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介護施設の法定研修一覧【2026年版】必須研修項目・回数・年間計画を解説

介護施設の法定研修一覧【2026年版】必須研修項目・回数・年間計画を解説

介護施設の法定研修とは、厚生労働省が定める運営基準に基づき、すべての介護事業所で実施が義務付けられている研修のことです。
 
法定研修を実施していない場合、介護報酬の減算や指定の取り消しといった厳しい措置を受ける可能性があるため、確実に実施し記録を残すことが欠かせません。令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では減算の対象も拡大されており、これまで以上に計画的な研修の実施が求められています。
 
本記事では、介護施設の法定研修について、サービス種別ごとの一覧表(全16項目)、研修テーマごとの実施回数、各研修の内容、年間研修計画の作成例まで、まとめて解説します。研修担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
 
※本記事は2026年3月時点の情報に基づいています。法定研修の基準は令和6年度(2024年度)介護報酬改定の内容がベースとなっており、経過措置の終了状況を含め最新の運用を反映しています。次回の定期改定(3年周期)は令和9年度(2027年度)の予定です。

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目次

介護施設の法定研修とは?厚生労働省が定める義務研修を解説

介護施設の法定研修とは、介護サービスの質の向上と安全なサービス提供を目的として、法律や運営基準に基づき実施が義務付けられている研修です。

法定研修は、介護施設が適切な運営を行っていくために必ず実施しなければならない研修で、実施されていない場合、介護報酬の減算や返還、指定の取り消しなどになる場合もあるため、しっかりと内容を確認して実施しなくてはなりません。

また、定められた研修の内容は各サービスごとに異なりますので、運営の手引や厚生労働省が公表している「介護保険施設等運営指導マニュアル」※1 などにおいて、運営しているサービスごとに必要な研修を把握しておくようにしましょう。

※1 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル

介護保険の法定研修の根拠|運営基準・解釈通知・運営指導マニュアル

「法定研修」という言葉は、実は法律で定義された正式な用語ではありません。実務では、次のいずれかで「実施が求められている研修」を総称して「法定研修」と呼んでいます。

運営基準(省令):サービスごとに従業者への研修や体制整備を求めている
解釈通知:運営基準の具体的な運用方法を補足している
厚労省の質疑応答(Q&A):研修の回数や実施方法について詳しく示している
指定権者(都道府県・市区町村)の手引き:地域ごとに提出書類や確認事項を具体化している

たとえば運営基準では、利用者の人権擁護や虐待防止のため、体制整備と従業者への研修の実施を求めています。※2

このように、法定研修は「できればやったほうが良い」ものではなく、運営の必須要素として位置づけられているものです。自治体によって求め方に多少の違いがある場合もありますので、自分の事業所の指定権者の手引きも併せて確認しておくと安心です。

※2 e-Gov 法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

法定研修の未実施は減算対象になる

介護施設に定められている法定研修を実施しない場合、介護報酬の返還や減算の対象になる可能性があります。ここでは、研修の未実施に関連する主な減算を整理します。

■ 高齢者虐待防止措置未実施減算

令和6年度(2024年度)の介護報酬改定において、ほぼすべての介護サービスで「高齢者虐待防止措置未実施減算」が創設されました。居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く(福祉用具貸与は令和9年3月31日まで経過措置あり)。※3

この減算は、虐待の発生や再発を防止するための措置として、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の配置が求められています。これらのいずれかが実施されていない場合、所定単位数の100分の1に相当する単位数が減算されます。

なお、2024年6月以降の体制届では、減算対象とならないことを届出の段階で示さないと減算対象となってしまうサービスもあるため、書類の提出の際には注意が必要です。

 
■ 安全管理体制未実施減算

介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院など)では、事故の発生・再発を防止するための措置として、事故発生防止指針の整備、報告・分析体制の整備、委員会や研修の定期的な開催、担当者の配置が義務付けられています。これらの措置が講じられていない場合、入所者全員について1日5単位が減算されます。※4

 
■ 業務継続計画(BCP)未策定減算

令和3年度(2021年度)の介護報酬改定で、すべての介護事業者にBCPの策定・研修・訓練が義務付けられました。令和6年度の改定では「業務継続計画未策定減算」が新設され、令和6年4月に施設系などの多くのサービスで適用が開始され、訪問系サービス・福祉用具貸与・居宅介護支援については令和7年3月31日までの経過措置を経て、令和7年4月から全サービスで適用されています。

