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【教えて!】介護現場で活用されるSPDCAサイクルとは?特徴やメリット・デメリットを解説

SPDCAサイクルとは

みなさんは利用者の介護に関する支援やそれに関わる方針・計画を考える際はどのようにして考えておられますか?方針や計画が不明瞭であると、支援者によって支援方法が統一されないことに繋がり、結果として利用者にとって不利益となってしまう可能性も考えられます。
 
利用者へ良い支援を届けるためには、十分な情報収集や、明確な方針・計画の立案、それらに沿った支援の実施・振り返りなどが必要になります。そのため介護職員が個々人で取り組むのではなく、介護現場が一体となって取り組む必要があります。
 
では、介護の現場ではどういった方法を用いることで、より良い支援を利用者に届けることができるのでしょうか。そこで役立つのがビジネスの場面でも用いられるフレームワーク「SPDCAサイクル」です。本記事では、介護現場においてSPDCAサイクルを活用する方法を事例も交えながら解説します。

SPDCAサイクルとは

高齢者施設でのリハビリ

SPDCAサイクルとは、業務改善などで活用されるPDCAサイクルというフレームワークに加え、Survey(調査)を含めたものです。介護などの現場、特にリハビリテーションマネジメントで活用されることが多くみられています。

PDCAサイクルとは、

・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(評価)
・Action(改善)

の頭文字をとっており、P(Plan)で計画を立てて、D(Do)で計画したことを実行、C(Check)は実行したことを評価し、A(Action)で改善というサイクルを繰り返していくことで、改善を図りながら業務を進めていく手法です。

SPDCAサイクルは、上記のPDCAサイクルを行う前に

・Survey(調査)

を行うことで、PDCAサイクルを回しやすくすることが特徴として挙げられます。

SPDCAサイクルは、サイクルをただ回すだけでなく、改善を通して、徐々にレベルアップを図っていくことがポイントとなります。

SPDCAサイクルの流れ

SPDCAサイクルは以下のような流れになります。

Survey(調査)

Survey(調査)とは、利用者やご家族の希望を踏まえた効果的な支援計画を作成することを目的として、適切な方法により、利用者やその環境などに関する情報を把握することです。

把握する情報としては、

・利用者やご家族の希望
・全体および関わる支援者のケアマネジメントの方針
・利用者の健康状態
・活動(ADLやIADLなど)
・参加(家庭内での役割、余暇活動、社会地域活動など)
・利用者を取り巻く環境因子

などが挙げられます。

情報を把握するための手段としては、利用者本人・ご家族からの情報収集や、かかりつけ医など医師からの診療情報、関連職種からの情報を聴取することなどが挙げられます。

利用者やご家族の希望を確認する際に、利用者の興味や関心のある生活行為について把握するためには、リハビリテーション評価にも用いられる「興味・関心チェックシート」を活用することもできます。把握するにあたっては、「こういうことをしてみたい」という目標を利用者自身が意識できるよう働きかけ、利用者の意欲の向上を図ることも重要です。

参考:厚生労働省 別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)

Plan(計画)

Plan(計画)とは、支援に関する目標の設定や、解決すべき課題の把握(アセスメント)および、それらを基にした対応方法の検討を含んだ支援計画の作成のことをいいます。

解決すべき課題の把握については、Survey(調査)の結果を踏まえて行います。複数の課題がある場合は、ご本人の希望に沿った、活動・参加の向上に繋がることや、生活の質の向上に繋がる課題に対して優先的に介入を行います。

解決すべき課題に対しては、利用者の心身状態や周囲の環境因子、ケアの方法、支援者間での情報共有・連携など、どこに要因があるのか(どういったことを改善すれば課題を解決できるのか)を検討し、それぞれに対する具体的な対応を設定していきます。

改善に向けては、支援による変化の予測を明確に設定し、適宜確認を行っていく必要があります。介護サービスを提供している時間内だけでなく、日常生活でご家族、利用者本人にも確認を行っていただくことも重要です。

Do(実行)

Do(実行)とは、Plan(計画)にて作成した支援計画に基づいて、実際に介護サービスを提供することをいいます。直接的な支援のみならず、計画に基づき環境調整や、多職種間での情報共有、ご家族への支援方法伝達なども含まれます。

実行した支援については、記録に残しておくことで、後のCheck(評価)やAction(改善)を行う際に振り返ることができます。

Check(評価)

