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【教えて!】グループホームに必要な人員基準とは?人員配置の注意点などについて解説

グループホームに必要な人員基準とは

認知症になっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らしたいという高齢者の希望を支えるグループホーム。少人数のユニットで家庭的な環境の中、共同生活を送る地域密着型サービスのひとつです。
 
グループホームへの入居を検討する際、「どれくらいの介護職員が配置されているの?」と、介護職員の体制について気になる方も多いのではないでしょうか。
 
そこで今回は、グループホームに必要な人員基準や、2021年に改正された内容について解説します。グループホームへの入居を検討しスタッフ体制について調べている方は、ぜひ参考にしてください。

グループホームの人員基準

グループホームで働く介護職と入居者

グループホームの人員基準は、入居者への適切なサービス提供や施設運営を行うために、厚生労働省によって配置する職員の人数や職種などが定められています。人員基準違反にならないように気を付ける必要があります。ここでは、以下4つの職種についてみていきましょう。

介護職員の人員基準

介護職員は、入居者に対して身体的な介助や生活援助、レクリエーションなどを提供する職種で、人員基準は、常勤換算方法で「3:1以上」とされています。

「入居者3人に対して最低1人の常勤介護職員を配置する必要がある」

ということです。

参照:厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

施設によっては、入居者1人ひとりの状況や必要なケアに応じて、人員基準で定められたスタッフの数よりも多くの介護職員を配置して対応しているところもあります。

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人員配置基準の中に、どれくらいの人数が必要なのかを定めた「常勤換算」と呼ばれるものがあります。この記事では介護施設の常勤換算や人員配置基準について解説します。

計画作成担当者の人員基準

計画作成担当者は、入居者の状況やニーズに合ったサービスが提供されるようにスタッフとカンファレンスを行い、介護計画書(ケアプラン)を作成する職種です。事業所ごとに専従で1人以上必要とされ、最低1人は介護支援専門員(ケアマネジャー)と定められています。

人員要件は、介護支援専門員かつ認知症介護実践者研修修了者であることです。計画作成担当者の業務に支障がない場合は、他の職務に従事することができます。

管理者の人員基準

管理者は、スタッフのシフト管理や仕事の割り当て、労務などの施設管理を行い、ユニットごとに配置します。管理者の人員基準は以下のとおりです。

・常勤・専従
・3年以上認知症の介護の従事経験がある
・認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した者

管理者の業務に支障がない場合は、他の職務と兼務することができます。

代表者の人員基準

代表者は適切な運営やサービスが提供されているかなど、施設全体を管理します。代表者の人員基準は以下のとおりです。

・認知症の介護従事経験若しくは保健医療・福祉サービスの経営経験がある
・認知症対応型サービス事業開設者研修を修了した者

出典:認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)P.28

グループホームのケアマネ配置基準は?

グループホームのケアマネジャー(介護支援専門員)は、人員配置基準の計画作成担当者に位置づけられ、事業所ごとに1名以上の配置が必要です。

また、2021年の介護報酬改定で最大3ユニットまでの兼務が可能になっています。

2ユニット以上ある場合には、各ユニットに計画作成担当者を配置することが必要です。さらにそのうち1名はケアマネの資格が必要となります。

グループホームの人員基準 1ユニットと2ユニットの違い

グループホームは、認知症の方にアットホームな環境で、スタッフのサポートのもと自立した生活を過ごしてもらうことを目的にユニットケアが採用されています。

1ユニットは5〜9人の少人数で、個室やリビング(食堂)、トイレ、キッチン、浴室があり、自宅のような生活空間です。

グループホームへの入居を検討する場合、ケアの充実について気になっている方は、ユニット数が少ない方が手厚い介護を受けられるのではないかと思うかもしれません。

しかし、グループホームの人員基準はユニットごとに決められているため、1ユニットでも2ユニットでも以下の人員基準は同じ体制です。

・管理者
・ユニットごとに1人
・介護職員
・日中は常勤換算方法で3:1以上
・夜間はユニットごとに1人以上

それぞれのユニットに管理者と介護職員が決められた人員で配置され、適切なケアが行われています。

グループホームの人員基準の注意点

グループホームに勤務するケアマネジャー

グループホームの人員基準については勘違いしやすいポイントがあるため、入居する前にしっかり確認しておくことが重要です。ここではグループホームの人員基準の注意点について説明します。

介護職員は全員常勤でなくても良い

介護職員の人員基準「入居者3人に対して最低1人の常勤介護職員の配置が必要」という点が、注意すべきポイントのひとつになります。

常勤介護職員とは

 
常勤職員が勤務すべき時間1日あたり8時間(週40時間)勤務している者のこと

グループホームのスタッフは、常勤はもちろん、パートやアルバイト、派遣社員など様々な雇用形態や勤務時間のスタッフが働いています。様々な働き方のスタッフが協力して入居者の生活をサポートしている、ということを覚えておくとよいでしょう。

3:1を超えない時間帯がある

3:1は、常に入居者1人に対して3人の介護職員で対応している、というイメージを持たれている方が多いです。
しかし、時間帯によって3:1を超えない時間帯があります。

