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【教えて!】介護職の夜勤は睡眠障害になりやすい?対策はどうすれば良い?

介護職の夜勤は睡眠障害になりやすい?

介護職として介護業務に従事する方々の中には、夜勤のシフトによって生じる睡眠障害に悩まされている方も少なくないでしょう。
 
夜間に働くことは、体内時計と相反する活動であり、睡眠パターンの乱れを引き起こします。それによって不眠症や日中の眠気、心疾患やうつ病といった健康問題にも発展します。
 
この記事では、介護職に多く見られる睡眠障害について、その症状、影響、そして予防策について解説していきます。

介護職がなりやすい睡眠障害とは?

悩む介護職

介護職として働く際、多くの職場では夜勤シフトで働くことになります。24時間体制で介護を提供するためです。

しかし夜勤で働くことは、睡眠障害を引き起こす原因ともなり得ます。これは、シフト勤務など不規則な生活により体内時計が狂うことで、メラトニンの分泌が妨げられるためです。

メラトニンは朝起きて、光が目に入ってから14〜16時間後に分泌され始め(そのため、朝起きて夜寝るという規則正しい生活をしている場合、夜になると増加します)睡眠を促進しますが、夜間の光への露出や生活リズムの乱れによって不足してしまいます。

メラトニンが不足すると、睡眠の質の低下や中途覚醒、不眠症、睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害を引き起こす可能性があります。

睡眠障害の症状とは

睡眠障害の症状には、

・寝つきが悪い(入眠困難)
・夜間に目覚めてその後眠れない(中途覚醒)
・早朝に目覚めてしまう(早朝覚醒)

などのタイプがあります。

睡眠時間を十分に取れないことや睡眠の質が低下することによる、日中の眠気、集中力や記憶力の低下、イライラや不安感の増加なども見過ごせません。

介護職が業務中に集中力が低下してしまうと、ミスや失敗が増える可能性があります。それは利用者の危険に繋がるかもしれません。またイライラや不安感が増加すると、利用者や介護職員同士のコミュニケーションに悪影響が起こりやすくなります。

人間関係や落ち着かない利用者の対応など、ストレスを溜め込みがちな介護職にとって、さらにイライラを溜め込むことは避けるべきです。また、長期間にわたる睡眠障害は、介護業務のみならず、社会生活や人間関係にも悪影響を及ぼす恐れもあります。

そのため、「もしかしたら、睡眠障害の症状かも…」と思った場合には、対応が必要と言えます。

夜勤者で睡眠障害にかかっている割合

厚生労働省が平成13年に行った『労働環境調査』によると、深夜業務に従事する労働者の中で、医師から睡眠障害と診断されたことがある労働者の割合は18.8%とされています。

深夜業務に従事する労働者の中で、深夜業務についてから医師から診断されたものがあるとする労働者の割合は17.3%であり、胃腸病(51.0%)、高血圧症疾患(22.6%)、睡眠障害(18.8%)と診断された労働者の割合が高い(第25表)。

参照:厚生労働省 『平成13年度労働環境調査』深夜業務の従事状況について

しかし、寝つきが悪い、すっきりしない、トイレでもないのに早く目が覚めるといった睡眠障害の症状を感じながらも、病院での診察は受けていない人を含めると、実際にはもっと多くの深夜業務従事者が何らかの睡眠障害を引き起こしている可能性があります。

睡眠障害が心身に及ぼす影響

睡眠が十分に取れていないことによる心身への影響は以下の通りです。

睡眠不足による心身への影響

 
・日中の眠気、集中力・記憶力の低下
・不規則な生活がもたらす生活習慣病のリスク
・自律神経の乱れによるホルモンバランスの悪化、免疫力の低下
・睡眠不足によるストレス増大から、うつ病などの精神疾患

このように、睡眠障害は心身の健康に多大な影響を及ぼします。単に夜眠れない、昼間眠い、といった問題だけにとどまりません。

集中力や記憶力の低下、情緒の不安は、業務のパフォーマンスを低下させます。また、生活習慣の乱れによる血圧や心拍数の変調は、高血圧や心疾患、2型糖尿病や肥満のリスクを高めることになるため注意が必要です。

免疫力の低下は、特に高齢者や基礎疾患を持つ人々のケアに携わる介護職にとっては大きな問題となります。そしてまた、質の悪い睡眠は、心理的ストレスやうつ病のリスクを高め、精神疾患の原因となることにも留意しておきましょう。

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介護職が睡眠障害になりやすい理由

睡眠障害で悩む女性

介護職といえば、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も相当なものです。日々、忙しいスケジュールの中で、優先順位を考えながら業務にあたります。

