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【2024年介護報酬改定】通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算とは?算定要件、単位数などまとめ

通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算

加算とは、その名の通り介護保険制度において、介護サービスの基本報酬に加えて算定出来る手当のことを指します。
 
加算の算定を行うためには、それぞれの加算ごとに定められた人員配置や、専門的なサービスの提供、サービスの実施記録や書類の作成などの要件を満たす必要があります。
 
個別機能訓練加算は、利用者の身体機能や生活能力の維持や向上に対して計画を立て、提供するサービスについて加算されるものです。
 
今回は通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算について、加算点数や人員配置などの特徴を解説していきます。

デイサービスの個別機能訓練加算の単位数

個別機能訓練加算の単位数は、介護サービスの種別によってそれぞれ違います。通所介護における加算は個別機能訓練加算(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロ、加算(Ⅱ)とあります。

加算(Ⅰ)イは56単位/日、(Ⅰ)ロは76単位/日となっています。

加算(Ⅱ)については加算(Ⅰ)と違い、提供するサービス1日に対してではなく、1ヶ月に1回算定できる加算で、単位数は20単位となります。

デイサービスの個別機能訓練加算の算定要件

加算を算定するには、それぞれ算定のために定められた要件を満たす必要があります。

まず個別機能訓練加算の算定において、加算(Ⅰ)イとロ、共通の要件として、対象は要介護1〜5の要介護認定を受けている事。そして実施については、5人程度の小集団、または個別に実施する必要があります。

要件を満たさなければ加算を算定できないだけでなく、書類作成に誤りがあったり、虚偽の内容であった場合、過去に遡って支払われた加算に対しての、手当の返還になる可能性もあります。

このような事態にならないよう、要件についてはしっかりと確認しましょう。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定要件

個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定のための要件は以下の通りです。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定要件

 
・専従の機能訓練指導員を1人以上配置すること。(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師及び准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師またはきゅう師)配置時間の定め無し。
 
・機能訓練指導員等、複数の職員が共同して利用者毎の個別機能訓練計画書を作成し、その計画に基づいて、計画的に機能訓練を実施していること。
 
・利用者の身体機能および生活機能の向上に資するよう複数の項目の種類の機能訓練の項目を準備し、利用者の生活意欲が増進されるよう援助し、利用者の選択に基づいて心身の状況に応じた機能訓練を適切に実施すること。
 
・機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問して、利用者の居宅での生活状況を確認した上で、個別機能訓練計画書を作成すること。また3ヶ月毎に1回以上、該当利用者の居宅を訪問したうえで、生活状況の変化などを確認し、必要に応じて個別機能訓練計画書の見直しを行っていること。

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定のための要件は以下の通りです。個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件は(Ⅰ)イよりも条件が厳しくなることに注意が必要です。

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定要件

 
(Ⅰ)ロの算定では(Ⅰ)イで配置された機能訓練指導員に加え、専従の機能訓練指導員を1名以上配置すること(配置時間の定めなし)で合計で2名以上の機能訓練指導員を配置している時間帯において算定が可能となります。

個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件

個別機能訓練加算(Ⅱ)ロの算定のための要件は以下の通りです。

個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件

 
個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件は、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ、もしくは個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの要件を満たした上で、利用者ごとの計画等の情報を厚生労働省に提出することで、LIFEの活用が必要です。
 
そして、フィードバックを受けて、利用者の状態に応じた個別機能訓練の計画書を作成し、実施、評価、評価結果を踏まえた計画の見直し、改善といった一連のサイクルにより、サービスの質の管理を行う、PDCAサイクルの活用です。

個別機能訓練加算 各区分の人員配置

個別機能訓練加算の各区分の人員配置については、最低1名以上の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師及び准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師またはきゅう師といった有資格者を、専従の機能訓練指導員として配置する事が必要です。

(Ⅰ)ロの算定では(Ⅰ)イで配置された機能訓練指導員に加え、専従の機能訓練指導員を1名以上配置することが必要で、合計で2名以上の機能訓練指導員を配置している時間帯において算定が可能となります。いずれも配置時間の定めなしです。

個別機能訓練(Ⅱ)に関しては(Ⅰ)のイかロ、どちらかの人員配置の要件を満たしていれば、新たな人員の配置は必要ありません。

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定が可能

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いについて大きな違いは、LIFEを活用しているかどうかといった点です。

個別機能訓練加算(Ⅱ)の要件は、(Ⅰ)の要件を満たした上でLIFEを活用すること。そのため、個別機能訓練加算(Ⅱ)だけを算定する事はできず、必ず個別機能訓練加算(Ⅰ)のイかロのどちらかの要件を満たした上で算定する必要があります。

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定する事が可能ですが、加算(Ⅰ)はサービスの提供1回毎に対して算定を行うのに対して、加算(Ⅱ)は1ヶ月に1回しか算定できないため注意が必要です。

デイサービスの個別機能訓練加算の注意点

個別機能訓練加算の算定には人員配置の要件以外にも、訓練の実施記録や計画書の作成等、様々な書類の作成も必要です。また、介護施設には定期的に行政による、実地指導という行政によるチェックが行われます。

これは、施設が適切にサービスが提供されているかをチェックするもので、他の要件を満たしていても、書類の不備などがあった場合、介護報酬の返還などの処分となる可能性があります。

加算の各区分の要件以外にも、必要な書類についてもしっかりと確認しましょう。

まとめ

多くの事業所が事業を継続していく上で、個別機能訓練加算など加算の取得は介護サービスの基本報酬に加え、事業所の売上にとって重要な手当の一つです。

各種加算の算定については、それぞれに定められた人員配置や書類の作成などの要件をしっかりと満たすこと事は、当然大切な事です。しかし、それ以上にまずは適切なサービスの提供を第一に考え、その上でしっかりと記録を残すことが必要です。

要件ばかりを意識し、根本的なサービスの提供を疎かにせず、利用者にとって適切なサービスの提供を行うことで、事業所の価値を高めることを意識しましょう。

この記事の執筆者タツキ

保有資格:介護福祉士、社会福祉主事

専門学校卒業後から高齢者福祉の分野に従事。様々な現場での経験を経て、サ高住、有料老人ホームの施設長を務める。

現在は通所介護施設の管理者として尽力している。

 

 

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