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【教えて!】介護職の夜勤回数の上限は?労働基準法について解説!

介護職の夜勤回数の上限は?

介護職は特殊な状況での労働を必要とし、患者や利用者のケアとサポートを提供する職種です。このため、介護施設では24時間365日、サービスの提供が必要であり、夜勤のスタッフが不可欠です。
夜勤は特に重要であり、介護職の労働条件を考える上で重要な要素の一つです。
 
これから介護職として働こうと考えている方の中には、夜勤の回数が多いと辛そうだな…と思われている方も多いのではと思います。
介護施設でシフト作成を担当している場合にも、スタッフの夜勤回数は何回まで入れて良いのだろうか?と疑問に思った方もいるかもしれません。
本記事では介護職の夜勤回数の上限について、労働基準法についても触れながら解説をします。

介護施設での夜勤の働き方について

介護職と高齢者

一般的に、介護施設では2交代制と3交代制の勤務形態が採用されています。2交代制は「日勤」と「夜勤」に分かれ、夜勤は通常16時間から18時間の勤務時間を含むものです。3交代制は「日勤」「準夜勤」「深夜」に分かれ、夜勤の回数が増える形態です。

介護施設により夜勤回数は様々

施設によって採用される制度は異なりますが、介護職の特性に合わせて柔軟な勤務体系を採用していることが多いです。夜勤ありの介護施設で働くことを考える際には、勤務体制についても確認しておくことが大切といえます。

介護職の夜勤回数については勤務する介護施設によって様々です。これから夜勤のある介護施設で働こう、とお考えの方であれば夜勤回数の上限はあるのかどうか、制限はあるのか、といったことが気になるかもしれません。夜勤回数が多いと体力的に辛そうに思えるのではないでしょうか。

労働について考えるとき、合わせて知っておきたいのが労働基準法です。

労働基準法は、労働者の権利を保護し、労働市場での公平な条件を確保するための法律です。この法律は、多くの国で採用されており、労働者の最低賃金、労働時間、休暇、労働安全衛生など、労働に関する重要な基準を規定しています。

その役割は社会的な公平さを確保し、労働者の権利を保護することで、労働市場を公正に運営することにあります。

介護職の夜勤回数、上限はある?

労働基準法において、夜勤の回数の具体的な上限が明示されている規定は存在しません。つまり、法律自体は、労働者が夜勤を何回まで行うことができるかについて厳格な制約を設けていないのです。

労働基準法では夜勤の回数は制限がない

夜勤の回数に明確な制限がない理由は、職場によって労働条件や労働時間によって異なるためです。夜勤の回数に制限を設けるかどうかは、労働基準法、労働協定、雇用主の方針に依存します。

また、労働者の健康や安全を考慮し、長時間労働や連続夜勤が適切でないと判断される場合、職場での夜勤回数や勤務条件に制約が設けられることがあります。そのため、具体的な夜勤の回数や条件については、労働者の権利を保護し、労働条件を調整するために労働法や労使協定を参照し、雇用主との交渉が重要です。

夜勤がある介護施設、介護職の平均的な夜勤回数は?

介護施設における夜勤回数は施設の種類とシフト制度によって異なります。一般的な介護施設として、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、単独型短期入所施設、介護医療院があります。

「2022年介護施設夜勤実態調査結果」によれば、

2交代制の介護施設では、2022年度の月平均夜勤回数は4.4回で、2021年度の平均は4.3回

3交代制の介護施設では、2022年度の月平均夜勤回数は6.4回で、2021年度の平均は6.3回

でした。

つまり、2交代制の場合、平均的には1ヶ月におよそ4.4回の夜勤があり、3交代制の場合は6.4回の夜勤があります。夜勤回数は施設や地域によって異なることがありますが、これらの数字は一般的な傾向を示しています。
(参考文献 2022年介護施設夜勤実態調査結果

実際、シフトで働く介護職は夜勤に何回入ると辛い?