感染症または災害のいずれか(もしくは両方)のBCPが未策定の場合、施設・居住系サービスでは所定単位数の100分の3、その他のサービスでは所定単位数の100分の1が減算されます。※5

■ 身体拘束廃止未実施減算

令和6年度の介護報酬改定で対象サービスが拡大された減算です。身体拘束の適正化のための委員会の開催、指針の整備、研修の実施といった措置が講じられていない場合に適用されます。減算率は、施設・居住系サービスでは所定単位数の100分の10(10%)、短期入所系・多機能系サービスでは所定単位数の100分の1(1%)です。

なお、訪問系・通所系サービスは減算の対象外ですが、身体拘束の原則禁止や記録に関する規定が運営基準に設けられています。短期入所系サービスや多機能系サービスなど一部サービスでは令和7年3月末までの経過措置が設けられていましたが、現在はすでに本格適用が始まっています。※6

なお、身体拘束を実際に行っていなくても、委員会・指針・研修といった「適正化のための措置」が整備されていなければ減算の対象となる点に注意が必要です。

このように、以前と比べると介護施設の運営に求められるものも増えてきています。適切な運営を行うことはもちろん、減算にならないためにも計画的な研修の実施と記録の管理が重要です。

※3 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について
 
※4 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について
 
※5 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について
 
※6 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1345」(2025年1月20日)

法定外研修との違い

介護施設で行われる研修には、様々な種類がありますが、法定研修は「必ず行われなくてはいけない研修」と位置づけられているものです。

例えば訪問介護の「特定事業所加算」では、算定要件として以下の基準が示されています。

・全ての訪問介護員に対し,訪問介護員等ごとに研修計画を作成し,当該計画に従い,研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。

これは加算を取るための研修計画であり、加算を取得しない場合はあくまでも任意です。各施設において、スキルアップのための研修や資格取得のための研修など様々な法定外研修が行われていると思いますが、介護保険法で必須とされているか、任意であるかが一番の違いです。

まずは法定研修を確実に実施したうえで、必要に応じて法定外研修を組み合わせていく、という考え方が基本になります。

【一覧表】介護施設の法定研修 全16項目|サービス種別ごとの必須項目

法定研修は、提供する介護サービスごとに行わなくてはいけない項目が異なります。認知症ケアやプライバシー、災害対策、虐待防止など全ての介護サービスで共通して行わなくてはいけない項目がある一方で、特定のサービスにしか必須とされていないものもあります。

各介護サービスの手引や運営指導マニュアルを参考にして、漏れがないように行っていかなくてはいけません。提供されているサービスにおいて、どのような研修が必要かを確認するためには、介護サービス自己点検票などを参考にするとよいでしょう。

定期的に自分たちの提供するサービスの内容が正しく行えているかを点検し、運営指導や監査の際に慌てることがないようにしたいものです。

(参考)
東京都福祉局 居宅サービス事業所等自己点検票(介護)
北海道ホームページ 介護保険施設等自己点検表

介護事業所ごとの必須研修項目

  訪問介護 訪問入浴介護 訪問看護 訪問リハビリ 通所介護 通所リハビリ 居宅介護支援 福祉用具貸与
認知症、認知症ケアに関する研修
プライバシー保護に関する研修
接遇に関する研修
倫理・法令遵守に関する研修
事故の発生、予防、再発防止に関する研修
緊急時の対応に関する研修
感染症及び食中毒の発生の予防及び蔓延の防止に関する研修
身体拘束の排除の取り組みに関する研修
非常災害時の対応に関する研修
介護予防及び要介護の進行予防に関する研修
医療に関する研修
ターミナルケア(終末期ケア)に関する研修
精神的ケアに関する研修
高齢者虐待防止、関連法含む虐待防止に関する研修
ハラスメント対応に関する研修
業務継続計画(BCP)に関する研修

 

