本記事でいう高齢者向けの質問ゲームとは、お題をきっかけに、答えたり質問を重ねたりしながら会話を楽しむレクリエーションのことです。
「今日のレクは何をしよう」と迷ったとき、道具も準備の時間も足りなくて困ってしまうことはありませんか。質問ゲームは、口頭のお題や身近な道具だけで始められるものが多く、座ったままでも参加しやすいレクです。
遊び方は5種類、そのまま読み上げられるお題を20個ご紹介しています。司会の声かけ例も載せているので、当日の進行をイメージしやすいでしょう。答えたくないときはパスできると伝えるなど、安心して参加していただくための工夫もお伝えします。
高齢者向けの質問ゲームとは?介護レクに取り入れやすい理由

ここで紹介する質問ゲームが介護レクに取り入れやすいのは、特別な機器や広い場所を用意しなくても実施できるからです。レクを任されたばかりの方でも、お題を決めて声をかけるところから始められますよ。
取り入れやすい理由は、大きく次の3つです。
・大がかりな準備をせずに始めやすい
・身体を大きく動かすレクへの参加が難しい方も加わりやすい
・ご利用者が話したい範囲で、好みや経験を知るきっかけになる
お題をいくつか決めて紙に書くだけで済むゲームもあります。大がかりな事前準備を必要としないものも多い一方で、その日のご利用者に合う話題かどうかは、あらかじめ確認しておきましょう。
体操やボール遊びのように身体を大きく動かすレクでは、その日の体調によって、参加方法の調整が必要になる方もいます。聞いて、考えて、答える質問ゲームは身体を大きく動かさずに行えるので、そうした方にも声をかけやすくなります。
ただし誰にでも負担が軽いわけではないので、聞こえ方や言葉の出やすさ、質問の分かりやすさへの配慮は欠かせません。
答えていただいた言葉から、好きだった食べ物や長く続けてこられたことが見えてくる場合もあります。ご本人が話したい範囲で聞かせていただくという姿勢を保てば、日々の会話や個別の声かけを考えるヒントにもなりますよ。
【5選】高齢者向け質問ゲームのやり方とルール

ここからは、質問ゲームの遊び方を5つご紹介します。いずれもお題や質問をきっかけに会話を進めるゲームですが、順番に答えるもの、一斉に選ぶもの、質問を重ねて当てるものと、進め方はさまざまです。
その日の人数や時間、ご利用者の慣れ具合によって向き不向きがありますので、最後に選び方の早見表を載せました。
※本記事では、遊び方が伝わりやすいように各ゲームに名称を付けています。一部は一般的に使われている名称ですが、施設内で呼びやすい名称に変更しても問題ありません。また、参加人数、所要時間、ご利用者にとっての難易度は、シフトライフ編集部が想定した実施目安です。ご利用者の状態や体調、当日の参加状況に合わせて調整してください。
質問カードを引いて答える「思い出インタビュー」
思い出インタビューは、質問を書いたカードを1枚ずつ引いていただき、出てきた質問についてお話しいただくゲームです。
・準備物 質問カード(参加人数より多めに)
・参加人数 4〜6人
・所要時間 15〜30分
・難易度 低〜中
進め方は次のとおりです。
1.質問を書いたカードを裏返して束ねる、または机の上に広げる
2.答えにくいカードは交換できることを、はじめに伝えておく
3.順番にカードを1枚引いていただく
4.無理のない範囲でお話しいただく。進行上は1人1〜2分ほどを目安とし、短いお答えでも次の方へ進む
5.話が途切れたら、カードの内容に合わせて「どんなところがお好きでしたか」など、答えやすそうな質問を一つ添える
6.全員に一巡したら、時間に応じて2周目に入る
思い出しにくそうなときは深追いせず、別のカードに替えましょう。カードを引きにくい方には、職員が数枚を扇のように広げて選んでいただくとよいでしょう。
質問する側と答える側を入れ替えて、ご利用者から職員へ質問していただく形にもできます。その場合は、職員も答えにくい質問はパスできることを先に伝えておきましょう。
好きな食べ物、趣味、季節など話しやすいお題を用意しておき、答えたら「○○さんはいかがですか」と返すと、職員ばかりが話す流れを防げますよ。
出た目でお題を決める「サイコロトーク」
