動機づけとなります。

内発的動機づけのメリット

内発的動機づけがうまくいくと「自発的に行動するため長期間にわたりモチベーションを高く保てて、想像力が磨かれる、さらなる成長ができる」という状態になります。

「与えられた何か」ではなく「その行為(仕事)をしていること自体が楽しい、クリアしていくことが嬉しい」ので、仕事や職場を好きになりやすいです。

内発的動機づけのデメリット

外発的動機づけは「誰かが与えた分かりやすい条件」によってモチベーションを上げていくのにくらべ、内発的動機づけは「自分自身のやりがい、好奇心」など目に見えない部分(場合によっては自分でも意識していない気持ちの部分)から湧き上がってくるモチベーションのため、効果があらわれるまでに時間がかかります。

また、やりがいや興味・関心をどこに持つかというのは職員によって違うので「相手に合わせた動機づけ」が難しい面もあります。

職員への内発的動機づけの具体的な方法

職員への内発的動機づけの具体的な方法としては、

・褒める
・小さな成功体験を積んでもらい、評価する

ということが有効です。簡単なことのようですが、職員を褒めることで自尊心が満たされ、モチベーションが上がります。

これは「エンハンシング効果(言語的報酬)」と呼ばれます。うわべだけでなく「正直に、出来れば人前で、結果に至る過程を」褒めることで、職員は「自分自身が認められた」と感じるでしょう。

また、職員のスキルよりほんの少し上の目標や役職をまかせてみて、それに対して評価をしていくことも大切です。職員からすると「無理な目標を与えられ、何のフィードバックもない」状態は辛いものです。

逆に、とりあえずまかせてくれ、時々アドバイスをくれたり相談に乗ってくれ、一定の期間がきたら評価をしてくれたときは安心して仕事に取り組めます。

動機づけをするときは、職員が下記のどのタイプにあたるかを考えてみると取り組みやすいです。

・Will(やる気が優先で動く人)
・Can(「できそうだ」と判断して動く人)
・Must(「やらないと」の義務感で動く人)

たとえば元々やる気がある職員には、その人が興味のある資格取得や役職、業務を促します。少し慎重に石橋を叩いて渡る職員には、能力に応じた(または能力より少し上の)仕事を不安の少ないようにフォローしながらまかせます。

自主性は乏しいけれど指示されたことに取り組む職員には、業務の全体像を一緒に確認しながら「ここはまかせたよ」と的確に指示します。

このように、まず外発的動機づけからはじまり、だんだんと「なんだか仕事が楽しくなってきた」という内発的動機づけに移っていければ、職員のモチベーションは高まっていくでしょう。

介護職員にやりがいを持って働いてもらうために、モチベーションアップは重要

職員のモチベーションを上げるために「ハード面」と「ソフト面」の整備が大切ということを書きましたが、実際には手をつけられる部分とそうでない部分があると思います。

自分がどのくらい裁量権をもっているかによりますが、「人員」「賃金」「設備」「経営方針」などのハード面を変えるにはコストがかかります。「人間関係」「報われた感がない」などのソフト面は心情的なものなのでコントロールしづらいでしょう。

ただ、そうかといって何もできないわけではありません。この記事で挙げたような「職員はどうしてモチベーションを下げているのか・上がらないのか」を把握し「色々な方法で動機づけをすることができる」のを知ることからはじめましょう。

そして「自分の職場では何ができるのか」をチェックしていくと「意外とできることはある」と思えるかも知れません。

介護職員がやりがいを持って働き、質の高い介護サービス提供を続けていくためには、職員のモチベーションを上げていくことが重要です。管理職、リーダーの方には、それができる力があると思います。

まとめ

介護現場は「人と人が濃密にかかわる場所」です。質の高い介護サービスを提供するためには、介護職員のモチベーションは重要です。ただ、モチベーションの上げ下げは完璧にコントロールできるものではありません

本質的には「相手(職員)のことを考えて動機づけをする」ことが大切なので、管理者、リーダーの方も自分自身を大切にしながら職員のQOL(生活の質)を上げていきましょう。

以下、本記事のまとめとなります。

・介護職員がモチベーションを維持するのが難しいのは「人間関係」「経営方針と合わない」「給与に不満」「人員不足」などがある。
 職員がなぜモチベーションを下げているかを確認するところからはじめる。

・「外発的動機づけ」をすることで即効的にモチベーションを上げることができる。
 (賃金や役職を上げる、部署変えなど)

・「内発的動機づけ」をすると、自発的・長期的に職員がモチベーションを保てる。
 (褒める、小さな成功体験を積んでもらうなど)

・職員がモチベーションを上げることで、やりがいを持って働き続け、質の高い介護サービスを提供することができる。

この記事の執筆者
otoupapa

保有資格: 介護支援専門員、介護福祉士、介護予防運動指導員 等

訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護を経て今は居宅ケアマネジャーとして勤務。

介護職歴は約22年で、祖父母の在宅介護や福祉系のNPO法人運営を経験しました。

現在は介護・福祉系その他のライターをしながら、介護のお仕事と子育てを両立しています。

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