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【今さら聞けない!】短期入所生活介護(ショートステイ)の人員基準について詳しく解説!

短期入所生活介護(ショートステイ)の人員配置基準

短期入所生活介護(ショートステイ)の人員配置基準は?
単独型と併設型で人員配置基準に違いはある?
 
介護施設を運営するにあたって、人員配置基準は介護の質を維持するために守らなければならない最低限のルールとされています。
 
しかし、サービス形態ごとに人員配置基準は異なり、かつややこしいのが難点です。
 
そこで、本記事では短期入所生活介護に焦点を当てて、人員配置基準について解説します。配置基準について明確に理解できていない方は、ぜひ参考にしてください。

短期入所生活介護(ショートステイ)とは

ショートステイ利用者と介護職

短期入所生活介護(ショートステイ)とは、要支援または要介護認定を受けた方が一時的に介護施設へ宿泊できるサービスです。在宅サービスの一種であり、要支援・要介護度によって宿泊できる日数が異なります。

利用中は、日常生活において必要な介護・食事の提供・入浴サービス・内服薬や外用薬の管理などが提供されます。毎日のレクリエーション・季節の行事・機能訓練などを受けられるところもあり、特色は施設によってさまざまです。

利用者の健康管理・身体機能の維持向上はもちろん、在宅で介護する側のレスパイトとしての側面も持っています。

レスパイトとは

 
レスパイトとは「休息」「小休止」を意味する言葉です。介護においては、在宅介護をする家族が一時的に介護を離れ休息するためのサービスを指します。

短期入所生活介護の人員配置基準

短期入所生活介護の人員配置基準は、厚生労働省の定める基準に基づき決定されます。具体的な人数は以下のとおりです。

人員配置基準
医師 1人以上
管理者 常勤で1人以上
生活相談員 常勤で1人以上/利用者100名
介護職員
看護職員(准看護師)
常勤で1人以上/利用者3名
栄養士 1人以上
機能訓練指導員 1人以上
調理員その他の従業者 施設の実情に応じて

 
参考資料:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会第218回資料2 短期入所生活介護

上記の人員配置基準は、1週間をとおして満たされていれば問題はありません。基準を満たしているかの計算は、以下の式で確かめられます。

常勤職員人数+(非常勤職員の勤務時間の合計÷常勤者職員に定められた勤務時間)

以下の条件で計算してみましょう。

・常勤職員が10人で1日の労働時間は8時間、週の稼働は5日
・非常勤職員が4人で1日の労働時間は4時間、週の稼働は5日

常勤職員の人数 非常勤職員の勤務時間の合計 常勤勤務者に定められた勤務時間
10人 4人×(4時間×5日)=80時間 8時間×5日=40時間
10+(80÷40)=12

 
常勤人数は12人となります。この人数が人員配置基準以上であれば法律上問題はありません。下回る場合は減算処分がくだされます。

なお、複数の職種を兼務している場合の取り扱いは各市町村によって若干異なります。例えば、介護職員兼生活相談員、看護師(准看護師)兼機能訓練指導員などです。兼務の場合は、各市町村に確認するのが確実です。

短期入所生活介護 職員別の人員配置基準

これらの前提をふまえて、各職員の人員配置基準について見ていきましょう。

医師

利用者の健康管理・指導・相談をします。配置義務は常勤で1人以上です。ほとんどの市町村では兼務してもよいとしているため、専任で在籍する必要はありません。

管理者

短期入所生活介護の運営管理・職員の育成などをします。専従の常勤で1人以上の配置義務が設けられていますが、管理上問題がない場合は、他事業所の管理者と兼務してもよいとされています。

生活相談員

相談員は、利用者の予約受付・日程調整・ケアプランの作成などを担います。利用者100名に対し、常勤換算で1人以上の配置が必要です。また、1人以上は常勤で勤務しなければなりません。