サイコロトークは、サイコロを振っていただき、出た目に対応するお題についてお話しいただくゲームです。
・準備物 大きめのサイコロ、1から6までのお題一覧
・参加人数 4〜8人
・所要時間 15〜25分
・難易度 低〜中
進め方は次のとおりです。
1.1から6までのお題を決め、一覧にして見えるところに貼る
2.順番にサイコロを振っていただく
3.出た目のお題についてお話しいただく
4.同じ目が続いたら、振り直すか2周目のお題に差し替える
市販の小さなサイコロに質問を書き込むのは難しいので、厚紙や布で大きめのサイコロを作り、各面にお題を貼る方法もあります。サイコロを振りにくい方には、ご本人の希望をうかがったうえで、職員が代わりに振るか、数字を選んでいただきましょう。
サイコロを用意できないときは、職員が1から6のお題を読み上げ、数字を選んでいただく形でも進められます。ただし厳密にはサイコロを振るゲームではなくなります。
二択から選ぶ「どっち派ゲーム」
どっち派ゲームは、二つの選択肢を示して、自分に近いほうを選んでいただくゲームです。
・準備物 なし(色分けしたカードは任意)
・参加人数 5〜15人
・所要時間 10〜15分
・難易度 低
進め方は次のとおりです。
1.「うどんとそば、よく召し上がっていたのはどちらですか」のようにお題を出す
2.全員に一斉に選んでいただく
3.どちらを選んだか見渡してから、数人に理由をうかがう
4.次のお題に移る
選び方はひとつに決めず、その方に合う形を用意しておきましょう。手を挙げる、色分けしたカードを出す、選択肢を指差す、うなずいて示すなど、いくつか道があると参加していただきやすくなります。
どちらにも当てはまらない方もいます。「どちらでもないですか」「ほかにお好きなものはありますか」と、選択肢の外でも答えられる余地を残しておいてください。
二択だけを続けると一問一答になりやすいため、ときどき理由をうかがって話を広げてみましょう。
同じ答えになるか楽しむ「せーので同じ?ゲーム」
せーので同じ?ゲームは、ひとつのお題に対する答えを全員で同時に出し、同じ答えの方がいるかどうかを楽しむゲームです。
・準備物 なし(答えの候補を書いたカードは任意)
・参加人数 6〜12人
・所要時間 15〜20分
・難易度 低〜中
進め方は次のとおりです。
1.「果物といえば何を思い浮かべますか」のように、答えが分かれそうなお題を出す
2.少し考える時間をとる
3.「せーの」の合図で、声で答えるか、あらかじめ用意しておいた候補カードを掲げていただく
4.声が重なって聞き取りにくいときは、職員がお一人ずつ答えを確かめる
5.同じ答えの方がいたら、一緒に喜ぶ
答えがそろわなくても不正解ではありません。違う答えが出たときは、それぞれの理由をうかがって楽しみましょう。
声を出しにくい方がいるときは、ゲームを始める前に答えの候補を絵や文字にしたカードを用意し、その中から選んでいただくとよいでしょう。候補カードを使うときは全員に同じ候補を示し、声で答える方にも候補の中から選んでいただくと、答えを比べやすくなります。
同じくらいの人数でチームに分かれ、同じ答えの方が多かったチームの勝ちとする進め方もありますよ。
はい・いいえの質問で絞り込む「言い当てゲーム」
言い当てゲームは、思い浮かべたものを、主に「はい」か「いいえ」で答えられる質問を重ねて当てるゲームです。
・準備物 なし(お題カードは任意)
・参加人数 5〜10人
・所要時間 15〜20分
・難易度 中〜高
まずは職員が質問役になる形から始めてみてください。
1.質問役の職員に答えが分からないよう、ご利用者にお題を一つ決めていただく。決めるのが難しいときは、別の職員が候補を2、3個示して選んでいただく
2.質問役の職員は、ご利用者の様子を確認できる範囲で、お題が聞こえない位置へ移動する。見守りが必要なときは、別の職員がご利用者のそばに残る
3.職員が戻り、「それは食べ物ですか」のように質問する
4.ご利用者は「はい」「いいえ」「分からない・どちらともいえない」の3つで答える
5.質問は、まず10回ほどを目安にする。当たらないときは、ご利用者からヒントを一つ出していただく
