「平等なシフトを作成したつもりなのに、スタッフが納得してくれない」
「シフト作成に時間がかかって、ほかの業務が進まない」
「平等なシフトってどうやって作るの?」
このように、平等なシフトの作成方法がわからず困っていませんか?介護現場で法律で定められた人員配置基準を守りつつ、スタッフが納得するシフトを組むのは簡単ではありませんよね。「シフト作成がつらい!」と感じるリーダーや管理者の方も多いでしょう。
この記事では、介護現場で働くスタッフが不満を持ちやすいシフトを紹介したあとに、平等なシフトを作成するポイントを解説します。
記事の内容は以下のとおりです。
・シフト作成で「平等さ」が大切な理由
・スタッフ・従業員が不満を持ちやすいシフト
・平等なシフト作成で意識すべき項目
・スタッフに「平等なシフト」と感じてもらうためのポイント
・平等なシフト作成に役立つ「シフト管理ソフト」の紹介
読み終わった後は、今までより楽な気持ちでシフト作成に取り組めるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
目次
シフト作成で「平等さ」が大切な理由

平等なシフトは、介護施設で働くスタッフのモチベーションに大きな影響をあたえます。平等なシフトを組むと、スタッフは自分が大切にされていると感じて、意欲的に働けるようになるのです。
反対に、不公平に感じられるシフトが続くと『自分はないがしろにされているのではないか』『自分だけきついシフトにされているのではないか』と不安を感じて、仕事へのモチベーションが低下するおそれもあります。
こうした現象は、心理学的行動の1つである「ピグマリオン効果」と関連が深いものです。ピグマリオン効果とは、他者からの期待により、仕事や学習の成果が向上する現象を意味します。それとは反対に、期待されていないのではないか、ないがしろにされているのではないかと感じてしまうことで、仕事の成果が落ちてしまうのです。
シフト作成では平等なシフトを心がけて、スタッフを大切にしていることを伝えましょう。スタッフが意欲的に働けるシフトを組むことは、介護施設の利用者にとって有益な介護サービスの提供につながるため、とても大切なことです。
スタッフ・従業員が不満を持ちやすいシフトとは
では、介護現場で働くスタッフや従業員はどのようなシフトに不満を持ちやすいのでしょうか。例として、6つのシフトを紹介します。
連勤が続くシフト
5連勤や6連勤が続くシフトに対して、スタッフは不満を持ちやすくなります。特に2交代制や3交代制を採用している場合は、スタッフの連勤に注意しましょう。早番、遅番、夜勤などの変動シフトは、スタッフの心身に一定の負担をあたえるからです。
シフトは通常1ヶ月ごとに作成するため、月末から翌月の頭にかけて連勤が発生しやすくなります。シフト作成者は注意が必要です。
月をまたいで6連勤になるシフト①
9/29(日) | 9/30(月) | 10/1(火) | 10/2(水) | 10/3(木) | 10/4(金) | 10/5(土) |
公休 | 出勤 | 出勤 | 出勤 | 出勤 | 出勤 | 出勤 |
月をまたいで5連勤になるシフト②
9/29(日) | 9/30(月) | 10/1(火) | 10/2(水) | 10/3(木) | 10/4(金) | 10/5(土) |
夜勤明け | 公休 | 早番 | 日勤 | 遅番 | 夜勤入り | 夜勤明け |
早番・遅番・夜勤の回数が他のスタッフより多い
早番、遅番、夜勤の回数が多いシフトも、スタッフは不満を持ちやすくなります。
不満を持ちやすくなる理由は2つあります。
1.プライベートの予定が立てにくい
2.業務の負担が大きい
一般的に早番、遅番、夜勤を割り当てられたスタッフは、勤務に支障のないようにシフト前後の予定を決めます。
たとえば、早番スタッフは、前日の夕方以降は外出を控えたり早めに横になったりします。遅番スタッフなら、終業時間が20時前後となるため、予定を入れにくいはずです。夜勤スタッフなら、昼間に空き時間を設けて休息にあてる方が多いでしょう。つまり、プライベートよりも仕事を優先してスケジュールを組むことになります。
そして、早番、遅番、夜勤の勤務時間は、日勤帯より人手の少ない時間帯です。人手が少ないと、スタッフ1人にかかる業務負担も大きくなります。
このようにプライベートの予定が立てにくい、業務負担が大きいという理由から、早番、遅番、夜勤が多い場合も、スタッフは不満を持ちやすくなるのです。
「遅番→早番」「遅番→日勤」は負担が大きい
「遅番→早番」「遅番→日勤」のように始業時間が前にずれているシフトに対して、スタッフは不満を持ちやすくなります。なぜなら、プライベートの予定や休息の時間を設けにくいからです。
