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【介護の新人教育チェックシート】作り方のコツ・ポイントを解説!

介護の新人教育チェックシート 作成ポイント

介護施設で新人職員の指導を行う際、指導担当の職員は、実に多くのことを教える必要があります。直接的な介護技術はもちろん、報告書や記録などの書類作成や、接遇マナー、コンプライアンスなど、教えるべきことは多岐にわたります。
 
しかし、実際に新人教育を行う時あれもこれもと教えようとすると、指導する側もされる側も大変です。そこで新人教育を効果的に行うために、新人教育チェックシートの活用がおすすめです。
 
本記事では、介護の新人教育チェックシートの作り方のコツ・ポイントを解説。また、指導内容にチェックリストを用いるメリットなども合わせて紹介します。新人介護職の教育・指導にチェックシートを活用しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

新人介護職員の教育にチェックシートを使うメリット

介護新人にチェックシートを利用するメリット

新人職員の教育のためにチェックシートを用いることは、指導する側とされる側、どちらにとっても大きなメリットがあります。

まず、指導する側にとってのメリットは、教えるべき内容を明確化できるという点です。新人職員に対して、早く一人前になってもらおうと思って、出来るだけ多くの技術や知識を教えようとしても、全て伝えるまでに時間がかかりすぎる事と、指導される側にとっても大きな負担になってしまいます。

しかし新人職員向けの教育チェックシートがあれば、習得具合に合わせて段階的に指導ができ、効率的に新人指導を行うことができます。、指導される側も指導期間で覚えるべき内容がはっきりする事で、自身の習得スキルなど目標を立てやすくなるといったメリットがあります。

新人職員の側のメリットとしては、自分がどのスキルや業務知識が足りていないのかを把握しやすく、今後の学習計画・目標も立てやすくなることなどが挙げられます。

新人介護職員の教育にチェックシートを使う主なメリットについて、以下に解説します。

教育内容の一貫性を保つことができる

新人指導のためにチェックシートを用いるメリットは他にもあります。それは教育内容の一貫性が保てるという事です。

新人職員の指導にプリセプター制を導入している場合、新人職員に対して、担当の職員がつきます。しかし、人員配置の状況によっては担当職員が指導できないこともあります。

しかしチェックシートがあれば、複数の職員が指導を行うことになっても指導内容を統一することが出来ます。これにより、指導内容の漏れや重複を防止し、効率的に指導を行えます。

新人教育の進捗が把握しやすい

新人職員の指導を行う際、一度に多くの内容を教えるのではなく、段階的に指導したり、指導の分野を絞って行う方が効果的です。介護という仕事を考えると、一つずつ着実に業務に習熟してもらうほうが良いでしょう。

そんな時にチェックシートがあれば、新人教育の進捗状況が把握しやすくなります。特に指導を行う新人が複数いる場合、その習得の度合いには個人差があります。チェックシートがあることで、各職員それぞれの指導の進捗状況を把握することができます。

指導担当と新人職員の双方が指導状況を把握することで、「できること」「できないこと」を明確にすることができます。

新人が対応できる業務が明確になる

介護リーダーと介護職員、利用者

チェックシートで新人教育の進捗状況を明確にすることで、新人職員の知識や技術の習熟度が把握でき、任せられる業務の種類や量を知る目安にもなります。

もし新人職員に対し、まだ教えていない業務を任せてしまった場合、利用者はもちろん、職員自身が怪我をしたりする可能性もあります。また、服薬など医療的な知識が必要な場合、間違えた対応をしてしまうと利用者の生命にかかわる重大な事故に繋がる恐れもあります。

新人教育の進行の度合いを社内で共有し、不足しているスキルや経験をカバーできるように人員配置などを見直すことが出来れば、介護の質を維持しやすくなるでしょう。

このように、新人指導にチェックシートを用いることには多くのメリットがあります。

介護の新人教育チェックシートに取り入れたい項目

新人教育のチェックシートを作成する際、評価項目をいくつかのカテゴリーに分けて行います。例えば、基本的な介護技術や疾患、感染症などの知識、コミュニケーションなどの接遇マナーといったカテゴリーです。