6.1問5分ほどを目安にし、当たらなかったときは答えを発表して次のお題へ移る
答えを「はい」と「いいえ」だけに絞ると、判断に迷ったときに止まってしまいます。「分からない」を最初から認めておくと、進行がなめらかになりますよ。
「それは大きいですか」のように、感じ方によって答えが分かれる質問もあります。そのときも「どちらともいえない」として次の質問へ進みましょう。
慣れてきたら、職員が思い浮かべたものをご利用者に当てていただく形にもできます。ただし質問を自分で組み立てる必要があるため、5つの中ではいちばん難しい進め方になります。
順番に一つずつ質問していただくと、発言の機会が特定の方に偏りにくくなります。質問を考えるのが難しいときは、パスしても構いません。
はじめに「食べ物」「動物」「身近な道具」などのお題の範囲を伝えておくと、絞り込みやすくなります。候補を絵や文字で示しておくなど、その場に合わせて調整してみてください。
人数と時間で選べる質問ゲーム早見表
どの高齢者向け質問ゲームを選ぶか迷ったときは、その日の人数と持ち時間から絞ってみましょう。
| ゲーム | 準備物 | 所要時間 | 参加人数 | 難易度 | 道具なし |
| 思い出インタビュー | 質問カード | 15〜30分 | 4〜6人 | 低〜中 | △ |
| サイコロトーク | 大きめのサイコロ | 15〜25分 | 4〜8人 | 低〜中 | △ |
| どっち派ゲーム | なし | 10〜15分 | 5〜15人 | 低 | ○ |
| せーので同じ?ゲーム | なし | 15〜20分 | 6〜12人 | 低〜中 | ○ |
| 言い当てゲーム | なし | 15〜20分 | 5〜10人 | 中〜高 | ○ |
※参加人数、所要時間、ご利用者にとっての難易度は、シフトライフ編集部による目安です。参加者の状態やルールの設定によって変わります。
思い出インタビューを△としたのは、カードを使わず職員が口頭で質問する形でも進められるためです。サイコロトークを△としたのは、サイコロがなくても、職員がお題を読み上げて数字を選んでいただく形にできるためです。
そのまま使える高齢者向け質問ゲームのお題20選

ここからは、ゲームの中でそのまま読み上げられるお題を20個ご紹介します。一言で答えやすいもの、昔の暮らしをうかがうもの、今の好みを聞くもの、二択で答えられるものの4つに分けました。
どのお題にも共通する前提として、お答えが短いときや表情が曇ったときは、それ以上答えを求めないようにしましょう。返ってきた言葉をそのまま受け止め、無理に掘り下げずに次の方へ進んでください。
ただし、痛みや眠れないといった体調のお話や、安全に関わるお話が出たときは、レクの進行よりも確認を優先しましょう。
なお、レクではなく一対一の場面で使う質問や、返ってきた言葉の広げ方は【保存版】高齢者との会話ネタ50選!盛り上がる質問例と話の広げ方でまとめています。
一言で答えやすいお題5選
はじめの1問、2問には、その場で確認しやすいものや、短い言葉で答えられるお題を選ぶと入りやすくなります。
1.今日の空模様を、ひとことで言うと何でしょうか
2.よく口ずさむ歌はありますか
3.好きな色を一つ挙げるとしたら、何色ですか
4.一年の中で、いちばん過ごしやすいと感じるのは、どの季節ですか
5.今日のお召し物で、気に入っているところはどこですか
どれも正解のないお題です。同じお題でも答えは人それぞれなので、みなさんの違いを楽しむ流れにつなげやすいでしょう。
見えにくい方がいるときは、空模様やお召し物のお題を別のものに替えてください。
昔の暮らしや経験を尋ねるお題5選
昔の暮らしをうかがうお題は、話が広がる日もあれば、言葉がうまく出てこない日もあります。覚えているかどうかを確かめる場ではないので、出てきた言葉だけを受け取りましょう。
1.子どもの頃、家の中でいちばん好きだった場所はどこですか
2.若い頃、自分で買ってうれしかったものはありますか
3.暑い日は、どのように涼んでいましたか
4.若い頃に流行していたもので、覚えているものはありますか
5.昔使っていた道具で、使いやすかったものはありますか