「20時終業の遅番」と「7時始業の早番」が続いたシフトをみてみましょう。
遅番 | 勤務外の時間 | 早番 | ||
始業 | 終業 | 20:00~7:00 | 始業 | 終業 |
11:00 | 20:00 | 7:00 | 16:00 |
上記の場合、シフトの自由時間は20時から7時までの11時間となります。通勤時間、食事の支度、出勤の準備といった仕事に関連する時間を除けば、自由時間はさらに短くなるでしょう。
「遅番→早番」「遅番→日勤」といったシフトは、「前日の終業時間から翌日の始業時間まで」の自由時間が短くなるため、スタッフの不満につながるのです。
希望の休みが反映されていない
希望休がシフトに反映されていない場合も、スタッフが不満を持ちやすくなります。
介護のシフトには、公休を指定できる「希望休」という休みがあります。希望休を夜勤明けの翌日に設定したり、有給休暇と組み合わせたりすると、疑似的に連休をつくれます。土日や祝日休みの友人と会うために、希望休を活用するスタッフも多いでしょう。
特に定休日がない介護施設の場合、希望休の重要度は高くなります。そのため、希望休が反映されないシフトが続くと、スタッフは不満を持ちやすいのです。
苦手な人といつも同じシフト
介護施設では、同じ建物の中でスタッフ同士が連携して業務にあたります。
苦手な人と一緒になる機会が多いと、上手に息抜きできない場面が増えていきます。結果、苦手意識を持つほうのスタッフは、パフォーマンスの低下やストレス増大に陥りやすくなるのです。
苦手な人といつも同じシフトという状況が続くと、スタッフは不満を持ちやすくなります。
シフト作成者が楽なシフトになっている
「シフト作成者にだけ連休がある」「シフト作成者にだけ夜勤がない」といったシフト作成者が楽なシフトになっている場合も、スタッフが不満を持ちやすくなります。
シフト作成者は、法定労働時間や人員配置基準などに気をくばり、慎重にシフトを作成しています。正しいシフトを作ることは、誰でも簡単にできる作業ではありません。
しかし、スタッフから平等なシフトと感じてもらうためには、シフト作成者だけが楽なシフトになっていないか、見返すことも大切なのです(意図せずそう感じられるシフトになっている可能性もあります)。
介護施設でのシフト作成のコツについては、以下の記事でも解説しています。シフト作成に悩みを抱えている介護リーダーなどシフト管理者は、ぜひご覧になってみてください。
また職員の勤務に関しての関連記事として、以下のような記事も掲載しています。こちらも合わせてご覧ください。
シフト作成で平等を意識すべき項目とは
スタッフにシフトが平等と感じてもらうためには、どのような項目に気をつけたらよいのでしょうか。
シフト作成で平等を意識すべき5つの項目がこちらです。
1.特定のスタッフに連続勤務が続いていないか
2.早番、遅番、夜勤が特定のスタッフに集中していないか
3.土日や祝日に勤務が続いているスタッフがいないか
4.特定のスタッフの希望休だけ反映させていないか
5.スタッフのスキルと人員配置はあっているか
上記の項目を満たすと、特定のスタッフだけ特別扱いしないシフトを作成できます。平等だとスタッフに感じてもらいやすくなるでしょう。
また、シフト作成の際は労働基準法や介護保険法のルールにも気をつけてみてください。シフト作成を通じて、スタッフ・利用者の安全と健康の確保に努めていきましょう。
スタッフに「平等」と感じてもらえるシフト作成のポイントとは
シフト作成の大変さは、周りのスタッフにはなかなか伝わらないかもしれません。
スタッフに「シフトを平等に作っている」と感じてもらうために、以下の4つのポイントを実行してみましょう。
1.シフト希望・休み希望の提出期限を決める
2.各スタッフの事情・希望を把握する
3.急な予定変更へ対応する
4.普段からコミュニケーションをとり信頼関係を構築しておく
それぞれ具体的に解説します。
シフト希望・休み希望の提出期限を設ける
シフト希望や休み希望に提出期限を設けると、シフト作成者のスケジュールに余裕が生まれます。
スケジュールに余裕が生まれると、完成したシフトを見返したり問題点を改善したりする時間を持てるようになります。結果、平等なシフトを作成できるだけでなく、完成したシフトを共有するまでの時間が短くなるのです。
シフト希望・休み希望に提出期限を設ける3つの方法としては、以下のようなものがあります。
1.ミーティングなどで「希望休のある方は今月の〇日までに提出してください」と伝える
2.シフト表に「希望休は前月の〇日までに提出」と記載する
3.希望休の提出期限が近付いたら一斉メールを送信する ※グループラインを利用している場合
シフトの共有が早いとスタッフに喜ばれます。なぜなら、プライベートの予定を立てやすくなるからです。