さらにそこからチェック項目を細分化していきます。基本的な介護技術では、食事介助、排泄介助、入浴介助、移動介助、更衣介助など。

コミュニケーションにおける、言葉使いや身だしなみなど、社会人としての働く上での最低限のマナーや、業務に関わる内容などをチェック項目に取り入れます。

以下に、介護の新人教育チェックシートに取り入れたい項目を紹介します。

食事介助

食事介助をする介護職

食事の介助は、嚥下状態や利用者の食事形態の把握などについてチェックをします。特に嚥下に関しては、誤嚥性肺炎や、喉詰めによる重大事故などに繋がる可能性もあるため、しっかりとしたチェックが必要です。

入浴介助

浴室は転倒などの事故が起こりやすく、特に注意深く業務に当たることが必要です。

もし転倒した場合には骨折などの恐れもあり、場合によっては手術が必要となります。そうなると、それまでは自分で歩けていたのに車いすが必要になったりと、浴室は大きなケガをしやすい場所です。

利用者に快適に入浴してもらうためはもちろん、そうした事故を防止するためのチェック項目を設けましょう。リスクを排除するためのリスクマネジメントも大切な場所でもあります。

入浴時の転倒・転落などを含め、介護現場のリスクマネジメントについては下記の記事に詳しくまとめていますので、合わせてご参考にしてください。

排泄介助

排泄介助にはトイレでの介助とベッド上での介助を行う場合があります。

トイレでは移乗や衣類の着脱などを安全に介助できるか、ベッド上ではおむつの交換の際に安全に体位の変換ができるか。また、個人の尊厳に配慮した対応が出来ているかなどもチェックしましょう。

更衣介助

衣類の着脱についても、利用者の身体状況は個人によって様々で、麻痺や拘縮がある方もいれば、その症状の度合いも様々です。

また、認知症がある場合は他の介助同様に、スムーズな介助が行えるよう声掛けを行う必要があり、そうした個人の状態に合わせた介助ができるかといったところがポイントです。

移動介助

移動介助する介護職

移動介助では次のような点を確認すると良いでしょう。歩行が不安定だったり、車いすを使用している利用者に対して、転倒に注意して安全に歩行できるよう介助を行えているか。

車いすを使用している場合、フットレストやティッピングバーなどの各部の名称や働きを理解した上で、平地や段差を越える場合など、適切に使用出来ているかを確認しましょう。

接遇マナー

実際に介護を行う対象である高齢者は、自身よりも多くの物事を経験してきた人生の先輩です。そうした相手に対して、上から目線で高圧的に接するのは当然、介護士として行うべき行為ではありません。

お互いの信頼関係の中で多少砕けた会話が可能であっても、敬意を持って接しているか、傾聴や会話の際に目線を合わせて会話出来ているかなど、介護の基本的な部分を重視してチェックするようにしましょう。

感染症や疾病について

介護の現場では、様々な感染症に関する知識も必要です。インフルエンザやノロウイルス、コロナなど感染力の強い感染症が発生することもあるでしょう。

そうした感染症が発生した場合、施設内での蔓延を防止するため、飛沫感染なのか空気感染なのか。感染症のもとのウイルスによって有効な消毒法の違いなど、処置や対処の方法を理解することは、自分自身や利用者を守るために大事な知識です。

新人教育に取り入れたい内容

新人介護職への研修、教育

新人職員の教育において、技術的な面での指導と同じくらい大切な内容がいくつかあります。例えば以下のような内容は、入職後にしっかりと教育することが大切です。

・介護士としての心構え
・会社の理念や方針
・介護事故の危険性
・接遇マナーやコミュニケーションの重要性
・1日の業務の流れ

これらの内容は、新人教育において初期に行うことで業務への理解も深まり、以後の指導もスムーズになります。新人を放置せずしっかりと教育・指導を行っていくことで、定着率も上がっていくでしょう。

