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【教えて!】認知症の症状別対応のポイントを解説!やってはいけない対応とは?

認知症の症状別対応のポイント

皆さんの周りには「なんだか最近忘れっぽくなった」「今まで問題なく出来ていたことが出来なくなった」など、認知症を疑う症状のある人はいませんか?また、既に認知症と診断されている人もいるのではないでしょうか。
今や認知症は特別なものではなく、誰もが身近に感じるものになってきています。
 
認知症といっても、症状は人それぞれです。この記事では、認知症の症状や、症状別の対応のポイントについて紹介しています。
認知症の症状は、周囲の関わりによって改善することもあります。認知症の人の介護に困っているときに、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。

認知症とは

認知症の高齢者

「認知症」とは、何らかの脳の疾患により脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、脳の認知機能が後天的に失われ、社会生活に支障をきたした状態をいいます。年をとって忘れっぽくなるのは誰でも起こる変化ですが、認知症のもの忘れは加齢による忘れっぽさとは異なります。

認知症は年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も患者数は増え続けると予想されています。認知症は、高齢者であれば誰もがなりうる病気です。

認知症の主な症状

認知症の症状には、脳障害そのものが引き起こす「中核症状」と、環境の変化や身体状況、周囲の関わり方などが関与して引き起こる「周辺症状」があります。

中核症状

認知症における中核症状とは、病気などによる脳の障害により、脳の働きが低下することで起きる症状を指します。認知症の種類によって出やすい症状は異なりますが、中核症状はすべての認知症の人に現れます。

ここでは、主な中核症状を4つご紹介します。

①記憶障害

数分前に話したことを忘れたり、約束を忘れたりします。徐々に悪化することで生活に支障が出るようになります。短期記憶にかかわる脳の海馬という機能の障害が原因と考えられており、特に近時記憶(数分~数日間の記憶)の障害が現れることが特徴です。

②見当識障害

時間や場所、人が分からなくなります。日付や時間の感覚が曖昧になり、どこにいるのか、目の前の人が誰なのか分からなくなります。ひとりで出かけると迷子になってしまったり、夜中に活動するなどの行動に繋がります。

③実行機能障害

行動するために必要な手順や段取りが分からなくなります。今まで問題なくできていた、料理や片づけ、衣類の管理が苦手になってきます。また、予想外の出来事が起こったときに、色々な手段を考えることができず、適切な方法で対処できなくなります。

④失語・失認・失行

言葉が出にくくなる「失語」、その人やそのものが認識できない「失認」、円滑な動きができない「失行」などによって、日常生活に支障が生じます。失語や失認によって会話がうまく続かなくなったり、失行によって着替えや入浴を拒否するようになったりします。

周辺症状(BPSD)

認知症の周辺症状(BPSD)は、中核症状から派生し、本人の行動や心理状態で起こる症状のことを指します。本人の気持ちや環境が大きく作用するため、人によって現れる症状が異なることが特徴です。

症状を理解して原因を突き止め、適切にケアをすることで症状が落ち着くことも多くあります。ここでは、代表的な周辺症状を紹介します。

①徘徊

ひとりで外出したものの、帰り道や行き先が分からなくなり、行方不明になってしまうことがあります。中核症状である見当識障害や記憶障害が主な原因ですが、不安が引き金になることもあります。

認知症による徘徊は、早朝~午前が最も多く、次いで午後~夕方、夜~深夜の順に多いと言われています。認知症による徘徊は、ほとんどの方が目的を持って家を出ています。

「仕事に行く」「畑を見に行く」「散歩をする」などといった長年の生活習慣が徘徊につながる場合もあります。

②妄想

「お財布がなくなった。あなたがとったんではないか?」といった物取られ妄想が代表的です。記憶障害が原因ですが、置き場所を忘れたと認めたくない気持ちや不安感から、被害妄想を生み出しがちになります。

また、配偶者が少し外出しただけで「浮気をしている?」と激しく怒り出すという嫉妬妄想も代表的です。認知症の初期に多くみられ、不安感や孤独感が原因です。

③作話

「お嫁さんにいじわるされている」など、ありもしないことを近所の人に話したりします。抜け落ちた記憶を補うためで、身近な人を悪くいうことで、本人なりに納得できるように話を作ってしまいます。

話をしている本人は、嘘ではなく本当の出来事を話しているつもりなので、否定してしまうと混乱させてしまう場合があります。

④幻覚

存在しないものが見えたり、聞こえたりする症状です。脳の視覚に関する部分が障害されることで起こります。

認知症の中でもレビー小体型認知症では8割の患者に現れると言われています。何もない場所を指さして、小さな子どもや動物がいると言うことがあります。

日中だけではなく、特に夕方から夜にかけて頻回に出現する傾向があります。

⑤睡眠障害

認知症になると、昼寝をしたりベッド上で過ごす時間が長くなったりすることで、体内時計の調節がうまくいかずに睡眠のリズムが崩れやすくなります。 その結果、不眠や昼夜逆転といった睡眠障害が現れる場合があります。

