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看取り介護加算とは?算定要件、単位数、対象事業者などまとめ

看取り介護加算とは

看取り介護加算とは、介護施設などで終末期の高齢者に対するケアを充実させるために導入された加算制度です。高齢者が最期の時を安らかに過ごすためには、適切な医療や介護が提供されることが求められます。
 
看取り介護加算を算定するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。例えば、看取り介護計画の作成や、多職種による連携が重要です。また、看取り介護加算の単位数や対象事業者についても、具体的な基準が定められています。
 
この記事では、看取り介護加算の算定要件、単位数、対象事業者について詳しく解説します。介護施設でのケアの質向上のために、ぜひ参考にしてください。

看取り介護加算とは

終末期の過ごし方

看取り介護加算は、医師が看取り期と判断した利用者において、特別養護老人ホームやその他の施設で算定できる加算です。特別養護老人ホームでは以下の算定要件が必要です。

・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと。

・施設サービス計画の作成にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること。

終末期を介護施設で生活するために、本人の意志を尊重したケアに努めたことに対する評価のための加算となっています。看取りに関する研修を行っていることや看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、 同意を得ていることなども必要となります。

看取り介護加算の算定率

厚生労働省の資料によると、平成30年4月から平成31年3月度の実績では、特別養護老人ホームでは2割ほど、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では3%弱、特定施設入所者生活介護(介護付き有料老人ホーム)では9%ほどの算定率となっています。

看取り関連加算の主な加算の算定率(算定施設割合)

参考:厚生労働省 令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)R2.9.4

看取り介護加算の目的と背景

新型コロナウイルスが蔓延した際に、医療機関の逼迫が社会問題になったことを覚えている方も多いと思います。また、昔と比べて病気になった際の入院期間がどんどん短くなっていると感じている方も多いのではないでしょうか。

その背景としては、社会保障費の増大による長期入院の是正や診断群分類包括評価(DPC)の導入による入院期間の短期化など、さまざまな要因があります。

厚生労働省の資料を見ると、以前は多くの場合に自宅で亡くなっていたものが、1970年代に病院・診療所で亡くなる割合と逆転し、その後は自宅で亡くなる割合は減少し続けていました。しかし、直近では自宅で亡くなる割合や介護施設で亡くなる割合が増加傾向にあります。

看取り介護加算は、2006年の介護報酬改定で創設されました。医療機関は原則として治療するための場所としての機能が強化され、必ずしも治療の必要のない看取り期については、医療機関から介護施設や自宅に場所を変えるという背景があります。

看取り介護加算には、介護施設で終末期を送ってほしいという国の意向が反映されていると考えられます。

死亡場所の推移

参考:厚生労働省 人生の最終段階における医療・介護 参考資料

看取り介護加算の対象事業者

看取り介護加算は、以下の介護サービスで算定することができます。

看取り介護加算の対象事業者

 
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
※地域密着型を含む
 
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
 
・特定施設入所者生活介護(介護付き有料老人ホーム)
※地域密着型を含む

看取り介護加算は、終末期に本人の意志を尊重したケアに努めたことに対する評価となっていることから、医療機関とは異なり積極的な治療を行うというよりは、その人らしい最期を迎えられるような対応を評価した加算となっています。

私が以前、特別養護老人ホームで勤務していた際には、看取り介護の導入にあたって、ご家族に積極的な治療を望むか望まないかを確認していました。中には、最期は医療機関に搬送してほしいという要望があるご家族もありましたが、最期が近づいてくるとご家族も心境の変化から、「やっぱり医療機関に連れて行かなくてもよいので、ここで最期を迎えさせてあげたい。」と仰る場面を何度も見てきました。

看取り介護加算の算定要件

看取り介護加算は、終末期を介護施設で生活するために、本人の意志を尊重したケアに努めたことに対する評価のための加算となっています。複数の介護サービスで看取り介護加算を算定することができますが、算定の要件はサービスごとに少しずつ異なります。