新人教育チェックシート 作り方のコツ・ポイント

新人教育チェックシートの作成のコツとして、項目ごとの評価を細分化し、新人の業務への理解度を測りましょう。

「出来る・出来ない」だけの極端な評価や、チェック項目の内容が曖昧だと、新人職員も自身の理解度が不明瞭になってしまいます。そのため、明確な評価が出来るように項目をもうけ、評価も最低3段階程度に分けるほうが良いでしょう。

また、新人職員の一方的な理解で終わるのではなく、指導担当の職員の評価も加え、複数の視点から指導の状況を把握できるようにしましょう。

新人教育チェックシートの目的を明確にする

新人教育チェックシートを作る際に、その目的を明確にすることも大切です。新人教育にチェックシートを用いる大きな目的は、新人がスキルや知識を習得しているかを確認することが目的ですが、チェックシートには他にも目的があります。

新人教育チェックシートの大きな目的は、前述しましたが指導状況の把握です。新人の指導状況を、他の職員とも情報共有する事で、

・指導方針の統一
・指導の進捗状況
・新人職員が対応できる業務

を把握しやすくなります。このように情報を共有することで、新人指導を個人ではなくチームで行うことができ、指導内容の重複を防ぎ効率的に指導ができます。新人職員も情報が共有されていることで、指導担当者が不在の時でも周囲に質問などがしやすくなるでしょう。

こうしたメリットやポイントがあることを、チェックシート作成の際には明確にし、職員間で共有しましょう。

チェック項目を検討する・洗い出す

チェックシート作成の際には、施設形態や状況に合ったチェック項目を検討しましょう。チェックシートの作成については、項目を一から作るのは相当の時間と労力が必要です。

厚生労働省のホームページには『職業能力評価シート』と言うものが公表されています。こうしたツールを活用しながら、必要な項目を洗い出し、それぞれの施設形態や状況に合ったチェック項目を検討しましょう。

事業所・施設の教育マニュアルを再確認・アップデートする

新人教育においては、施設側の教育マニュアルの見直しも必要です。介護保険の改正に合わせた情報の更新や介護技術の進歩などにより、これまで良しとされていた方法も、数年もすれば古い考えとなってしまうこともあります。

そうしたことにならないよう定期的に教育マニュアルを見直し、新しい知識や技術を取り入れ、時代に合ったマニュアルにアップデートするようにしましょう。

チェックリストは簡潔に

チェックリストの作成にはシンプルさも大切です。チェック項目を考える際、指導担当は丁寧な指導や、高度な技術や知識の習得を求めるあまり、ついチェック項目が細かくなりがちです。

しかし、チェック項目が細かくなりすぎると当然、指導の手順も複雑になり、教える時間も長くなってしまいます。これは指導担当者、指導される側の新人介護職員と双方に負担が大きくなることを意味します。

そうならないように、まずは簡単な内容から段階踏んで指導できるように、チェックリストは簡潔な内容で作成しましょう。指導している中で、どうしても追加した方が良い内容があった場合には、チェックリストへの追加を検討するとよいでしょう。

チェックシートの項目は定期的に見直す

一度作成したチェックシートであっても、教育マニュアルの見直しや更新により、項目の追加や削除が必要になる場合があります。定期的に見直すタイミングがなければ、修正が必要なのに見過ごされたまま活用され続けていく、といった可能性があります。定期的に見直す機会を設けるようにすることが大切です。

いつまでもチェックシートの内容を見直しをせず使用していると、これまでは良しとされていた介助方法でも、いつの間にかかえって危険な方法とされていたり、もっと良い方法が提案されていたりといったことがあるかもしれません。