生まれ育った場所や当時の暮らしには、人に話しにくい事情が重なっている場合もあります。言葉が少ないときは、そこで止めて別のお題へ移ってください。
今の好みや楽しみをうかがうお題5選
今の好みや楽しみをうかがうお題は、現在の暮らしや身近な楽しみに話題を切り替えたいときに使えます。
1.最近、笑ったことはありましたか
2.毎日の中で、これは欠かせないと思うものはありますか
3.好きな食べ物の中で、人にすすめたいものはありますか
4.これから行ってみたい場所はありますか
5.よく手に取る本や新聞はありますか
体調や健康法を尋ねるお題は、ここでは扱いません。痛みや眠れないといったお話が出たときは、まずその場で状態を確かめ、事業所のルールに沿って必要な職種へ共有しましょう。
くわしくうかがう必要があるときは、周りに配慮して個別に対応しましょう。
二択で答えられるお題5選
どっち派ゲームで使えるお題です。基本的にはどちらか一方を選んでいただくものなので、優劣がつかない組み合わせを用意しておきましょう。
1.お茶とコーヒー、よく飲むのはどちらですか
2.和食と洋食、よく食べていたのはどちらですか
3.にぎやかな場所と静かな場所、落ち着くのはどちらですか
4.早起きと夜ふかし、どちらが得意でしたか
5.犬と猫、身近だったのはどちらですか
二つのうち、どちらとも言いにくい方もいます。無理に決めていただかず、「どちらも」「どちらでもない」というお答えもそのまま受け取りましょう。
質問ゲームを盛り上げる進行のコツ

同じお題でも、はじめの伝え方や、答えが出ないときの受け止め方で、場の空気は変わってきます。ここでは司会役として押さえておきたい4つのコツを、そのまま使える声かけ例とあわせてご紹介します。
盛り上げようと力を入れるより、話しやすい流れを整えるほうが、結果として言葉が出てきやすくなるでしょう。うまく進まない日があっても、司会の進め方だけが原因とは限りません。その日の体調や気分、人数にも左右されますので、気負わずに構えてくださいね。
はじめの説明はこう伝える
はじめに伝えておきたいのは、何をするゲームか、どのくらいの時間か、答えたくないときはどうすればよいかの3つです。この3つを先に伝えておくと、初めての方もゲームの流れを見通しやすくなります。
声かけの例です。
「これから、質問に答えていただく遊びをします。今日は20分ほどで終わる予定です。答えたくない質問は『パス』とおっしゃってください。『分からない』というお答えでも大丈夫ですよ」
時間はゲームによって変わりますので、その日の予定に合わせて言い換えてください。
特に、パスできることははっきり伝えておきましょう。答えたくないときは答えなくてもよい、と最初に示しておくためです。案内がないと、答えなければならないと受け取る方もいるかもしれません。
答えが出ないときは職員が短く答えて見本を示す
お題を出しても言葉が返ってこないときは、まず少し待ってみましょう。そのうえで、質問が聞こえていたか、意味が伝わっていたかを確かめてください。考える時間が必要なだけの場合もあります。
それでも答え方が分かりにくそうであれば、職員が短く答えて見本をお見せする方法があります。このとき気をつけたいのが、答えを誘導しないことです。「夏と冬なら、夏ですよね」と聞いてしまうと、うなずくだけで終わってしまいがちです。
見本は、そのとき出しているお題とは別のもので示しましょう。
「答え方の例をお見せしますね。『好きな飲み物は何ですか』と聞かれたら、私は『コーヒーです。香りが好きだからです』とお答えします。同じように答えなくても大丈夫ですし、ひとことだけでもかまいませんよ。それでは、○○さんはどの季節がお好きですか」
同じお題に職員が先に答えると、ご利用者のお答えに影響する場合があります。職員の説明は短くまとめ、話の主役はご利用者に譲りましょう。
一人のお話が続いたときは感謝を伝えて次の方へつなぐ
お一人の話が長く続いて、ほかの方に順番が回らなくなることがあります。話を遮るのは気が引けますが、感謝を伝えてから次へつなぐと、話を受け止めたことを示しながら順番を移しやすくなります。