  小規模多機能型居宅介護 認知症対応型共同生活介護 特定施設入居者生活介護 介護老人福祉施設 介護老人保健施設 介護医療院
認知症、認知症ケアに関する研修
プライバシー保護に関する研修
接遇に関する研修
倫理・法令遵守に関する研修
事故の発生、予防、再発防止に関する研修
緊急時の対応に関する研修
感染症及び食中毒の発生の予防及び蔓延の防止に関する研修
身体拘束の排除の取り組みに関する研修
非常災害時の対応に関する研修
介護予防及び要介護の進行予防に関する研修
医療に関する研修
ターミナルケア(終末期ケア)に関する研修
精神的ケアに関する研修
高齢者虐待防止、関連法含む虐待防止に関する研修
ハラスメント対応に関する研修
業務継続計画(BCP)に関する研修

※上記の一覧は、厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」の確認項目および各サービスの運営基準をもとに作成しています(2026年3月時点)。サービスの種類や地域によっては、上記以外の研修が求められる場合もありますので、指定権者の手引き等で最終確認をしてください。

介護施設の法定研修は年何回?研修テーマ別の実施回数まとめ

法定研修はテーマごと、またサービスの類型ごとに求められる実施回数が異なります。「年に何回やればいいのか」は研修担当者がとくに気になるポイントだと思いますので、ここでまとめて整理します。

入所系サービスの研修回数

介護保険施設(特養・老健・介護医療院など)では、多くの研修テーマで年2回以上の実施が求められています。※7

研修テーマ 研修回数 備考
身体拘束の排除 年2回以上+新規採用時 委員会は3月に1回以上
感染症・食中毒の予防 年2回以上+新規採用時 訓練も年2回以上
高齢者虐待防止 年2回以上+新規採用時 委員会も定期的に開催
業務継続計画(BCP) 年2回以上+新規採用時 訓練も年2回以上
事故発生・再発防止 年2回以上+新規採用時 委員会も定期的に開催
その他の法定研修 年1回以上が目安 指定権者の手引きで確認

 

※7 名古屋市「介護保険施設 研修回数等基準一覧

通所系・訪問系サービスの研修回数

通所系・訪問系サービスでは、入所系に比べて回数の基準がやや緩やかで、年1回以上が基本となるテーマが多くなります。

研修テーマ 研修回数 備考
感染症・食中毒の予防 年1回以上+新規採用時が望ましい 訓練も年1回以上
高齢者虐待防止 年1回以上+新規採用時 委員会も定期的に開催
業務継続計画(BCP) 年1回以上+新規採用時が望ましい 訓練も年1回以上
その他の法定研修 年1回以上が目安 指定権者の手引きで確認

 

ただし、自治体によって求められる回数が異なる場合があります。たとえば一部の自治体では、通所系でも感染症研修を年2回以上としているケースがあります。※8 自分の事業所の指定権者が出している手引きや集団指導資料を必ず確認するようにしましょう。

※8 箕面市「令和6年度介護報酬改定により実施が義務化された事項

新規採用時にも研修が必要な項目

身体拘束、感染症、虐待防止、BCPなどの研修テーマでは、定期的な実施に加えて新規採用時にも研修を行うことが求められています

中途採用や異動などで新しい職員が入った際には、年間計画に組み込まれた定期研修だけでなく、別途フォローアップの研修を実施する必要があります。新規採用者向けの研修をいつ・どのように行うかを年間計画にあらかじめ組み込んでおくと、漏れを防ぐことができます。

また、認知症介護基礎研修については、無資格の介護職員は新規採用後1年以内に受講させることが求められています。※9

※9 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について

法定研修16項目の内容を解説

介護施設の法定研修には、多くの項目が示されています。全ての研修を個別に行うことは、時間も準備も膨大になってしまいます。

例えば、身体拘束に関する研修と虐待防止に関する研修を同時に行ったり、プライバシー保護に関する研修と倫理・法令遵守に関する研修を同時に行ったり各介護施設で工夫をするとよいでしょう。

研修を行うことは準備を行う職員の学びにもなります。しかし、忙しい実務の中で研修を行ったり準備をするのはとても大変です。

最近では介護施設向けのオンライン研修動画やYouTubeで無料で見ることができる研修動画なども充実しています。それらを活用するのもよいのではないでしょうか。

認知症・認知症ケアに関する研修

2021年4月の介護報酬改定では、資格がない介護職員で認知症ケアに携わる場合は、介護職員の認知症介護基礎研修の受講が義務付けられました。(3年間は猶予期間)