それぞれのサービスにより、算定要件が少しずつ異なりますので、算定する際には基準を十分に確認のうえで算定するように気をつけてください。

特別養護老人ホームの算定要件

特別養護老人ホームでの看取り介護算定のための要件は以下のとおりです。

(施設要件)
・常勤の看護師を1名以上配置すること、また24時間連絡できる体制を確保すること
ただし、医療機関、訪問看護ステーションとの連携でも可能
・看取りに関する指針を定め、入所の際に入所者、家族に同意を得ること
・多職種の連携により、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと
・看取りに関する研修を行っていること
・個室または静養室の利用が可能となるよう配慮すること

(入所者要件)
・医師により回復の見込みがないと診断された入所者であること
・看取り介護計画に同意していること

また、加算は以下の2つに分かれており、いずれも死亡月に加算を算定します。ただし、退所した場合は、退所した日の翌日以降は加算の算定はできません。

・看取り介護加算(Ⅰ)
加算(Ⅱ)の要件以外の場合に算定します。

・看取り介護加算(Ⅱ)
死亡場所が施設内であった場合に限り算定可能です。
24時間、配置医師による対応や他の医師による往診が可能な場合に算定することが可能です。

特別養護老人ホームの看取り介護加算は、死亡日が属する月に加算を算定します。例えば月末に入院し、翌月にお亡くなりになった場合については、入院日以降に加算を算定することはできませんが、45日以内の看取り介護加算の算定は可能です。

ただし、死亡月に算定することとされているため、利用がない月に算定する場合もあるので、ご家族には事前に説明しておくことが大切です。

グループホームの算定要件

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、医師の配置義務がないため看取り介護は(Ⅰ)と(Ⅱ)では分かれておらず、算定要件は以下のとおりです。

(施設基準)
・看取りに関する指針を定め、入居の際に利用者または家族に同意を得ること
・多職種による協議の上、看取りに関する指針の見直しを行っていること
・看取りに関する職員研修を行っていること

(利用者基準)
・医師により回復の見込みがないと診断された利用者であること
・看取り介護計画に同意していること

特定施設入居者生活介護の算定要件

特定施設入所者生活介護(介護付き有料老人ホーム)での看取り介護算定のための要件は以下のとおりです。

(施設要件)
・看取りに関する指針を定め、入居の際に利用者または家族に同意を得ること
・多職種の連携により、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと
・看取りに関する研修を行っていること

(利用者基準)
・医師により回復の見込みがないと診断された利用者であること
・看取り介護計画に同意していること

また、加算は以下の2つに分かれており、いずれも死亡月に加算を算定します。ただし、退所した場合は、退所した日の翌日以降は加算の算定はできません。なお、夜間看護体制加算を算定していない場合、看取り介護加算の算定はできません。

・看取り介護加算(Ⅰ)
加算(Ⅱ)の要件以外の場合に算定します。

・看取り介護加算(Ⅱ)
加算を算定する期間において、夜勤又は宿直を行う看護職員の数が一以上であること。
加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定することはできません。

看取り介護加算の単位数

看取り介護加算の単位数は、各サービスごとに異なります。それぞれ、要件を満たした場合に算定することが可能ですが、共通するのは、

実際に看取り期において施設内にいた期間のみしか算定することができない

という点です。例えば、お亡くなりになる前に医療機関に入院した場合は、入院の翌日からは加算の算定をすることができません。

また、看取り介護加算については、看取り期と判断されてからお亡くなりになるまでの加算となるため、施設で亡くなった方の全てが算定できるものではありません。例えば急変によりお亡くなりになった場合などで、看取り期ではなかった場合は看取り介護加算の該当にはなりません。