「すてきなお話をありがとうございます。続きも気になりますが、今度は○○さんにも聞いてみましょう」
区切るのではなく、いったん受け止めてから次の方へ渡す、という順番です。レクのあとに時間を取れるようであれば、「続きはあとで聞かせてください」とお伝えしてもよいでしょう。
発言を強制せず参加しやすい人数に分ける
人数が多いと待ち時間が長くなり、集中が続きにくい方もいます。たとえば5、6人ずつのテーブルに分けると、お一人が話す機会を確保しやすく、職員も表情を確認しやすくなるでしょう。
ただし、分けたからといって全員に発言していただく必要はありません。ほかの方の答えを聞く、うなずく、笑顔を見せるなど、発言以外の参加のしかたもあります。
「聞いているだけでも大丈夫ですよ。お話ししたくなったら、いつでも教えてください」とお伝えして、そのまま見守る日があってもかまいませんよ。
高齢者と質問ゲームをするときに気をつけたいこと

質問ゲームは言葉を交わす遊びですから、答えたくないことにまで踏み込んでしまう場面が起こりえます。また、身体を大きく動かさないレクでも、聞く、考える、言葉にするといった負担があります。疲れが目立たなくても、ご利用者の様子はよく確かめましょう。
ここでは、進行の前に押さえておきたい5つの配慮をまとめました。どれも、盛り上げることより優先される事柄です。うまく進めようとするあまり答えを求めすぎていないか、ときどき立ち止まって確かめてみてくださいね。
答えたくない質問はパスできると最初に伝える
パスができることは、ゲームを始める前に全員へ伝えておきましょう。途中で伝えると、特定の方だけに向けた気づかいのように受け取られる場合があるためです。
何が答えにくいかは人によって違いますし、外からは分からないこともあります。誰でもいつでもパスできる形にしておくと、お互いに構えずにすみますよ。
答えないという選択も、ご本人の意思表示のひとつとして尊重しましょう。
参加を無理強いせず体調や疲れに合わせて切り上げる
疲れの表れ方は人それぞれです。表情や姿勢、あくび、落ち着かない様子など、普段との変化に気づいたらご本人にも確かめて、予定より早く切り上げる判断をしてください。
厚生労働省は、認知症のある方の意思決定を支援する場面について、本人が集中できる時間帯を選ぶことや、疲れているときを避けることに注意が必要だとしています。あわせて、大勢の人に囲まれると圧倒されてしまい、安心して意思決定ができなくなる場合があるとも示しています。レクの進め方を考えるうえでも、参考になる考え方でしょう。
参照:「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」
人数が多いと感じたら、グループを分けるか、時間そのものを短くしてみてください。
ご家族の事情やつらい経験などの繊細な話題を無理に掘り下げない
ご家族の話題を一律に避ける必要はありません。ご本人が楽しそうに話しておられるのに、途中で遮るほうが不自然でしょう。
気をつけたいのは、職員の側から踏み込むことです。表情や声の調子が変わったとき、答えをためらわれたときは、そこで止めて別のお題へ移りましょう。
レクの中でほかのご利用者が話された私的な内容は、ケアに必要な共有を除いて、ほかの場面で話題にしないようにしてください。お名前を出さなくても、ご家族の状況や施設内の出来事を組み合わせると、どなたのことか分かってしまう場合があります。
認知症のあるご利用者には短く分かりやすく質問する
質問は一度に一つ、短い言葉でお伝えしましょう。「あれ」「それ」といった曖昧な言い方は避け、具体的な言葉に置き換えると届きやすくなります。
前述の厚生労働省のガイドラインでは、本人が理解できるよう、分かりやすい言葉や文字に変えてゆっくり説明しているかを確かめるよう示されています。図や表の活用が有効な場合があるとも記され、写真や絵カードにも触れられています。質問ゲームでも、お題を文字にして見せたり、答えの候補を絵カードで示したりすると、加わっていただきやすくなるでしょう。
答えが出るまで待つ時間も大切です。思い出せないことを責めたり、答えを急かしたりせず、レクでは正誤を競わないようにしましょう。周りの音が気になるようであれば、静かな場所へ移ることも考えてみてください。
