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【今さら聞けない!】通所介護の送迎減算とは?考え方、適用されるケースについて解説!

通所介護の送迎減算とは

朝や夕方になると、車椅子を乗せることができる介護施設の車両が、ひっきりなしに行き来する様子を見ることができます。それらの多くは通所介護(デイサービス)やショートステイ(短期入所)の送迎で、多くの施設が同じような時間帯に送迎を行っています。
 
介護保険サービスの中でも、とても事業所数が増えている通所介護ですが介護保険制度が始まった当初、送迎減算という制度はありませんでした。なぜ、通所介護(デイサービス)の送迎減算という制度が始まったのか、その概要や仕組みについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

通所介護の送迎減算とは?

デイサービス送迎

通所介護(デイサービス)の送迎減算とは、通所介護サービスを利用する際、送迎を行わなかった場合に介護報酬を減算(削減)する制度のことを指しています。送迎サービスは、高齢者が通所介護サービスを利用するために必要なものであり、その費用は通常、通所介護サービスの介護報酬に含まれています。しかし、送迎サービスを利用しない場合には通所介護の報酬を減算して請求をしなくてはいけないと決められており、これを送迎減算と呼びます。

介護保険制度が開始された当初は、通所介護で送迎を行った場合に「送迎加算」を算定することができました。それが2006年(平成18年)には送迎加算が、基本報酬に含まれることに改められて、その後は送迎を行わない場合に、減算されることになりました。

通所介護(デイサービス)の施設数は、介護保険制度が始まってから右肩上がりに増加しています。令和2年3月に厚生労働省が出している社会保障審議会資料を見ると、平成18年(2006年)から平成30年(2018年)で、通所介護の費用額は2倍程度に増えていることがわかります。(介護分野をめぐる状況について

サービス種類別介護費用額の推移

余談ですが、介護保険制度が開始された間もない頃、通所介護事業所の指定を受ける際に送迎加算の体制を届け出たところ、送迎車輌の写真や車検証の提出を求められました。その際は納車前だったため、保険者からディーラーに納車の確約書を提出してもらうように求められたことがあります。

今では、福祉車両も一般化していますが、その頃は今よりも車輌の種類も少なく納期もかかりましたがなんとか開設には間に合ったということがあります。指定を受ける際には、面積や人員の確認を求められますが、加算のために車輌の確認も求められたということもありました。

2015年の介護報酬改定から送迎減算が適用

2015年(平成27年)の介護報酬改定では、送迎減算の制度が導入されました。送迎減算は、利用者が自分で通ってくる場合やご家族が送迎をする場合に、通所介護施設は送迎の手間や燃料費などがかからないことから減算として評価されることになりました。

介護保険制度が始まった当初は、送迎加算として送迎が介護報酬で評価されていたものが、2006年(平成18年)には基本報酬に含められ、2015年には送迎をしなかった場合には減算となっており、送迎だけでかなり大きな介護報酬の削減となっています。

単位数
介護保険制度創設時
送迎加算
片道44単位を加算
2006年(平成18年)報酬改定
送迎加算の廃止(基本報酬に包括)
加算/減算なし
2015年(平成27年)報酬改定
送迎減算の導入
片道47単位を減算

通所介護の送迎減算の考え方

通所介護では、施設に入ってから出るまでがサービス提供時間としてカウントされるため、送迎時間はサービス提供時間には含めることができません。

特に地方では、片道数十分かけてお迎えに行く場合も多くあります。事業所側とすると、どんなに遠くに迎えに行っても、近くの迎えでも報酬による評価がないのはもどかしいところです。

なぜ送迎減算が導入されたかなどについては明確に書かれているわけではありませんが、2011年(平成23年)に制度化されたサ高住などの影響もあるのではないでしょうか。

サ高住や有料老人ホームなどでは、通所介護施設を併設し、同一法人内のサービスを利用させる、いわゆる囲い込みをする法人が多く見られます。必要なサービスを提供することは問題ありませんが、サ高住に入居すると自動的に併設の通所介護を利用させるなどのやり方が多く見られ、送迎の手間がない施設に対して減算が導入されたということもあるかもしれません。

令和4年サ高住の登録状況

サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2022年8月)

送迎減算の単位数

通所介護の送迎減算は、片道47単位となっています。往復ともに送迎を行わない場合には、合計で94単位(940円以上)の収入減少となります。

通所介護の単位数は以前より大きく引き下げられています。最近では、リハビリを重視した通所介護や入浴に力を入れた通所介護など、各事業所で様々な特徴のあるサービスを提供していますが、短時間のサービスを中心とした事業所の場合、送迎減算によって介護報酬の大きな割合が減算となってしまいます。

独立行政法人福祉医療機構の調査では、2021年度の通所介護施設の経営状況では46%の事業所が赤字経営になっているという調査結果が出ています。収入の確保のためにも、できる限り送迎減算にならないような工夫も必要になってくるでしょう。(2021年度(令和3年度)通所介護の経営状況について

送迎減算の要件・注意点

通所介護の利用では、利用者の住まいから施設への送迎を行わない場合、送迎減算となります。具体的にどのような要件・注意点があるかを見ていきます。

送迎減算の要件

通所介護サービスを利用する際に、利用者の住まいに送迎を行わない場合は送迎減算の対象となります。

送迎減算の注意点

徒歩による迎えや車輌による迎えなど、送迎の方法については問われません。
ご家族が事業所に送ってくる場合や、事業所に迎えに来る場合など、事業所側が送迎を行わない場合は、送迎減算の対象となります。
ただし、住まいと通所介護施設が同一建物にある場合などは、同一建物減算の対象となるため送迎減算の対象にはなりません。

