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ケースカンファレンスとは?目的と進め方の例、議事録の書き方、時間を短くする工夫

ケースカンファレンスとは

ケースカンファレンスとは、特定のご利用者の事例を取り上げ、その方に関わる職員が情報を出し合って支援の方向性を検討する会議です。ケースカンファレンスは事例検討会と同じ意味で使われ、ケアカンファレンスやケース会議との呼び分けは職場によって異なります。運営基準で開催が定められたサービス担当者会議とは、別の言葉です。
参考:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
 
この記事では、会議を運営する方に向けて、目的、進め方、時間短縮、議事録の残し方をまとめます。

ケースカンファレンスとは

ケースカンファレンスとは

厚生労働省のサイトに掲載されている研修資料では、事例検討(会)はケースカンファレンスと同じ意味で使われています。さまざまな専門職が集まり、支援の方向性を検討する場とされています。

居宅介護支援・特養・老健の運営基準では、ケースカンファレンスという名称は定義されていません。

ケアカンファレンス・ケース会議・事例検討会との呼び分け

導入で触れたとおり、ケアカンファレンス、ケース会議、事例検討会という呼び名や使い分けは、職場によって異なります。呼び名より「この会議で何を決めるか」を職場でそろえておくと、参加者が準備しやすくなります。

サービス担当者会議との関係

居宅介護支援の運営基準(第13条第9号)では、サービス担当者会議は、介護支援専門員(ケアマネジャー)がサービスの担当者を招集して開く会議とされています。会議はご利用者と家族の参加を基本とし、ご利用者の状況を共有したうえで、計画の原案について担当者に専門的な見地からの意見を求めます。

特養や老健の運営基準にも、施設サービス計画の原案について意見を求める手段の1つとして、サービス担当者会議の定めがあります。
参考:e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」

職場のケースカンファレンスをサービス担当者会議として行う場合は、目的だけでなく、招集者・参加者・手続きも該当する運営基準に沿っているかを確かめます。詳細はサービス担当者会議とは?目的や頻度、開催時期、メンバーなど解説で確認できます。

ケースカンファレンスの目的と開くタイミング

情報共有で終わらせず、方針と役割分担まで決める

ケースカンファレンスでは、課題の要因を明らかにして支援方針を決めること、チームで課題を共有すること、職員が学ぶことが大切です。研修資料でも、要因・原因の解明や職員の教育・研修が目的として、抱え込みの回避や課題の共有が意義として挙げられています。

報告を聞くだけで終わると、ケアは変わりにくくなります。方針、誰がいつまでに行うかという役割分担、次回の確認点まで決めておくと、翌日からのケアにつなげやすくなります。

開くタイミング(定期・状態の変化・認定の更新)

ケースカンファレンスの開催頻度は、居宅介護支援・特養・老健の運営基準には定められていません。居宅介護支援の運営基準(第13条第14号)で「少なくとも一月に一回」とされているのは、モニタリングの面接と記録で、特段の事情のない限り行うと定められています。

・定期:事業所で決めた周期で開く
 
・状態の変化・ケアの困りごと:食事量の低下が続くときや、職員によって対応が分かれるときなど
 
・認定の更新・変更:居宅介護支援の運営基準(第13条第15号)では、ご利用者が要介護更新認定や区分変更の認定を受けたとき、サービス担当者会議を開きます。計画を変更する必要があるかについて、担当者の意見を求めます。やむを得ない理由がある場合は、会議の代わりに担当者への照会などで意見を求めることもできます

急な状態の変化は次回の会議まで待たない

急変や体調の悪化は、次回の会議を待たず、事業所の緊急時の手順に沿って次のように対応します。

1.意識がない、急な呼吸困難などの突然の症状があれば、すぐ119番通報する
 
2.119番通報するかどうか迷うときは、手順に沿って主治医に相談するか、救急相談窓口(♯7119など)を使う。救急相談窓口の実施地域や番号は、地域ごとに確認しておく
 
