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第20回 介護経営サミット オンラインセミナー告知

【今さら聞けない!】グループホームのシフト作成のコツ、勤務表の作り方で悩んでいるシフト管理者へ

グループホームのシフト作成のコツ

グループホームの運営においてシフト作成は重要ですが、スタッフの都合や入居者のニーズに合わせて柔軟なシフトを作成することは容易ではありません
さらに、人手不足や複雑な雇用形態によるシフトの調整に頭を悩ませているシフト管理者は多いのではないでしょうか。
グループホームのシフト作成では、介護スタッフの働きやすさや人員の有効活用に配慮しながら作成することが大切です。
 
そこで本記事では、グループホームのシフト作成のコツについて詳しく解説します。
シフト作成に悩んでいるシフト管理者の方は、ぜひ参考にしてください。

グループホームのシフト作成が難しい理由

グループホーム高齢者と介護スタッフ

グループホームのシフト作成は、入居者の状態や介護スタッフの能力や希望など、様々な要素を考慮しながら行われます。

ここでは、グループホームのシフト作成が難しい理由についてみていきましょう。

人手不足

グループホームでは、スタッフが入居者の介護業務や日常生活のサポートを行うため、24時間365日体制で働いています。

しかし、業務に必要な人員を調整することが難しい人手不足によって、シフト作成が難しくなっているのです。

シフト作成では、スタッフの希望休や勤務時間への配慮も必要ですが、人手不足によって公平な人員配置が難しい場合があります。

シフト作成に時間や手間がかかる

グループホームのシフト作成は、スタッフの人数や勤務時間、入居者の状態やニーズなどを考慮するなど、時間や手間がかかる作業です。

特に、グループホームは雇用形態が多様で非常勤スタッフが多いため、それぞれが希望する勤務時間や都合に合わせてシフトを組むのは手間がかかります。

さらに、資格やスキルに応じた業務の割り当てや、就業規則や法令、人員配置基準に考慮してシフトを作成しなければいけません。

最近では、シフト自動作成ツールを取り入れているグループホームも多いですが、手書きで行っているところも多いのが現状です。

スタッフの都合や希望休の申請などを細かく把握した上で、1つ1つのシフトを調整し計算する必要があることが、シフト作成の難しさの要因です。

また、シフト作成後に変更する必要が生じるケースもあり、その場合にはシフトを組み直すことになるため、余計に手間がかかってしまいます。

スタッフからの不満

グループホームのシフトは、24時間どの時間帯にも介護職の配置が必要です。

シフト管理者が、スタッフが働きやすく希望に合ったシフトを作成したいと思っても、以下のようなスタッフからの不満の声も少なくありません。

・希望休みがもらえない
・シフトが偏っている
・夜勤が多すぎる
・土日勤務や連勤など勤務の負担が大きい
・シフト発表がいつも遅く予定が立てられない

介護職からすれば、シフトは1ヵ月のスケジュールのベースになるので、希望休などが反映された希望に沿ったものが欲しいものです。

しかし、現場の多くは人手不足の中シフトをやりくりしているので、誰かの希望を通せば誰かの希望が通せなくなってしまう、といった不公平なシフトができてしまいます。

すべてのスタッフの希望を聞き、意思をくみ取り、全員にとって公平なシフトを作成するのは難しいでしょう。

シフト管理者の負担が大きい

グループホームのシフト作成は、「シフト管理者だけが行う業務」である場合が多いです。

しかし、シフト管理者は、運営管理や勤怠管理、スタッフへの指導、入居者家族との対応など日々多くの業務に追われています。

その中で、他の業務と並行してシフト作成を行うため、勤務時間内だけでは終わらず、休憩時間や休日を利用してシフトを作成している管理者も少なくありません。

また、グループホームの多くは、表計算シートや手書きでシフトを作成しています。

そのため、急な勤務変更やスタッフ希望の反映なども手間がかかり、シフト管理者の負担が大きい要因のひとつです。