チェックシートの見直しは効率的な指導を行う上でも必要なことです。定期的にチェック項目を見直しましょう。

新人教育チェックシートの必要性を共有する

ミーティングで指導をする介護士

新人教育チェックシートを作成者以外も含め、現場でしっかりと活用するためには各職員が必要性を理解することが大切です。必要性を理解するための方法として、チェックシート作成に介護現場のリーダーはもちろん、他の経験ある職員も巻き込むことも効果的です。その際、作成するメリットだけではなく、チェックシートがもし無い場合のデメリットを説明すると良いでしょう。

新人教育においてチェックシートを用いることは、新人職員を指導する際、段階的に指導を行うためにとても重要なことです。当然ですが、介護未経験で入職した職員に、いきなり事故の危険性の高い業務を任せるのは危険です。そのため最初は簡単な内容から指導していきます。

いきなり難易度の高い業務を任せてしまうと、事故の危険性が高くなります。また、業務に対して新人職員も大きなプレッシャーを感じてしまうでしょう。結果として、仕事を辞めてしまうこともあるかもしれません。

新人職員が少しずつ介護技術を習得し、業務に慣れていくことが自信につながり、介護の仕事を続けていくことにもつながります。そのためにも、チェックシートは重要な役割を果たします。そうしたチェックシートの必要性を職員間で認識することが大切です。

新人介護職員が質問しやすい環境作りも大切なポイント

新人指導の際にも伝えるべき重要なポイントとしてコミュニケーションの重要さがあります。これは職員と利用者の間の話だけではなく、職員同士にとっても大切なポイントです。

新人指導においても、一方的に指導を行うのではなく、指導の際に生じた疑問や、理解しきれなかった内容を質問しやすくするための環境を作ることも、コミュニケーションの一つとして捉えましょう。

新人職員が周囲に質問しやすいと感じる人間関係を築くことは、後の業務を円滑にするためにも大切なポイントです。

新人介護職員の教育をチェックシートで効果的に!

新人教育のためにチェックシートを使えば、より効果的に指導を行うことが出来ます。指導は当然、簡単な内容から段階を踏んで指導を行います。

しかし、指導の対象となる新人職員が必ずしも新卒とは限らず、介護経験者である場合もあります。実際、中途採用において経験者の採用が多い介護施設もあるかと思います。

その場合、新卒の新人とは異なり、入職してから短期間で業務を任せる事ができたり、より高度な技術や知識を習得してもらうことも出来るかもしれません。

そんな時にもチェックシートを活用すれば、既に習得済みの内容を省き、指導期間を短縮する事も可能です。より効果的に指導を行うことも出来るでしょう。

まとめ

介護の新人教育チェックシートについて作り方のコツ・ポイントを中心に解説しました。

チェックシート活用により、新人職員の指導を効果的に進めていくことができるメリットは非常に大きいといえるでしょう。もしチェックシートを未導入で、新人職員の指導が大きな負担に感じられている場合には、導入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

新人教育のためのチェックシートは、新人職員に介護の正しい知識と技術を身に付けてもらうためにも、指導側としては効果的に指導を行うためにも重要なものです。

新人指導をすることは、新人だけでなく既存の職員のレベルアップにもつながる一面もあります。既存の職員は新人職員に、自身がこれまで身に付けたものを伝えることで、自身の持つ技術や知識を再確認する機会になります。

新人教育の機会を双方がレベルアップする機会と捉え、職員全体のレベルアップに繋げていきましょう。新人教育チェックシートをうまく活用することで、効果的に指導をすることが可能です。ぜひそれぞれの介護現場に即したチェックシートを作成し、活用してみてください。

また当サイト内には、他にも職場環境の改善や人間関係にに関連した記事を掲載しています。こちらもぜひご覧ください。

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この記事の執筆者タツキ

保有資格:介護福祉士、社会福祉主事

専門学校卒業後から高齢者福祉の分野に従事。様々な現場での経験を経て、サ高住、有料老人ホームの施設長を務める。

現在は通所介護施設の管理者として尽力している。

 

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