3.主治医(施設では施設が定めた医師・協力医療機関)に連絡し、報告と記録を行う
 
4.今後の支援は後日のカンファレンスで検討する

消防庁は「119番通報などの判断に迷った時は、救急相談窓口(♯7119等)にご相談ください。」としています。
参考:総務省消防庁「救急車利用リーフレット(高齢者版)」

訪問介護員などは、サービス提供中にご利用者の病状が急変した場合などには、速やかに主治医へ連絡するなどの措置を取ると定められています。
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第27条

ケースカンファレンスの進め方

本人・ご家族の意向を検討の中心に置く

特養の運営基準(第12条第5項)では、施設サービス計画の原案は、入所者の希望に基づき、家族の希望も考慮して作るとされています。検討の中心は本人の意向で、ご家族の希望は分けて扱います。

研修資料でも、ご利用者を置き去りにせず、その支援が本人にとって実現可能か、本人が主体になっているかを確かめるよう示されています。本人が参加できないときは、担当職員が事前に意向を聞き、本人の言葉のまま会議で伝えるとよいでしょう。

参加者と役割(司会・事例提供者・記録係)

参加者は、そのご利用者に関わる介護職・看護職・ケアマネジャーなどです。役割は事前に決めておくとよいでしょう。

役割 主な仕事
司会 論点と時間を示し、発言を促し、決定事項を確かめる
事例提供者 経過と困っている点を、事実をもとに説明する
記録係 決定事項・担当者・期限を議事録にまとめる

 

事前準備:論点を1つに絞り、資料を先に配る

「最近の様子」のように広い論点では、報告会で終わりがちです。「夕方の声かけをどうそろえるか」のように、論点を1つに絞って問いの形にします。

基本情報・経過・本人の意向・困っている点をまとめた資料を、前日までに参加者だけに配っておくと、当日の説明が短く済みます。

当日の流れ:何をどの順で話すか

次の5段階で進めると、報告だけで終わりにくくなります。

1.事例の提示:事例提供者が経過と困っている点を話す
 
2.質問:参加者が質問し、職種ごとの情報をそろえる
 
3.論点の確認:何を決めるかを全員で確かめる
 
4.検討:本人の意向を踏まえて案を出し合う
 
5.まとめ:方針・役割分担・次回の確認点を決め、記録係が読み上げる

始めに司会が終了時刻と論点を示し、最後に次回の日程を決めます。

事実と解釈を分け、全員が発言できるようにする

「昼食を半分残した」は事実、「食欲がない」は解釈です。事実と解釈を分けて話すと、見立てのずれに気づきやすくなります。

司会は、まだ話していない人に意見を求め、出た意見を頭ごなしに否定しません。研修資料は、多数決やあるべき論で方針を決めず、事例提供者ができる支援を考えるよう示しています。

進め方の例(食事量が減ったご利用者を検討する場合)

以下は架空の例です。2週間前から昼食が半分ほどに減ったAさんについて、質問の段階で本人の「固くて噛みにくい」という言葉と体重の推移を共有します。

論点を「本人が食べやすい食事にするには」に絞って、見直しを検討します。食形態は管理栄養士などに、噛みにくさは歯科に相談することも、検討に含めます。

担当者が今週中にご家族とケアマネジャーへ相談し、1週間後に食事量と体重を確かめます。途中で発熱などが分かれば、会議を待たず看護職や主治医へ連絡します。

職種がそろわない小規模事業所・訪問系での工夫

小規模事業所や訪問系で職種がそろわないときは、出席できない職員や外部の担当者の意見を事前に聞き取るか、オンラインでつなぐとよいでしょう。訪問ごとの気づきを記録に残しておくと、事実を持ち寄りやすくなります。

なお、居宅介護支援の運営基準(第13条第9号・第15号)では、サービス担当者会議を担当者への照会などで代えられるのは、やむを得ない理由がある場合とされています。特養・老健の運営基準では、意見を求める方法として、会議の開催と担当者への照会などが並べて定められています。