シフト作成者は、介護リーダーや管理者といった役職者が多く、シフト作成以外にも重要な業務を抱えていると思います。余裕のあるスケジュールを組むために、シフトの希望休に提出期限を設けてみましょう。
スタッフの事情・希望を把握する
スタッフの事情や希望を把握すると、スタッフの満足度を高めるようなシフトを作成しやすくなります。
たとえば、パートスタッフの場合、家庭の事情により勤務できる曜日や時間帯が限定されているかもしれません。勤務できる時間帯を把握して調整するとよいでしょう。
また、「腰に負担のかかる身体介助ができない」「疾病により長時間勤務がむずかしい」といった健康上の問題を抱えているスタッフに対しては、面談の機会を設けてみましょう。
定期的に健康状態を把握してからシフトを組めば、健康上の問題を抱えているスタッフも無理せず勤務を続けられます。人員の状況によっては全ての希望を反映するのは難しいとは思いますが、可能な限り介護現場のスタッフにあわせた対応を心がけてみましょう。
急な予定変更へ対応する
介護現場では、シフト完成後に、スタッフの欠勤や利用者の都合によって急な予定変更を迫られるケースがあります。
休み予定のスタッフに出勤してもらった場合は、次月のシフトにて、変更してくれたスタッフの希望を優先するとよいでしょう。平等な対応を心がけると、スタッフとの信頼関係を構築しやすくなります。
また、急な予定変更に対応できるように、ギリギリではなく余裕のある人員配置を目指してみてください。
もしも現場のスタッフでまかなえない場合は、他部署に応援を頼むのも1つの手です。他部署の責任者や直属の上司などに相談して、期間限定の助っ人をお願いできないか相談してみましょう。
なお、人員配置基準と常勤換算について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
普段からコミュニケーションをとり信頼関係を築いておく
スタッフにシフトの平等性を感じてもらうために、スタッフとの信頼関係を築いておくこともおすすめです。
スタッフとの信頼関係が構築できていると、シフト変更の相談がしやすくなります。結果、以下のような場面でシフト作成が楽になります。
・人手不足で夜勤者が足りない
・急なシフト変更が必要
・特定のスタッフに対して、早番や遅番の回数を増やしたい
・残業をお願いしたい
スタッフとの信頼関係を構築することは、平等なシフト作成への近道となります。普段からコミュニケーションの機会を持って、徐々に信頼関係を築いていきましょう。
シフト管理ソフトを利用して平等なシフトを作成する

効率的にシフトを作成したいなら「シフト管理ソフト」の導入を検討することもおすすめです。
シフト管理ソフトは、シフト作成を効率化するために開発されたソフトウェアです。近年ではAIの力を活用して重要な情報の抜けや漏れを防ぎ、平等なシフトを作成できるシフト管理ソフトも増えています。
介護現場に対応したシフト管理ソフトが、各メーカーから発売されています。各ソフトの機能や特徴を把握して、自社の介護現場にあったソフトを導入してみましょう。
弊社が開発・販売をしているシンクロシフトは、介護現場に特化したシフト管理ソフトです。スタッフの健康に配慮した、平等で公平なシフト作成をサポートします。介護向けシフト管理ソフトに少しでも興味のある方は、ぜひ以下のページから詳細をご確認ください。
まとめ
シフト作成で「平等さ」が大切な理由は、スタッフのモチベーション管理と現場の生産性向上に関連するからです。
連勤が続くシフトや遅番→早番・遅番→日勤のようなシフト、希望休が反映されていないシフトなどは、スタッフが不満を持ちやすいため、可能な限り避けましょう。疲労が蓄積しやすく、業務上のミスも増えてしまう可能性があります。
そして、スタッフにシフトが平等であると感じてもらうために、本記事で紹介したポイントを再度確認してみてください。希望休に提出期限を設けたり個々のスタッフの事情を把握、日頃からコミュニケーションを積極的に取るなどして、平等なシフト作成を目指しましょう。
この記事の執筆者 | 千葉拓未 所有資格:社会福祉士・介護福祉士・初任者研修(ホームヘルパー2級) 専門学校卒業後、「社会福祉士」資格を取得。 以後、高齢者デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設を渡り歩き、約13年間介護畑に従事する。 生活相談員として5年間の勤務実績あり。 利用者とご家族の両方の課題解決に尽力。 現在は、介護現場で培った経験と知識を生かし、 Webライターとして活躍している。 |
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