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【教えて!】介護 コミュニケーションロボットのメリット・デメリット

介護 コミュニケーションロボットについて

介護に関わる方の中には、コミュニケーションロボットに興味を持たれている方もいらっしゃるでしょう。
 
「介護現場でコミュニケーションロボットを導入するメリットとデメリットを知りたい」
「将来的には、コミュニケーションロボットを導入したい」
「そもそもコミュニケーションロボットとはどんなもの?」
 
この記事では、コミュニケーションロボットの基本的な情報や、ロボット導入のメリットやデメリットについて解説します。
 
コミュニケーションロボットについて興味・関心がある事業所管理者の方や、介護職員の方は、ぜひ最後までご覧ください。

コミュニケーションロボットとは

介護ロボットと高齢女性

コミュニケーションロボットとは、人とスムーズにコミュニケーションをはかるロボットであり、日常生活を助ける「パートナーロボット」の仲間です。

コミュニケーションロボットには、以下のような機能が搭載されています。

・会話
・歌
・体操
・ダンス

いずれも、人とスムーズなコミュケーションをはかるために必要な機能です。会話や身振り手振りといった身体の動きを通じて人と交流します。

人型ロボットや動物型ロボットなど、形状はさまざまですが、いずれもかわいらしさや親しみのあるデザインです。

コミュニケーションロボットが注目されている理由

コミュニケーションロボットが注目されている理由の1つが、「高齢者の心の癒しや孤独感解消に役立つ」ことです。コミュニケーションロボットには、簡単な会話で使用される言葉が登録されており、高齢者の言葉に応じた会話ができます。

顔認識機能付きのロボットであれば、顔を見てあいさつや声かけをしてくれます。ロボットからも積極的に話しかけるものもあるため、会話や交流を楽しめて、高齢者の孤独感解消につながるでしょう。

コミュニケーションロボットは、介護レクリエーションの雰囲気づくりにおいても注目されています。歌やクイズ、体操、計算問題などさまざまなプログラムが搭載されているロボットも多いため、レクリエーションの雰囲気づくりやサポートが可能です。

レクリエーション活動は、事前準備や当日の進行などで、多くのスタッフが必要です。コミュニケーションロボットがレクリエーション活動をサポートすることで、介護現場の人手不足の解消が期待できるでしょう。動物型のロボットであれば、「アニマルセラピー効果」も期待できます。

コミュニケーションロボットを活用するメリット

コミュニケーションロボットを活用するメリットは、主に以下の4つです。

コミュニケーションロボットを活用するメリット

 
・介護職員の負担が軽減される
・高齢者の孤独感を軽減できる
・日中の活動が増えることで生活習慣改善が期待できる
・認知症の人のBPSD(周辺症状)軽減が期待できる

 
それぞれ解説していきます。

1.介護職員の負担が軽減される

介護職員の負担軽減は、コミュニケーションロボット活用の大きなメリットです。特に注目されるのが、レクリエーション活動時の負担軽減です。

レクリエーションは、デイサービスや高齢者施設で多く実施されています。しかし、事前準備や当日の進行のため、職員の負担が大きいことも事実です。

介護職員によっては、レクリエーションに苦手意識がある方もいるため、そうした職員にとっては、レクは特に大きなストレスでしょう。

ロボット導入により、レクリエーションが苦手な職員はストレスを軽減できます。加えて、ロボットがレクリエーションの進行を担うことで、介護職員は利用者や入所者の見守りに専念しやすくなります。

また、高齢者から介護拒否や暴言・暴力があった場合、介護職員が感じる心身の負担はとても大きなものです。コミュニケーションロボットであれば、心身に負担を感じることなくケアを担えるでしょう。

2.高齢者の孤独感を軽減できる

高齢者の孤独感軽減も、ロボット活用の大きなメリットです。

2022年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、ひとり暮らし世帯が全体の51.6%、夫婦のみの世帯が44.7%という結果でした。