対応困難な利用者に心身共に疲弊してしまうことも少なからずあります。夜勤勤務について、1人夜勤の施設も多く、忙しさの状況によっては仮眠時間の確保が困難な場合もあるのではないでしょうか。

次に、夜勤をしている介護職が睡眠障害になりやすい原因を解説します。

シフト勤務のため生活リズムが乱れやすい

多くの介護施設では2交代制、もしくは3交代制であることがほとんどだと思います。そのため多くの介護職は、早出、遅出、準夜勤、夜勤など不規則なシフト勤務で働きます。

介護職員の身体的負担を軽減することを考えた場合、正循環シフトが望ましいですが、人員の状況から難しい介護施設も多いのではないでしょうか。時に体力的に厳しいシフトになることもあるでしょう。そのため、完全に規則正しい生活を続けるのは困難です。

人は、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、その14〜16時間後にメラトニンが分泌されることにより眠気を感じるようになります。しかし、変則勤務によってメラトニンの分泌にずれが生じ、身体は疲れていてもぐっすりとは眠れなくなっているのです。

介護職はストレスが蓄積されやすい

介護の仕事は、身体だけでなく、頭も同時に使う仕事です。そのため、介護職は疲労をためやすい職種と考えられます。利用者一人ひとり、その時々の状況によって対応を臨機応変にする必要があります。

帰宅願望のある利用者への対応、職場の人間関係、定期的なカンファレンス、ご家族様への対応など、日々の業務において頭と心をフル回転して対処していかなければなりません。

時には、精一杯の努力をしても良い結果にならず、落ち込むこともあるでしょう。高い責任感と精神的なストレスにより、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ってしまうことは絶対に避けてほしいです。

介護職は、おむつ交換や食事介助といった身体介護だけが大変というわけではないと思います。利用者にとってより良いケアを実施し、喜んでいただくためにも、私たち自身の心の健康を確保することはとても大切なことです。

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腰痛や肩こりが睡眠に悪影響を及ぼす

精神的なストレスはもちろん睡眠に悪影響を及ぼすといえますが、介護職は肉体を酷使する仕事であることも、睡眠に影響を与える要因となります。

厚生労働省が発表した、令和4年における『業務上疾病発生状況等調査』によると、休業4日以上の業務上疾病(しっぺい)は7,081件。うち5,959件が腰痛(災害性腰痛)で、業種別に見ると、介護職を含む「保健衛生業」が最も高く、全体の34.4%を占めています。
参照:業務上疾病発生状況等調査(令和4年)|厚生労働省

介護職が腰痛や肩こりを発症する原因としては次のようなものがあげられます。

・前かがみや中腰の姿勢
・腰をひねる動作や持ち上げる動作
・ストレス

背の高い職員は特に、介助の際や利用者との目線を合わせる際に、前かがみや中腰の姿勢になりやすいです。ストレスは、全身の筋肉を緊張させてしまい、肩こりを増長させることが知られています。

腰痛や肩こりがひどいと、痛みを軽減させるため寝ている間に何度も身体を動かしてしまい、深い睡眠を妨げてしまうのです。眠りが浅いと、筋肉の回復が追い付かず、さらに腰痛や肩こりを増大させるという悪循環に陥ります。

介護職とは切っても切れない腰痛や肩こりが、睡眠障害にさらに拍車をかけることになってしまうのです。介護職の職業病ともいえる腰痛や肩こりですが、症状が酷くならないためにケアはとても大切です。痛みを軽減するだけではなく、良い睡眠を取るためにも重要なものだと言えるでしょう。

夜勤専従の場合:昼夜逆転生活が続く

介護職は昼勤と夜勤とが繰り返されることによって、生活リズムが狂い、睡眠障害を引き起こすと述べました。では、夜勤専従で勤務されている方はどうでしょうか。介護施設によっては夜勤専門で勤務する職員もいます。

人の体内時計は光や行動パターンによって制御されています。夜勤明けに浴びる朝日が、体内時計をリセットし、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制させてしまいます。

そのため眠りが浅くなり、そのままの生活が続くと、やはり睡眠障害を引き起こす可能性が高くなります。夜勤専従で働く場合、ある程度、生活リズムを一定にすることは出来ますが、普段の社会生活は日中に行われるものであるため、社会との調和にも支障をきたし、ストレスを増加させる恐れがあります。

介護職が夜勤で睡眠障害にならないための対策

介護職員も人である以上、疲れもしますし、眠くもなります。ストレスも溜まりやすい仕事ですが、自分自身が健康で、明るく、元気でいることで、利用者も明るく元気になることでしょう。