生活相談員として登録できる職員の条件は市町村によってさまざまです。一般的には、社会福祉主事または社会福祉主事・精神保健福祉士の資格を有している者とされています。

介護職員・看護職員(准看護師)

介護職員は、日常生活で難しい部分のお手伝いや入浴の補助などをします。看護職員(准看護師)は、主に利用者の内服・外用薬の管理・体調確認・必要に応じた処置に対応します。

短期入所生活介護では、常勤換算で利用者3名につき1人以上配置しなければなりません。うち1名以上は常勤であるのが必須条件です。

ただし、利用者の定員が20人未満の併設事業所であれば常勤でなくても問題はありません。介護職員に資格要件はないため、介護福祉士・初任者研修を有していないスタッフもカウントできます。

栄養士

提供する食事の献立作成やカロリー管理をします。利用定員が40人を超える場合、常勤で1人以上の栄養士を配置する必要があります。

利用定員が40人以下で他の施設と栄養士が連携できる場合、配置義務はありません。ただし、療養食加算を算定したい場合は、専従の栄養士を配置する必要があります。

機能訓練指導員

利用者の身体機能や認知機能の維持・向上を図るための機能訓練をします。人員配置基準は1名以上です。

「機能訓練」と名がついているとおり、利用者に機能訓練を実施できる資格を保有している方しか登録できません。具体的には、以下の資格を持っている場合のみ機能訓練指導員として登録できます。

・作業療法士
・言語聴覚士
・看護職員
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師(諸条件あり)

なお、機能訓練加算を取得する際は、上記資格を有している者が1名以上配置されており、個別機能訓練計画を作成しているなどの諸条件を満たす必要があります。

調理員その他の従業者

施設の状況に応じて調理員その他の従業者を配置する必要があります。調理員やその他の従業者は、食事の提供や清掃、洗濯などの業務を担当します。

短期入所生活介護の夜勤の人員基準

介護施設で夜勤シフトで働く介護職

短期入所生活介護の夜勤の人員配置基準は以下のとおりです。

単独型短期入所生活介護(従来型)

単独型短期入所生活介護(従来型)
利用者の人数 夜勤職員
25人以下 1人
26人以上60人以下 2人
61人以上80人以下 3人
81人以上100人以下 4人

単独型短期入所生活介護(ユニット型)

単独型短期入所生活介護(ユニット型)
利用者の人数 夜勤職員
2ユニット 1人以上

 
従来型で利用者が100人以上の場合は、25人ごとに夜勤者が1人増えるかたちです。見守り機器を導入した場合は配置基準が若干緩和されます。

参考資料:
厚生労働省「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の概要

短期入所生活介護の単独型と併設型の違いとは

短期入所生活介護は、単独型と併設型の2種類に分けられます。単独型と併設型の違いは以下のとおりです。

単独型 短期入所生活介護のみを提供する事業所
併設型 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などに短期入所生活介護が併設されている事業者

 

簡単に言うと、特養や老健の空室をショートステイ用として提供している事業所です。

併設型短期入所生活介護の人員配置基準

併設型短期入所生活介護の場合、ショートステイとして利用している要支援・要介護者は基本的には併設されている施設の利用者とみなされます。そのため、人員配置は併設先の基準を満たしていれば問題はありません。

まとめ

短期入所生活介護は、要支援1~2・要介護1~5の認定を受けた利用者が宿泊できる介護サービスです。利用者の日常生活を支援するとともに、日々介護を頑張っている家族のレスパイトとしての役割も持っています。

短期入所生活介護にも他サービスと同じように人員配置基準が定められています。人員配置基準は、介護サービスの質を守るための大切な基準です。規程以下の人数となっている場合、減算処分となる場合もあるため注意しましょう。

この記事の執筆者
石田楓

保有資格: 介護福祉士 社会福祉主事任用

20歳のときにグループホームへ転職。
23歳でショートステイへ転職し、現場職員・相談員として7年勤務。

現在は介護・福祉系ライターとして活動、複数のメディアに記事執筆中。

 

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