課題分析標準項目とは、ケアマネジャーとも呼ばれる介護支援専門員がケアプランを作る前のアセスメントで把握する情報を、国が23の項目にまとめて示したものです。根拠は、厚生省が出した通知(老企第29号)の別紙4です。2023年10月16日には、この項目名と「項目の主な内容(例)」が改正されました。
(参考:厚生労働省「「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正について」介護保険最新情報Vol.1178)
この記事では、2026年10月時点で使われている23項目と、2023年の改正点、アセスメントでの使い方を整理します。ケアマネジャーと、ケアマネジャーに情報を伝える介護職員やサービス提供責任者に向けた内容です。
課題分析標準項目とは

課題分析とは、ご利用者の能力や環境を評価し、自立した日常生活を支えるうえで解決すべき課題を把握することです。居宅介護支援の運営基準は、これを「適切な方法により」行うよう定めています(第13条第6号)。
(参考:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」)
課題分析標準項目は、「基本情報に関する項目」(No.1〜9)と「課題分析(アセスメント)に関する項目」(No.10〜23)の2つに分かれます。合わせて23項目あります。
根拠は老企第29号の別紙4(厚生省の通知)
老企第29号は、1999年(平成11年)11月12日に出された通知です。厚生省老人保健福祉局企画課長から、各都道府県の介護保険主管部(局)長にあてたものです。
通知の名称は「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」で、この通知の別紙4に課題分析標準項目が示されています。
現行の23項目は2023年10月16日の改正によるものです。2024年7月の改正後も、23項目は変わっていません。
23項目を備えていれば、様式や手法は選べる
別紙4の「Ⅰ 基本的な考え方」は、課題分析をケアマネジャーの個人的な考え方や手法のみで行わず、課題を客観的に抽出する適切な方法を用いるよう求めています。そのうえで、個別の手法は「「本標準課題分析項目」を具備することをもって、それに代えることとする」としています。
(参考:厚生労働省「「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正について」介護保険最新情報Vol.1286 改正後全文)
施設についても、介護老人福祉施設(特養)の運営基準が、適切な方法により課題を把握するよう定めています(第12条第3項)。
また老企第29号は、様式と項目を「標準例として提示するもの」と位置づけ、ほかの様式を使うことを拘束しないとしています。
(参考:厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」老企第29号)
23項目を備えていれば、事業所のアセスメントシートや手法は選べます。
課題分析標準項目23項目の一覧(2023年10月改正後)
表の「主な内容(要旨)」は、別紙4の「項目の主な内容(例)」を要約したものです。
基本情報に関する項目(No.1〜9)
| No. | 項目名 | 主な内容(要旨) |
| 1 | 基本情報(受付、利用者等基本情報) | 受付情報、本人・家族等の基本情報 |
| 2 | これまでの生活と現在の状況 | 現在の生活状況、生活歴 |
| 3 | 利用者の社会保障制度の利用情報 | 被保険者情報、年金、生活保護等 |
| 4 | 現在利用している支援や社会資源の状況 | 利用中のサービスや社会資源 |
| 5 | 日常生活自立度(障害) | 現在の要介護認定で判定された自立度と、ケアマネジャーからみた現在の自立度 |
| 6 | 日常生活自立度(認知症) | 現在の要介護認定で判定された自立度と、ケアマネジャーからみた現在の自立度 |
| 7 | 主訴・意向 | 本人と家族等の主訴や意向 |
| 8 | 認定情報 | 要介護状態区分、区分支給限度額等 |
| 9 | 今回のアセスメントの理由 | 初回、更新、区分変更、退院・退所等 |
課題分析(アセスメント)に関する項目(No.10〜23)
| No. | 項目名 | 主な内容(要旨) |
| 10 | 健康状態 | 心身の状況、受診・服薬の状況 |
| 11 | ADL | 日常生活動作(移乗、歩行、入浴等) |
| 12 | IADL | 手段的日常生活動作(調理、買物等) |
| 13 | 認知機能や判断能力 | 認知機能の程度、判断能力の状況 |
| 14 | コミュニケーションにおける理解と表出の状況 | 理解と表出、視覚・聴覚等の能力 |
| 15 | 生活リズム | 1日・1週間の過ごし方、睡眠 |
