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【2024年介護報酬改定】高齢者施設等感染対策向上加算とは?算定要件・単位やポイントについて

高齢者施設等感染対策向上加算 算定要件など

高齢者施設等感染対策向上加算について、算定要件・単位や加算のポイントを調べている方も多いのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症への対応においては、高齢者施設等で感染者が発生し、施設内で療養を行うケースが多数生じました。
 
感染者の施設内療養を行う場合には、医療機関との連携に加えて、施設内での感染拡大を防ぐための取組が必要とされています。しかし、施設等においては感染症への対応に精通した職員が少なく、施設内感染の防止にあたって多くの課題が挙げられています。
 
感染症対応力の向上と感染発生時の備えとして、介護サービス事業者について、令和6年度より感染症に対するBCPの策定や感染症まん延防止のための研修・訓練の実施などが義務化されることとなっています。
 
また、それらに加えて、高齢者施設等では施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関との連携の上で施設内で感染者の療養を行うことや、他の入居者への感染拡大を防止することが求められています。
 
今回は、令和6年度介護報酬改定にて新設された、介護・医療間の連携体制の構築や研修への参加等を評価する「高齢者施設等感染対策向上加算」について、解説をしていきます。

高齢者施設等感染対策向上加算とは

高齢者施設等においては、施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関と連携し、施設内で感染者の療養を行うことや、他の入居者への感染拡大を防止することが求められています。そのために、

・新興感染症の発生時などに感染者の診療等を行う医療機関(協定締結医療機関)との連携体制を構築していること

・新興感染症以外の新型コロナウイルス感染症を含む一般的な感染症について、協力医療機関等と感染症発生時における診療などの対応を取り決めるとともに、協力医療機関等と連携し、適切な対応を行っていること

・感染症対策に係る一定の要件を満たす医療機関等や地域の医師会が定期的に主催する感染対策に関わる研修に参加し、助言や指導を受けること

を評価する新たな加算が設けられることになりました。

また、感染対策に係る一定の要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けることを評価されることとなりました。

高齢者施設等感染対策向上加算の対象事業者

高齢者施設等感染対策向上加算の対象事業者は以下の通りです。

・特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・介護老人保健施設
・介護医療院

高齢者施設等感染対策向上加算の算定要件

高齢者施設等感染対策向上加算の算定要件は以下の通りです。

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)

・感染症法第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を行う体制を確保していること

・協力医療機関等との間で新興感染症以外の一般的な感染症の発生時等の対応を取り決めるとともに、感染症の発生時等に協力医療機関等と連携し適切に対応していること

・診療報酬における感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関又は地域の医師会が定期的に行う院内感染対策に関する研修又は訓練に1年に1回以上参加していること

※厚生労働省から発出されているQ&Aより、高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)の対象となる研修、訓練及びカンファレンスは以下の通りです。

・感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算の届出を行った医療機関において、感染制御チーム(もしくは院内感染管理者)により、施設職員を対象として、定期的に行う研修

・感染対策向上加算1に係る届出を行った保健医療機関が、保健所及び地域の医師会と連携し、感染対策向上加算2又は3に係る届出を行った保健医療機関と合同で、定期的に行う院内感染対策に関するカンファレンスや新興感染症の発生時等を想定した訓練

・地域の医師会が定期的に主催する院内感染対策に関するカンファレンスや新興感染症の発生時等を想定した訓練

・感染対策向上加算1に係る届出を行った医療機関が主催するカンファレンスについては、その内容として、薬剤耐性菌等の分離状況や抗菌薬の使用状況などの上方の共有及び意見交換を行う場合もあるため、カンファレンスの内容として、高齢者施設等における感染対策に資するものであることを事前に確認の上、参加すること。

また、これらのカンファレンス等については、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な機器を用いて参加しても差し支えないとされています。

参考:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)

診療報酬における感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関から、3年に1回以上施設内で感染者が発生した場合の感染制御等に係る実地指導を受けていること。

※厚生労働省から発出されているQ&Aより、高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)について、感染多施策向上加算に係る届出を行った医療機関が行う実地指導の具体的な内容として、