本人の心身に悪影響を及ぼすだけでなく、介護者の負担増大にもつながる症状です。

認知症 そのほかの周辺症状

この他にも、食べ物以外のものを口に入れる「異食」、万引きをしてしまうなどの「反社会的行動」、「焦燥や不安」「暴力・暴言」「介護拒否」「失禁や弄便」などの症状が認知症による周辺症状といわれています。

認知症の症状別対応のポイント

グループホーム高齢者と介護スタッフ

認知症の症状別対応のポイントをご紹介します。認知症の方の気持ちに寄り添って対応することが大切なポイントになります。

ひとりで徘徊してしまうときの対応

認知症が進行すると、ひとりで外出した際に行方不明になってしまうことがあります。ひとりでの外出を止めたくなりますが、目的があって外出しようとしているのを、無理に止めようとしても逆効果になるときもあります。

家を出ていこうとしているのを見つけた際はむやみに止めるのではなく、どこに行こうとしているのかなど優しく話を聞くようにします。そして、本人の目的や気持ちに共感したうえで、「今日は雨が降るそうなので、明日にしてはどうですか?」などと気をそらすような声かけをすると落ち着く場合もあります。

それでも気がつかないうちにひとりで出かけてしまうときは、本人の安全を守れるように対策を考えます。

例えば、連絡先を服や靴に書いておいたり、GPSやセンサーを利用します。また、徘徊SOSネットワークといった、徘徊する方を発見するための取り組みを自治体で行っているところもあります。

近所の方やよく利用するお店などに事情を話しておくと、見かけたときに本人に声をかけてもらったり、家族に連絡してもらえることもあります。

徘徊は、今いる環境が本人にとって快く安心できる場所になることで、和らぐ場合も多いです。本人の不安や焦燥感が軽くなるように、話をしっかりと受け止め、穏やかな対応をすることが大切です。

同じことを繰り返し話すときの対応

認知症になると、短期記憶障害によって直前に話していたことを忘れてしまいます。それにより、同じことを繰り返し何回も聞いたりすることがよくあります。

相手が認知症だと分かっていても、何回も同じ質問をされるとイライラしてしまうものです。しかし感情のままに「さっきも言ったじゃない」「同じことを聞かないで」と怒っても、本人は怒られた理由も分からず、とても傷ついてしまいます。

認知症では、事実の記憶は失われますが、感情の記憶は残ります。怒られて混乱したり、戸惑ったりする嫌な感情が最終的に周辺症状の引き金になったりするため注意が必要です。

イライラしてしまったら、まずは一呼吸おいて落ち着きましょう。不安を感じさせないように、にこやかな表情で答えるようにします。

日にちを聞かれるのであれば、目に見えるところにカレンダーを置いて一緒に確認したり、食事を食べたことを忘れて何回も催促されるのであれば、「支度しているから少し待ってね」と代わりのおやつを提供することで気をそらしたりします。

できないことが増えたときの対応

認知症の進行に伴い、考えるスピードが遅くなり、判断にも支障が出てきます。複数のことが重なったり些細な変化によって混乱しやすくなります。

しかし、なにもできなくなったわけではありません。「どうせできない」と、できることまでも奪ってしまうと、自尊心が傷つき自信も失われます。本人の状態に合わせて、尊重した対応をすることで生きる意欲につながります。

簡単なことで構わないので、本人にできることをしてもらい、役割を担ってもらうとよいでしょう。料理は難しくても、配膳や食器洗いなどの単調なことはできる場合が多いです。その際は「ありがとう、助かるわ」と声をかけることも大切です。

ゆっくりと話しかけ、みんなの輪の中にいる雰囲気をつくり、本人の発言に耳を傾けるようにします。

うまく睡眠がとれないときの対応

一般的に、高齢になると寝つきが悪く、眠りが浅くなって目覚めやすくなります。それに加えて認知症になると、昼夜の区別がつかなくなったり、昼寝の時間が多くなります。すると、生活が昼夜逆転してしまい、夜眠らずに動きまわることに繋がります。

まずは、生活のリズムをつけるように日中の活動量を増やします。昼間は散歩に出かけたり、自分のできる仕事をしてもらったりするなど、活発に動くようにしましょう。

昼夜逆転の予防には午前中の日光浴が効果的です。また、夜はしっかりと眠れるように寝室の環境を整えます。どうしても寝つきが悪いときには、ホットミルクなど温かい飲み物をすすめたり、軽食で空腹を満たすと穏やかに眠れることがあります。

幻覚が見えるときの対応

幻覚とは、周辺症状の1つで、実際には存在しないものが見えたり感じたりする症状です。

見えるものは、子供、人、動物などが多く、誰もいない空間に向かって話しかけているように見えたり、誰もいないところにお茶を出そうとしているような行動がみられます。

本人にとっては実際に起きていることなので、まずは訴えを受け止め、頭から否定しないようにしましょう。「虫がたくさんいる」と訴え、興奮していることも考えられますが、そのときは消臭スプレーなどをまいて「薬をまいたから大丈夫」などと寄り添った対応をすると落ち着くことがあります。