| 16 | 排泄の状況 | 場所・方法、失禁、排泄リズム |
| 17 | 清潔の保持に関する状況 | 入浴・整容、皮膚や爪、寝具・衣類 |
| 18 | 口腔内の状況 | 歯・義歯、かみ合わせ、口腔ケア |
| 19 | 食事摂取の状況 | 食形態・食事量、摂食嚥下機能 |
| 20 | 社会との関わり | 家族等・地域・仕事との関わり |
| 21 | 家族等の状況 | 家族等の状況、支援への参加・負担感 |
| 22 | 居住環境 | 生活の環境、危険個所、自宅周辺 |
| 23 | その他留意すべき事項・状況 | 虐待、経済的困窮、看取り等 |
2023年10月の課題分析標準項目の改正点
2023年(令和5年)10月16日の老認発1016第1号(介護保険最新情報Vol.1178)で、項目が改正されました。同じ日に、改正に関するQ&A(Vol.1179)も示されています。
改正の理由として、Q&Aの問1は、項目の名称や例示の一部が現状にそぐわなくなったことを挙げています。もう1つの理由は、2024年4月から法定研修に取り入れられた「適切なケアマネジメント手法」と整合させることです。ただしQ&Aは、「情報収集項目がこれまでと変わるわけでない」としています。
(参考:厚生労働省「課題分析標準項目の改正に関するQ&A」介護保険最新情報Vol.1179)
項目名が変わった主な項目
・生活リズム(No.15):新設の項目です。これまで居宅サービス計画書(第3表)を作るときに把握していたと考えられる事項を、課題分析のための情報項目として位置づけました
・認知機能や判断能力(No.13):改正前は「認知」。旧No.20「問題行動」もここに統合されました
・家族等の状況(No.21):改正前は「介護力」。家族等を介護の資源としてだけみるのではなく、家族等の意向や、介護に参加する意欲・負担感も確かめる項目になりました
・主訴・意向(No.7):改正前は「主訴」
・清潔の保持に関する状況(No.17):改正前は「褥そう・皮膚の問題」。褥そうの有無は、No.10「健康状態」に書きます
・その他留意すべき事項・状況(No.23):改正前は「特別な状況」
「項目の主な内容(例)」は例示で、全部の記入は求められていない
「項目の主な内容(例)」は、解釈の違いで把握する内容に差が出ないよう示された例です。例示の内容すべてについて、情報収集を求めるものではありません(Vol.1179 問3)。
また問3は保険者に対し、例示の内容が把握されていないことだけを理由に、基準違反としないよう求めています。例示は聞き漏らしを防ぐ目安として使うと、面接の時間を必要な話題に充てやすくなります。
課題分析標準項目のアセスメントでの使い方
居宅介護支援ではご利用者宅を訪問し、本人と家族に面接して把握する
居宅介護支援のアセスメントは、ケアマネジャーがご利用者の自宅を訪問し、ご利用者とその家族に面接して行わなければなりません(運営基準 第13条第7号)。面接の趣旨をご利用者と家族に十分に説明し、理解を得ることも同号で求められています。
項目を一つずつ質問するより、会話の中で確かめていき、後から抜けを見直すほうが、ご利用者の負担を抑えやすくなります。
本人と家族等の意向を分けて聞く
No.7「主訴・意向」は、ご利用者と家族等それぞれの主訴や意向を、分けて書く項目です。「家族等」には、親族だけでなく意思決定や支援に関わる人も含まれます(Vol.1179 問2)。
本人が意向を言葉にしにくい場合も、家族等の希望で置き換えないようにします。本人の様子を本人の欄に残しておくと、本人と家族等の意向の違いに気づきやすくなります。
サービス事業所や多職種から情報を集める
Q&Aは、次のような集め方も示しています。
・身長・体重など:機材を持参して測ることまでは想定せず、医療機関や通所サービス、健康診断での測定状況を確かめる(問10)
・口腔内の状況:必要に応じて歯科医や歯科衛生士と連携する(問15)
・食事摂取の状況:変化があれば、必要に応じて歯科医・歯科衛生士・言語聴覚士等と再評価する。看護師や管理栄養士等との連携も有効で、疾患があれば医師の指示内容を確認する(問16)
・食形態・食事の内容:本人や家族、ヘルパーなどサービス事業所からのヒアリングでもよい(問17)
連携は「必要に応じて」とされています。職種がそろわない事業所でも、身長・体重や食形態のように、聞き取りや他サービスの測定結果で集められる情報があります。
介護職員やヘルパーが記録・申し送りを書くときに、「排泄の状況」「生活リズム」など23項目の名前を添えておくと、再アセスメントのときに情報を探しやすくなります。
アセスメントの結果をケアプラン原案につなげ、記録を残す
ケアプランの原案は、ご利用者の希望とアセスメントの結果に基づき、家族の希望や、地域でサービスを提供できる体制も考え合わせて作ります(運営基準 第13条第8号)。