特にひとり暮らし高齢者の場合、近所付き合いがないと人と話す機会が限られます。人との会話が少ない、もしくは全くないために、孤独感を覚える高齢者も少なくありません。

コミュニケーションロボットが存在することにより、会話の楽しみが増えて、高齢者の孤独感軽減につながります。

3.日中の活動が増えることで生活習慣改善が期待できる

介護に関する研究論文においても、ロボットとの交流により、日中の睡眠が減少する、もしくは、夜間の睡眠が増加するという効果が認められています。日中眠っている時間が減ると、生活リズムが整う効果も期待できるでしょう。

また、ロボットの声かけに応じて、運動や外出、社会参加の機会が増えるといった効果も期待されています。

4.認知症の人のBPSD軽減が期待できる

BPSDとは、徘徊や妄想、介護への抵抗といった、認知症の周辺症状です。BPSDの出現は、不安感や不快感、ストレスといった心理的要因が大きく影響しているといわれます。

ロボットのふれあいにより心理的に安心できることで、BPSD軽減につながる可能性があると期待されています。

平成25年(2015年)に、首都大学東京(現、東京都立大学)で行われた有名な実験があります。神奈川県内の複数の高齢者施設で、認知症高齢者が人型コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」に触れることによる効果を測定したものです。

3ヶ月間の効果を測定したところ、認知症高齢者の気分や、集中の状態が平均的に向上しました。この実験結果からも、コミュニケーションロボットの関わりが、認知症高齢者によい影響を与えることが分かります。

コミュニケーションロボットのデメリット

メリットが多いコミュニケーションロボットですが、残念ながらデメリットも存在します。コミュニケーションロボットの主なデメリットは、以下の4つです。

コミュニケーションロボットのデメリット

 
・逆に介護職員の負担が増す可能性
・導入コストが発生する
・故障などのリスクがある
・現場職員の理解と協力がないと活用されない

 
詳しく解説していきます。

1.逆に介護職員の負担が増す

コミュニケーションロボットの導入により、逆に職員の負担が増える可能性があります。
安心して操作するまでに、練習しなくてはいけないからです。職員全員が同じようにロボットを操作できるようになるためには練習が必要であり、その分、業務時間が長くなるでしょう。

高度な機能が搭載されているロボットの場合、操作が難しく、職員が不安やストレスなどの精神的負担を感じるケースも考えられます。また、レクリエーション活動でコミュニケーションロボットを使う場合、全てをロボットに託せるわけではありません。

ロボットの種類によっては、介護職員の見守りやサポートが必要になるため、負担軽減につながらない場合もあります。

2.導入コストが発生する

コミュニケーションロボット利用にあたっては、導入および維持管理のコストが発生します。

コミュニケーションロボットは、購入にあたり数十万~100万円程度と高額です。普及率が低いため生産量が少なく、そのため単価が高くなっているのです。

厚生労働省の資料、介護ロボット導入活用事例集 2020に掲載されていたコミュニケーションロボットの販売価格を調査したところ、約10~70万円でした。介護施設は年間もしくは年度内予算が限られているため、大きな支出は難しい状況にあります。

また導入事例が少ないと、成功例を耳にする機会も限られます。そのため、導入にあたっての費用対効果が実感できない現状です。

3.故障などのリスクがある

ロボットを扱う職員が操作方法を熟知していないと、安全に使用されず、故障するリスクがあります。高齢者が正しい操作方法を理解できずに、間違った扱いや乱暴な扱いをして故障するリスクもゼロではありません。

故障により修理、交換が発生すると、その分コストが上乗せされて、デメリットが大きくなるでしょう。

4.現場職員の理解と協力がないと活用されない

業務負担増加や導入コスト、故障のリスクに加えて考えられるのが、「現場職員の理解と協力がないと活用されない」というケースです。「ロボットが介護する」、もしくは「ロボットに介護される」という状況に抵抗を覚える現場職員もゼロではありません。