夜間および深夜

夜間および深夜は「夜間及び深夜の時間帯を通じてユニットごとに1人以上の介護職員」が必要とされ、3:1が適用されません。夜間は入浴やイベントがなく、基本的に不眠者の対応や排泄介助などの業務が限られます。

また、最近では見守りシステムやICTの導入が進み省人化されているため、日中よりも人手が少なくてもよいとされているからです。

日中

3:1は日中に適用されますが、利用者の総数に対して実際に現場で働いている介護職員の労働時間数から計算します。

例えば、1ユニットで入居者9人のグループホームで、常勤が働く時間数が8時間・日中の時間帯を8:00〜18:00(10時間)と規定されている場合。3:1の人員基準を満たすためには、介護職員の労働時間について常勤換算での計算が必要です。

雇用形態に関わらず、8:00~18:00(10時間)の間の介護職員の労働時間数を計算し、「常勤の介護職員が何人働いているか」と換算します。

そして、上記の時間帯で常勤職員が8時間×3人働いているように調整し、常勤・非常勤合わせて、勤務時間の合計が24時間以上になれば3:1の基準クリアです。

実際には状況に応じて人員配置基準を超えた介護職員を配置することが多いですが、ケアが少ない時間帯などによっては、スタッフが少なくなることもあります。

施設によりサービスの量や質に差がある

施設によって人件費削減のために最低限の人員基準で運営しているところもありますが、入居者への手厚い介護のため、3:1以上の人員基準の施設もあります。人員基準の3:1をベースに、どれだけ介護職員を配置するかは施設が決め、人員によってサービスの量や質に差が生じるのです。

人員基準を超えた介護職員を配置している施設では、職員の負担が軽減され、入居者1人ひとりに充実したケアを提供することができるでしょう。

一方で介護職員が少ない施設では、時間帯によって十分なサービスを提供できないケースもあり、職員にかかる負担が大きいことから人手不足を感じやすくなります。このように、施設の人員基準によってサービスに違いが生じるため、入居される際は事前に確認しておくことが大切です。

グループホーム 3ユニットの人員基準で変わる部分

2021年度の介護報酬改定では、ユニットや人員基準での緩和について変更されました。ここでは改定された内容についてみていきましょう。

サテライト型事業所の創設

大きく変更された内容に、サテライト型事業所の創設があります。サテライト型事業所における代表者や管理者は、本体事業所と兼務することが可能です。

また、計画作成担当者についても認知症介護実践者研修を修了した者1人以上となり、グループホームの人員基準から大きく緩和されています。

サテライト型事業所の設備等の要件は以下のとおりです。

【サテライト型事業所の本体となる事業所】
本体となるグループホームが事業を開始してから1年以上経過し、入居定員の70%を超える人数の入居者をそのグループホームで受け入れた経験があること

【本体事業所とサテライト型事業所との距離等】
車で移動する場合にかかる時間がおおむね20分以内の範囲にあること
同じ建物や敷地内にある場所は不可

【ユニット数】
本体事業所のユニット数を超えないこと
本体事業所とサテライト型事業所のユニット数を合わせた合計が4ユニット以内

指定や1ユニットの入居定員、介護報酬については、本体事業所と同様です。サテライト型事業所を運営することで、複数の事業所で人材を有効活用しながら地域の特性に応じた認知症グループホームの確保ができるようになります。

参照:厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

夜勤職員の人員配置基準が緩和される

2021年度の改定前と改定後の夜勤職員の人員基準をみると、「1ユニットごとに1人」となっており、変わりありません。しかし、改定後は、「1ユニットごとに1人」を継続しつつ、3ユニットで以下の要件を満たしている場合に例外的に夜勤2人以上の配置に緩和されています。

夜勤職員の人員配置基準が緩和される要件は、以下のとおりです。

・各ユニットが同一階に隣接している
・職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能
・安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっている

参照:厚生労働省 認知症グループホームの夜勤職員体制の見直し

これまでグループホームのユニット数は「原則1又は2、地域の実情により事業所の効率的運営に必要と認められる場合は3」でしたが、2021年度の改定で「1以上3以下」とされました。

従来の3ユニットのグループホームでは、各ユニットに夜勤者を1人配置しなくてはいけなかったものが、改定後は夜勤を2人で行えるようになったということです。

まとめ

グループホームの職員の人員基準や、2021年に改正された内容について解説しました。人員基準や夜間帯の介護職員の配置が緩和されると聞いて、「サービスの質が低下するのではないか」と心配される方もいることでしょう。

しかし、施設によっては定められたスタッフの人数よりも多くの介護職員を配置していたり、見守りシステムやICTを導入し、より充実したケアを提供しているところもあります。

グループホームへの入居を考える際は、スタッフの体制だけでなく、施設の雰囲気、入居者や職員の表情などから、温かみのある施設かどうかを直接感じることが大切です。

今回ご紹介した人員基準を参考にしていただき、安心して過ごせるグループホーム選びにお役立ていただければと思います。

この記事の執筆者吉田あい

保有資格:社会福祉士・介護福祉士・メンタル心理カウンセラー・介護支援専門員

現場、相談現場など経験は10年超。
介護現場(特別養護老人ホーム・デイサービス・グループホーム・居宅介護支援事業所)、相談現場を経験。

現在はグループホームのケアマネジャーとして勤務。

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