居宅介護支援事業者は、アセスメントの結果の記録を整え、その記録の完結の日から2年間保存しなければなりません(運営基準 第29条第2項)。この2年間は国の基準で定められた期間です。
事業所のある自治体の条例で別の期間を定めていないかも、確かめておくとよいでしょう。
課題分析標準項目を使うときの注意点
改正前の項目名が残る様式は、現行の23項目との対応を確かめる
改正前に作った様式では、欄の名称が「問題行動」「介護力」など、改正前のままになっていることがあります。事業所で使っている様式の欄が、現行の23項目のどれに当たるかを一度確かめておきましょう。
そうすると、「生活リズム」が新設されたことや、褥そうを書く欄が変わったことによる抜けに気づきやすくなります。
サービス担当者会議等で個人情報を使うときは、あらかじめ文書で同意を得る
居宅介護支援事業者は、サービス担当者会議等で個人情報を使う場合、同意を得ておかなければなりません(運営基準 第23条第3項)。ご利用者の個人情報を使うときはご利用者本人の同意を、家族の個人情報を使うときはその家族の同意を、あらかじめ文書で得ておきます。
本人の同意だけで家族の情報を共有しないよう、相手を分けて確認します。
No.23「その他留意すべき事項・状況」は他制度との連携につなげる
No.23は、虐待や医療依存度の高さなど、特に留意すべき状況を書く項目です。Q&A 問20は、他制度(医療も含む)との連携の観点が重要だとしています。
例として、医療関係者や相談支援専門員、成年後見制度などとの連携や、生活保護・生活困窮者自立支援制度の利用を検討することが挙げられています。
高齢者虐待防止法は、養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した人が、市町村に通報することを定めています(第7条)。高齢者の生命や身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに市町村へ通報しなければなりません(第7条第1項)。
(参考:e-Gov法令検索「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」)
それ以外の場合も、通報するよう努めなければなりません(同条第2項)。守秘義務に関する法律の規定は、この通報を妨げるものではないと定められています(同条第3項)。
・インテークとは?介護における意味とアセスメントとの違い、面接の流れと注意点:アセスメントの前に行うインテークの流れと、アセスメントとの違いを確認できます。
・介護のアセスメントとは?アセスメントシートの書き方についても解説:アセスメントの進め方と、アセスメントシートの書き方を確認できます。
・認知症の方の介護におけるアセスメントの重要性とポイント:認知症の方のアセスメントのポイントが分かり、No.13「認知機能や判断能力」の把握に役立ちます。
・介護記録の目的とは?書き方のポイントや注意点を分かりやすく解説!:23項目の情報源になる介護記録の書き方を解説しています。
・自立支援介護とは?介護現場でできる自立支援について:課題分析が目指す自立の支援について、介護現場でできることを扱っています。
まとめ
課題分析標準項目は、老企第29号の別紙4に示された23項目で、基本情報(No.1〜9)と課題分析(No.10〜23)に分かれます。2023年10月の改正では、「生活リズム」の新設や改正前の「問題行動」の統合、名称や例示の見直しが行われました。ただしQ&Aは、情報収集の項目がこれまでと変わるわけではないとしています。
まずは、事業所で使っている様式の欄を、現行の23項目と照らし合わせてみましょう。アセスメントでは、本人と家族等の意向を分けて聞きます。
サービス担当者会議等でご利用者の個人情報を使うときはご利用者本人の同意を、家族の個人情報を使うときはその家族の同意を、あらかじめ文書で得ます。介護職員の記録や申し送りも、23項目の名前でそろえておくとよいでしょう。
1.厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
2.厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ」
3.厚生労働省「課題分析標準項目の改正に関するQ&A」介護保険最新情報Vol.1179
この記事の執筆者![]() | Shift Life編集部 介護現場での実務経験を持つライターと、介護報酬・制度に精通した編集スタッフが連携し、現場で役立つ情報をお届けしています。 制度・加算に関する情報は、厚生労働省・自治体などの公的機関が発行する一次情報を優先的に参照し、掲載前にファクトチェックを実施しています。 |
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