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【教えて!】個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いとは?算定の流れ、必要書類についても解説

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い

令和6年度介護報酬改定にて、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取り組みが取り上げられるように、要介護高齢者の自立支援・重度化防止の取り組みとして、個別機能訓練の重要度が増してきています。
 
個別機能訓練は通所介護(デイサービス)や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などで実施することで、個別機能訓練加算を算定することができます。
 
また、上位加算となる個別機能訓練加算(Ⅱ)については、科学的介護情報システム(LIFE)の活用が必要となるなど、介護報酬改定にて少しずつ算定要件に変化が出てきています。
 
今回は、個別機能訓練加算とはどういった加算か、個別機能訓練加算(Ⅰ)および(Ⅱ)の違いなどについて解説していきます。

個別機能訓練加算とは

個別機能訓練加算とは、通所介護などの介護サービスにおいて、個別機能訓練指導員を配置し、利用者毎に個別機能訓練計画書を作成し、その計画を基に機能訓練を提供した際に算定できる加算です。

個別機能訓練加算を算定する利用者については、住み慣れた地域や居住する環境で可能な限り自立して暮らし続けることを目的とし、生活機能の維持・向上を図るために、個別機能訓練を実施することが求められています。

また、令和3年度介護報酬改正により上位加算である個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件として、科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ提出やフィードバックデータを活用することで、科学的根拠に基づいた個別機能訓練の提供を行っていくことも期待されます。

個別機能訓練加算の対象サービス

個別機能訓練加算の対象サービスは以下の通りです。

・通所介護(デイサービス)
・地域密着型通所介護(デイサービス)
・認知症対応型通所介護
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・特定施設入居者生活介護
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは以下となります。

個別機能訓練加算(Ⅰ)

個別機能訓練加算(Ⅰ)は、機能訓練指導員を1名以上配置し、機能訓練指導員を中心に多職種で個別機能訓練計画書を作成し、計画に沿って個別機能訓練を実施することで算定できます。

機能訓練指導員は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が対象となります。

※はり師、きゅう師に関しては、機能訓練指導員として6ヵ月以上の経験があり、かつ事業所では、はり師およびきゅう師以外の資格を持つ機能訓練指導員を配置している場合のみ

※通所介護(デイサービス)においては、機能訓練指導員の配置によって個別機能訓練加算(Ⅰ)が(イ)(ロ)と分けられるなど、算定要件が異なるため注意が必要です。

個別機能訓練加算(Ⅱ)

個別機能訓練加算(Ⅱ)は、個別機能訓練加算(Ⅰ)の要件を満たし、個別機能訓練計画書などを科学的介護情報システム(LIFE)にデータを提出し、フィードバックデータを活用することで算定できます。

個別機能訓練加算を算定する流れ

個別機能訓練加算を算定する流れは以下を参考にしてください。

①利用者の心身状況や生活における役割の把握

利用者の社会参加状況やニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握、心身の状態の確認のため、以下の項目のように情報確認を行います。

・興味・関心チェックシートを活用し、利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいことを把握します。また、あわせて利用者のニーズや日常生活等に対する家族の希望を把握します。

・生活機能チェックシートを活用し、利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を確認します。

・必要に応じて医師又は歯科医師から、これまでの利用者に対する病名、治療経過、合併疾患、個別機能訓練実施上の留意事項についての情報を得ます。
(直接、医師や歯科医師から情報が得られない場合は、ケアマネジャーを通じて情報収集を図ります)

・ケアマネジャーから、ケアプランに記載された利用者本人や家族の意向、総合的な支援方針、解決すべき課題、長期目標、短期目標、サービス内容などについて情報を得ます。

②多職種協働での個別機能訓練計画の作成

①で把握した利用者の状況に応じ、機能訓練指導員等が多職種協働で個別機能訓練計画を作成します。その際、必要に応じて事業所の機能訓練指導員以外の職種からも助言を受けることが望ましいとされています。

・個別機能訓練計画書の作成にあたっては、ケアプラン等と連動し、それらの計画と整合性が保たれるよう計画することが重要です。

・個別機能訓練目標の設定にあたっては、利用者の意欲の向上に繋がるよう、長期目標、短期目標のように段階的な目標設定をするなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とすることとされています。