・施設等の感染対策の現状の把握、確認(施設等の建物内の巡回等)
・施設等の感染対策状況に関する助言、質疑応答
・個人防護具の着脱方法の実演、演習、指導等
・感染疑い等が発生した場合の施設等での対応方法(ゾーニング等)に関する説明、助言及び質疑応答
・その他、施設等のニーズに応じた内容

とされており、単に、施設等において机上の研修のみを行う場合には算定できないとされています。

参考:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)

高齢者施設等感染対策向上加算の単位数

高齢者施設等感染対策向上加算の単位数は以下の通りです。

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ):10単位/月
高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ):5単位/月

高齢者施設等感染対策向上加算に関するQ&A

高齢者施設等感染対策向上加算に関して、さらに詳細な内容として厚生労働省よりQ&Aが紹介されています。以下の内容をご参照ください。

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)について、感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関等が行う院内感染対策に関する研修又は訓練に1年に1回以上参加していることとあるが、令和7年3月31日までの間にあっては、3月31日までに研修又は訓練に参加予定であれば算定してよいか。

(答) 医療機関等に研修又は訓練の実施予定日を確認し、高齢者施設等の職員の参加の可否を確認した上で令和7年3月31日までに当該研修又は訓練に参加できる目処があれば算定してよい。

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)について、令和6年4月以前に新型コロナウイルス感染症等に対する感染対策として、医療機関の医師若しくは看護師等による実地指導又は厚生労働省の事業※において実施された実地研修を受けている場合は、実地指導又は実地研修を受けた日から起算して3年間算定してよいか。
※ 令和3年度、令和4年度「介護サービス類型に応じた感染症対策向上による業務 継続支援業務」における感染症の専門家による実地での研修、令和5年度「感染症の感染対策及び業務継続(BCP)策定に係る調査研究及び当該調査研究を踏まえた研修業務」における感染症の専門家による実地での研修

(答) 算定可能である。ただし、感染対策向上加算に係る届出を行っている医療機関の医師若しくは看護師等による実地指導又は厚生労働省の事業において実施された実地研修であること。

参照:令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)

高齢者施設等感染対策向上加算についてのポイント

高齢者施設等感染対策向上加算について、加算の算定要件として「第二種協定指定医療機関」や「診療報酬における感染対策向上加算に係る届出を行った医療機関」などとの連携の下、感染症が発生した際の対策や訓練、研修の実施が求められています。

各都道府県によって対象となる医療機関等は異なってくるため、地方厚生局等からの情報の確認が必要となります。

また、それらに加えて協力医療機関と感染症発生時における連携も求められていることもあり、令和6年度改定にてこれまでより医療機関との連携を強く求められていることがわかります。

他に新設された「協力医療機関連携加算」なども踏まえて、より一層、医療・介護間での連携が必須とされるでしょう。

まとめ

令和6年度介護報酬改定では、大項目「地域包括ケアシステムの深化・推進」の中に、「医療・介護の連携の推進」や「感染症や災害への対応力向上」が挙げられています。介護施設においては、医療機関との情報共有や、看取りへの対応強化に加え、感染症への対策の強化などが求められています。

今回ご紹介した「高齢者施設等感染対策向上加算」も医療機関等との連携が求められており、今後介護施設を運営していく中で協力医療機関をはじめとする医療機関との連携体制の構築は必須となっています。

介護施設においても、様々な医療ニーズへの対応の強化が求められるため、まずは利用者ができるだけ長く施設での生活を送れるよう、常日頃からの感染対策を取り組むことを目的に、高齢者施設等感染対策向上加算の算定を目指してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者こまさん

所有資格:作業療法士

経歴:作業療法士として医療分野では病院でのリハビリテーション業務に従事、介護分野では訪問リハビリテーション事業所を経て、現在は特別養護老人ホームの機能訓練指導員として従事。

入居者へ多職種で行う機能訓練の提供や、介護士への介護技術指導、LIFEや介護報酬改定に関わる業務などを担っている。

 

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