グループホームでの介護職の働き方

グループホームで働く介護職と入居者

グループホームの介護職の働き方は、1日8時間勤務、1時間休憩が主流で、2交代制や3交代制に分かれています。

早出・遅出、スタッフの勤務希望(朝の2時間だけ、午後の4時間だけ)と、細かくシフトを組み合わせる場合が多いです。

非常勤で働くスタッフが多いほど、それぞれの希望を反映したシフトを作成しなければならず、複雑になります。

一方で、8時間勤務の常勤スタッフが多い場合は、ある程度シフトが固定されるため作成の手間が少ないです。

夜勤体制

グループホームの夜勤体制は、各施設によって2交代制や3交代制が採用されています。

2交代制例

日勤:9:00~17:00
夜勤:17:00~9:00

2交替制は、24時間を日勤・夜勤の2つに分けた働き方です。

2交代制の夜勤で働く介護職は負担が大きくなるため、休日の調整などが必要になります。

3交代制例

日勤:9:00~18:00
準夜勤:16:00~1:00
深夜勤:0:00~9:00

3交代制は、24時間を日勤・準夜勤・深夜勤の3つに分けた働き方で、1日の勤務時間は8時間と、2交代制に比べて短くなっています。

グループホームは2交代制+変則勤務が多い

グループホームでは、2交代制、3交代制の勤務形態に加え、早出・遅出といった変則勤務がとられています。

常勤スタッフの場合、早出・日勤・遅出・夜勤を組み合わせたシフト勤務となり、 2交代制の夜勤回数は月に4〜5回ほどです。

医療労働組合連合会が行った「2022年介護施設夜勤実態調査結果」によると、グループホームの夜勤体制は以下のような割合で採用されています。

・2交代制76.7%
・3交代制23.3%

参照:日本医療労働組合連合会「2022年介護施設夜勤実態調査結果」

グループホームのシフト作成のコツ

グループホームのシフト作成は、人員配置基準や雇用形態など制約が多いですが、作成手順やルールを作ることで、スムーズなシフト作成が可能です。

ここでは、グループホームのシフト作成のコツについて紹介します。

シフト作成のルールを決める

シフトに関するルールを明確にし、スタッフ全員が不公平なく働けるようにすることが大切です。

例えば、以下のように希望休の回数や申請期限などについて、職場ルールを作りましょう。

シフト作成のルール

・勤務希望や希望休の申請できる回数を制限
・シフト希望の提出締切日設定

「希望休は月2日まで」「希望休が重なった場合の対応」「締め切りを過ぎたら受け付けられない」など、具体的なルールにすると分かりやすいです。

ルールを明確にし、スタッフ間で周知徹底させておくことでシフト作成者の業務負担軽減にもつながるでしょう。

しかし、ルールを守ることは大事ですが、シフト確定後にスタッフの急用や状況の変化が生じた場合には柔軟に対応する必要があります。

勤務日や休日の変更が必要な場合は、スタッフに協力してもらえるように日ごろから信頼関係や協力体制を整えておくことが重要です。

希望休から配置する

希望休は、スタッフの家族のイベントや学校の行事など大切な日である場合が多いです。

施設の状況や人員によって、すべての希望休を組み入れるのは難しい場合がありますが、できる限り希望休がシフトに組み込めるように配慮しましょう。

希望休が実現できない場合は、「他の日に変更できるかどうか」「他のスタッフに代わってもらえるかどうか」など調整を試みることが大切です。

希望休がどれだけシフトに反映されるかは、仕事へのモチベーションややりがいにつながります。

シフト管理者はスタッフとコミュニケーションをとりながら、柔軟に対応しましょう。

夜勤を決める

グループホームの夜勤は必ず人員を配置しなければいけないシフトですので、希望休と同様に夜勤を優先的に組み込むことが大切です。

夜勤は、身体的・精神的に負担が大きい業務であるため、生活リズムの乱れや体調不良の原因にもなります。
夜勤の割り当てが偏らないように、スタッフの負担や体力面に配慮し、作成しましょう。

