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【教えて!】特養(特別養護老人ホーム)のケアマネ(介護支援専門員)配置基準、役割・仕事内容について解説

特養のケアマネ配置基準、役割など解説

特養(特別養護老人ホーム※以下特養)におけるケアマネージャー(介護支援専門員※以下ケアマネ)の配置基準や役割について解説。介護施設の管理職として、施設運営に関わる皆さんにとって重要な情報となりますので、改めて確認してみてください。
 
配置基準は介護施設運営において非常に重要なものです。そこで本記事では特養のケアマネ配置基準や、減算対象となるケース、具体的な仕事内容について詳しくまとめています。
 
この記事を参考に特養のケアマネの配置基準や仕事内容・役割を確認し、運営を健全に行えるようにしましょう。

特養におけるケアマネの配置基準

特養で働く介護士とケアマネジャー、入居者

特養におけるケアマネの配置基準は、介護保険法第8条22項・27項、老人福祉法第20条の5にて定められています。この基準を満たさないと指定取り消しや、介護報酬の返金等さまざまな処分がくだされてしまいます。

特養のケアマネの配置基準は、以下の通りです。

・1人以上(常勤かつ原則として専従)

・入所者100人に対して常勤専従で1人以上
※2人目以降は非常勤でも可能( 併設するデイサービス、居宅介護支援の兼務可)

なお、ケアマネの業務に支障が出ない範囲で、介護職など他の職種と兼務することが認められています。この特例により、施設の運営を効率的に行うことが可能です。

ただし、特養に併設するデイサービスや居宅介護支援のケアマネとの兼任は認められていないので、注意が必要です。

また入所者が100名を超える場合には、2人以降については非常勤職員をあてることができます。その場合は、併設する他のサービスとの兼務も可能とされています。

不適切な人員配置は、行政からの指導や減算対象となるリスクがあり、施設全体の評価にも影響を与えます。ケアマネの適切な配置を確保することは、施設管理者にとって欠かせない責任となります。

特養におけるその他の職種の配置基準については、以下の記事をご覧ください。

特養のケアマネが減算対象となるケース

先に述べたように介護保険法のケアマネが人員配置基準を満たさない場合、介護報酬の減算対象となります。注意するケースは2つあります。まずは1つ目、適切な資格を持ったケアマネが配置されていない場合です。

それではケアマネ資格の更新研修について解説します。

ケアマネ資格の更新研修について

ケアマネの資格は介護福祉士や社会福祉士等の国家資格と違い、5年に1度の更新研修を行い各自治体に登録することが必要です。これらは基本的に自己管理です。

・日々の業務に忙しく本人が失念しているケース

・申し込みが遅れてしまい、定員オーバーで研修を受講出来ないケース

などが、あります。

管理者として該当ケアマネが適切に更新研修を受けているか、把握している事が重要です。また更新研修には、費用が発生します。

自治体によって異なりますが、中には高額な研修費が発生する都道府県もあります。施設側が研修費の半額を負担するなど、バックアップする等の配慮も必要でしょう。

以下の表を参照ください。

介護支援専門員 対象研修確認表

出典:東京都福祉保健財団ケアマネージャー専門サイト
https://www.keamane.tokyo.jp/wp-content/uploads/2024/03/%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E7%A0%94%E4%BF%AE%E7%A2%BA%E8%AA%8D%E8%A1%A8_20240318.pdf
※各自治体で異なる場合がありますので、詳しくは管轄の団体にお問い合わせ下さい。

ケアマネ業務に支障をきたすほどの他の役割を兼務している場合

2つ目の注意が必要な減算対象のケースは、ケアマネが

・適切なケアプランを作成していない

・定期的なモニタリングや面談が行われていない、

・保管する義務のある書類の管理が適切に出来ていない

などの場合も減算の対象となります。自治体の監査で発覚してからでは遅いため、特に注意が必要です。

介護職と兼任しているケアマネは「ケアマネ業務に支障が生じていないか?」を、管理者として確認していきましょう。

特養で働くケアマネの役割と仕事内容

特養で働くケアマネは、施設等のサービスを利用している利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援するため、解決すべき課題の把握等を行った上で施設サービス計画書を作成します。
※施設等では、施設サービス計画等(※以下ケアプラン)に基づき、サービスを実施します。

まずは全体のイメージを把握するため以下の表を参照ください。

居宅におけるケアマネ業務の流れ

出典:厚生労働省HPより介護支援専門員(ケアマネジャー)

以下、特養におけるケアマネの役割と仕事内容について詳しく解説します。

アセスメント

施設入所時のアセスメントは、自宅や医療機関を訪問して面談します。入所後のアセスメントでは、利用者の居室を訪問して行います。

また、施設入所時のアセスメントでは、課題になっている状況とその背景、本質である原因等を詳細に把握して、入所後のアセスメントでは、入所前の情報に加えて、施設での生活や心身の状況の変化、生活課題の変化を把握して、生活全般に抱える課題を明らかにします。