2024年4月からは猶予期間が終わり、介護保険施設や介護事業所に従事する無資格の介護職員に対し「認知症介護基礎研修」の受講が必須となっています。(医師や介護福祉士等の資格保有者は免除)

具体的な内容としては以下の内容で、認知症の利用者の行動やニーズを理解し、最適なサポートができることを目指すとされています。

①認知症について学ぶことの必要性を理解する
②認知症の正しい知識をつけるためのきっかけづくり
③認知症の特性、定義や基本知識を身につける

プライバシー保護に関する研修

介護サービスを提供する事業者は、「個人情報取扱事業者」に該当します。介護現場では、家族の情報や保険証の情報、病気に関する情報など、個人情報を取り扱う機会がとても多くあります。この研修では、個人情報の管理や、情報漏洩の防止について学ぶことが必要になります。

①ご利用者様に触れたり、私生活の場面で関わっているため、ご利用者様のプライバシーに介入している自覚を持つこと
②プライバシーは主観的な物であるため、人それぞれ範囲が異なる。一人ひとりに合わせた配慮が必要であること
③「見られたくない」「恥ずかしい」という気持ちに配慮し、ご利用者様の尊厳を傷つけたり、精神的苦痛を与えないようにすること

具体的には上記のような内容を学びます。日々当たり前に行なっている業務であるため、時に無自覚に個人情報やプライバシーへの配慮が欠けてしまうことがあります。研修を通して、個人情報やプライバシーへの意識を高めることで、ご利用者様の尊厳を守ることに繋げていきたいものです。

接遇に関する研修

介護現場で必要な接遇マナーについて学びます。接遇マナーを学ぶことで、ご利用者様・ご家族様がより快適に過ごせる環境をつくることができます。具体的には、

①挨拶・声かけ
②身だしなみへの配慮
③表情や笑顔
④言葉遣い
⑤態度や聴く姿勢

などで、接遇をしっかり身につけることで、ご利用者・ご家族様・その他関係機関・地域住民からの信頼を得ることができ、質の高いサービスの提供に繋げることができます。接遇のよい施設は、見学に行っても見ていて気持ちがよいものです。

求職者にも「このような職場で働きたい」と思われることもあるので、よい雰囲気をつくることはとても大切です。

倫理・法令遵守に関する研修

介護職員としての倫理観や法令遵守の重要性を学び、専門性を持った人材の育成を行います。法人の考え方や理念などの意識統一や職員が施設のミッションに対し、共通の認識を持って仕事に取り組めるように全ての介護職員が学ぶ必要性があります。

具体的な内容としては以下です。

①倫理の基本やなぜ必要なのか?
②どういった時に乱れるのか?
③法令遵守(コンプライアンス)とは何か?

常に意識したり、理解を深めることで職員は適切な判断や行動ができるよう目指します。

事故の発生、予防、再発防止に関する研修

サービス提供時に、利用者が安心・安全に過ごせるように未然に起こりやすい事故を防ぐため・再発させないために、介護現場におけるリスクマネジメントがとても大切です。職員全員が学ぶことが職員・施設・利用者を守ることに繋がります。

具体的には、以下のようなことが想定されます。

①どのような事故が起こるか?過去に起こった事故(ヒヤリハットを使用)の振り返り
②実際に起こった事故はどのように対応するのか?(マニュアルの共有・見直し)
③ヒヤリハットの書き方

介護施設は、利用者の生活の場であるためリスクがつきものです。ご本人様の尊厳を守りながら、生活をしてもらうためには、回避できないリスクもたくさんあります。

その中でも、事故がひとつでも少なくなり、限りなく事故が起きるリスクを無くすことができるように職員全員が学ぶ必要があります。

なお、介護保険施設では、事故の発生・再発防止のための措置が講じられていない場合「安全管理体制未実施減算」が適用され、1日5単位の減算となります。委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の配置が確実に行われているか確認しておきましょう。