Check(評価)とは、支援計画に基づいて行われたサービス提供(Do:実行)の結果、利用者の生活の変化や、課題の解決などの目標の達成状況について評価します。

ご利用者の生活はどのように変化したのか、どのように課題の解決ができたのか、支援方法は適切であったか、課題の設定は適切であったかなどをよく検討する必要があります。

Action(改善)

Action(改善)では、Check(評価)によって把握できた改善点を洗い出して、次の行動や計画を決定します。

SPDCAサイクルのメリット

spdcaサイクルのメリット

SPDCAサイクルを行うメリットには、以下のようなものがあります。

目標や計画をたてることで、やることが明確になる

目標が曖昧なままでは、計画を立案することや、実施する支援にばらつきが出て来る可能性もあります。SPDCAサイクルではSurvey(調査)を基に、明確なPlan(計画)を立案することで、実際の支援(Do(実行))も行いやすくなります。

SPDCAサイクルを回していく中で、どんな点が課題なのか、課題を解決するために必要なことはどんなことか、ということを明確にする力も着実についてくるでしょう。

サイクルに沿って行うことで、確実に改善に向かう

SPDCAサイクルは、流れに沿って以下を繰り返します。

Survey(調査)⇒Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Action(改善)

そのため、確実に支援や業務内容を変化させることができます。

サイクルを繰り返す中で得られる経験値もあり、それらを活用することができれば改善に向かうことができるでしょう。

SPDCAサイクルのデメリット

spdcaサイクルのデメリット

SPDCAサイクルのデメリットとしては、以下のようなことがあげられます。

SPDCAサイクルを行うことが目的となってしまう

SPDCAサイクルを実践する中で、多くみられるのがSPDCAサイクルを回すことが目的となってしまうことです。取り組み始めの頃は目的意識を強く持ちやすいものですが、時間の経過とともに本来の目的を忘れ、SPDCAサイクルを回すこと、実行することが目的となってしまう、といった恐れがあります。

SPDCAサイクルを回す理由を忘れないようにする必要があります。利用者の状態を改善するためなのか、支援の質を向上させるためなのか、など本来の目的を定期的に確認するようにしましょう。例えば、評価の段階で目的も合わせて確認する、といったことが大切です。

また、課題を解決するためには、SPDCAサイクルを用いる以外にも方法はあります。SPDCAサイクルはあくまで、改善に向けた方法の一つであることを意識しましょう。

改善に時間がかかってしまう

SPDCAサイクルを活用するためにはステップをこなす必要があります。改善に向けてSurvey(調査)を行い、Plan(計画)をたて、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)とサイクルを回していくことになります。着実に進めていくことはできますが、その分時間がかかってしまうということはデメリットに挙げられるでしょう。

介護現場でSPDCAサイクルを用いる時の注意点

介護現場でSPDCAサイクルを用いる際には、最初のSurvey(調査)が重要になります。Survey(調査)が不十分であると、その後のPlan(計画)の立案の際の目標や方針が明確でなくなり、その後のDo(実行)などにも影響があり、求めていた結果や効果が得られにくくなる可能性があります。

そのため、SPDCAサイクルを上手く回していくために、最初のSurvey(調査)をしっかりと行っておくことが注意点となるでしょう。

まとめ

ビジネスの現場でも活用されるフレームワークPDCAサイクルにSurvey(調査)を加えた、SPDCAサイクルをご紹介しました。

SPDCAやSurvey、Plan…など横文字が並ぶことで、取っつき難さを感じる方もおられるかもしれません。しかし、普段みなさんが行っているケアプランも、評価をもとに計画をたてて支援を行っておられることを振り返ると、SPDCAサイクルと同様の流れで支援されているため、少し身近に感じていただけるかもしれません。

SPDCAサイクルは、活用する中で知見や経験を積み重ね、精度も高まってくるでしょう。目標に対して成果が出てくれば、職員のモチベーションアップややりがいにもつながるでしょうし、何より利用者の生活改善や目標達成などにより、喜んでもらえる可能性があります。「物は試し」といわれるように、一度取り組んでみてはいかがでしょうか。

シフトライフでは以下のようなPDCAサイクルに関連した記事を掲載しています。こちらも合わせてご覧ください。

 

この記事の執筆者こまさん

所有資格:作業療法士

経歴:作業療法士として医療分野では病院でのリハビリテーション業務に従事、介護分野では訪問リハビリテーション事業所を経て、現在は特別養護老人ホームの機能訓練指導員として従事。

入居者へ多職種で行う機能訓練の提供や、介護士への介護技術指導、LIFEや介護報酬改定に関わる業務などを担っている。

 
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