介護職が夜勤で睡眠障害にならないための対策としては、以下のようなものがあります。できることから取り組まれてみてはと思います。

ストレスを解消する

多くの場合、睡眠障害はいくつかの原因が複合的に重なり合って起こっています。その中でも、ストレスの占める割合は決して無視できません。

定期的な休息は、大いにとりましょう。趣味や運動などでストレスを発散したり、友人同士でお茶をしたりすることは、ストレス解消に有効です。

特に、職場内と職場外の両方に友人を持つと、専門的な話ができる場と、職場内では聞かれたくないことを話す場とを使い分けることができるので、おすすめです。

またリラクゼーション技法を身につけることで、ストレスを軽減できます。深呼吸法や瞑想法、アロマテラピーなどは手軽にできて、効果も抜群です。ヨガなども身体への負担が少なくおすすめできます。

必要であれば、専門のカウンセリングを受けることもメンタルヘルスに効果的です。自分に合った方法を見つけストレスを管理していきましょう。

質の良い睡眠が取れるように対策をする

質の良い睡眠にとって最も大切なのは、生活リズムの調整です。早出、遅出などで、就寝時間も起床時間もまちまちになってしまうことは、介護職にはよくあると思いますが、あまり時間差が大きくならないように生活リズムを整えましょう。

就寝前のスマホやPCは避けるべきです。ブルーライトが睡眠を妨げてしまいます。カフェインやアルコールも同様です。就寝前の摂取は、睡眠の質を下げてしまうためおすすめできません。

質の良い睡眠を取るために効果的な方法の一つは、就寝1時間前に入浴をすることです。体温が上がると身体がリラックスし、心身の緊張を和らげ、眠気を呼び起こします。

皮膚の血管が拡張して血流が良くなることでも入眠を促します。そして、入眠中に体温が再び下がることで、深い睡眠を促し、翌朝はすっきりと起きることができるでしょう。

寝室は静かで、暗く、適度に涼しい状態が理想です。ご自身の身体にあったマットレスや枕を選ぶことも、睡眠の質の向上につながります。

夜勤シフトを減らす

職員の夜勤の回数が、毎月必ずぴったり同数にできている所というのは、それほど多くないのではないでしょうか。職場の状況にもよると思いますが、夜勤の回数を減らしてもらうのも手段の一つです。

体調への影響があまりに深刻であれば、夜勤のない職場に転職することも選択肢に加えてもいいでしょう。向き不向きもありますが、デイサービスや訪問介護、昼勤だけの募集も探せば見つかることが多いです。一つの選択肢として一度考えてみるのもいいかもしれません。

できる限り正循環のシフトを組んでもらう

正循環のシフトとは、早出、日勤、遅出、夜勤、というように、勤務開始時間がだんだん遅くなるシフトをいいます。勤務と勤務の間隔が長くなるため、心身を整える時間的な猶予が増えることで、生活リズムをつけやすくなります。

もし皆様がシフトを組む立場であれば、できる範囲で職員のシフトは正循環を意識して組むようにしましょう。現実問題、正循環シフトにこだわると、シフト作成ができないといったこともあり得るでしょう。

少しでも正循環シフトとすることで、それにより職員の負担を軽減でき、離職や、イライラによるトラブルの防止にもつながります。正循環のシフトは、休日が少なく感じられるかもしれませんが、心身の負担を考えると、その方がずっと楽であることを実感できると思います。

毎月のシフト作成が大変、と感じている場合には介護業界向けの自動シフト作成ソフトを利用する方法もあります。

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まとめ

介護職は高齢社会にとって不可欠な役割を担っていますが、夜勤による生活リズムの乱れは、職員の健康に多大な影響を及ぼします。

睡眠障害は介護職にとって深刻な問題です。実際に今、睡眠障害に悩まされている介護職の方も多いのではないでしょうか。睡眠障害は、適切なシフト調整、生活リズムの改善、ストレス管理、そして質の良い睡眠を確保することでリスクを大きく軽減することができます。

睡眠の重要性を職員一人ひとりが理解し健康を意識するとともに、雇用主や施設管理者は職員の健康を守るため、環境整備やシフト制度の改善を積極的に行うことが求められます。

睡眠障害に悩む介護職の方々が健康的な生活を送れるようになることは、職員にとってのメリットだけではなく、施設や事業所にとっても離職率を下げることにつながり、安定した雇用関係を築くことができるでしょう。さらには、利用者に対してもより良いケアを実現する基盤となります。

一人でも多くの介護職員が、健康で充実した生活を送れることを心より願っております。

この記事の執筆者ユージン

保有資格:介護福祉士 社会福祉士 認知症ケア専門士

介護付き有料老人ホームで16年勤務。内3年は介護リーダーを務める。現在は新人職員、中堅職員の指導を行いながら、チームケアの維持に尽力。

また、長い現場経験を活かして、介護・福祉関係のライターとしても活動中。

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