緊急時の対応に関する研修

緊急時とは様々な場面が想定されます。大雨・地震・感染症など、自然災害などのようにいつどのように起きるかがわからないものや、ご利用者様が転倒や転落など日々、身近に起きるような介護事故など様々な状況に対応した対応が身につくように、施設内でのルールの確認や、シミュレーション(訓練)を行う必要があります。

具体的には以下のような内容が想定されます。

『災害編』
①施設の位置を考えたうえで、災害の種類を考え避難経路・避難場所を共有する。
②医療処置が必要なご利用者様の医療機器の動作確認の仕方や対応
③備蓄品の内容を確認・見直し
④業務継続計画(BCP)の共有・見直し

『日々の事故』
①事故が起きた時の対応方法(マニュアルの共有・見直し)
②意識レベルの確認方法、レベルに応じた対応方法は?
③救急車はいつ、誰が呼ぶか?

緊急時の対応を研修で学ぶことで、いざという時に冷静に判断し対応することができ、助かる命がひとつでも増やせるように学ぶ必要性があります。

感染症及び食中毒の発生の予防及び蔓延の防止に関する研修

高齢者施設は集団で生活する場であり、高齢や身体の障害により感染に対する抵抗力の弱い方が多く、感染が広がりやすい状況にあります。

介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)では、年2回以上の研修実施と年2回以上の訓練が義務付けられています。通所系・訪問系サービスでも年1回以上の研修と訓練が必要です。※10

具体的な内容としては以下のような内容です。

①標準予防策(スタンダード・プリコーション)とは?標準予防策の徹底
②感染症の種類や症状、症状別の対策
③感染が起きた時の対応は?マニュアルの共有・見直し

感染が広がらないよう予防するために本研修を行い、ご利用者様が安心して過ごせる施設づくりにしていくことが必要です。

※10 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル(別添:確認文書・確認項目一覧)

身体拘束の排除の取組に関する研修

介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院などの入所系施設では、年2回の研修および新規採用時に研修が義務付けられています。通所系・訪問系サービスでは年1回以上が基本です。身体拘束は高齢者虐待の先駆けになってしまう可能性が高い行為であるため、しっかり理解を深める必要があります。

具体的な内容としては以下のような内容になります。

①身体拘束とは?身体拘束の種類は何があるのか?
②誰のために身体拘束があるのか?
③どういった時に身体拘束は起こりやすいのか?
④身体拘束を起こさないために対策や工夫(マニュアルを共有・見直し)

なお、身体拘束廃止未実施減算は「実際に拘束を行っていなくても」委員会・指針・研修といった措置が整備されていなければ適用されます。利用者の「尊厳の保持」「自立支援」のためにもしっかりスタッフ全員で学び、どうすれば廃止にできるのかを考えていきましょう。

非常災害時の対応に関する研修

地震や水害はいつ起きるかわかりません。施設内での火事や水害なども想定しておく必要があります。災害・火事が発生した際に少しでも被害が少なく、逃げ遅れやすい高齢者を安全に避難していただくためにも日々の準備が大切です。

研修を活用し、スタッフ全員で学んでいく必要があるでしょう。高齢者施設では、年2回(通所系では、年1回)義務付けられている研修でもあるため、やっていなかったとならないようにしっかり取り組んでいきましょう。

具体的には以下のような内容になります。

①災害の種類を考える
②避難の優先順位を考える
③避難経路・避難先を周知し見直しを行う
④施設の設備や備蓄品を考える

日頃からの防災に対する意識を高め、準備しておくことで被害を最小限に抑えることができます。

介護予防及び要介護の進行に関する研修

特定施設入居者生活介護サービスに従事しているスタッフに対して義務付けられている研修です。具体的な内容としては以下のような内容です。

①要介護状態とは?何によって起きるのか?
②要介護状態になるのを予防するために何が必要なのか?
③要介護状態の方の体験をしてみる。(実際に体験してみてご利用者様の気持ちを考えるきっかけづくり)

この取り組みを行い学ぶことで、ご利用者様が、できる限り要介護・要支援状態とならない・重症化しないよう目指していきましょう。地域によっては、役所や社会福祉協議会などで、高齢者の疑似体験のための用具を貸し出している場合もありますので、そのようなキットを活用するのもよいでしょう。