当サイトで以前掲載した記事、「介護業界のAI導入、メリット・デメリット 問題点について」でも、介護ロボット導入について約3割の介護従事者が抵抗を覚えるという調査結果を紹介しています。

現場職員の抵抗感を理解しつつ、導入について前向きな姿勢になれるような支援を進めないと、そもそも導入・活用自体が難しいでしょう。

コミュニケーションロボットを選ぶ際のポイント

高齢者向けのコミュニケーションロボットであれば、おしゃべり機能や見守り機能が充実しているものがおすすめです。

ポイントとしては、以下のようなことがあげられます。

・会話の機能性が高いもの
・操作が簡単なもの
・安全性が高いもの

安全性の高さには2種類あります。

1つ目は、物理的な安全性です。誤った操作や乱暴な取り扱いをしても壊れにくいものが良いでしょう。

2つ目は情報に関する安全性です。AIを使ったコミュニケーションロボットは、操作するにあたってさまざまな個人情報を入力します。
個人情報が漏れないものが良いでしょう。

コミュニケーションロボット例

コミュニケーションロボットについて、3例紹介します。

1.PALRO(パルロ)

PALRO(パルロ)は、優秀な会話能力や運動能力を持つ、人型のコミュニケーションロボットです。100人以上の顔と名前を記憶する能力もあります。

会話やレクリエーション活動、健康体操といった場面で活躍します。

PALRO公式サイト

2.Sota(ソータ)

Sota(ソータ)は、介護レクリエーション支援ロボットです。
レクリエーションの進行を補助するだけではなく、自動進行も担います。

また、会話を楽しんだり、写真を撮ったりすることも可能です。

Sota | ケアボット公式サイト

3.だいちゃん

だいちゃんは、「認知症ケアに特化した」コミュニケーションロボットです。
以下のような機能があります。

・おはなしモード
・うたモード
・クイズモード
・セリフ機能

セリフ機能では、服薬や入浴を促すような声かけもできるため、介護のサポートも可能です。

認知症コミュニケーションロボット「だいちゃん」公式サイト

コミュニケーションロボットは高齢者の話し相手になるのか?

AIの発達で、ロボットが高齢者とスムーズに会話できるようになっています。また、独自のAIで、高齢者の言葉を理解して言葉のキャッチボールを楽しめるロボットも増えつつあります。

2019年には、ロボット・セラピーの活動推進を目的とした、日本ロボット・セラピー推進協会が設立されました。

コミュニケーションロボットは人間の「完全な代わり」にはなれませんが、話し相手としての役割は、今後も大きくなるでしょう。

まとめ

この記事では、以下について説明しました。

・コミュニケーションロボットとは
・コミュニケーションロボットが注目されている理由
・コミュニケーションロボットを活用するメリット
・コミュニケーションロボットのデメリット
・コミュニケーションロボットのおすすめの形状
・コミュニケーションロボットは高齢者の話し相手になるのか?

AIの発達で、コミュニケーションロボットは、徐々に進化しています。

介護職員の負担軽減や高齢者の孤独感軽減というメリットがある反面、コストがかかる点や、職員の協力がないと導入できないというデメリットもあります。

しかし、人手不足がさらに深刻になると考えられている介護現場において、コミュニケーションロボットの役割は今後ますます大きくなるでしょう。この記事が、コミュニケーションロボット導入に関する議論のきっかけになりましたら幸いです。

この記事の執筆者
古賀優美子

保有資格: 看護師 保健師 福祉住環境コーディネーター2級 薬機法管理者

保健師として約15年勤務。母子保健・高齢者福祉・特定健康診査・特定保健指導・介護保険などの業務を経験。
地域包括支援センター業務やケアマネージャー業務の経験もあり。
高齢者デイサービス介護員としても6年の勤務経験あり。

現在は知識と経験を生かして専業ライターとして活動中。

 

2024年8月 住まい介護医療展 出展告知

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