介護施設では2交代制を採用している事が多い事から2交代制で考えてみました。2交代制の介護施設では、夜勤が頻繁に行われることが一般的です。

具体的な夜勤回数は個人の体力や適応力、シフトスケジュールによって異なりますが、通常、2交代制の場合、夜勤1回の勤務時間は16時間から18時間に及びます。これを週1回行う場合、月に換算して4回ほどの夜勤となります。

このように頻繁に夜勤を行うと、身体への負担が増加し、ストレスや疲労が蓄積される可能性が高まります。そのため、通常、5回以上の夜勤をこなすことは、多くの介護士にとって非常に辛いと感じられるでしょう。

従業員の体調や心身の健康を考慮し、夜勤回数やシフトの設計に慎重な配慮が必要です。これにより、介護施設は従業員の健康を保ちつつ、高品質なケアを提供できる環境を構築することができます。

介護職の夜勤の勤務形態

夜勤をしている介護施設は施設によって異なり、2交代制か3交代制のどちらかの形態に分けられます。

2交代制

2交代制とは、1日の労働時間を日勤と夜勤の2つに分けて交代で担当する労働シフトのことです。介護施設においては、2交代制が一般的で、「2022年介護施設夜勤実態調査結果」からも全体の約87.4%が2交代制を採用しています。

これは、過去の調査でも同様の結果が出ており、2交代制が一般的であることがわかります。
(参考文献 2022年介護施設夜勤実態調査結果

3交代制

3交代制とは労働時間を昼勤、夜勤、そして深夜帯の3つの交代で分ける労働シフトです。こちらも「2022年介護施設夜勤実態調査結果」によると10.4%と1割程の値で、中でも介護老人福祉施設が多い結果でした。

また日勤は入らない夜勤専従といった夜勤のみのシフトもあります。
(参考文献 2022年介護施設夜勤実態調査結果

夜勤専従

夜勤専従とは日勤勤務に入らず夜勤専門の勤務になります。夜勤専従は通常、夜勤手当が支給されることが一般的です。

夜勤専従としての役割は、夜間におけるケアの専門知識とスキルを要求し、安全かつ適切なケアを提供するために重要です。

介護職の夜勤回数は勤務形態でも異なる

「2022年介護施設夜勤実態調査結果」から得られる情報として、3交代制と2交代制の夜勤回数に関するデータがあります。3交代制の場合、平均夜勤回数は1ヶ月に6.4回であることが示されました。

しかし、興味深いことに、最も多い夜勤回数が12回で、これは平均値の約2倍に相当します。これは、一部の介護職員が非常に多くの夜勤をこなしていることを示唆しています。

一方、2交代制の介護施設では、平均夜勤回数は1ヶ月に4.4回であることが分かりました。さらに注目すべきは、最も多い夜勤回数が14回であることです。これは平均値の約3倍に相当し、一部の職員が非常に多くの夜勤を担当していることを示しています。

この情報からわかるように、介護職の夜勤回数にはかなりのばらつきがあり、一部の職員が非常に多くの夜勤をこなしていることが示唆されます。これは、介護施設における人員配置や労働環境の改善が必要である可能性を示唆しています。
(参考文献 2022年介護施設夜勤実態調査結果

まとめ

夜勤回数には法的な上限は設けられていないため、各労働場所や雇用主がその方針を独自に定めています。しかし、夜勤は通常、日中との生活リズムの変化が激しいため、従業員にとって身体的、精神的な負担が大きい場合があります。

したがって、一般的には平均的な夜勤回数を超えると、従業員は疲労やストレスを感じることが多いとされています。

個人に合った夜勤回数や勤務形態を選択することは、利用者への適切なケアを提供する上で極めて重要です。従業員が健康で満足度の高い働き方をすることができれば、それが利用者への高品質なサービス提供につながります。

つまり、夜勤回数やシフトの調整は、介護分野において利用者の福祉と密接に関連しているのです。

また、介護施設における夜勤の回数や勤務条件は、地域や施設によって異なることが一般的です。そのため、具体的な夜勤の上限や勤務形態は、介護施設や雇用主によって設定され、労働者との労使協議に基づいて決定されます。これは、介護職の特殊性と労働条件の複雑さに対応するための重要なアプローチです。

一部の介護施設では、夜勤を専門的に担当するスタッフ(夜勤専従)を配置することがあります。夜勤専従の存在は、夜勤回数を均等に分散させ、労働者の負担を軽減する一つの方法として導入されています。

最終的に、介護職の夜勤回数や勤務形態は、労働者の健康と福祉を最優先に考えながら、適切に設計されるべきです。従業員の健康を守りながら、高品質な介護を提供するために、雇用主は夜勤の計画やスケジュールを検討し、労働法や規則に基づいて配慮すべきです。

これにより、介護施設は利用者へのケアを確保しつつ、労働者の健康と幸福を促進する環境を提供できるでしょう。

この記事の執筆者
SSGT

保有資格: 介護福祉士、社会福祉主事任用資格、認知症基礎研修 終了、介護福祉士実習指導者 終了

デイサービスに3年勤務、
特別養護老人ホームに11年勤務し介護業界で仕事をしてきました。

現在は介護・福祉系ライターとしても活動中。

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