送迎減算が適用されるケース

送迎減算は、通所介護の減算の中で比較的高い頻度で発生する減算です。特に実際に送迎を行ったかどうかの根拠を残しておく必要がありますので、車両による送迎の場合には「送迎日誌」や「何時に施設に到着したか」など、客観的にわかる資料を残しておくと安心です。

書類監査などで、送迎日誌や運転日報などを見られることも多いので、普段から適切に整えておきましょう。

次に、どのような場合に送迎減算が適用されるかを見ていきます。

居宅と事業所の間の送迎を行わない場合

送迎を行わない場合は、片道47単位の減算となります。
ただし、車輌による送迎である必要はなく、徒歩でお迎えに行っても減算にはなりません。

家族による送迎

これが最も多く、「迎えに行っても準備ができてなくて、後から家族が送ってきた」、「用事があり家族が早く迎えに来た」など、送迎を行わない場合は減算が適用されます。

通所介護サービス終了後に、宿泊サービスを受ける場合

いわゆるお泊りデイの場合でも、送迎を行わない場合は減算の対象となります。

利用者がひとりで通所介護施設にくる場合

利用者が徒歩やタクシーで、自ら通ってくる場合は送迎減算が適用されます。

通所介護の以外、減算の対象事業所

通所介護(デイサービス)では、自宅と施設の間で送迎を行わない場合、送迎減算となり介護報酬が削減されます。その他の介護サービスについても、同様に送迎減算が設定されているものがあります。

・通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設等で提供される介護サービスで、リハビリを中心とした通所サービスです。通所リハビリテーションでも、送迎を行わない場合は、送迎減算の対象となります。
減算の要件などは、通所介護と同様です。

・地域密着型通所介護/(介護予防)認知症対応型通所介護
比較的小規模な定員で運営されている地域密着型通所介護や認知症の利用者を対象とした認知症対応型通所介護でも、送迎を行わない場合は送迎減算の対象となります。
減算の要件などは、通所介護と同様です。

2021年度介護報酬改定における訪問介護の通院等乗降介助の見直しについて

2021年の介護報酬改定で、訪問介護における通院等乗降介助の見直しが行われました。これは、訪問介護で通院等乗降介助を行う場合、以前は自宅と目的地の間しか対象になっていなかったのですが、緩和されて複数の場所を経由する場合でも始点か終点が自宅であれば認められることになったものです。

これにより、通所介護施設から訪問介護の乗降介助を利用して病院へ受診して帰宅する、自宅から訪問介護の乗降介助を利用して受診に行き、その足で通所介護施設に通うなどもできるようになりました。

ただし、通所介護施設側は、施設で送迎をしていない場合には送迎減算の対象となりますので注意が必要です。

2024年度介護報酬改定における送迎に関する改定について

2024年度の介護報酬改定では、通所介護等の送迎に関していくつかの変更点があります。具体的にどのような改定が行われるかを見ていきます。

豪雪地域等における所要時間の取り扱いについて

通所介護では、施設に到着してからがサービス提供時間として取り扱われます。しかし、積雪のある地域などでは、送迎から到着までに想定以上の時間がかかることがあります。そのような場合に、多少時間が短くなった場合でも計画通りの単位数を算定可能とすることが明文化されました。

以前、私も送迎をしていた時に、記録的な豪雪によりご利用者様の自宅に到着できなかったことや、お迎えに行って施設についたらお昼になっていたなんてこともありました。そのような悪天候の時は、職員も疲弊し大変な労力がかかり、更に保険請求もできずと、施設にとっては大きな痛手です。そのような実情を理解し、配慮してもらえるようになったのは、降雪地域にとってはありがたい改定だと思います。

自宅以外の送迎について

これまで、自宅と施設の送迎を行わなければ送迎減算の対象になっていました。しかし、今回の改定では自宅ではなくても居住実態のある居所への送迎が認められることになりました。例えば、療養のため自宅以外の家族の家に住んでいるなどの場合でも、送迎減算の対象にならずに送迎を行うことが可能となりました。

他の介護事業所との同乗について

これまでは、自事業所の職員が送迎を行うことが原則とされていましたが、今後は業務委託等を結び他の介護事業所を利用する利用者を同乗させて送迎を行うことが認められました。そのため、例えば地方で施設とご自宅が遠い場合など、他の施設と共同して送迎を行うことなども認められるようになりました。

厚生労働省:令和6年度介護報酬改定における改定事項について

まとめ

ここまで、通所介護の送迎減算の制度について見てきました。

送迎減算は、利用者の都合もあるので計画的に行うものではありませんが、減算の対象になった場合には必ず適用させるようにしましょう。実地指導や書類監査などでも、比較的よく見られるポイントです。

ショートステイでは、今でも送迎加算が算定可能ですが、通所介護は送迎加算だったものが、加算がなくなり、更に減算になるなど厳しい対応です。最近では、人件費の高騰や燃料代の上昇も顕著なので、介護報酬で補填してもらいたいと考えるのは管理者すべてが考えているところではないでしょうか。

なお、加算の解釈は保険者によって多少異なる場合がありますので、細かな不明点については担当の保険者に確認して頂くことをおすすめします。

この記事の執筆者伊藤

所有資格:社会福祉施設長認定講習終了・福祉用具専門相談員・介護事務管理士

20年以上、介護・医療系の事務に従事。
デイサービス施設長や介護老人施設事務長、特別養護老人ホーム施設長を経験し独立。
現在は複数の介護事業所の経営/運営支援をしている。

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