③利用者またはその家族への説明と同意

利用者またはその家族に対して、機能訓練指導員等が個別機能訓練の内容について、分かりやすく説明を行い、同意を得ることが必要となります。

④個別機能訓練の実施

作成した個別機能訓練計画を基に、利用者へ個別機能訓練を提供します。
個別機能訓練の目標を具体的な生活行為の達成としている場合、事業所内であれば実践的な訓練に必要な浴室設備や調理設備などの環境や備品を備えることなどが望ましいとされています。

⑤個別機能訓練実施後の対応

個別機能訓練を実施した後は、個別機能訓練の目的に照らし、ADLやIADL等の改善状況などの効果が現れているか評価を行います。

また、その効果等については、利用者やその家族、ケアマネジャー等にも適宜報告し、利用者やその家族の意向を確認の上で、個別機能訓練の目標の見直しや訓練項目の変更を行うこととされています。

⑥LIFEへの情報提出、フィードバックデータの活用

個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定する場合は、LIFEへ個別機能訓練計画書等の情報提出を行い、提供されるフィードバックデータを活用することが求められています。

参考資料:介護保険最新情報 Vol.1217 令和6年3月15 日

個別機能訓練加算に必要な書類

個別機能訓練加算を算定するにあたって利用者の生活に関する「生活機能チェックシート」や「興味関心チェックシート」の運用や、「個別機能訓練計画書」の作成が必要となります。

個別機能訓練加算に必要な書類

 
・生活機能チェックシート
生活機能チェックシートは、利用者のADLやIADL、起居動作などの生活状況を把握するために用いられます。それぞれの項目に対して、「自立」「見守り」「一部介助」「全介助」の4段階に分類し、どういった環境か、どういった課題があるのか、などの詳細を記載します。
 
・興味関心チェックシート
興味関心チェックシートは、利用者本人が現在行っていることや、今後行いたいことなどを聞き取り、ニーズを確認するために用いられる帳票です。内容はADLやIADL、趣味活動などの項目について、「している」「していない」「興味がある」とチェックを行います。
 
・個別機能訓練計画書
個別機能訓練計画書は、利用者の身体状況や社会参加の状況、健康状態などと、個別機能訓練における長期目標や短期目標、実施内容などを記載します。計画書は3ヶ月毎に作成し、目標が達成できているかなど評価を行い、訓練内容の見直しを行っていきます。ケアマネジャーが作成したケアプランの内容と異なっていないか等の確認や情報共有も必要となります。

上記の帳票に関しては、下記の厚生労働省のホームページよりダウンロードすることができます。
参照:介護保険最新情報掲載ページ|厚生労働省

個別機能訓練加算は同時算定が可能

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時算定が可能です。

個別機能訓練加算の(Ⅰ)および(Ⅱ)を同時算定するメリットは、事業所の収益が増えること、またLIFEを活用することで得られたフィードバックデータを個別機能訓練計画に活かすことが挙げられます。

まとめ

本記事では個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い、算定の流れ、必要書類などについて解説しました。全国老人福祉施設協議会の調査において、通所介護(デイサービス)における個別機能訓練加算の算定率は、

・令和3年7月 38.3%
・令和4年4月 41.5%

と徐々に増加傾向となっています。

理学療法士などの機能訓練指導員を配置し、個別機能訓練を提供することを特徴とした通所介護(デイサービス)もありますが、今ではそういった事業所も珍しくはなくなってきています。

個別機能訓練加算の算定を検討されている事業所は、今回の記事を参考にしていただき安定した介護施設運営のためにも、個別機能訓練加算の算定を目指していただければ幸いです。

参考:令和4年4月 加算算定状況等調査 結果の概要

また、当サイト内には以下のように、個別機能訓練加算に関しての記事を掲載していますので、合わせてご参考にしてみてください。その他の介護報酬改定関連の記事もこの下にて別途ご紹介しています。

この記事の執筆者こまさん

所有資格:作業療法士

経歴:作業療法士として医療分野では病院でのリハビリテーション業務に従事、介護分野では訪問リハビリテーション事業所を経て、現在は特別養護老人ホームの機能訓練指導員として従事。

入居者へ多職種で行う機能訓練の提供や、介護士への介護技術指導、LIFEや介護報酬改定に関わる業務などを担っている。

 
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