また、夜勤の回数は、夜勤手当にも影響し、一部のスタッフが優遇されるようなシフトはスタッフのストレスや職場への不満につながります。

シフト作成者は、特定のスタッフだけが夜勤が多い・少ないといったことにならないように公平に夜勤を割り当てましょう。

スタッフの能力を考慮する

介護職のスキルは、実務経験や保有資格によってそれぞれ異なります。
得意な業務や苦手な業務などもあるため、スタッフの能力を考慮したシフトを作成しましょう。

経験の浅いスタッフを経験豊富なスタッフと一緒のシフトにすることで、実践を通じて指導でき、緊急事態が起きた場合でも慌てず、適切な対応技術を学ぶことができます。

介護職は、チームワークで行う仕事ですので、チームバランスも大切です。

スタッフそれぞれの知識やスキルを活かして業務に取り組めるように、スタッフに合った役割やシフトを割り当てることで質の高いケアを提供できるでしょう。

業務内容や時間帯にあった人員を配置する

グループホームのシフトは、以下のような1日の業務内容や忙しい時間帯などを把握して作成します。

・入浴や食事の時間など忙しくて人手が必要な時間帯
・比較的ゆっくりすごせる時間
・イベントや行事がある日

人手が必要な日にはスタッフを多めに配置し、必要でない日には最低人数のスタッフでシフトを組むなど、それぞれの日に必要な人員を把握し、過不足なく適切にシフトに反映しましょう。

スタッフとのコミュニケーションを重視する

効率よくシフトを作成するためには、スタッフとのコミュニケーションが欠かせません。

シフトが完成しても、スタッフの都合や入居者の状態によって、シフトを調整しなければいけない場合があります。

シフトを変更する際には、他のスタッフに出勤日を調整してもらう必要がありますが、しっかり協力体制が整っていれば、快く引き受けてくれるでしょう。

シフト管理者は、日頃からスタッフとのコミュニケーションを重視し、チーム内の協力体制を整えるために信頼関係を築くことが大切です。

グループホームの配置基準を守ることも重要

高齢者施設で働く介護職

グループホームでは、入居者の健康や安全を守るための適切な人員配置が必要になります。

人員配置基準は、国が一定の入居者数に対して必要な職種・資格・人数などを定めたものです。

人員配置基準を守らなければいけない理由について説明します。

入居者の安全な生活のため

配置基準を守ることで、入居者に適切な介護や支援を行い、安心して生活していただけます。

しかし、スタッフの人数が不足している場合、入居者の健康や安全に影響を及ぼす可能性があります。
転倒や急病の際の対応、入浴介助や食事介助など、入居者が日常生活を行う上で必要な支援が行えなくなってしまいます。

スタッフの負担を軽減するため

スタッフの人数が十分でない場合、業務量が多くなり介護の負担が増大します。

仕事での負担が大きくなると、疲れやストレスを抱えやすくなり、入居者へのケアに対する意欲が低下することにつながるでしょう。

人員配置基準の遵守は、スタッフの負担を軽減し、仕事へのモチベーションを維持しながら入居者に質の高いサービスを提供することにつながります。

適切な介護報酬算定のため

人員配置基準を守ることは、介護報酬の算定にも大きく関わってきます。

介護報酬は、介護サービスの形態や内容に応じて算定されますので、人員配置基準を守らないと、介護報酬が適切に算定されなくなるからです。

人員配置基準に違反すると、介護報酬の算定額が70%に制限され、決められた介護報酬から30%減算されてしまうため、グループホームの運営にとって、大きな損害となります。

シフト作成者は、介護サービスの質や運営を継続するためにも、人員配置基準を守ったシフトを作成することが大切です。

参照:厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

まとめ

グループホームのシフト作成や管理は、多様な雇用形態や人員配置基準、人手不足などが要因となり難しくさせています。
 
グループホームのシフト作成は、多様な雇用形態や人員配置基準、スタッフの希望、入居者のニーズなど様々な要素を考慮しながら作成することが求められるでしょう。
運営にも関わるシフト管理者にとって、時間や労力がかかる業務です。

手書きのシフト作成が大変な場合は、シフト作成の自動化をしてみてはいかがでしょうか。
シフト作成を自動化することで、スタッフの希望休の反映がスムーズになり、複雑な調整の手間を省くことができます。

シフト作成に悩んでいる方は、ぜひ本記事で紹介した「グループホームのシフト作成のコツ」を実践していただき、スムーズな運営につなげてください。

この記事の執筆者吉田あい

保有資格:社会福祉士・介護福祉士・メンタル心理カウンセラー・介護支援専門員

現場、相談現場など経験は10年超。
介護現場(特別養護老人ホーム・デイサービス・グループホーム・居宅介護支援事業所)、相談現場を経験。

現在はグループホームのケアマネジャーとして勤務。

2024年8月 住まい介護医療展 出展告知

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