参考:世田谷区社会福祉協議会 東三河広域連合

医療に関する研修

介護サービスを利用する高齢者は、何らかの疾患を抱えている場合が多くあります。何も知らずにケアを行い、重大な事故に繋がらないためにも、医療に関しての知識を学ぶことで安心してケアができるように医療に関する研修を行います。

①介護職員が行っていいケア・行ってはダメなケア(医療行為とは?)
②高齢者が抱える、代表的な病気(疾患)の理解を深める
③行っていいケア(処置)の正しいやり方を学ぶ

医療行為に関しては、原則として医療職がおこなうものですが、何が医療行為であるのかは不明確な場合もあります。しっかりと正しい知識を学ぶことで、利用者を守るとともに自分たちを守ることにも繋がります。

ターミナルケア(終末期ケア)に関する研修

人間は誰でも最期を迎えます。介護施設で働いているスタッフであれば、昨日までお元気だったご利用者様の死に直面する機会も少なくありません。利用者が最期まで、ご自身の気持ちを大事にしながら、穏やかに過ごせ、少しでも痛みや不安が軽減できるように正しいケアを考えてみましょう。

①ターミナルケア・看取り・緩和ケア・ホスピスケアの違いは?
②最後までその人らしく生きることを支えるために必要なケアとは?
③ご本人様・ご家族様を支えるために、関係機関との連携の仕方をどうするか?

ご利用者様が人生の最期を、穏やかに過ごし、ご家族に悔いが残らないようサポートできるように、ターミナルケアに必要な知識やケアを学んでいきましょう。

精神的ケアに関する研修

介護現場でも近年取り上げられている「高齢者虐待」がありますが、なぜそのような事故が起こるのか?その背景には、不適切なケアなど、様々な要因が隠れていたりします。その中の要因として、介護スタッフのストレスも大きな要因のひとつです。

ストレスマネジメントを適切に行うことで、利用者もスタッフも気持ちよく過ごせる施設づくりができると言えるでしょう。具体的な内容として以下のような研修が考えられます。

①職員のストレスマネジメントの必要性を考える。
②ストレスが起きる原因を考える。
③ハラスメントについて学ぶ。
④ストレス対策を組織・個人で考える。

他の職種に比べると、介護職は終わりの見えない仕事であり、常に人材不足と言われている職業でもあります。そのような中、経営者は安全な運営、働くスタッフは長く働ける環境をつくるためにも、精神的ケアは必要不可欠であるため、本研修もしっかり学んでいきましょう。

高齢者虐待防止関連法を含む虐待防止に関する研修

近年、虐待件数が増加傾向にあると言われています。高齢者の虐待はあってはなりません。このようなショッキングな事故を無くすことができるよう、しっかり研修を通して学び、意識して行動することが予防の第一歩となるでしょう。

①高齢者虐待の種類を学ぶ
②どのような場面で虐待が起きやすいのか?原因は何か?
③虐待を発見した際どのような行動をとるべきか?その後の、記録方法など。
④虐待防止マニュアルの共有・見直し

研修の実施回数は、入所系サービス(特養・老健・グループホーム・特定施設・介護医療院など)では年2回以上、訪問系・通所系サービスでは年1回以上が求められています。いずれも新規採用時の研修実施も必要です。※11

虐待防止への取り組みは、全ての事業所で取り組まなければならない研修です。「高齢者虐待防止措置未実施減算」の要件にもなっていますので、研修だけでなく、委員会の開催、指針の整備、担当者の配置も含めて、漏れなく体制を整えておきましょう。

※11 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1345」(2025年1月20日)

ハラスメント対応に関する研修

令和3年度(2021年度)の介護報酬改定で、すべての介護サービス事業者にハラスメント対策として必要な措置を講じることが義務付けられました。※12

介護現場では、職員間のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントだけでなく、利用者やそのご家族からのカスタマーハラスメント(カスハラ)も問題になっています。

研修では、ハラスメントの定義や具体的な事例を学んだうえで、発生を防ぐための職場のルールづくりや、実際に起きてしまった場合の対応手順を確認します。職員が安心して働ける職場環境を整備するために、組織全体で取り組むことが大切です。

なお、2026年10月からは改正労働施策総合推進法により、全産業でカスタマーハラスメント対策が義務化されます。介護業界でも、利用者やご家族からのハラスメントへの対応方針を明確にし、職員を守る体制を早めに整えておくことが求められます。