聞こえにくい方には正面からゆっくり話し、文字も活用する
正面から、口の動きが見える位置で話しかけましょう。早口にならないよう気をつけ、聞き取りにくそうなときは同じ言葉を繰り返すより、別の言い方に置き換えるほうが伝わります。
大きな声を出せばよい、というわけではありません。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、闇雲に大きな声で話すのは逆効果で、普通よりやや大きいくらいの声を意識するよう案内しています。小さい音は聞こえづらくても大きい音はより大きく聞こえるため、必要以上の大声は、かえってうるさく感じられる場合があります。
参照:「高齢者とのコミュニケーションに苦労していませんか?」
厚生労働省も、ゆっくり言葉をはっきり話すこと、正面から口の動きを見せて話すこと、テレビを消すなど聞きやすい環境を心がけることを示しています。
参照:「『聞こえにくさ』感じていませんか?」
お題は大きな文字で書いて掲げておくと、耳からの情報を補えますよ。
高齢者向け質問ゲームに関するよくある質問
高齢者が喜ぶ質問はありますか?
すべての高齢者に共通して喜ばれる質問がある、というわけではありません。好きな食べ物や季節のように、正解がなくひとことでも答えられる質問から始めて、普段の会話やご本人の関心に合わせて選んでいきましょう。
同じお題でも、喜んで話される方もいれば、答えにくく感じる方もいます。反応を見ながら、お題を選び直していきましょう。
何人くらいで行うのがよいですか?
ゲームによって変わりますが、4人から15人ほどが目安です。お一人ずつ順番に話していただく思い出インタビューやサイコロトークは少人数で、一斉に選ぶどっち派ゲームは比較的人数が多くても進められます。
くわしくは、記事内の早見表をご覧ください。
所要時間はどのくらいが目安ですか?
10分から30分ほどを見ておきましょう。初めて行うときは短めに設定し、様子を見ながら次回以降で調整すると無理がありません。
予定より早く切り上げても差し支えありません。
同じお題を繰り返し使ってもよいですか?
同じお題を繰り返し使ってもかまいません。前回と違うお答えが返ってくることもありますが、違いは指摘せず、そのときのお答えを受け止めましょう。聞き慣れたお題のほうが答えやすく感じる方もいます。
ただし、以前に答えにくそうな様子が見られたお題は、無理に繰り返さないでください。いくつか入れ替えながら回していくと、変化も出てきますよ。
話すのが苦手な方はどのように参加できますか?
うなずく、指差す、カードを選ぶといった形でも参加していただけます。どっち派ゲームやせーので同じ?ゲームのように、選ぶだけで成立するものから試してみてください。
ほかの方の話を聞いているだけの日があってもかまいませんよ。
まとめ
高齢者向けの質問ゲームには、口頭のお題だけで始められるものもあります。5つ全部を覚えようとせず、早見表からその日の人数と時間に合うものをひとつ選んでみてください。
はじめは難易度の低いどっち派ゲームから試すと、場の様子もつかみやすいでしょう。
進行では、盛り上げることよりも、答えたくない質問はパスできると最初に伝えることを優先しましょう。答えなくてもよいと伝えておけば、答えるかどうかをご本人に選んでいただけます。
ゲーム運びがうまくいかない日もあるでしょう。それでも、短いお答えがひとつ返ってきたなら、その日はそれで十分でしょう。回を重ねるうちに、その場に合うお題の選び方や、間の取り方もだんだん分かってくるでしょう。
まずはお題をひとつ用意するところから、始めてみましょう。
この記事の執筆者![]() | Shift Life編集部 介護現場での実務経験を持つライターと、介護報酬・制度に精通した編集スタッフが連携し、現場で役立つ情報をお届けしています。 制度・加算に関する情報は、厚生労働省・自治体などの公的機関が発行する一次情報を優先的に参照し、掲載前にファクトチェックを実施しています。 |
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