また、幻視は暗いところで見える場合が多いため、部屋を明るくするのもよいでしょう。幻覚が見えて落ち着かない場合には、環境を変えてお茶をすすめてみたり、散歩に連れ出したりして、気分転換をはかることも有効な場合があります。

財布やお金、物などを「盗まれた」と言うときの対応

ものをとられたという「物盗られ妄想」は、とてもよく見られるエピソードです。記憶障害によってどこに置いたのか分からなくなってしまい、それを認めたくない気持ちや不安感から、身近な人を疑うことが多いです。

このような症状に対しては、まず否定も肯定もせずに落ち着いて話を聞きます。否定すると反発し、さらに妄想が膨らみやすくなります。「それは困りましたね」などと同意し気持ちに寄り添いましょう。

その後「一緒に探してみましょう」と声かけをした上で身の回りを探します。疑われている人が見つけると、「盗んだ」という妄想が確信になるため、見つけやすいところに置いて、本人に見つけさせるのもよいでしょう。

認知症の家族が介護疲れをしないために

介護職

認知症の介護は長期間に渡り、身体的・精神的・経済的な負担が予想されます。また、家族での介護は、周囲から孤立しやすい特徴があり、介護疲れから「介護うつ」や「介護放棄」に繋がることもあります。

家族間での協力、行政や周囲の助けが必要です。

ここからは認知症の家族が介護疲れをしないための方法を3つご紹介します。

一人で認知症の介護の悩みを抱え込まずに相談する

自分や家族、周りの人について「認知症ではないか」と思われる症状に気づいたとき、認知症の介護について悩んだときに相談できるところがあります。一人で悩まず、相談してみてください。

①地域包括センター

地域包括支援センターは、全ての市町村に設置されている公的な相談窓口です。高齢者やその家族を介護、福祉、健康、医療など様々な面から総合的に支えるために設置されています。

地域包括支援センターでは、保健師・看護師・社会福祉士・主任ケアマネジャーが問題に応じて、適切なサービス・機関・制度の利用につなげます。

②電話相談

悩みや相談を無料で聞いてもらえるところがあります。

●認知症110番(公益財団法人 認知症予防財団)
認知症に関する無料の電話相談を開設しています。
0120‐654‐874(月・木曜日 午前10時~午後3時 原則として、月曜日が祝日の場合は翌火曜日)

●若年性認知症専用コールセンター(認知症介護研究・研修大府センター)
65歳未満の認知症の人やご家族の相談に応じています。
0800-100-2707(月~土曜日 午前10時~午後3時)

③かかりつけ医

もの忘れなど、なにかこれまでとは違う違和感を覚えていても、受診に拒否感をもつ人もいると思います。「健康診断を兼ねて診てもらおう」「脳ドックを受けてみよう」と健康診断の延長として検査を促すとスムーズに受診できる場合もあります。

ふだんから付き合いのあるかかりつけ医がいるのであれば、まずは相談してみましょう。必要に応じて適した認知症専門医を紹介してもらえます。

④家族会

「公益社団法人 認知症の人と家族の会」では、認知症の本人と家族、支援者や専門職の方によって構成されている団体です。各都道府県に支部があり、情報交換や相談会など、家族や本人が集まる「各地のつどい」も開催されています。

介護サービスを利用する

認知症は病状が進むと介護が必要になってきます。介護保険を使って受けられるサービスは様々あり、これらのサービスをうまく活用することで介護にかかる費用や心身の負担を減らすことができます。

介護サービスには、自宅に来てもらう訪問介護や訪問入浴、本人が通うデイサービスや数日宿泊するショートステイ、施設への入所などがあります。介護保険のサービスを利用するには「要介護認定」を受ける必要があります。近くの地域包括支援センターに相談しましょう。

息抜きの時間を持つ(レスパイト)

レスパイトとは、小休止、休息、息抜きを意味します。介護をおこなう家族が一時的に介護から離れ、リフレッシュすることも大切です。

毎日介護を続けていると疲労が溜まり、そのままにしておくと、介護者のストレスや身体的疲労が限界に達し、介護者自身が身体を壊してしまう場合があります。

デイサービスやショートステイなどの介護サービスを上手に利用しましょう。

認知症の症状別の対応 まとめ

ここまで、認知症の代表的な症状や、症状別対応のポイントについて紹介してきました。同じ認知症であっても、人によって悩んでいる症状は様々です。

一度うまく対応できても、同じ方法が翌日からもうまくいくとは限りませんし、病気の進行によって症状も変わっていきます。症状別に色々な対応法はありますが、共通しているのは「認知症があっても、安心できる環境でその人らしく生活できるように尊重すること」ではないでしょうか。

認知症の人を支える家族や介護者も、介護サービスなどを利用して息抜きをしながら、本人とゆっくりとコミュニケーションをとり、気持ちに寄り添うことが大切です。

この記事の執筆者
槇野りっか

保有資格: 看護師

急性期病院で看護師として2年勤務、その後特養で介護士として半年、看護師として5年勤務、介護業界で仕事をしてきました。
現在は介護・福祉系ライターとしても活動中。

 
 

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