※12 厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策

業務継続計画(BCP)に関する研修

令和3年度(2021年度)の介護報酬改定で、すべての介護事業者にBCPの策定が義務付けられました。3年間の経過措置を経て、令和6年(2024年)4月から完全義務化されています。さらに令和7年(2025年)4月からは、BCP未策定の事業所に対して減算が適用されています。※13

BCPとは、感染症の大規模な流行や自然災害が発生した場合でも、介護サービスを中断せず(または速やかに再開して)提供し続けるための計画です。

研修では、主に以下のようなテーマを扱います。

①自事業所のBCPの内容を職員全体で共有する
②感染症発生時や災害発生時の初動対応の確認
③机上訓練やシミュレーションを通じた実践的な学び
④BCPの見直しと改善

入所系サービスでは年2回以上の研修と訓練、通所系・訪問系サービスでは年1回以上の研修と訓練が必要です。BCPは「作って終わり」ではなく、研修と訓練を通じて定期的に見直し、職員に浸透させていくことが重要です。

参考:厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」

※13 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について

介護施設の年間研修計画|作成のポイントと計画例【2026年版】

介護施設では、求められている研修、行わなくてはいけない研修が多くあるため毎年、年度が変わる前に年間の研修計画を決めておくことが望ましいでしょう。それにより、研修実施の漏れや、その都度考える必要がなくなります。

例えば、年2回の研修が求められているものは、できる限り時期を離した方がよいでしょう。また、感染症研修などは、夏場で食中毒の危険性がある時期、冬場の感染症が蔓延する時期の前にやるなど工夫をすると、タイムリーな話題として自分ごととして捉えられるのではないでしょうか。

災害対応や避難訓練などは、冬場だと屋外に避難することが難しい時期でもあるので、冬場は避けるなども有効かもしれません。

筆者も以前、年2回行わなくてはいけない避難訓練を失念しており、年度内ギリギリになんとかおこなったことがありました。急な声掛けになってしまい、職員にも迷惑をかけてしまったので、事前に年間計画を立てておくことの重要性を身を持って学んだ機会でした。

年間研修計画に盛り込むべき項目

年間研修計画書には、所定の様式はありません。ただし、研修の実施にあたって必要な情報を漏れなく記載するようにしましょう。具体的には、以下の6つの項目を盛り込んでおくとよいでしょう。

研修テーマ:法定研修の16項目から、自事業所に必要なテーマを選定する
実施月:年2回以上の研修は前期・後期に分散させると計画的に実施しやすい
担当講師:内部講師と外部講師のどちらで行うか。外部講師の場合は早めに調整する
受講対象者:全職員なのか、特定の職種に限定するのかを明確にする
実施方法:集合研修、オンライン研修、eラーニングなどの方法を明記する
記録の残し方:研修報告書の様式や、出席簿の管理方法をあらかじめ決めておく

年間研修計画の作成例(2026年版)

以下は、入所系の介護施設を想定した年間研修計画の例です。年2回以上の実施が必要なテーマは、前期と後期に分けてスケジュールを組んでいます。

研修テーマ 対象者 備考
随時 入職時研修 新入職員 身体拘束・虐待防止・感染症・BCP
4月 倫理・法令遵守/プライバシー保護 全職員 年度初めに基本研修を実施
5月 認知症ケア研修 全職員 1回目
6月 身体拘束排除/高齢者虐待防止 全職員 1回目
7月 感染症・食中毒の予防 全職員 1回目(食中毒が増える時期の前に)
8月 緊急時対応/事故予防・再発防止 全職員  
9月 非常災害時対応/BCP研修 全職員 1回目+避難訓練
10月 ハラスメント対応 全職員  
11月 認知症ケア研修 全職員 2回目
12月 身体拘束排除/高齢者虐待防止 全職員 2回目
1月 感染症・食中毒の予防 全職員 2回目(冬場の感染症対策として)
2月 BCP研修/非常災害時対応 全職員 2回目+机上訓練
3月 接遇研修/年間振り返り 全職員 次年度計画策定

 