アセスメントの結果は、利用者一人ひとりに合ったケアプランを作成するための基礎となります。利用者の健康状態やニーズが変わった場合には、再度アセスメントを行い、ケアプランの見直しを行うことも重要です。

適切なアセスメントは、利用者の生活の質を向上させるだけでなく、施設全体のサービス品質を高めることにもつながります。

ケアプランの作成・管理

サービス担当者会議での意見を基にケアプラン原案を修正して、作成・更新します。作成・更新したケアプランは、同意を得るために利用者や家族へ説明するのもケアマネジャーの仕事です。

ケアプランは利用者一人ひとりのニーズや要望に合わせて、日々のケアを具体的に支援するための計画書です。ケアプランの作成においては、利用者の身体的な健康だけでなく、精神的な健康や社会的なニーズも考慮されます。

また、ケアプランの管理もケアマネの重要な役割です。

サービス担当者会議

サービス担当者会議は、入所者のケアプランを見直すために定期的に開催します。アセスメントの結果から事前にケアプラン原案を作成して、入所者や家族、施設の多職種が参加するサービス担当者会議で、参加した入所者・家族、専門職の視点からの意見を確認します。

各専門職が持つ専門知識や経験を集結させ、チーム全体で最良のケアを提供するための戦略を練る場でもあります。

管理者は日常の業務に忙しく、常にサービス担当者会議に参加することは難しいかもしれません。しかし、サービス担当者会議は利用者のニーズや現場職員の実際の声を聞くことが出来る貴重な場です。

利用者やその家族の要望に敏感に対応し、施設全体のサービス品質を高めるために、出来る限り積極的に参加しましょう。

モニタリング・面談

モニタリングでは、利用者の日常生活や健康状態を注意深く観察し、問題や変化を早期に察知します。

食事や入浴のサポートの質や効果を確認することで、利用者が快適に過ごせるようにサポートします。また、医療機関との連携を通じて、定期的な健康診断や治療の進捗を確認し、必要な調整を行います。

面談では、利用者やその家族と定期的にコミュニケーションを取ります。利用者の希望や意向を確認し、ケアプランの見直しや調整を行うことが目的です。

介護保険認定調査への立ち会い

介護保険の認定調査では、利用者のADLや健康状態が評価され、必要な介護給付が決定されます。認定調査への立ち会いは、正確な介護区分が支給される上でとても重要です。

特養は原則として要介護3以上の利用者が入所する施設です。要介護1や2など、誤った介護区分の認定がされた場合は、利用者・施設ともに不利益を被ることとなります。そのため、特養では主にケアマネが立ち会います。

調査の際には、利用者のADLや生活状況、日常の課題を詳細に説明することが求められるためです。ケアマネが利用者の認定調査時に適宜、立ち会えるようなシフトを作成することも管理者として必要な業務です。

その他の業務

その他にも特養のケアマネは、要介護・要支援認定の申請手続き、請求業務を含めた給付管理、各種加算の算定に伴うケアプランや提供するサービスの調整なども行っています。

管理者はケアマネが多くの業務を背負い過ぎていないか、気を配ることが大切です。場合によっては、定められた配置基準より多い人員を確保することも必要でしょう。

人員基準欠如減算に注意

人員基準欠如減算とは、施設が決められた人員配置基準を満たしていない場合に適用され、介護報酬が削減される制度です。管理者は施設の人員配置に関する責任を持ち、定期的な評価と調整を行うことで、基準欠如減算を回避する必要があります。

地域の労働市場や介護業界の動向を把握し、人員確保のための戦略を立てることも重要です。新たなスタッフの採用や教育、労働環境の改善、ICT機器の導入、IT化による業務改善などを行い、スタッフの従業員満足度を上げるなど施設全体での取り組みが欠かせません。

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まとめ

今回は、特養でのケアマネの配置基準、役割と仕事内容などについてご紹介しました。ケアマネは、利用者の日常生活のサポートからケアプランの管理、さらには施設運営の調整まで幅広い業務を担当します。

管理者は人員基準欠如減算に注意し、ケアマネの適切な人員配置を行うことが施設運営の安定につながります。また一人のケアマネが「過重な責務を負っていないか?」にも、注意が必要です。

この記事を参考にケアマネの役割や仕事内容に配慮した、適切な人員配置を行っていきましょう。

この記事の執筆者みずほ

保有資格:社会福祉士 介護支援専門員 介護福祉士

特別養護養護老人ホームに介護福祉士、相談員として10年、社会福祉協議会にて介護保険認定調査員として5年勤務、介護業界で仕事をしてきました。

現在は介護・福祉系ライターとしても活動中。

 

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