特別養護老人ホームの単位数

特別養護老人ホームの看取り介護加算の単位数は以下の通りです。看取り期と診断された後に算定することが可能となり、最大で45日間の加算を算定することができます。

看取り介護加算(Ⅰ)を45日間算定した場合の合計は、7,608単位、看取り介護加算(Ⅱ)を45日間算定した場合の合計は8,108単位となります。

看取り介護加算(Ⅰ) 看取り介護加算(Ⅱ)
死亡日以前31日以上45日以下 72単位/日 72単位/日
死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日 144単位/日
死亡日の前日及び前々日 680単位/日 780単位/日
死亡日 1,280単位/日 1,580単位/日

 

例えば、6月11日に医療機関に入院し、6月15日に亡くなった場合にどのようになるかを見てみます。(看取り介護加算(Ⅰ)の場合)

算定期間 算定可能単位数
死亡日以前31日以上45日以下 5月2日~5月16日 72単位が15日
死亡日以前4日以上30日以下 5月17日~6月11日
※6月12日は入院翌日のため算定不可
144単位が26日
死亡日の前日及び前々日 算定不可 算定不可
死亡日 算定不可 算定不可

 

グループホームの単位数

グループホームの看取り介護加算の単位数は以下の通りです。看取り期と診断された後に算定することが可能となり、最大で45日間の加算を算定することができます。45日間加算を算定した場合の合計は、7,608単位となります。

死亡日以前31日以上45日以下 72単位/日
死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日
死亡日の前日及び前々日 680単位/日
死亡日 1,280単位/日

 

特定施設入居者生活介護

特定施設入所者生活介護の看取り介護加算の単位数は以下の通りです。看取り期と診断された後に算定することが可能となり、最大で45日間の加算を算定することができます。

看取り介護加算(Ⅱ)は、看護職員が夜勤または宿直をしている日について算定するものとなるため、看護職員がいない日においては看取り介護加算(Ⅰ)を算定することになります。そのため、看取り介護加算(Ⅰ)と(Ⅱ)が混在する可能性があるため、勤務形態一覧で看護職員の配置が分かるようにしておく必要があります。

看取り介護加算(Ⅰ) 看取り介護加算(Ⅱ)
死亡日以前31日以上45日以下 72単位/日 572単位/日
死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日 644単位/日
死亡日の前日及び前々日 680単位/日 1,180単位/日
死亡日 1,280単位/日 1,780単位/日

 

看取り介護加算とターミナルケア加算の違い

看取り介護加算は、特別養護老人ホームやグループホーム、介護付き有料老人ホームなどの居住系の介護サービスで算定される加算です。一方、ターミナルケア加算は、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護、介護老人保健施設などの医療系の介護サービスで算定される加算です。

ターミナルケアは終末期医療とも訳されるように、看取り介護より医療的な意味合いが強いものとされます。基本的な考え方は、本人の意思を尊重した医療・ケアの実施とされており、看取り介護加算もターミナルケア加算も同様です。

特別養護老人ホームでも、点滴などの医療行為が行われる場合もありますし、介護老人保健施設で必ず医療的な処置がされるというものでもありません。必要性や本人、家族の希望によりどちらの場合であっても必要なケアが求められます。

令和6年度介護報酬改定による看取り対応体制の評価

令和6年度介護報酬改定において、訪問入浴介護と短期入所生活介護(ショートステイ)の報酬で「看取り連携体制加算」が新たな加算として創設されました。この加算は、訪問入浴介護・短期入所生活介護において、看取り期の利用者に対するサービス提供を評価するものです。

訪問入浴介護における「看取り連携体制加算」では、医師や訪問看護との連携を評価するものとされており、死亡日及び死亡日以前30日以内の利用について、一回あたり64単位を算定することが可能です。

短期入所生活介護(ショートステイ)における「看取り連携体制加算」では、ショートステイでレスパイト機能を果たしつつ看護職員の体制確保や対応方針を定めてサービス提供を行った場合を評価するものです。死亡日及び死亡日以前30日以内で7日間を限度に、一日あたり64単位を算定することができます。