上記はあくまで一例です。事業所の状況や職員のシフトに合わせて柔軟にアレンジしてください。関連性の高いテーマ(例:身体拘束と虐待防止、非常災害時対応とBCP)は同じ月にまとめて実施すると、準備の負担を軽減できます。

研修記録の残し方|運営指導で困らないためのポイント

研修を実施したあとは、内容を記録に残しておくことが求められます。運営指導(旧:実地指導)では、研修の「計画書」と「実施記録」がセットで確認されます。※14

以下の書類をきちんと整備しておくと、運営指導の際にもスムーズに対応できます。

年間研修計画書:年度初めに作成し、テーマ・日程・対象者を明記したもの
研修実施記録:実施日、研修テーマ、内容の概要を記載したもの
出席簿(受講記録):参加者の署名、またはオンライン研修の場合は受講ログ
研修資料:配布資料や投影したスライドのコピーなど
欠席者のフォロー記録:欠席した職員に対する振替研修の実施日と内容

とくに出席管理は曖昧になりがちです。欠席した職員へのフォロー研修を行わないと「研修未受講」として評価が下がる可能性があります。あらかじめ、月1回の短時間枠を設けて振替研修を行うなど、仕組みでカバーする方法を検討しておくとよいでしょう。

※14 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル(別添:確認文書・確認項目一覧)

年間研修計画表の参考フォーマット

年間研修計画表のフォーマットについては厚生労働省の「職員研修計画」を参考にしてもよいでしょう。

厚生労働省「職員研修計画」

参考:厚生労働省「職員研修計画」

よくある質問(FAQ)|介護施設の法定研修

Q1:介護施設の法定研修とは何ですか?

厚生労働省が定める運営基準に基づき、介護事業所で実施が義務付けられている研修の総称です。認知症ケア、虐待防止、感染症対策、BCPなど、サービスの種類に応じて必要な研修テーマが定められています。

Q2:法定研修は年何回実施する必要がありますか?

研修テーマとサービスの類型によって異なります。入所系サービスでは年2回以上が求められるテーマが多く、通所系・訪問系サービスでは年1回以上が基本です。テーマごとの詳しい回数は、本記事の「研修テーマ別の実施回数まとめ」をご覧ください。

Q3:法定研修を実施しないとどうなりますか?

介護報酬の減算対象になる可能性があります。たとえば高齢者虐待防止措置未実施減算では所定単位数の1%、BCP未策定減算では施設・居住系で所定単位数の3%が減算されます。また、運営指導で指摘を受け、改善命令や指定取消につながるケースもあります。

Q4:オンライン研修でも法定研修として認められますか?

認められます。ただし、受講記録(視聴ログや確認テストの結果など)を適切に残しておく必要があります。運営指導では「研修を実施した証拠」が求められますので、オンラインで実施する場合も記録管理を徹底しましょう。

Q5:法定研修と法定外研修の違いは何ですか?

法定研修は介護保険法の運営基準で実施が義務付けられた研修です。一方、法定外研修は事業所が任意で行う研修(スキルアップ研修や資格取得支援など)を指します。まずは法定研修を確実に実施したうえで、必要に応じて法定外研修を組み合わせていくのが基本です。

まとめ

ここまで介護施設の法定研修について、必須項目の一覧や実施回数、年間計画の作り方をご紹介しました。

法定研修は全16項目あり、サービスの種別ごとに必要な項目や実施回数が異なります。令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、高齢者虐待防止措置未実施減算やBCP未策定減算など、研修の未実施に関連する減算が拡大されました。経過措置もすでに終了しているため、すべての事業所で確実な実施と記録管理が求められています。

まずは自事業所に必要な研修テーマと回数を確認し、年間研修計画を早めに策定しておくことが大切です。「研修を実施した」だけでなく「記録を残し、説明できる状態にしておく」ことまでが、これからの介護施設運営には必要です。本記事を参考に、計画的な研修の実施にお役立ていただければ幸いです。

この記事の執筆者伊藤

所有資格:社会福祉施設長認定講習終了・福祉用具専門相談員・介護事務管理士

20年以上、介護・医療系の事務に従事。
デイサービス施設長や介護老人施設事務長、特別養護老人ホーム施設長を経験し独立。
現在は複数の介護事業所の経営/運営支援をしている。

 
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