ケースカンファレンスの時間を短くする工夫

終了時刻と論点ごとの時間配分を決める

始める前に終了時刻を決め、30分なら「提示5分、質問7分、論点3分、検討10分、まとめ5分」のように時間配分を示します。資料を事前に読んでくることや、1回に扱う事例を絞ることも、時間を守る助けになります。

オンラインで開く(本人・ご家族が加わるときは同意を得る)

オンラインなら移動がなく、外部の担当者も加わりやすくなります。2026年11月現在、居宅介護支援の運営基準(第13条第9号)では、サービス担当者会議をテレビ電話装置などを使って開くことも認められています。

ただし、ご利用者や家族が参加する場合は、テレビ電話装置などを使うことについて、そのご利用者や家族の同意を得る必要があります。特養の運営基準(第12条第6項)にも、同じ定めがあります。

事業所内のカンファレンスでも、本人やご家族がオンラインで加わるときは、事前に同意を得ておくと安心です。

参加時間の確保と労働時間の扱い

使用者の明示または黙示の指示によって業務をしている時間は、労働時間に当たります。業務として参加を求めるカンファレンスは、勤務の前後に開く場合でも、参加している時間が労働時間になります。
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

会議は日勤と遅番が重なる時間帯に開き、会議中の見守りや介助の担当をシフト上で決めておくと、フロアが手薄になるのを防ぎやすくなります。

ケースカンファレンスの議事録の書き方と共有

議事録の書式と残す項目

事業所内で開くケースカンファレンスの議事録は、様式をそろえておきます。残す項目は、日時・参加者・検討した論点・本人とご家族の意向・決定事項・担当者と期限・次回の確認点です。

記入例は介護の議事録の書き方【例文つき】テンプレートと会議・委員会別の記入例が参考になります。

居宅介護支援では、国の運営基準(第29条第2項)で、サービス担当者会議などの記録を居宅介護支援台帳に記載し、その完結の日から2年間保存することとされています。自治体の条例で期間を延ばしている場合もあります。

夜勤・非常勤の職員との共有と個人情報の扱い

決定事項は申し送りに加え、勤務帯を問わず見られるケース記録にも残すと、夜勤や非常勤の職員に伝わりやすくなります。

同じ事業者の中での情報の提供は第三者提供に当たらないため、第三者提供としての本人の同意は要りません。ただし、法令に基づく場合などの例外を除き、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を扱うには、あらかじめ本人の同意が必要です。
参考:個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)

サービス担当者会議などでは、これとは別に、運営基準上の文書による同意も確かめます。議事録も個人情報として扱い、閲覧できる職員は支援に必要な人に限るとよいでしょう。

各運営基準では、従業者が、正当な理由がなく、業務を通じて知ったご利用者や家族の秘密を漏らしてはならないと定められています。

居宅介護支援の運営基準(第23条第3項)では、指定居宅介護支援事業者がサービス担当者会議などで個人情報を使うには、事前に文書で同意を得ることとされています。同意の相手は、ご利用者の情報ならご利用者、家族の情報ならその家族です。

まとめ

ケースカンファレンスは、個別の事例をもとに支援の方向性を検討する会議です。サービス担当者会議を兼ねるなら、開き方は該当する運営基準に従います。居宅介護支援では、その記録を2年間保存します。

ケースカンファレンスの開催頻度は、居宅介護支援・特養・老健の運営基準には定められていません。急な状態の変化があったときは、会議を待たずに119番通報や主治医への連絡を優先します。

本人の意向を中心に、論点を1つに絞って方針・役割分担・次回の確認点まで決めましょう。業務として参加を求めるカンファレンスの時間は、労働時間です。議事録の共有は必要な職員に限りましょう。

この記事の執筆者
シフトライフ編集部
Shift Life編集部

介護現場での実務経験を持つライターと、介護報酬・制度に精通した編集スタッフが連携し、現場で役立つ情報をお届けしています。
制度・加算に関する情報は、厚生労働省・自治体などの公的機関が発行する一次情報を優先的に参照し、掲載前にファクトチェックを実施しています。

 
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