今まで、終末期のサービス提供においても加算としては評価されていませんでしたが、訪問入浴介護や短期入所生活介護も在宅生活を送るうえで重要なサービスとなるので、終末期の対応が評価されたものと思われます。逆に言えば、看取り対応を評価するということは、それだけ在宅での看取り対応を求められているとも言えます。

看取り介護の課題

皆さんは自分が亡くなる時、どこで亡くなりたいか考えたことはあるでしょうか。2021年に日本財団が行った全国調査では、半数以上の方は「自宅で亡くなりたい」という希望を持っています。

一方で、絶対に避けたい場所としては「介護施設、子どもの家」が上位に来ています。しかし、現実的には自宅で亡くなる方の割合は二割にも満たず、直近では介護施設で亡くなる方の割合は自宅で亡くなる方に近づいています。

これらの要因としては、核家族化などにより自宅で亡くなる体制がなかなかできていないことも要因ではないでしょうか。自宅で亡くなる場合には、在宅診療などの介入は欠かせませんが、介護施設の割合と比較すると、在宅診療に力を入れている医療機関は全国的に見ても決して多くないのが実情だと思われます。

人生の最期を迎えたい場所

参考:日本財団 人生の最期の迎え方に関する全国調査2021/3/29

介護施設での看取りについても課題はあります。介護施設は医療機関とは異なり、医師や看護職が常時いない場合もあるため、職員の精神的な負担も大きいのが実情です。

また、ほとんどの介護施設では夜間に看護職員が複数いることは少ないため、看護職に係る負担も計り知れません。看取り介護を推進するためには、職員の精神的なケアも課題になってくるでしょう。

その他にも、ユニット型施設の場合は、お亡くなりになった場合でも居室内でご家族等と過ごすことができますが、従来型施設の場合で看取り介護を行う場合はお亡くなりになった後の場所を確保する必要があるなど、設備面での課題も出てくる場合があります。

人が亡くなるということは、決して特別なことではないのかもしれませんが、必ずしも慣れた職員ばかりではない場合は、管理者による精神的なフォローも必要になるでしょう。

まとめ

高齢化により介護を必要とする期間が長くなっていますが、すべての人はいつか必ず亡くなります。終末期の高齢者ケアを充実させるため、看取り介護加算は介護施設にとって重要な役割を果たしています。

かつては自宅で亡くなる方が多かったものの、現在では介護施設が自宅の代わりとして機能するケースが増えています。特別養護老人ホームなどは「終の棲家」として、自宅と同様の役割を担うようになっています。

看取り介護加算に対応する施設も以前より増加しています。これにより、終末期の高齢者がそれまで過ごしてきた介護施設から、亡くなるためだけに別の施設や医療機関に移動する必要がなくなりました。

私が以前勤務していた特別養護老人ホームでも、かつては看取り介護に対応しておらず、最期は医療機関にお連れしていました。しかし、看取り介護を始めてからは施設内で看取ることが可能となり、ご家族にも非常に喜ばれました。

職員の負担は決して小さくありませんが、最期まで看取る覚悟を決めることで、より真剣に入所者の最期を考える機会が増えたと感じます。

今後は今以上に、介護施設で看取ることが当たり前になると考えられます。まだ、看取り介護を行っていない事業所は、一度、看取り介護を行っている施設を見学などしてみてもよいかもしれません。

事業所それぞれが工夫や苦労をして、看取り介護に取り組んでいると思います。また、加算としてしっかりと評価されて単位数を取ることもできるため、経営面でも必要なものになるでしょう。

この記事の執筆者伊藤

所有資格:社会福祉施設長認定講習終了・福祉用具専門相談員・介護事務管理士

20年以上、介護・医療系の事務に従事。
デイサービス施設長や介護老人施設事務長、特別養護老人ホーム施設長を経験し独立。
現在は複数の介護事業所の経営/運営支援をしている。

 

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